2022年07月04日

『顔さえよければいい教室 1.詩歌クレッシェンド』

三河ごーすと 先生が「ファンタジア文庫」に初登場。引きこもりの妹と生活を支える兄が
天才たちの集う高校にスカウトされ、生きていくために成り上がっていく顛末を描きます。
(イラスト:necömi 先生)

https://fantasiabunko.jp/product/202206kaosae/322201000790.html


新進気鋭のVSINGER“シーカー”として、動画配信サービスで密かに人気を集める“詩歌”。
妹の才能にあやかる“楽斗”は配信収益だけで生きていく難しさを悟りそうになるある日、
兄妹の秘密を知るスカウトマンから一流芸能人を育成する高校への入学を薦められて──。

動画配信をテーマに「顔さえよければいい」という言葉に様々な意味が見え隠れするのが
分かってくる話運びにまず惹かれます。歌唱力だけはプロレベルの“詩歌”をそのままの
“詩歌”としてどうプロデュースするか、“楽斗”の手腕が問われる点も興味深い要素で。

「すべての音を色で視ることができる」という“詩歌”だけが気づける「彼女」の真実と、
理解されないからこそ発生してしまう誤解。彼女の平穏な日常を守るべく動く“楽斗”が
常人ぶって中々の曲者っぽい所も注目。期待の新シリーズということで続きが楽しみです。

posted by 秋野ソラ at 00:21 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2022年07月01日

『犬飼いちゃんと猫飼い先生 ごしゅじんたちは両片想い』

竹岡葉月 先生が贈る新作は、動物病院で偶然出会った犬を飼う女子高生と猫を飼う青年の
もどかしい恋模様を、動物たちの目線や認識も交えながら描いていく年の差&犬猫物語です。
(イラスト:榊空也 先生)

https://lbunko.kadokawa.co.jp/product/322110000733.html


動物病院の待合室。ミニチュアダックスフントの“フンフン”は飼い主の“藍”が偶然に
出会った青年とのやり取り、物憂げな様子が気がかりで。彼が飼っている気位の高い白猫
“キャロル”に相談しても減らず口を叩かれる一方で。はてさて、どうしたものかと──。

“フンフン”や“キャロル”が思っていることは飼い主たちにはもちろん伝わってません。
“藍”が“心晴”のことを少しずつ知りながらも想いはやはり伝えられなくて。彼女との
距離感を気遣いながらも、“汰久”の登場に気が気でない彼の内心はもどかしくもあって。

発生した事象を“藍”や“心晴”の視点だけでなく動物たちの目線からも描くことにより
二人が知る由もない話の重要な要素にも踏み込んで描写できる、というのが実に面白くて。
彼が語る蘊蓄や騙り話の数々、それに振り回される彼女の様子も注目してほしい作品です。

posted by 秋野ソラ at 00:53 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル