2022年08月31日

『公務員、中田忍の悪徳4』

立川浦々 先生が贈る、異世界エルフと邂逅した地方公務員の道義を描く異色作。第4巻は
“アリエル”の身分を証明する者や彼女に関する扱いについて“忍”が思いを巡らせます。
(イラスト:楝蛙 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094530841


謎の監視者に対する推測。“アリエル”の出自に関する推察。未だ正答を見い出せない中、
“忍”が思いのほか状況を楽観視している点に目を引く冒頭。彼が福祉生活課の業務にて
遭遇するトラブルを見た“由奈”がある推論を得たと思われるが故の振舞いが印象深くて。

“アリエル”を外に出す。今回あの場面に遭遇した“忍”がそう決断したのは放任なのか、
放棄なのか。いずれにせよ彼の胸にある「悪徳」をことごとく糾弾する“由奈”の言葉に
圧倒されるばかり。彼女の決意が今巻の表紙でも演出されていることが分かってなお凄い。

この世界で生きていくための土台を築きつつある“アリエル”はどう生きるべきか。その
筋道をつけるのは“忍”である、という事実が「君の望むままに」というあの言葉からも
裏付けられたのは言うまでもなく。更なる悪徳に彼が手をつける、その時を待ち望みます。

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2022年08月30日

『義妹生活6』

満を持してのTVアニメ化が決定した、三河ごーすと 先生が贈る恋愛生活小説。第6巻は
“悠太”と“沙季”が恋人として共に過ごす誕生日など冬の思い出を積み重ねていきます。
(イラスト:Hiten 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/gimaiseikatsu/322204000944.html


プレゼントに何を貰いたいか。その考え方を見ても“悠太”と“沙季”の生き方や人との
関わり方の認識に相応の違いが感じられます。彼女の刹那的な捉え方が印象深くて、その
要望に見合った贈り物を選ぶ彼の悩み具合は微笑ましくもあります。これは中々に難しい。

そしてプレゼントを贈る、という行為そのものにも「サプライズ」に意味を感じない所は
2人らしい、と思えるところ。アドバイスの受け方、タイミング、実際にされた時の感想。
いずれも“悠太”に一歩及ばない“沙季”が見せるくやしさが可愛らしいことこの上ない。

“悠太”の親戚に会う“沙季”の様子から、知らないことを知ろうとする努力、知ること
によって考えを巡らせられる力を持っていることを彼がしっかりと認めているのが素敵で。
だからこそ一人より二人で、と彼女が考え方を変えられたのも納得で。続きも楽しみです。

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2022年08月29日

『千歳くんはラムネ瓶のなか7』

裕夢 先生が贈るリア充側青春ラブコメ。第7巻は今ひとときは同じ距離感で、同じ時間を
過ごしていこうとする“朔”たちが藤志高祭の準備期間でその想いに楔を打ち込まれます。
(イラスト:raemz 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094530858


冒頭、“朔”にとっての「フツウ」であろうとする決意が窺える口絵にまず驚かされます。
文化祭の出し物を決めるやり取りなどの間に挟まれる“明日風”たちの独白に“夕湖”が
選んだ道の先にある「今」を、緩やかな夏の終わりを感じて仄かに切なさを覚えたりして。

学年を跨ぐ応援団の運営を通じて“明日風”が合宿などで“朔”たちと共に過ごす様子に
安堵しながら、彼らに追いつこうと頑張る後輩“紅葉”から徐々に目が離せなくなります。
彼女が示す何気ない所作の数々に「頑張る」という真意の片鱗が隠れているとも知らずに。

あの河川敷で。あの公園で。あのキッチンで。「フツウ」であることを選んだ“明日風”
たちに疑義を問う、研ぎ澄まされた覚悟。このまま涙雨で濡れるだけ? そんな終わりは
「彼女」の内にある『本気』がまず許さない。次巻以降で“朔”の見解も待ちたい所です。

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2022年08月26日

『100日後に死ぬ悪役令嬢は毎日がとても楽しい。2』

ゆいレギナ 先生の「小説家になろう」投稿作が書籍化。第2巻は“ルルーシェ”が死ぬ
運命の日を前に、彼女を取り巻く面々や“神様”までも振り回されていく顛末を描きます。
(イラスト:いちかわはる 先生)

https://ga.sbcr.jp/product/9784815614515/
https://ncode.syosetu.com/n8024hd/


“サザンジール”が抱く“ルルーシェ”への想いが変わらないからこそ、報われないのが
切なくて。彼女にアプローチを掛ける“ザフィルド”も、抱える歪みが垣間見えるごとに
虚無感を覚えずにはいられなくて。“レミーエ”の成長ぶりが救いの一つかも知れません。

「最高に美しい幕引き」を目指して邁進する“ルルーシェ”の姿に呆れ果てる“神様”も
また、その日を見届ける理由があることが分かってくるのも焦点の一つ。全て読み終えた
ときに、彼が見せてきた言動の数々を振り返ってみると気づく点が多々あるかと思います。

運命の瞬間を迎えた各人のその後の逸話、“ルルーシェ”が掴んだ奇跡は必見の内容です。
そして表紙も口絵、挿絵の数々、いちかわはる 先生によるイラストの演出がこれでもかと
印象に残る点もぜひ注目いただきたい。潔い完結を選んだ先生方に心から敬意を表します。

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2022年08月25日

『勇者刑に処す 懲罰勇者9004隊刑務記録III』

ロケット商会 先生が贈るアクションファンタジー。第3巻は“パトーシェ”を迎え入れた
懲罰勇者9004隊が異形たちに狙われながら聖騎士団たちの囮となって野戦築城に臨みます。
(イラスト:めふぃすと 先生)

https://dengekibunko.jp/product/yushakei/322202000033.html


第十三聖騎士団の元団長、という身上の“パトーシェ”。憎悪を向ける者もあれば、罪を
負う深い理由があると信じたい者もいる。彼女を新入りと呼ぶ“ザイロ”が各々の想いを
汲んで憎まれ口を叩く、その露悪的な姿にむなしさと格好良さを感じずにはいられません。

今巻では“ノルガユ”の思いがけない過去を垣間見ることになります。その内容に驚きを
隠せないのもさることながら、その鍵となる“ドッタ”が見せるファインプレーの数々も
目が離せないポイントで。制空権を懸けた“ジェイス”たちの戦いも見所と言えましょう。

魔王現象『アバドン』たちが見せる悪意に振り回される“レントビー”の辿った道のりも、
“ザイロ”たちが決死の覚悟で掴んだ未来も印象深い。だからこそ、顕在化する裏切りの
兆しや、新たに勇者刑を受けそうな人物を匂わせる描写が気になります。次巻も注目です。

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2022年08月24日

『三角の距離は限りないゼロ8』

岬鷺宮 先生が贈る不思議な三角関係恋物語。第8巻は“秋玻”と“春珂”、二重人格の
終わる兆しを前に選択を迫られる“四季”、三者三葉の葛藤に決着をつける最終巻です。
(イラスト:Hiten 先生)

https://dengekibunko.jp/product/zerokyori/322106001047.html


選んだほうが残る、選ばなかったほうが消える。即断即決できない選択を突きつけられた
“四季”が“秋玻”と“春珂”の「最後の願い」を叶えにいくのは、ありと言えばありで。
どうなるか分からない状況だからこそ「最後」を意識する彼女たちの覚悟がいじらしくて。

思い出語りをする“秋玻”と“春珂”の言葉を微笑ましく受け止めつつ、入れ替わる時の
短さに不安も覚えつつ、限界まで達した“四季”を支えるのが“千代田”先生というのは
過去を振り返ると感慨深くもあり。残された「手紙」を読んで奮起する彼は凄いの一言で。

二重人格の起点を意識した“秋玻”と“春珂”、そして“四季”が辿り着く未来は読んで
確かめていただくとして、ただひたすらに彼らの幸せを祈りたくなる結末だと感じました。
次回作『あした、裸足でこい。』も Hiten 先生と組んで制作するとのことで要注目です。

