立川浦々 先生が贈る、異世界エルフと邂逅した地方公務員の道義を描く異色作。第4巻は
“アリエル”の身分を証明する者や彼女に関する扱いについて“忍”が思いを巡らせます。
(イラスト:楝蛙 先生)
【 http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094530841 】
謎の監視者に対する推測。“アリエル”の出自に関する推察。未だ正答を見い出せない中、
“忍”が思いのほか状況を楽観視している点に目を引く冒頭。彼が福祉生活課の業務にて
遭遇するトラブルを見た“由奈”がある推論を得たと思われるが故の振舞いが印象深くて。
“アリエル”を外に出す。今回あの場面に遭遇した“忍”がそう決断したのは放任なのか、
放棄なのか。いずれにせよ彼の胸にある「悪徳」をことごとく糾弾する“由奈”の言葉に
圧倒されるばかり。彼女の決意が今巻の表紙でも演出されていることが分かってなお凄い。
この世界で生きていくための土台を築きつつある“アリエル”はどう生きるべきか。その
筋道をつけるのは“忍”である、という事実が「君の望むままに」というあの言葉からも
裏付けられたのは言うまでもなく。更なる悪徳に彼が手をつける、その時を待ち望みます。
2022年08月31日
2022年08月30日
『義妹生活6』
満を持してのTVアニメ化が決定した、三河ごーすと 先生が贈る恋愛生活小説。第6巻は
“悠太”と“沙季”が恋人として共に過ごす誕生日など冬の思い出を積み重ねていきます。
(イラスト:Hiten 先生)
【 https://mfbunkoj.jp/product/gimaiseikatsu/322204000944.html 】
プレゼントに何を貰いたいか。その考え方を見ても“悠太”と“沙季”の生き方や人との
関わり方の認識に相応の違いが感じられます。彼女の刹那的な捉え方が印象深くて、その
要望に見合った贈り物を選ぶ彼の悩み具合は微笑ましくもあります。これは中々に難しい。
そしてプレゼントを贈る、という行為そのものにも「サプライズ」に意味を感じない所は
2人らしい、と思えるところ。アドバイスの受け方、タイミング、実際にされた時の感想。
いずれも“悠太”に一歩及ばない“沙季”が見せるくやしさが可愛らしいことこの上ない。
“悠太”の親戚に会う“沙季”の様子から、知らないことを知ろうとする努力、知ること
によって考えを巡らせられる力を持っていることを彼がしっかりと認めているのが素敵で。
だからこそ一人より二人で、と彼女が考え方を変えられたのも納得で。続きも楽しみです。
“悠太”と“沙季”が恋人として共に過ごす誕生日など冬の思い出を積み重ねていきます。
(イラスト:Hiten 先生)
【 https://mfbunkoj.jp/product/gimaiseikatsu/322204000944.html 】
プレゼントに何を貰いたいか。その考え方を見ても“悠太”と“沙季”の生き方や人との
関わり方の認識に相応の違いが感じられます。彼女の刹那的な捉え方が印象深くて、その
要望に見合った贈り物を選ぶ彼の悩み具合は微笑ましくもあります。これは中々に難しい。
そしてプレゼントを贈る、という行為そのものにも「サプライズ」に意味を感じない所は
2人らしい、と思えるところ。アドバイスの受け方、タイミング、実際にされた時の感想。
いずれも“悠太”に一歩及ばない“沙季”が見せるくやしさが可愛らしいことこの上ない。
“悠太”の親戚に会う“沙季”の様子から、知らないことを知ろうとする努力、知ること
によって考えを巡らせられる力を持っていることを彼がしっかりと認めているのが素敵で。
だからこそ一人より二人で、と彼女が考え方を変えられたのも納得で。続きも楽しみです。
2022年08月29日
『千歳くんはラムネ瓶のなか7』
裕夢 先生が贈るリア充側青春ラブコメ。第7巻は今ひとときは同じ距離感で、同じ時間を
過ごしていこうとする“朔”たちが藤志高祭の準備期間でその想いに楔を打ち込まれます。
(イラスト:raemz 先生)
【 http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094530858 】
冒頭、“朔”にとっての「フツウ」であろうとする決意が窺える口絵にまず驚かされます。
文化祭の出し物を決めるやり取りなどの間に挟まれる“明日風”たちの独白に“夕湖”が
選んだ道の先にある「今」を、緩やかな夏の終わりを感じて仄かに切なさを覚えたりして。
学年を跨ぐ応援団の運営を通じて“明日風”が合宿などで“朔”たちと共に過ごす様子に
安堵しながら、彼らに追いつこうと頑張る後輩“紅葉”から徐々に目が離せなくなります。
彼女が示す何気ない所作の数々に「頑張る」という真意の片鱗が隠れているとも知らずに。
あの河川敷で。あの公園で。あのキッチンで。「フツウ」であることを選んだ“明日風”
たちに疑義を問う、研ぎ澄まされた覚悟。このまま涙雨で濡れるだけ? そんな終わりは
「彼女」の内にある『本気』がまず許さない。次巻以降で“朔”の見解も待ちたい所です。
過ごしていこうとする“朔”たちが藤志高祭の準備期間でその想いに楔を打ち込まれます。
(イラスト:raemz 先生)
【 http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094530858 】
冒頭、“朔”にとっての「フツウ」であろうとする決意が窺える口絵にまず驚かされます。
文化祭の出し物を決めるやり取りなどの間に挟まれる“明日風”たちの独白に“夕湖”が
選んだ道の先にある「今」を、緩やかな夏の終わりを感じて仄かに切なさを覚えたりして。
学年を跨ぐ応援団の運営を通じて“明日風”が合宿などで“朔”たちと共に過ごす様子に
安堵しながら、彼らに追いつこうと頑張る後輩“紅葉”から徐々に目が離せなくなります。
彼女が示す何気ない所作の数々に「頑張る」という真意の片鱗が隠れているとも知らずに。
あの河川敷で。あの公園で。あのキッチンで。「フツウ」であることを選んだ“明日風”
たちに疑義を問う、研ぎ澄まされた覚悟。このまま涙雨で濡れるだけ? そんな終わりは
「彼女」の内にある『本気』がまず許さない。次巻以降で“朔”の見解も待ちたい所です。
2022年08月26日
『100日後に死ぬ悪役令嬢は毎日がとても楽しい。2』
ゆいレギナ 先生の「小説家になろう」投稿作が書籍化。第2巻は“ルルーシェ”が死ぬ
運命の日を前に、彼女を取り巻く面々や“神様”までも振り回されていく顛末を描きます。
(イラスト:いちかわはる 先生)
【 https://ga.sbcr.jp/product/9784815614515/ 】
【 https://ncode.syosetu.com/n8024hd/ 】
“サザンジール”が抱く“ルルーシェ”への想いが変わらないからこそ、報われないのが
切なくて。彼女にアプローチを掛ける“ザフィルド”も、抱える歪みが垣間見えるごとに
虚無感を覚えずにはいられなくて。“レミーエ”の成長ぶりが救いの一つかも知れません。
「最高に美しい幕引き」を目指して邁進する“ルルーシェ”の姿に呆れ果てる“神様”も
また、その日を見届ける理由があることが分かってくるのも焦点の一つ。全て読み終えた
ときに、彼が見せてきた言動の数々を振り返ってみると気づく点が多々あるかと思います。
運命の瞬間を迎えた各人のその後の逸話、“ルルーシェ”が掴んだ奇跡は必見の内容です。
そして表紙も口絵、挿絵の数々、いちかわはる 先生によるイラストの演出がこれでもかと
