和ヶ原聡司 先生が贈る魔王と勇者の庶民派ファンタジー。TVアニメ第2期の放送を記念し
『電撃ノベコミ』アプリ上で連載していた短編、書き下ろしの特別編を収録した一冊です。
(イラスト:029 先生)
【 https://dengekibunko.jp/product/maousama/322111000151.html 】
【 https://maousama.jp/ 】
「おかわり!!」とあるように食べ物、食文化に関する“真奥”たちのあれこれが時系列を
問わず描かれるのがまず新鮮といいますか。カレーに纏わる逸話が多いのが実に興味深い。
“アシエス”はいま見ても面倒な子ですが、彼女も驚くであろう“真季”のアレも驚きで。
口絵で思わぬ醜態を晒す“芦屋”が今回イチ押しです。時には暴力的な幸せを味わっても
いいんじゃないかと思った次第。ガラリと雰囲気を変えた“漆原”も面白い。日本の生活
にすっかり順応している“鈴乃”の様子は見ていて微笑ましく、安心して見ていられます。
『電撃ノベコミ』用に用意していた短編はアプリユーザ獲得のために使いつつ、集約して
書籍という商材にも活用できるかどうかを問う、試金石としての意味合いも本作は担って
いるのかな、と勝手に想像しつつ順調な続刊とアニメが上手くいくことを願うばかりです。
2022年07月22日
2022年07月21日
『ミミクリー・ガールズ』
ひたき 先生の「第28回電撃小説大賞・銀賞」受賞作。脳と脊髄を人工素体に移植する技術
をもって第三次世界大戦を生き抜く特殊部隊が、世界の巨悪に立ち向かう顛末を描きます。
(イラスト:あさなや 先生)
【 https://dengekibunko.jp/product/mimicrygirls/322110000039.html 】
どんな重傷を負っても人工素体「ミミック」に着替えれば元通りに戦線復帰できる大戦下、
アメリカ合衆国大統領の乗る飛行機が爆破され、その娘がイタリアに残される事態が発生。
護衛任務に就くべく新素体に着替えた男性兵“クリスティ”の体は何故か少女の姿で──。
戸惑いが隠せない“クリスティ”の様子や、同じ境遇にある“マーリン”との絡みなどを
楽しみつつ、我儘な大統領の娘“メアリー”が彼、というか彼女らとの触れあいを通じて
心解けていく描写に微笑ましさを覚えます。まさに「可愛いは正義」を体現しているかと。
世界を股にかけミッションをクリアしながら敵の首謀者に迫っていく展開はまるで映画を
見ているかのような爽快があって。可愛い中にもミリタリー要素が全開で意外性もあって。
話の落としどころも面白くて。うまく一冊にまとめてきたと思います。オススメできます。
をもって第三次世界大戦を生き抜く特殊部隊が、世界の巨悪に立ち向かう顛末を描きます。
(イラスト:あさなや 先生)
【 https://dengekibunko.jp/product/mimicrygirls/322110000039.html 】
どんな重傷を負っても人工素体「ミミック」に着替えれば元通りに戦線復帰できる大戦下、
アメリカ合衆国大統領の乗る飛行機が爆破され、その娘がイタリアに残される事態が発生。
護衛任務に就くべく新素体に着替えた男性兵“クリスティ”の体は何故か少女の姿で──。
戸惑いが隠せない“クリスティ”の様子や、同じ境遇にある“マーリン”との絡みなどを
楽しみつつ、我儘な大統領の娘“メアリー”が彼、というか彼女らとの触れあいを通じて
心解けていく描写に微笑ましさを覚えます。まさに「可愛いは正義」を体現しているかと。
世界を股にかけミッションをクリアしながら敵の首謀者に迫っていく展開はまるで映画を
見ているかのような爽快があって。可愛い中にもミリタリー要素が全開で意外性もあって。
話の落としどころも面白くて。うまく一冊にまとめてきたと思います。オススメできます。
2022年07月20日
『ギルドの受付嬢ですが、残業は嫌なのでボスをソロ討伐しようと思います5』
香坂マト 先生が贈る、かわいい受付嬢がボスと残業を駆逐する大人気シリーズ。第5巻は
リゾート地での職員旅行を実現させた“アリナ”が遭遇する騒動と陰謀に鉄槌を下します。
(イラスト:がおう 先生)
【 https://dengekibunko.jp/product/uketsukejo/322203002164.html 】
限られた予算を駆使して観光都市での職員旅行を満喫、と素直にいかないのが“アリナ”
らしいというか。“ジェイド”も早々に気づいていながら様子見していたのは平常運転か。
鍵を握る「予言の巫女」にも彼女が食って掛かる流れは面白い、というか興味深くもあり。
かねてから“ライラ”が匂わせていた思わせぶりな行動の裏もようやく見えてきた場面で、
命の危機どころか世界の存亡すら懸けた局面を迎えて、彼女がどう対処するのか。そこに
彼女が過去に縛られながらも今を生きていることが窺えて悲壮さを感じずにはいられない。
そんな“ライラ”にも、ねじ伏せられそうな理不尽にも物理で圧倒していく“アリナ”の
姿に本作の根底にある面白さを改めて見せつけられた思いです。そんな中“ジェイド”が
仕掛けた布石が“アリナ”にとって功を奏するのか否か。次巻でそれを確かめたい所です。
リゾート地での職員旅行を実現させた“アリナ”が遭遇する騒動と陰謀に鉄槌を下します。
(イラスト:がおう 先生)
【 https://dengekibunko.jp/product/uketsukejo/322203002164.html 】
限られた予算を駆使して観光都市での職員旅行を満喫、と素直にいかないのが“アリナ”
らしいというか。“ジェイド”も早々に気づいていながら様子見していたのは平常運転か。
鍵を握る「予言の巫女」にも彼女が食って掛かる流れは面白い、というか興味深くもあり。
かねてから“ライラ”が匂わせていた思わせぶりな行動の裏もようやく見えてきた場面で、
命の危機どころか世界の存亡すら懸けた局面を迎えて、彼女がどう対処するのか。そこに
彼女が過去に縛られながらも今を生きていることが窺えて悲壮さを感じずにはいられない。
そんな“ライラ”にも、ねじ伏せられそうな理不尽にも物理で圧倒していく“アリナ”の
姿に本作の根底にある面白さを改めて見せつけられた思いです。そんな中“ジェイド”が
仕掛けた布石が“アリナ”にとって功を奏するのか否か。次巻でそれを確かめたい所です。
2022年07月19日
『娘のままじゃ、お嫁さんになれない!2』
なかひろ 先生が贈る、親と娘で、先生と生徒な2人の日常系ラブコメ。第2巻はGWを
前に“藍良”から受ける猛烈なアプローチに“桜人”がどう対応するか、気概を問います。
(イラスト:涼香 先生)
【 https://dengekibunko.jp/product/musumama/322112000017.html 】
“藍良”が望む夢と“桜人”が抱く夢との隔たり。彼女のもどかしさを慮った“祭里”が
彼との昔話を語る場面で「大人になったと感じた時」について話した内容がまず印象的で。
“祭里”が彼に恋していたからこそ“藍良”の恋を、彼の背中を押そうとする姿が切ない。
“彩葉”が“藍良”の里親として“桜人”の適性を判断するくだりでも、“藍良”の昔を
知るからこそ彼に思う所があった複雑な心情を吐露する顛末も、胸を打つものがあります。
“トレジャー”や“流梨”の存在が“藍良”に与えていた救いには感謝すら覚えるほどで。
暗所や閉所に恐怖を感じる心を克服するために暗闇の中で就寝する訓練を続ける“桜人”。
“藍良”のぬくもりがその突破口になると知りつつ目を背け続ける彼に彼女ができること。
夢を抱く大人がいてもいい。そう思わせてくれる彼の冒険を引き続き見守りたいものです。
前に“藍良”から受ける猛烈なアプローチに“桜人”がどう対応するか、気概を問います。
(イラスト:涼香 先生)
【 https://dengekibunko.jp/product/musumama/322112000017.html 】
“藍良”が望む夢と“桜人”が抱く夢との隔たり。彼女のもどかしさを慮った“祭里”が
彼との昔話を語る場面で「大人になったと感じた時」について話した内容がまず印象的で。
“祭里”が彼に恋していたからこそ“藍良”の恋を、彼の背中を押そうとする姿が切ない。
“彩葉”が“藍良”の里親として“桜人”の適性を判断するくだりでも、“藍良”の昔を
知るからこそ彼に思う所があった複雑な心情を吐露する顛末も、胸を打つものがあります。
“トレジャー”や“流梨”の存在が“藍良”に与えていた救いには感謝すら覚えるほどで。
暗所や閉所に恐怖を感じる心を克服するために暗闇の中で就寝する訓練を続ける“桜人”。
“藍良”のぬくもりがその突破口になると知りつつ目を背け続ける彼に彼女ができること。
夢を抱く大人がいてもいい。そう思わせてくれる彼の冒険を引き続き見守りたいものです。
2022年07月18日
『恋は双子で割り切れない4』
高村資本 先生が贈る初恋こじらせ系双子ラブコメ。第4巻は“那織”を家に泊めた話が
“琉実”にも伝わり、拗れた恋を保留し続けてきた“純”に待ったなしの解が迫られます。
(イラスト:あるみっく 先生)
【 https://dengekibunko.jp/product/futakire/322202000067.html 】
母親からの強烈な指摘から入る今巻。あれだけ迫ってもまだなびかない“純”に苛立ちを
覚えるのも無理はない“那織”ですが、彼も勢いに任せて事に至るのは間違ってると固い
意志で耐えているのが分かるのでまさに難しい局面。ショック療法が過ぎる気もしますが。
そんな“那織”に負けじと“琉実”も“純”の気持ちを確かめようと前のめりになったり、
後輩にせっつかれたり、情緒不安定になったり、でこちらも見ていてつらい所があります。
姉妹共に流す涙が譲れない想いの表れで、切羽詰まっていることはもう言うまでもなくて。
わだかまる空気も言葉を使って乗り越えて、改めて互いの気持ちと向き合った“琉実”と
“那織”が“純”の誕生日をどう過ごすか決めた一方、彼も遂にある決断を下そうとする。
三者三様、思った通りの結末を迎えることできるのか。次巻の展開は特に目が離せません。
“琉実”にも伝わり、拗れた恋を保留し続けてきた“純”に待ったなしの解が迫られます。
(イラスト:あるみっく 先生)
【 https://dengekibunko.jp/product/futakire/322202000067.html 】
母親からの強烈な指摘から入る今巻。あれだけ迫ってもまだなびかない“純”に苛立ちを
覚えるのも無理はない“那織”ですが、彼も勢いに任せて事に至るのは間違ってると固い
意志で耐えているのが分かるのでまさに難しい局面。ショック療法が過ぎる気もしますが。
そんな“那織”に負けじと“琉実”も“純”の気持ちを確かめようと前のめりになったり、
後輩にせっつかれたり、情緒不安定になったり、でこちらも見ていてつらい所があります。
姉妹共に流す涙が譲れない想いの表れで、切羽詰まっていることはもう言うまでもなくて。
わだかまる空気も言葉を使って乗り越えて、改めて互いの気持ちと向き合った“琉実”と
“那織”が“純”の誕生日をどう過ごすか決めた一方、彼も遂にある決断を下そうとする。
三者三様、思った通りの結末を迎えることできるのか。次巻の展開は特に目が離せません。