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2022年08月23日

『男女の友情は成立する?(いや、しないっ!!) Flag 5. じゃあ、まだ30になってないけどアタシにしとこ?』

七菜なな 先生が贈る青春〈友情〉ラブコメディ。第6巻は東京でひと悶着あった“悠宇”
“凛音”の関係に“慎司”と“日葵”が横槍を入れながら、文化祭へと突入していきます。
(イラスト:Parum 先生)

https://dengekibunko.jp/product/danjoru/322202000060.html


“悠宇”にとってフラワーアクセサリーが一番、と痛感させられた“凛音”がやさぐれる
のも無理はなく。彼女の胸の内にある想いを見抜いて一計を案じる“慎司”も抜け目なく。
それもこれも恋にも夢にも不甲斐ない一面を見せる“悠宇”にあることは言うまでもなく。

“凛音”を持て余す“悠宇”が東京で受けた刺激をもとに、一念発起して臨む文化祭での
フラワーアクセサリー販売会の企画にもケチがつく。物作りのセンスはあっても物売りの
それは弱い彼に策を授ける人物が印象深く。とことん無自覚な彼の言動がこれまた罪深く。

“日葵”が耳にした“悠宇”と“凛音”、二人旅の顛末に関していろいろな反応を見せる
様子は仏のようであり、鬼のようでもあり。その彼女が悩める“悠宇”に対して決定的に
誤った言葉を選んだことがどう響くのか。揺れる絆の行方を追う次巻の展開が楽しみです。

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2022年08月22日

『本好きの下剋上〜司書になるためには手段を選んでいられません〜第五部「女神の化身9」』

香月美夜 先生が贈る大人気ビブリア・ファンタジー。 第五部・9巻は“グラオザム”との
決戦に臨む“ローゼマイン”が望む未来について“フェルディナンド”と共に向き合います。
(イラスト:椎名優 先生)

https://tobooks.shop-pro.jp/?pid=167411740


“ローゼマイン”と“フェルディナンド”との関係をさも恋仲のように焚きつける、不躾な
“ヴィルフリート”に腹立たしさを覚えつつも外堀は形成されつつあるようなのは興味深い。
なんだかんだ言って気が置けない仲なのは言わずもがなですが要経過観察といったところか。

対峙する“グラオザム”の周到さもさることながら“ゲオルギーネ”の立ち回りにはだいぶ
振り回されました。「エーレンフェスト防衛線(後半)」でも各人の奮戦ぶりが垣間見える
中で“ヴェローニカ”のあの顔が見たかった、といっても過言ではなく。同情の余地もなく。

“フェルディナンド”の幸せを願って東奔西走してきた“ローゼマイン”にも今後の展望が
見えてきた、と思えば“ヒルシュール”から届く貴族院の不穏な動き。“ソランジュ”とも
連絡が取れない、という異常事態が陰謀劇の終結に待ったを掛ける展開。続きも要注視です。

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2022年08月19日

『運命の人は、嫁の妹でした。』

ゲームのシナリオライターでも活躍されている 逢縁奇演 先生が第26回電撃小説大賞への
応募をきっかけにデビュー。現世と前世のヒロインに板挟みとなる男性の苦悩を描きます。
(イラスト:ちひろ綺華 先生)

https://dengekibunko.jp/product/yome_no_imouto/322201000063.html


元妻への未練を絶つべく運命の人を探す“大吾”は「ブラインド婚活」で一度も合わずに
やり取りを重ねた“兎羽”と婚姻する。初めて会う場所にいたのは彼女の妹“獅子乃”で、
しかも前世で婚姻の約束を交わした記憶が一瞬にして蘇るほどの「運命の人」らしく──。

都合あって“大吾”と会えない“兎羽”に代わり、彼を傍で頼ることになる“獅子乃”が
少しずつ好感を抱いていく様子がまずこそばゆい。その上で彼女も前世の記憶を垣間見て
思慕の念を強くする一方「前世の記憶を共有しない」両片思いのような関係がもどかしい。

