岬鷺宮 先生が贈る不思議な三角関係恋物語。第8巻は“秋玻”と“春珂”、二重人格の
終わる兆しを前に選択を迫られる“四季”、三者三葉の葛藤に決着をつける最終巻です。
(イラスト:Hiten 先生)
【 https://dengekibunko.jp/product/zerokyori/322106001047.html 】
選んだほうが残る、選ばなかったほうが消える。即断即決できない選択を突きつけられた
“四季”が“秋玻”と“春珂”の「最後の願い」を叶えにいくのは、ありと言えばありで。
どうなるか分からない状況だからこそ「最後」を意識する彼女たちの覚悟がいじらしくて。
思い出語りをする“秋玻”と“春珂”の言葉を微笑ましく受け止めつつ、入れ替わる時の
短さに不安も覚えつつ、限界まで達した“四季”を支えるのが“千代田”先生というのは
過去を振り返ると感慨深くもあり。残された「手紙」を読んで奮起する彼は凄いの一言で。
二重人格の起点を意識した“秋玻”と“春珂”、そして“四季”が辿り着く未来は読んで
確かめていただくとして、ただひたすらに彼らの幸せを祈りたくなる結末だと感じました。
次回作『あした、裸足でこい。』も Hiten 先生と組んで制作するとのことで要注目です。
2022年08月24日
2022年08月23日
『男女の友情は成立する?(いや、しないっ!!) Flag 5. じゃあ、まだ30になってないけどアタシにしとこ?』
七菜なな 先生が贈る青春〈友情〉ラブコメディ。第6巻は東京でひと悶着あった“悠宇”
“凛音”の関係に“慎司”と“日葵”が横槍を入れながら、文化祭へと突入していきます。
(イラスト:Parum 先生)
【 https://dengekibunko.jp/product/danjoru/322202000060.html 】
“悠宇”にとってフラワーアクセサリーが一番、と痛感させられた“凛音”がやさぐれる
のも無理はなく。彼女の胸の内にある想いを見抜いて一計を案じる“慎司”も抜け目なく。
それもこれも恋にも夢にも不甲斐ない一面を見せる“悠宇”にあることは言うまでもなく。
“凛音”を持て余す“悠宇”が東京で受けた刺激をもとに、一念発起して臨む文化祭での
フラワーアクセサリー販売会の企画にもケチがつく。物作りのセンスはあっても物売りの
それは弱い彼に策を授ける人物が印象深く。とことん無自覚な彼の言動がこれまた罪深く。
“日葵”が耳にした“悠宇”と“凛音”、二人旅の顛末に関していろいろな反応を見せる
様子は仏のようであり、鬼のようでもあり。その彼女が悩める“悠宇”に対して決定的に
誤った言葉を選んだことがどう響くのか。揺れる絆の行方を追う次巻の展開が楽しみです。
“凛音”の関係に“慎司”と“日葵”が横槍を入れながら、文化祭へと突入していきます。
(イラスト:Parum 先生)
【 https://dengekibunko.jp/product/danjoru/322202000060.html 】
“悠宇”にとってフラワーアクセサリーが一番、と痛感させられた“凛音”がやさぐれる
のも無理はなく。彼女の胸の内にある想いを見抜いて一計を案じる“慎司”も抜け目なく。
それもこれも恋にも夢にも不甲斐ない一面を見せる“悠宇”にあることは言うまでもなく。
“凛音”を持て余す“悠宇”が東京で受けた刺激をもとに、一念発起して臨む文化祭での
フラワーアクセサリー販売会の企画にもケチがつく。物作りのセンスはあっても物売りの
それは弱い彼に策を授ける人物が印象深く。とことん無自覚な彼の言動がこれまた罪深く。
“日葵”が耳にした“悠宇”と“凛音”、二人旅の顛末に関していろいろな反応を見せる
様子は仏のようであり、鬼のようでもあり。その彼女が悩める“悠宇”に対して決定的に
誤った言葉を選んだことがどう響くのか。揺れる絆の行方を追う次巻の展開が楽しみです。
2022年08月22日
『本好きの下剋上〜司書になるためには手段を選んでいられません〜第五部「女神の化身9」』
香月美夜 先生が贈る大人気ビブリア・ファンタジー。 第五部・9巻は“グラオザム”との
決戦に臨む“ローゼマイン”が望む未来について“フェルディナンド”と共に向き合います。
(イラスト:椎名優 先生)
【 https://tobooks.shop-pro.jp/?pid=167411740 】
“ローゼマイン”と“フェルディナンド”との関係をさも恋仲のように焚きつける、不躾な
“ヴィルフリート”に腹立たしさを覚えつつも外堀は形成されつつあるようなのは興味深い。
なんだかんだ言って気が置けない仲なのは言わずもがなですが要経過観察といったところか。
対峙する“グラオザム”の周到さもさることながら“ゲオルギーネ”の立ち回りにはだいぶ
振り回されました。「エーレンフェスト防衛線(後半)」でも各人の奮戦ぶりが垣間見える
中で“ヴェローニカ”のあの顔が見たかった、といっても過言ではなく。同情の余地もなく。
“フェルディナンド”の幸せを願って東奔西走してきた“ローゼマイン”にも今後の展望が
見えてきた、と思えば“ヒルシュール”から届く貴族院の不穏な動き。“ソランジュ”とも
連絡が取れない、という異常事態が陰謀劇の終結に待ったを掛ける展開。続きも要注視です。
決戦に臨む“ローゼマイン”が望む未来について“フェルディナンド”と共に向き合います。
(イラスト:椎名優 先生)
【 https://tobooks.shop-pro.jp/?pid=167411740 】
“ローゼマイン”と“フェルディナンド”との関係をさも恋仲のように焚きつける、不躾な
“ヴィルフリート”に腹立たしさを覚えつつも外堀は形成されつつあるようなのは興味深い。
なんだかんだ言って気が置けない仲なのは言わずもがなですが要経過観察といったところか。
対峙する“グラオザム”の周到さもさることながら“ゲオルギーネ”の立ち回りにはだいぶ
振り回されました。「エーレンフェスト防衛線(後半)」でも各人の奮戦ぶりが垣間見える
中で“ヴェローニカ”のあの顔が見たかった、といっても過言ではなく。同情の余地もなく。
“フェルディナンド”の幸せを願って東奔西走してきた“ローゼマイン”にも今後の展望が
見えてきた、と思えば“ヒルシュール”から届く貴族院の不穏な動き。“ソランジュ”とも
連絡が取れない、という異常事態が陰謀劇の終結に待ったを掛ける展開。続きも要注視です。
2022年08月19日
『運命の人は、嫁の妹でした。』
ゲームのシナリオライターでも活躍されている 逢縁奇演 先生が第26回電撃小説大賞への
応募をきっかけにデビュー。現世と前世のヒロインに板挟みとなる男性の苦悩を描きます。
(イラスト:ちひろ綺華 先生)
【 https://dengekibunko.jp/product/yome_no_imouto/322201000063.html 】
元妻への未練を絶つべく運命の人を探す“大吾”は「ブラインド婚活」で一度も合わずに
やり取りを重ねた“兎羽”と婚姻する。初めて会う場所にいたのは彼女の妹“獅子乃”で、
しかも前世で婚姻の約束を交わした記憶が一瞬にして蘇るほどの「運命の人」らしく──。
都合あって“大吾”と会えない“兎羽”に代わり、彼を傍で頼ることになる“獅子乃”が
少しずつ好感を抱いていく様子がまずこそばゆい。その上で彼女も前世の記憶を垣間見て
思慕の念を強くする一方「前世の記憶を共有しない」両片思いのような関係がもどかしい。
“大吾”と良い雰囲気を築く“獅子乃”に割って入るかの如く登場する“兎羽”にも彼と
結婚することにこだわる理由があって、そこへ1962年の情景が三者三様の「運命の人」を
為していく展開に惹き込まれます。エピローグからどう続くのか注目の作品。お薦めです。
応募をきっかけにデビュー。現世と前世のヒロインに板挟みとなる男性の苦悩を描きます。
(イラスト:ちひろ綺華 先生)
【 https://dengekibunko.jp/product/yome_no_imouto/322201000063.html 】
元妻への未練を絶つべく運命の人を探す“大吾”は「ブラインド婚活」で一度も合わずに
やり取りを重ねた“兎羽”と婚姻する。初めて会う場所にいたのは彼女の妹“獅子乃”で、
しかも前世で婚姻の約束を交わした記憶が一瞬にして蘇るほどの「運命の人」らしく──。
都合あって“大吾”と会えない“兎羽”に代わり、彼を傍で頼ることになる“獅子乃”が
少しずつ好感を抱いていく様子がまずこそばゆい。その上で彼女も前世の記憶を垣間見て
思慕の念を強くする一方「前世の記憶を共有しない」両片思いのような関係がもどかしい。
“大吾”と良い雰囲気を築く“獅子乃”に割って入るかの如く登場する“兎羽”にも彼と
結婚することにこだわる理由があって、そこへ1962年の情景が三者三様の「運命の人」を
為していく展開に惹き込まれます。エピローグからどう続くのか注目の作品。お薦めです。
2022年08月18日
『サイレント・ウィッチ IV 沈黙の魔女の隠しごと』
依空まつり 先生が贈るファンタジー作品。第4巻は迫る学園祭を前に「深淵の呪術師」が
騒動の種を持ち込んだり、と“モニカ”は対応に追われながら思い出作りにも奔走します。
(イラスト:藤実なんな 先生)
【 https://kadokawabooks.jp/product/silentwitch/322204000188.html 】
【 https://comic-walker.com/contents/detail/KDCW_EB03202357010000_68/ 】
【 https://ncode.syosetu.com/n8356ga/ 】
“クローディア”が“ニール”に首っ丈で信頼関係も良好な一方、“フェリクス”を狙う
女性陣の心境は不穏さを増すばかり。そのとばっちりを食う“グレン”が見せる名演技が
光ります。“フェリクス”の興味が“モニカ”だけ向けられている訳ではないのが難局で。
今回“モニカ”に意味深長な言動を示す“シリル”も複雑な家族環境に置かれているのが
分かるのも印象的で、だからこそ敵の目論見として彼女を隙を突く材料に使われる展開が
つらくもあります。彼女が直面する危機に真骨頂を発揮する“ネロ”がすさまじく男前で。
「世界は数字でできている」と父の言葉を支えに疎まれながらも生きてきた“モニカ”が
「モニカ・ノートン」として居られる限られた時間をかけがえのないものと捉える様子に
応援したくなる気持ちが途絶えません。だからこそ迫る悪意の行方が気になるところです。
騒動の種を持ち込んだり、と“モニカ”は対応に追われながら思い出作りにも奔走します。
(イラスト:藤実なんな 先生)
【 https://kadokawabooks.jp/product/silentwitch/322204000188.html 】
【 https://comic-walker.com/contents/detail/KDCW_EB03202357010000_68/ 】
【 https://ncode.syosetu.com/n8356ga/ 】
“クローディア”が“ニール”に首っ丈で信頼関係も良好な一方、“フェリクス”を狙う
女性陣の心境は不穏さを増すばかり。そのとばっちりを食う“グレン”が見せる名演技が
光ります。“フェリクス”の興味が“モニカ”だけ向けられている訳ではないのが難局で。
今回“モニカ”に意味深長な言動を示す“シリル”も複雑な家族環境に置かれているのが
分かるのも印象的で、だからこそ敵の目論見として彼女を隙を突く材料に使われる展開が
つらくもあります。彼女が直面する危機に真骨頂を発揮する“ネロ”がすさまじく男前で。
「世界は数字でできている」と父の言葉を支えに疎まれながらも生きてきた“モニカ”が
「モニカ・ノートン」として居られる限られた時間をかけがえのないものと捉える様子に
応援したくなる気持ちが途絶えません。だからこそ迫る悪意の行方が気になるところです。