印象に残る点もぜひ注目いただきたい。潔い完結を選んだ先生方に心から敬意を表します。
運命の日を前に、彼女を取り巻く面々や“神様”までも振り回されていく顛末を描きます。
(イラスト:いちかわはる 先生)
【 https://ga.sbcr.jp/product/9784815614515/ 】
【 https://ncode.syosetu.com/n8024hd/ 】
“サザンジール”が抱く“ルルーシェ”への想いが変わらないからこそ、報われないのが
切なくて。彼女にアプローチを掛ける“ザフィルド”も、抱える歪みが垣間見えるごとに
虚無感を覚えずにはいられなくて。“レミーエ”の成長ぶりが救いの一つかも知れません。
「最高に美しい幕引き」を目指して邁進する“ルルーシェ”の姿に呆れ果てる“神様”も
また、その日を見届ける理由があることが分かってくるのも焦点の一つ。全て読み終えた
ときに、彼が見せてきた言動の数々を振り返ってみると気づく点が多々あるかと思います。
運命の瞬間を迎えた各人のその後の逸話、“ルルーシェ”が掴んだ奇跡は必見の内容です。
そして表紙も口絵、挿絵の数々、いちかわはる 先生によるイラストの演出がこれでもかと
印象に残る点もぜひ注目いただきたい。潔い完結を選んだ先生方に心から敬意を表します。
2022年08月25日
『勇者刑に処す 懲罰勇者9004隊刑務記録III』
ロケット商会 先生が贈るアクションファンタジー。第3巻は“パトーシェ”を迎え入れた
懲罰勇者9004隊が異形たちに狙われながら聖騎士団たちの囮となって野戦築城に臨みます。
(イラスト:めふぃすと 先生)
【 https://dengekibunko.jp/product/yushakei/322202000033.html 】
第十三聖騎士団の元団長、という身上の“パトーシェ”。憎悪を向ける者もあれば、罪を
負う深い理由があると信じたい者もいる。彼女を新入りと呼ぶ“ザイロ”が各々の想いを
汲んで憎まれ口を叩く、その露悪的な姿にむなしさと格好良さを感じずにはいられません。
今巻では“ノルガユ”の思いがけない過去を垣間見ることになります。その内容に驚きを
隠せないのもさることながら、その鍵となる“ドッタ”が見せるファインプレーの数々も
目が離せないポイントで。制空権を懸けた“ジェイス”たちの戦いも見所と言えましょう。
魔王現象『アバドン』たちが見せる悪意に振り回される“レントビー”の辿った道のりも、
“ザイロ”たちが決死の覚悟で掴んだ未来も印象深い。だからこそ、顕在化する裏切りの
兆しや、新たに勇者刑を受けそうな人物を匂わせる描写が気になります。次巻も注目です。
懲罰勇者9004隊が異形たちに狙われながら聖騎士団たちの囮となって野戦築城に臨みます。
(イラスト:めふぃすと 先生)
【 https://dengekibunko.jp/product/yushakei/322202000033.html 】
第十三聖騎士団の元団長、という身上の“パトーシェ”。憎悪を向ける者もあれば、罪を
負う深い理由があると信じたい者もいる。彼女を新入りと呼ぶ“ザイロ”が各々の想いを
汲んで憎まれ口を叩く、その露悪的な姿にむなしさと格好良さを感じずにはいられません。
今巻では“ノルガユ”の思いがけない過去を垣間見ることになります。その内容に驚きを
隠せないのもさることながら、その鍵となる“ドッタ”が見せるファインプレーの数々も
目が離せないポイントで。制空権を懸けた“ジェイス”たちの戦いも見所と言えましょう。
魔王現象『アバドン』たちが見せる悪意に振り回される“レントビー”の辿った道のりも、
“ザイロ”たちが決死の覚悟で掴んだ未来も印象深い。だからこそ、顕在化する裏切りの
兆しや、新たに勇者刑を受けそうな人物を匂わせる描写が気になります。次巻も注目です。