“大吾”と良い雰囲気を築く“獅子乃”に割って入るかの如く登場する“兎羽”にも彼と
結婚することにこだわる理由があって、そこへ1962年の情景が三者三様の「運命の人」を
為していく展開に惹き込まれます。エピローグからどう続くのか注目の作品。お薦めです。

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2022年08月18日

『サイレント・ウィッチ IV 沈黙の魔女の隠しごと』

依空まつり 先生が贈るファンタジー作品。第4巻は迫る学園祭を前に「深淵の呪術師」が
騒動の種を持ち込んだり、と“モニカ”は対応に追われながら思い出作りにも奔走します。
(イラスト:藤実なんな 先生)

https://kadokawabooks.jp/product/silentwitch/322204000188.html
https://comic-walker.com/contents/detail/KDCW_EB03202357010000_68/
https://ncode.syosetu.com/n8356ga/


“クローディア”が“ニール”に首っ丈で信頼関係も良好な一方、“フェリクス”を狙う
女性陣の心境は不穏さを増すばかり。そのとばっちりを食う“グレン”が見せる名演技が
光ります。“フェリクス”の興味が“モニカ”だけ向けられている訳ではないのが難局で。

今回“モニカ”に意味深長な言動を示す“シリル”も複雑な家族環境に置かれているのが
分かるのも印象的で、だからこそ敵の目論見として彼女を隙を突く材料に使われる展開が
つらくもあります。彼女が直面する危機に真骨頂を発揮する“ネロ”がすさまじく男前で。

「世界は数字でできている」と父の言葉を支えに疎まれながらも生きてきた“モニカ”が
「モニカ・ノートン」として居られる限られた時間をかけがえのないものと捉える様子に
応援したくなる気持ちが途絶えません。だからこそ迫る悪意の行方が気になるところです。

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2022年08月17日

『隣のクーデレラを甘やかしたら、ウチの合鍵を渡すことになった4』

雪仁 先生が贈る、クールな留学生と主夫系男子の甘々×異文化交流ラブコメ。第4巻は
順調に交際を進める“夏臣”と“ユイ”がこれからのことについて向き合っていきます。
(イラスト:かがちさく 先生)

https://dengekibunko.jp/product/coolderella/322111000159.html
https://comic-walker.com/contents/detail/KDCW_KS13202748010000_68/


“ユイ”が人前で歌を歌いたいと思い、“夏臣”がピアノを真面目に弾き始めようと思う
理由が重なっていると知ったとき、2人の運命は決まったようなもので。たまに暴走する
彼女が危なっかしくも可愛らしい。9章の章題がまた「なるほど」な仕掛けで印象深くて。

“ユイ”と“夏臣”が出会って一年が経ち、絆を深めていく中で“湊”と“慶”の関係も
しっかりと落としどころまで描いている点も注目で。ここは7章の章題の付け方がお見事。
恋人たちの決定的瞬間を、かがちさく 先生の挿絵による演出でしっかり支える所も必見。

“ユイ”の凝り固まった心が“夏臣”との出会いを境に変わるきっかけを得るまでを描く
青島かなえ 先生のコミックス第一巻も同時発売を迎えていて、これがまた原作を読んだ
身としても納得の内容でお薦め。完結を祝うと共にお声がけのあった次回作にも期待です。

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2022年08月16日

『エロマンガ先生(13) エロマンガフェスティバル』

伏見つかさ 先生が贈る新たなる兄妹ラブコメディ。約3年ぶりの刊行を迎える第13巻は
“紗霧”と“マサムネ”の思い描く夢の形と、友人たちの未来を綴る最終巻となります。
(イラスト:かんざきひろ 先生)

https://dengekibunko.jp/product/eromanga/322203000067.html


「世界妹」のアニメ化すら、「大好きな紗霧を幸せにする」“マサムネ”の夢の通過点。
“紗霧”がみんなと初詣に行ったり、“めぐみ”と直接会ってみたいと願う姿だけでも
感慨深いのに、仕事でもパートナーとして彼を支えようとする様子は言葉になりません。

