「昔勇者で今は骨」「グリモアレファレンス」の 佐伯庸介 先生が贈る新作は、怪人らを
やっつける戦隊の一員である青年が隣室に引っ越してきた住人との意外な交流を描きます。
(イラスト:Genyaky 先生)
【 https://dengekibunko.jp/product/322112000007.html 】
“草間ミドリ”は悪の秘密組織と戦う5人の戦隊組織「バンショクジャー」の一員であり
高校の非常勤講師も務めるアラサー独身である。ある日、戦闘を終えて帰宅すると隣室に
入居する子連れで褐色銀髪の美人と遭遇するが初対面なのに見た覚えがある気がして──。
戦隊の中では支援役に回る“ミドリ”の不遇さを払拭するかのような“アシェラー”との
濃密なキス。そこに至るまでの、遡れば秘密組織と対峙する経緯を語る“タラタット”が
明かす真相、相互不理解の背景がいろいろと筋道の通っている内容で、納得感のある展開。
新たな敵との戦いでも“ミドリ”の立場が重要になってくる場面では爽快感を覚えますし、
何より Genyaky 先生の挿絵による演出も相まった艶っぽい描写が絶妙。“アシェラー”が
度々覗かせる可愛らしい一面もぜひ堪能あれ。面白くて、色々と考えさせられる一作です。
2022年09月23日
2022年09月22日
『天使は炭酸しか飲まない3』
丸深まろやか 先生が贈る青春物語。第3巻は天使としての活動にかまけて補習づくしの
夏休みを迎える“伊緒”が、正体を知られている後輩の恋愛相談にのる顛末を描きます。
(イラスト:Nagu 先生)
【 https://dengekibunko.jp/product/tenshihatansan/322203002166.html 】
“伊緒”がやらかした過去の失態から、彼が「天使」だと気づいている所からスタート
する後輩“光莉”の恋愛相談。中学時代からの好きが高じて“鷹村”と同じ高校へ進学
を決めるほどの想いに彼は応えてくれるのか。今回も難題が“伊緒”に降りかかります。
諦めきれないなら例え何度でも、告白して気持ちを伝えることが大切と考える“伊緒”。
何回告白しても振られる、叶わない恋はいつまで続けたらいいのかと葛藤する“光莉”。
好きな人への想いに区切りをつけるか否か、の論点が物語を大きく動かす展開が印象的。
“伊緒”が抱き続ける“彩羽”への思慕。彼に“梨玖”が思う所ある内容を知ることが
できたのが良かったですし“御影”たちも同様に考えてくれていて本当に良い子たちで。
ラストで不穏な影を落としながら迎える続刊の危機、はねのけてほしいものであります。
夏休みを迎える“伊緒”が、正体を知られている後輩の恋愛相談にのる顛末を描きます。
(イラスト:Nagu 先生)
【 https://dengekibunko.jp/product/tenshihatansan/322203002166.html 】
“伊緒”がやらかした過去の失態から、彼が「天使」だと気づいている所からスタート
する後輩“光莉”の恋愛相談。中学時代からの好きが高じて“鷹村”と同じ高校へ進学
を決めるほどの想いに彼は応えてくれるのか。今回も難題が“伊緒”に降りかかります。
諦めきれないなら例え何度でも、告白して気持ちを伝えることが大切と考える“伊緒”。
何回告白しても振られる、叶わない恋はいつまで続けたらいいのかと葛藤する“光莉”。
好きな人への想いに区切りをつけるか否か、の論点が物語を大きく動かす展開が印象的。
“伊緒”が抱き続ける“彩羽”への思慕。彼に“梨玖”が思う所ある内容を知ることが
できたのが良かったですし“御影”たちも同様に考えてくれていて本当に良い子たちで。
ラストで不穏な影を落としながら迎える続刊の危機、はねのけてほしいものであります。
2022年09月21日
『あした、裸足でこい。』
「三角の距離は限りないゼロ」の 岬鷺宮 先生と Hiten 先生がタッグを組んで贈る新作は
時の人となった元カノの失踪を機に元カレ少年が彼女を救うため時を越える恋愛物語です。
(イラスト:Hiten 先生)
【 https://dengekibunko.jp/product/322203000069.html 】
高校卒業を意識する“巡”が想起するのは、恋人だった“二斗”との思い出。歌手として
成功した彼女が遺書を残して失踪した、と知った彼は天文同好会の部室で茫然としながら
絆をつなぎ止めるかのように彼女の曲をピアノで奏でていると突然、閃光に包まれて──。
“二斗”と出会った頃に戻った“巡”が、彼女との気さくなやり取りを通じてその魅力を
再認識しながら、過去を改変し、遺書を残して失踪するという「今」を回避できるのでは
ないかと模索し始める試行と思考の連続が面白い。巻き込まれる“真琴”は散々ですけど。
“六曜”や“五十嵐”とは築けなかった関係を築きつつ、才能が開花する前の“二斗”と
新しい繋がりを築く“巡”。彼が今いる世界線を探りつつ読み進める中で出てきた巻末の
あのセリフ。過去作の登場人物も今作の脇を固める物語がどう動くのか注視したい所です。
時の人となった元カノの失踪を機に元カレ少年が彼女を救うため時を越える恋愛物語です。
(イラスト:Hiten 先生)
【 https://dengekibunko.jp/product/322203000069.html 】
高校卒業を意識する“巡”が想起するのは、恋人だった“二斗”との思い出。歌手として
成功した彼女が遺書を残して失踪した、と知った彼は天文同好会の部室で茫然としながら
絆をつなぎ止めるかのように彼女の曲をピアノで奏でていると突然、閃光に包まれて──。
“二斗”と出会った頃に戻った“巡”が、彼女との気さくなやり取りを通じてその魅力を
再認識しながら、過去を改変し、遺書を残して失踪するという「今」を回避できるのでは
ないかと模索し始める試行と思考の連続が面白い。巻き込まれる“真琴”は散々ですけど。
“六曜”や“五十嵐”とは築けなかった関係を築きつつ、才能が開花する前の“二斗”と
新しい繋がりを築く“巡”。彼が今いる世界線を探りつつ読み進める中で出てきた巻末の
あのセリフ。過去作の登場人物も今作の脇を固める物語がどう動くのか注視したい所です。
2022年09月20日
『怪物中毒』
約5年ぶりに「電撃文庫」から贈る 三河ごーすと 先生の新作は、管理社会の中で唯一
サプリを使って獣人となり好き勝手できる街の「掃除屋」を務める少年の命運を描きます。
(イラスト:美和野らぐ 先生)
【 https://dengekibunko.jp/product/monsterholic/322203002159.html 】
未曽有の疫病に対応するため、強制参加を義務付けたSNSで人々を管理する島国、秋津洲。
人々は官製スラムで怪物サプリを使い、獣となって鬱憤を晴らすのが数少ない享楽の一つ。
その街で「清掃作業」を請負う“零士”はある少女を事故に遭う寸前で助けるのだが──。
インターネット、SNS、コロナ禍、経済危機・・・日本の今を見据えた先にあるかもしれない
物語として興味深い導入。苦学生として生活する“零士”や“月”の「トクニン」という
属性が、夏木原という場を通じて話へ一気に惹き込んでいく要因となっているのが面白い。
怪物サプリにまつわる事件を通じて、“零士”が普通であることにこだわる意味を知った
“蛍”が彼に対してあの行動をとるまでの顛末が実に印象的で。“命”のあぶなっかしい
性格や食わせ物な“楢崎”の言動も気になりますし、続きが楽しみなシリーズの登場です。
サプリを使って獣人となり好き勝手できる街の「掃除屋」を務める少年の命運を描きます。
(イラスト:美和野らぐ 先生)
【 https://dengekibunko.jp/product/monsterholic/322203002159.html 】
未曽有の疫病に対応するため、強制参加を義務付けたSNSで人々を管理する島国、秋津洲。
人々は官製スラムで怪物サプリを使い、獣となって鬱憤を晴らすのが数少ない享楽の一つ。
その街で「清掃作業」を請負う“零士”はある少女を事故に遭う寸前で助けるのだが──。
インターネット、SNS、コロナ禍、経済危機・・・日本の今を見据えた先にあるかもしれない
物語として興味深い導入。苦学生として生活する“零士”や“月”の「トクニン」という
属性が、夏木原という場を通じて話へ一気に惹き込んでいく要因となっているのが面白い。
怪物サプリにまつわる事件を通じて、“零士”が普通であることにこだわる意味を知った
“蛍”が彼に対してあの行動をとるまでの顛末が実に印象的で。“命”のあぶなっかしい
性格や食わせ物な“楢崎”の言動も気になりますし、続きが楽しみなシリーズの登場です。
2022年09月19日
『七つの魔剣が支配するX』
TVアニメ化に向けて準備が進んでいる、宇野朴人 先生の大人気学園ダークファンタジー。
第10巻は終盤を迎える決闘リーグの中、“デメトリオ”攻略に“オリバー”が集中します。
(イラスト:ミユキルリア 先生)
【 https://dengekibunko.jp/product/7-maken/322203002161.html 】
“オリバー”を求める“ナナオ”の気持ちに応えようとする彼がその一線を越えられない
理由として打ち明けるつらい記憶の残滓。癒えない傷があると知り、受け止めて触れ合う
2人の様子を微笑ましく見守るだけでは終わらせないのが今巻、いや本作最大の見せ場で。
仇敵“デメトリオ”との舌戦、そして剣戟の果てに隙を突かれた“オリバー”が覗かれて
しまう両親との幸せな日常、彼が性交を忌避する契機となったシャーウッドの血に纏わる
宿願、そして魔剣を成らせて今に至るまでの経緯。あまりの落差にただ驚愕するしかなく。
決闘リーグも終わりにかけて印象的な対戦が見られましたし、終えて行われた統括選挙の
投票結果を受けて壇上で語られた演説も魔法学校ならではの内容で魅せてもらいました。
戦いの果てに尊い犠牲も背負って“オリバー”はどこへ向かうのか、続きを見守ります。
第10巻は終盤を迎える決闘リーグの中、“デメトリオ”攻略に“オリバー”が集中します。
(イラスト:ミユキルリア 先生)
【 https://dengekibunko.jp/product/7-maken/322203002161.html 】
“オリバー”を求める“ナナオ”の気持ちに応えようとする彼がその一線を越えられない
理由として打ち明けるつらい記憶の残滓。癒えない傷があると知り、受け止めて触れ合う
2人の様子を微笑ましく見守るだけでは終わらせないのが今巻、いや本作最大の見せ場で。
仇敵“デメトリオ”との舌戦、そして剣戟の果てに隙を突かれた“オリバー”が覗かれて
しまう両親との幸せな日常、彼が性交を忌避する契機となったシャーウッドの血に纏わる
宿願、そして魔剣を成らせて今に至るまでの経緯。あまりの落差にただ驚愕するしかなく。
決闘リーグも終わりにかけて印象的な対戦が見られましたし、終えて行われた統括選挙の
投票結果を受けて壇上で語られた演説も魔法学校ならではの内容で魅せてもらいました。
戦いの果てに尊い犠牲も背負って“オリバー”はどこへ向かうのか、続きを見守ります。