新馬場新 先生の「第16回小学館ライトノベル大賞・優秀賞」受賞作。三浦半島に突如出現
した氷山を契機にかけがえのない一度きりの夏を経験する少年少女の恋と青春の物語です。
(イラスト:あすぱら 先生)
【 http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094530803 】
夏は叔父“鉄矢”の家で過ごすのが恒例となった“進”。近所の三浦海岸に現れた巨大な
氷山で世間が大騒ぎする中、浜辺に倒れている少女を助けた彼はその姿を見て言葉を失う。
交通事故で昏睡状態にある幼馴染“天音”の小さい頃に瓜二つな彼女は一体誰なのか──。
「“天音”=“日暈”」という可能性を求める“進”。彼の想いを前に卑屈になる“羽”。
彼女の思慕を配慮して、“天音”不在でも3人で過ごせる夏という道を模索する“一輝”。
ちぐはぐな3人が“日暈”に振り回されながら過ごす日々の様子が、どこかもどかしくて。
氷山の謎を探る人々の思惑が“進”たちを巻き込み、散逸していた物語の要素が結びつけ、
構築されていく少し不思議な世界観の中で各々が「夏の主役」を全うしていく展開は圧巻。
また冒頭と結末で思いを馳せる「私」に哀愁を覚えずにはいられない。お見事な一作です。