“エルフ”や“ムラマサ”とのやり取りなどから、少し風刺の効いた「今」を描きつつ
“真希奈”と“月見里”の大一番で締め括ろうとする展開も“マサムネ”の成長の礎に
変えていくところが楽しくて。“紗霧”が約束を果たす姿も印象に残る場面であります。

何年と間が空いたとしても、読み始めるとすぐさまどんなキャラクターたちだったかが
思い出せる作品は中々なくて。そう思える一つに本作が在ることを今巻で実感した次第。
最後の一文に思いを馳せつつ、無事完結を迎えられたこと、心よりお祝い申し上げます。

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2022年08月15日

『楽園ノイズ5』

杉井光 先生が贈る青春バンドストーリー。第5巻は迫る“伽耶”の中学卒業と“真琴”
たちの高校へ入学するまでの「PNO」メンバーの想いを描きつつ一年生編を締め括ります。
(イラスト:春夏冬ゆう 先生)

https://dengekibunko.jp/product/paradise_noise/322201000055.html


“朱音”も“詩月”も“凛子”も、そして“伽耶”も音楽以外の道が十分あるのに対し、
やりたいことはやりたくない、と音楽しか道がない“真琴”との差が明確に出る今巻の
逸話の数々。「PNO」として過ごす時間にも限りがあると印象づける気がして切なくて。

“真琴”と女の子たちの仲を探る姉の努力が徒労に終わるのは既定路線で、悪ふざけが
功を奏する所まで含めてある意味、安心の展開で。“伽耶”が卒業するにあたって涙を
流すことになる場面、彼女だからこそという展開で生じるのは胸を打つものがあります。

「PNO」のマネージャー探し、スタジオの改装工事、そして途絶えた華園先生とのLINE。
心に残るしこりを一旦は忘れて、今あるがままの音楽を受け入れた“真琴”だからこそ
あの卒業の歌に辿り着いたと思うと感慨も一入。新たな季節を迎える彼らに要注目です。

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2022年08月12日

『朝比奈さんの弁当食べたい 1』

羊思尚生 先生の「HJ小説大賞2020前期」受賞作品。異性からの告白が絶えないクラス一の
美少女が作るくっそまずそうな弁当に一目惚れした少年の歪な生き方を描く青春物語です。
(イラスト:U35 先生)

http://dash.shueisha.co.jp/bookDetail/index/978-4-08-631479-4


「朝比奈さんに告白したい」と幼馴染の“誠也”が発した言葉に耳を疑う“創”。無表情、
無頓着な“誠也”が言うには「赤の他人が弁当を作ってもらうには交際するしかない」と。
なぜ彼女の弁当に固執するのか不明なまま“創”は告白に向かう“誠也”を見送るが──。

尊敬する父親に追いつこうと研鑽に努めるのに精一杯で、恋愛どころじゃない“亜梨沙”。
恋愛向きな性格でもないのに、苦しさを胸に秘める彼女に響く言葉を与えられる“誠也”。
彼も持て余す感情を、“創”や“結衣”の目線で掘り下げるたびに切なさがこみ上げます。

“亜梨沙”がくっそまずそうな弁当を作り、教室で食べた理由。その姿に喚起された昔話、
置いてきた感情を“誠也”が吐露したとき、彼女は何を思うのか。それぞれが覚悟を決め、
足掻き続ける様子を、題名が指し示す感情の変遷をぜひ感じてほしい。お薦めの作品です。

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2022年08月11日

『リセット彼女がラブコメを思い出すまで』

斎藤ニコ 先生が贈る新作は、学園一の美少女と恋人になった少年が、彼女が事故で記憶を
失った日を契機に持て余していく想いを、彼女の親友も含めて三者三様に描く恋物語です。
(イラスト:U35 先生)

https://sneakerbunko.jp/product/risekano/322203002226.html


生徒会長を目指す“詩乃”に手を貸すことになった“海斗”。彼女と交流を重ねるにつれ
惹かれていく彼の心情を彼女の親友“綺羅”に見抜ぬかれ、告白を手伝ってもらうことに。
晴れて交際を始め、甘い思い出を重ねる彼の耳に彼女が病院に運ばれたと一報が入る──。

リセット彼女、すなわち“海斗”と付き合い始める以前の記憶が思い出せない“詩乃”が、
自身が綴った日記の内容に戸惑いながら、思い出を取り戻すために“海斗”と疑似恋愛を
始める顛末がつらいの何の。彼の困惑、呵責、もどかしさにも触れられているので殊更に。

そこに“詩乃”も薄々は気付いていた“綺羅”の想いも明らかになるから泥沼。誰が悪い
わけじゃない、何がいけないこともない。いっそのこと略奪愛に走ってくれても救いでは
ないかと思う3人の恋心。人を好きになる、ということの意味を考えさせられる一作です。

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2022年08月10日

『ライアー・ライアー11 嘘つき転校生はクリスマスの悪魔に溺愛されています。』

久追遥希 先生が贈る学園頭脳ゲーム&ラブコメ。第11巻は負の色付き星「冥星」について
情報を集めるべく、“緋呂斗”が女の子たちとクリスマス限定のイベント攻略に挑みます。
(イラスト:konomi 先生(きのこのみ))

https://mfbunkoj.jp/product/liar-liar/322203002001.html


相手と築きたい関係に応じた難易度のミッションをクリアすると報酬が得られるイベント
において異性5人から指名される“緋呂斗”。姉から情報を貰う条件としてクリア不可と
思えるほど難易度を引き上げられ、お遊び的な話から気が抜けない展開になるのが面白い。

“摩理”との危なっかしい「謎解きツアー」デートから始まる連続デート構成。“紫音”
や“乃愛”とのデートで「難易度」や「事前の仕込み」が焦点になることを例示しながら
“更紗”とのミッションクリアに繋げる流れがゲームとしても熱い話運びで驚かされます。

今回、ヒロイン争いから一歩引く姿勢を見せる“白雪”をアッと言わせるにはどうするか。
“緋呂斗”が打った総決算となる一手がロマンティックで実に素敵です。そして“雫”の
度重なる頑張りに助演女優賞をあげたくなります。気になる引きで次巻も待ち遠しいです。

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2022年08月09日

『S級学園の自称「普通」、可愛すぎる彼女たちにグイグイ来られてバレバレです。』

裕時悠示 先生が「丸山ひま。」名義で「小説家になろう」へ投稿していた作品が書籍化。
隠れハイスペック男子がエリート学園で美少女たちを救い、モテまくる顛末を描きます。
(イラスト:藤真拓哉 先生)

https://lanove.kodansha.co.jp/books/2022/8/1.html
https://ncode.syosetu.com/n2678gb/


全ての分野で優れた人材を輩出すべく創設された帝開学園。凡人は下級と差別が蔓延る中、
理事長の孫娘でアイドルで幼馴染の“瑠亜”から度重なる横柄な仕打ちを受ける“和真”。
いよいよ堪忍袋の緒が切れた彼は彼女と絶縁し「普通」の学園生活を模索し始めるが──。

思わず「ヒロインになる気があるのか?」と疑いたくなる“瑠亜”の振舞いはさておいて、
章題で「普通だから」とか事あるごとに陰キャと自称する“和真”も中々のペテン師ぶり。
彼女から同じように無理を強いられる美少女たちを救う手腕の数々がえげつないほど秀逸。

“瑠亜”の祖父との駆け引き、“和真”が絶縁するきっかけに同席した“彩茶”に纏わる
エピソードなどから彼の「普通」と言い続けている化けの皮が剥がれていく展開も面白い。
“甘音”や“涼華”、“イサミ”から誘いを受ける彼の命運や如何に。続きが楽しみです。

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2022年08月08日

『精霊幻想記 22.純白の方程式』

北山結莉 先生が贈る異世界転生譚。第22巻は「神のルール」に縛られない方法を模索する
“リオ”の願いと七賢神“リーナ”が託した布石が交錯し、一縷の望みを繋いでいきます。
(イラスト:Riv 先生)

https://firecross.jp/hjbunko/product/1532


あの後“セリア”だけが超越者となった“リオ”との記憶を繋ぎ止めている、という希望。
彼女が覚えた新魔法とあの仮面を託されたことで神のルールに抗えるのでは、という期待。
感動の再会から続くやり取りから一段と魅力的に映る彼女の描写は流石という他になくて。

“美春”たちと合流した“セリア”に同道する“ソラ”が“美春”に対しいちいちケチを
つける言動が微笑ましい。“セリア”の誘導もあってどうにか心を解していく姿も可愛い。
またみんなで一緒に暮らせるように願う皆の力に“ソラ”もなってほしい、と祈るばかり。

残る戦争の火種を危惧する“フランソワ”が勇者たちと対等にありながら、争いの抑止力
として助力を求める提案に“貴久”が理想論を掲げる姿。キャラクターに嫌悪感を与える
描き方も秀逸なのが 北山 先生の凄い所。エピローグが示す意味を求めて次巻を待ちます。

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2022年08月05日

『異世界忠臣蔵2 〜仇討ちのレディア四十七士〜』

伊達康 先生が贈る痛快討ち入りファンタジー。第2巻はレディア廃国を阻止するために
諸王国へ口添えを頼みに回る“クラノス”たちが、新たなトラブルと強敵に遭遇します。
(イラスト:紅緒 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094611618


いざ諸国漫遊、ということでプロダンサーの“モトフィフ”“アズカ”も加わって一段と
お色気ムードが高まる“キッチュ”周辺。下ネタを散りばめつつ、しっかり強いところも
魅せてくる演出が面白い。“マータ”が意外にも、というかちゃんと強い部分も驚きです。

嘆願活動の最中に「江戸会議」、即ち“ソーエン”を筆頭とする仇討ち急進派が退役した
“キーラ”のもとへ乗り込もうとする無謀をどう抑えるか。“クラノス”が案じた一計の
鍵を握る“アン”と“キッチュ”をそう易々と現地へと向かわせない話運びがまた熱くて。

いわゆる予言書のような存在の「忠臣吉」に“キッチュ”が依存しない、というか時には
忘れかけているのが本作の話を進めるにあたっても大切な所なのであろう、と思いながら
想定外な結末を見せた「江戸会議」の後で“クラノス”たちはどう動くのか気になります。

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2022年08月04日

『ネームレス・レコード Hey ウル、世界の救い方を教えて』

『今はまだ「幼馴染の妹」ですけど。』の 涼暮皐 先生が贈る新作は、機械生命群に支配
された世界を救う勇者に選ばれなかった青年が世界を救うべく人知れず戦う様を描きます。
(イラスト:GreeN 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/nameless/322203002004.html


滅びゆく星で子供たちに生きる術を授ける救道院で首席まで上り詰めた“レリン”の夢は
教会が決める《予言の英雄》になること。だが選ばれなかった彼は旧界遺物に望みを託し
人類文明圏外域へ単身旅立つ。そこで彼は機械少女“ウル”と運命の邂逅を果たすが──。

《予言の英雄》には救えない未来を“レリン”だけが救える、と豪語し補佐する“ウル”。
人類を脅かす機械生命をも圧倒する力を持つ彼女のどこか抜けた言動や、彼の無謀ぶりに
気が気でない“アミカ”の滑稽な素ぶりが数少ない救いなのではと思えるぐらいシリアス。

“ウル”が教会とは別に予言書を持つという真意。“アミカ”に迫る故人ヒロインの予兆。
そして“レリン”が運命に抗うため、人類を滅ぼす者と戦うため「アレ」を手にする因果。
彼は“ウル”と共に誰も知らない英雄譚をこの星に残せるのか、注目しておきたい所です。

posted by 秋野ソラ at 00:15 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル