2022年06月30日

『塩対応の佐藤さんが俺にだけ甘い6.5』

猿渡かざみ 先生が贈る青春ラブコメ。新規書き下ろし中編や、店舗特典用SSを四季ごとに
テーマ分けして収録する他、Twitter限定公開短編を加筆して再集録するなどした一冊です。
(イラスト:Aちき 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094530711


「イマモテ」に振り回される女子がここにもいたとは驚きです。今巻と同時刊行を迎えた
猿渡 先生の新作『高嶺さん、君のこと好きらしいよ』の販促にもつながる構成がお見事。
やはり時系列に沿って話を並べていただけると頭の中にもスッと話が入ってくるものです。

普段は大人しい“こはる”がまれに調子づいたり、小悪魔要素を見せたりするのが可愛い。
“円花”と“蓮”の関係も二人なりのペースで進んでいるのも見て取れてニヨニヨできる
のもまた良し。“颯太”のバイト先でのやり取りをSSならでは話の種に使うのが好きです。

横に長い口絵を見て、ここまで登場人物が増えたものかと感慨深く思うところもあったり。
バレンタインで始まり、バレンタインでしめくくる今巻は“颯太”と“こはる”の意外な
繋がりを暗喩するのも印象に残る場面で、続く7巻でどう作用するか楽しみでもあります。

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2022年06月29日

『高嶺さん、君のこと好きらしいよ』

猿渡かざみ 先生が贈る新作は、堅物な少年に助けられた少女が恋愛指南本を片手に想いを
伝えようと奮闘する姿を、彼の心情も交えつつ描く両片想い恋愛ハウツー・ラブコメです。
(イラスト:池内たぬま 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094530766


美人すぎるが故に良くも悪くも噂が絶えない“高嶺”は校内で絡まれているところを鬼の
風紀委員長“間島”に助けられる。惚れた彼女は自身が称える恋愛指南本の内容をもとに
「高嶺さん、君のこと好きらしいよ」という噂を利用して、想いを伝えようとするが──。

“高嶺”の数少ない友人“瀬波”が呆れるほどに空回りするアプローチの数々が面白くて。
“高嶺”の口数が少ないのも、“間島”が正しくありたいと思うのも訳があって。2人が
両片思いなのにも意味があって。笑ってばかりじゃいられない恋愛の難しさに苦笑いして。

噂や第一印象といった要素を上手く使い分けて話を進める構成が印象深く、そこに漫画家
である 池内たぬま 先生ならではの演出も加わり、最後まで安心して読める仕上がり具合。
“高嶺”と“間島”の背中を押す友人たちの振舞いにも注目。文句なくお薦めの作品です。

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2022年06月28日

『霊能探偵・藤咲藤花は人の惨劇を嗤わない2』

綾里けいし 先生が贈るく現代伝奇ミステリ。第2巻は「かみさま」亡き「藤咲」の家から
逃亡を続ける“藤花”と“朔”が未来視の力を持つ「永瀬」の家の陰謀に巻き込まれます。
(イラスト:生川 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094530742


逃亡中のホテルでようやくイチャイチャできるかと思った矢先、占女の導きにより訪れた
“未知留”に水を差される“藤花”と“朔”。「かみさま」より劣る「永瀬」の力を補う
ため“朔”が持つ「異能を強める目」を欲するのも道理とはいえ“藤花”には迷惑な話で。

泳がない金魚、首のない死体、永瀬の深部。異能と共に、永瀬の闇に触れていく“藤花”。
「永瀬の本物」が抱く疑念に触れ、「永瀬の本物」を守る者たちの思念に直面する“朔”。
時の流れを掴んでいく“未知留”に命運を握られる2人が、共に死を覚悟するのも道理で。

緊張の糸を緩めるかのように登場した“甲斐羅”。登場した意味はすぐ察しがつくものの、
フラッシュバックするプロローグや口絵の意味が“藤花”と“朔”を苛む展開に驚かされ、
エピローグが語る言葉の数々に目を疑うばかりで。続きが出るまでもどかしさが募ります。

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2022年06月27日

『変人のサラダボウル3』

平坂読 先生が贈る、変人たちの奇想天外おもしろ群像喜劇。第3巻は学校に通い始めた
“サラ”、もはや遊び人の“リヴィア”など、“惣助”にまつわる人々の日常を描きます。
(イラスト:カントク 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094530735


「小学二年生の女子、水沢夢」にまず驚くしかない。“サラ”の口癖がうつるのも可愛い。
あだ名呼びやいじめといった現実を捉えつつ、思慕も、羨望も、嫉妬も一身に受け止めて
“サラ”が最終的に“惣助”も驚きのアレを顕示する姿はこの世界における幸せの証かも。

“リヴィア”が無知なのをいいことに“望愛”の望むまま生かされている様子もまた幸せ
に見えて泡沫であることは、これまた最後で見せつけられる訳ですが、さてどうなるやら。
合間に見える“ブレンダ”と“春花”の努力が空回りする姿を面白がりつつ思わず苦笑い。

前巻から“サラ”に騙された形で転校デビューに臨む“友奈”の姿から哀愁が漂う展開が
続くのかと思えば「災い転じて福となす」とも言える、救いのある新生活が訪れて一安心。
それどころか“惣助”の生き様が彼女の人生にもかかわる流れで将来展望が気になります。

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2022年06月24日

『おいしいベランダ。 亜潟家のアラカルト』

竹岡葉月 先生が贈る大好評・園芸ライフラブストーリー。第11巻は“葉二”と“まもり”
の結婚後の様子を描く書き下ろし4編に、書籍未収録のSS13編をまとめた1冊となります。
(イラスト:おかざきおか 先生)

https://lbunko.kadokawa.co.jp/product/oishiiberanda/322110000732.html


ハネムーンに纏わる紛らわしい名前の料理を巡る思い出話に、結婚しても根は変わらない
“葉二”と“まもり”の様子を見ることができてひとまず安心したり。家族の縁が広がる
ことで発生するあれやこれやの対応、反応に積み重なる時間と絆を感じずにはいられない。

“まもり”たちに何となく触発される“湊”が、これまた実に紛らわしい“周”の言動に
振り回される話や、“葉二”と酒を酌み交わすまでに成長した“ユウキ”が報告を受ける
顛末も話の脇を固める内容で面白い。共に“まもり”の返しから「らしさ」が窺える所も。

「エピローグ」を読み終えた余韻から、「特典ショートストーリーズ」で各巻の前日譚や
後日譚、裏話など物語全体を補完する貴重な機会を得ることもできて、大満足の一冊です。
本作の結びをお祝いしつつ、新作『犬飼いちゃんと猫飼い先生』を楽しみにしておきます。

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2022年06月23日

『やたらと察しのいい俺は、毒舌クーデレ美少女の小さなデレも見逃さずにぐいぐいいく6』

ふか田さめたろう 先生が贈るすれ違いゼロの甘々ラブコメディ。第6巻は婚約者となった
“小雪”と“直哉”が高校3年生、大学生、そして家族となるまでを描く最終巻となります。
(イラスト:ふーみ 先生)

https://ga.sbcr.jp/product/9784815613549/


“小雪”を全力で推す“恵美佳”の目を逸らそうと白羽の矢が立った一見強面の“竜一”。
“直哉”の洞察力を裏付けに、2人をくっつけようと“小雪”の努力が空回りする間にも
実はラブコメ体質な“竜一”がやる時はやる、と魅せてくれるのが微笑ましくて良いです。

新聞部の部長“文乃”も驚きの、そして納得の“直哉”と“小雪”の「普通」を踏まえて
大学生活に突入していく2人がいつ一線を超えるのか。互いに互いを思い遣る結果として
迎える未来において、“小春”が2人の変わらない絆の深さを語ってくれるのが印象深い。

ラストは両親の能力を面白い形で継承した“小春”に振り回される“良太”少年の苦悩を
描きながら、新たな物語が始まるような雰囲気を感じさせつつ話を纏めるところも好感触。
最後まで安心して読み切れるラブコメでした。無事の完結を、心よりお祝い申し上げます。

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2022年06月22日

『友達の後ろで君とこっそり手を繋ぐ。誰にも言えない恋をする。2』

真代屋秀晃 先生が贈る青春恋愛劇。第2巻は“夜瑠”からの熱い恋情よりも友情を優先
しきれない“純也”の葛藤とは別に、親友五人組の関係が揺れ動いていく兆しを描きます。
(イラスト:みすみ 先生)

https://dengekibunko.jp/product/tomodachinoushirode/322202000065.html


GKD、こと「グループ内で彼女を作らない同盟」を守りたい気持ちは今も持ち続けながら
“夜瑠”からの「内緒で付き合う」という提案を振り払いきれない“純也”の心の描写が
生々しくて。彼しかいない、と背水の陣で臨む彼女が病んでしまうのかと不安になる程で。

綱を渡るかのような“純也”と“夜瑠”の距離感、揺らぐ感情を“青嵐”がバンド活動に
燃える文化祭や、恋に焦がれた彼女が辿った生き様がこれでもかと追い込んでいく展開は
これまた驚愕。「秘密で後ろめたくて、誰にも言えない裏切りの物語」へと誘われました。

同盟を揺るがす決定的な事案とは別に“新太郎”が本音を打ち明けたと思えば、前々から
思わせぶりな“火乃子”も動き出して。思う所ある“青嵐”、「秘密」を抱える“純也”、
秘密の恋に泥濘する“夜瑠”、それぞれの関係がこの先どう歪んでいくのか気になります。

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2022年06月21日

『友達の後ろで君とこっそり手を繋ぐ。誰にも言えない恋をする。』

真代屋秀晃 先生が贈る新作は、中学からの仲良し男子三人組が、高校進学と共に加わった
少女二人をあわせた親友五人組となって友情と恋心の狭間に揺れる青春の日々を描きます。
(イラスト:みすみ 先生)

https://dengekibunko.jp/product/tomodachinoushirode/322111000161.html


高校生になった“純也”は恋人を作るよりも友人たちとの青臭い思い出を大切にしたいと
考え、“青嵐”や“新太郎”に“夜瑠”“火乃子”を交えてバカ騒ぎする日々を謳歌する。
ある日、“青嵐”に気があるらしい“夜瑠”から“純也”は衝撃の「告白」を受ける──。

“純也”たちが提唱する「彼女を作らない同盟」に相反する考えを辛辣なまでにぶつける
“夜瑠”が見せる二面性にまず驚かされます。同盟を組むに至る彼の苦い過去を知らない
彼女にやられ放題の展開に、五人組破滅の時が早くも訪れるのかとやきもきさせられます。

“夜瑠”が恋をする背景にも深すぎる心の傷があることを知った上で、本作の題名にある
状況へ陥るのか。その導線と、“純也”が知る由もない心の変化に戸惑うのも無理はなく。
難しい選択を迫られる彼は同盟を死守することができるか。続きが実に気になる物語です。

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2022年06月20日

『竜殺しのブリュンヒルド』

東崎惟子 先生の「第28回電撃小説大賞・銀賞」受賞作。神命を受けた白銀の竜が守る島で
育った人間の少女が竜殺しのいる帝国に運命を翻弄される様を描く本格ファンタジーです。
(イラスト:あおあそ 先生)

https://dengekibunko.jp/product/ryugoroshi_brunhild/322110000036.html


「エデン」を守る竜に殲滅された人々の中で、唯一生き残った少女“ブリュンヒルド”。
その竜に育てられた少女は竜を愛し、竜に愛されるようになるが、再び島を狙う帝国軍に
竜を殺され、囚われる。そこで彼女は帝国が誇る竜殺しの家の末裔だと知らされるが──。

“ブリュンヒルド”の実父である“シギベルト”が彼女へ愛を示さない様子に業を煮やす
“ザックス”の気遣い。家督争いで彼女に一度は妬みの感情をぶつけた“シグルズ”との
本音の語らい。帝国軍人として祭り上げられていく彼女の想いに響くのかが興味深い展開。

竜の狂信者たちに果たした説明責任。身を挺して竜から守った帝国の街並み。竜殺しの力
に隠された秘密。何度もフラッシュバックする「エデン」での思い出と遵守すべきルール。
竜として、人として生きた“ブリュンヒルド”が選んだ道の悲愴さに胸打たれる物語です。

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2022年06月17日

『声優ラジオのウラオモテ #07 柚日咲めくるは隠しきれない?』

二月公 先生が贈る青春声優エンタメ。第7巻は“夕陽”と“やすみ”が頑張り続ける姿を
見守る“めくる”の想いに触れつつ、彼女が考える声優としての在り方、矜持を描きます。
(イラスト:さばみぞれ 先生)

https://dengekibunko.jp/product/sayyouradio/322202000055.html


声優ファンでありながら声優になった“めくる”だからこその葛藤や想いが伝わってきて
読み進める内にどんどん彼女の魅力に惹かれていく内容。『じゅーどるラジオ』の顛末が
その最たるもので「声優を活かす声優」を目指した彼女だからこそ見せられる感情が熱い。

オーディションに対して本気になれない。“めくる”の更なる躍進を切望する“成瀬”も
指摘せざるを得ない、彼女も自認する弱み。声優業を続けられなかった人たちのためにも
変わらなければいけない、と考え抜いた末の彼女の決断は見る側にも重く、そして切なく。

気合の入れ直し方を間違えた“めくる”に対して、親友の“花火”が活を入れ直す方法が
今巻の副題やイラストから窺えるのも面白い。ベテラン声優と相対しても臆することなく
臨める“めくる”に「らしさ」を残しているのもまた良い。彼女に対する株が急上昇です。

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2022年06月16日

『姫騎士様のヒモ2』

白金透 先生が贈る異世界ノワール。第2巻は迷宮都市の治安維持のため配備された聖護隊
に“ヴァネッサ”の兄が、彼女の死の真相を突き止めるべく“マシュー”をつけ狙います。
(イラスト:マシマサキ 先生)

https://dengekibunko.jp/product/himekishisamanohimo/322201000060.html


やがて訪れる、かもしれない迷宮攻略の時を迎えた時ことを“マシュー”が示唆した際に
“アルウィン”が取った行動。これを見て彼女は彼とどう在りたいのか、尋ねてみたいと
改めて感じました。恋だの愛だの、単純には推し量れない彼女の心境、実に気になります。

そんな姫騎士様に今回も迷惑をかけてしまう形になる“マシュー”の身から出た錆な話の
数々に苦笑が絶えません。しかし、彼も彼女の迷宮病を何とかしようと「清濁併せ呑む」
方法で尽力しているのが見て取れるので、今巻も憎めない立ち居振る舞いに魅せられます。

迷宮都市に来た“ヴィンセント”が“マシュー”をどう見極めたのかも見所の一つですが
今回の騒動につながる“太陽神”の手口が、見方を変えればさも悪魔のようで憎たらしい。
都市の危機、そして姫騎士様の窮地が迫る中、ヒモとして選ぶ決断を見届けたいものです。

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2022年06月15日

『ひとつ屋根の下で暮らす完璧清楚委員長の秘密を知っているのは俺だけでいい。』

西塔鼎 先生が贈る新作は、成績優秀、品行方正、東欧人のハーフで眉目秀麗と疎遠ながら
幼なじみのいる少年が、彼女のとある秘密と日常を共有していく顛末を描くラブコメです。
(イラスト:さとうぽて 先生)

https://dengekibunko.jp/product/322202000056.html


“黒川スヴェトラーナ”。校内で「姫君」とも称される彼女だが昔は物怖じする女の子で
良く世話を焼いたものだ、と独りごちる“俺”。ある日、家族の都合で彼女を家に預かる
ことになった彼は、彼女から未だ残る「怖がる癖」を克服する手助けを求められるが──。

主人公を「たっくん」「たーくん」「たの字」と呼ぶことで誰が喋っているかを印象づけ
ているのが、彼との会話を楽しむ上でのポイントとまず感じました。最初から“チカ”と
彼に呼ばせる“黒川”の「特訓」に至るまでの動機づけも分かりやすく、好感が持てます。

“霞野”や“鳴宮”を始めとする友人、知人たちに“黒川”の怖がりがいつバレるのかと
ヒヤヒヤしつつ、彼女の仄かな想いは伝わるのかモヤモヤしつつ安心して読了することが
できるラブコメになっているかと思います。さとうぽて 先生の挿絵による演出も絶妙です。

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2022年06月14日

『私のほうが先に好きだったので。2』

佐野しなの 先生が贈る青春泥沼トライアングル。第2巻は“桜子”の彼女となったはずの
“安芸”が“小麦”から過去の想いをぶつけられて揺れ動く、泥沼必至の展開を描きます。
(イラスト:あるみっく 先生)

https://ga.sbcr.jp/product/9784815611583/


“安芸”に関しては、彼の恋愛相談に答えた姉の辛辣な言葉がすべてを表しているとしか
言えなくて。結婚を前提にしている訳でもないにしろ、“桜子”がいない間に“小麦”と
元の関係に戻るのを受け入れるなんて誠実さが欠けていて情状酌量の余地もないというか。

“小麦”にとって不幸なのは、“安芸”への気持ちを引きずったまま、彼の心境を知って
しまったということ。諦めたはずなのに、諦めきれない。易々と割り切れないのが人の心
とは言え恋か友情か、二者択一を迫られれば選ばざるを得ないのが彼女の業というものか。

“桜子”にしてみれば“安芸”も“小麦”も求めてしまっている時点でもう救う手立てが
無いように見えて。彼の気持ちも、彼女の心情も察してしまうことができる“桜子”故に
進む道は唯一つ、と突っ切るのがつらい。このラストを繋ぐ 佐野 先生の腕の見せ所です。

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2022年06月13日

『高嶺の花には逆らえない』

冬条一 先生の「カクヨム」投稿作が書籍化。入学と共に校内随一の美少女に一目惚れを
する少年と、その友人となるモテ男が恋に振り回されていく様を描く新感覚ラブコメです。
(イラスト:ここあ 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094530681
https://kakuyomu.jp/works/16816452218689030051


引きずり続けた中学時代の初恋に別れを告げ、高校で同じクラスとなった“立花”に恋を
する“佐原”。意を決して告白を決めた矢先、友人となった校内一のイケメン“進藤”に
先を越された“佐原”。憂鬱な彼は翌日、友人の様子が何やらおかしいことに気づく──。

“進藤”と付き合い始めたはずの“立花”が弁当を作ってくれたり、名前呼びしてきたり
と“佐原”が戸惑うのも無理はなく。そんな彼が偶然出会うぽっちゃり系少女“武田”に
彼の家族の心を掴まれていく展開とその手腕が面白い。こんな外堀の埋め方があるのかと。

“進藤”の思惑を“立花”が知っている点。そもそも彼女が抱えている胸の内。それらを
知る由もない彼が彼女に目をつけたのが運の尽きというか。悪あがきを続ける彼、そして
岡目八目で状況を見守る“美紀”を前に“佐原”はどう振る舞うか、続きが気になります。

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2022年06月10日

『賢勇者シコルスキ・ジーライフの大いなる探求 S.ex(すぺしゃる・えくすとら)』

有象利路 先生が贈る危険球ギャグラノベが「Born Digital」、電子特別編として初登場。
担当編集の思惑も、ページ数の制約も外れて、“サヨナ”たちが自由気ままに振舞います。
(イラスト:かれい 先生)

https://dengekibunko.jp/product/322109000431.html


ギャグというのは受け手の感性に寄る部分も多く、評価が分かれることもしばしばですが
世知辛い昨今、こうして肩ひじ張らずに読める本作の存在は有難いものと感じている所で。
1巻と2巻の間にあった話がやたら多いあたりにも政治的な背景が感じられてつい苦笑い。

それにしても一段とヒロインらしくない“サヨナ”の立場が面白い。“カグヤ”のほうが
余程それらしいのがまた興味深くて。パロディのネタも下ネタも攻めて、責めての連発で、
編集部としても幾度となく確認に追われたことでしょう。その甲斐ある内容だと思います。

「電撃文庫」編集部を離れた 土屋 さんへの恨み言というか愛があふれる仕掛けが満載で。
あとがきも含めて読み終えた際に、改めてチームとして作品が作り上げられていることが
窺えて一読者としても感慨深いです。有象 先生、担当編集諸氏も含め、お疲れさまです。

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2022年06月09日

『魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい? 15』

手島史詞 先生が贈る、不愛想魔王と箱入りエルフによるラブコメファンタジー。第15巻は
〈ネフェリム〉たちの新たな拠点となる街づくりを担う“フォル”の頑張る姿を描きます。
(イラスト:COMTA 先生)

https://firecross.jp/hjbunko/product/1507


未だ残る魔術師と聖騎士との確執。そんな二大組織の融和への鍵となる“バルバロス”と
“シャスティル”のやり取りに今巻もニヨニヨ。“レイチェル”の信仰も捗るというもの。
“ゴメリ”に至っては拗らせた“アルシエラ”の愛で力にもあてられて幸せそうで何より。

“フォル”が預かった魔王“アスモデウス”の身柄。記憶がないという言動の真偽を問う
うちに見えてくる、《蒐集士》たる魔王の所以が切なさを誘います。信じる“フォル”が
言葉で、力で相対する姿は相手にどんな影響を与えるか、見届けたくなるというものです。

“ネフィ”とのデートに全神経を集中する“ザガン”に水を差した「あれ」が鉄拳制裁を
食らうのも無理はなく。対して振るった剣の無駄さに気づく遅さから見ても面倒な御仁で。
終わってみれば、彼が用意した誕生日プレゼントも粋な計らいで実に心温まる一幕でした。

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2022年06月08日

『クラスの大嫌いな女子と結婚することになった。5』

YouTube漫画として展開されている同シリーズを、脚本を務める 天乃聖樹 先生が小説化。
第5巻は同棲の噂を逸らすため、“陽鞠”が“才人”のニセ恋人を演じる顛末を描きます。
(イラスト:成海七海 先生 キャラクター原案・漫画:もすこんぶ 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/daikirai_kekkon/322201000776.html


少なくとも“陽鞠”には同棲の件がバレたことで俄然、彼女のやる気は引き出される訳で。
“糸青”や“真帆”では務まらない彼女役を介して“陽鞠”が次々と夢描いていた場面を
実現させていき、“才人”と本当の彼女になることも目指す姿は輝かしくて、また強くて。

対する“朱音”は状況ゆえに、かつ身から出た錆として“陽鞠”の行動を止められる訳も
なく、後手に回ることにもどかしさと苛立ちを隠せない様子が微笑ましいやら、何とやら。
“朱音”かの風当たりが一段と強くなる“才人”には同情を禁じ得ませんが致し方なしで。

“陽鞠”からの決定的なアピールを受けて、黙っていられない“朱音”がついに明かした
過去の逸話。互いに譲らない、諦めない2人がまるで好敵手のように喧嘩する様子が強く
印象に残ります。ただ一人、真実を知らない“才人”が示す立ち居振る舞いに要注目です。

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2022年06月07日

『灰原くんの強くて青春ニューゲーム 2』

雨宮和希 先生が贈る、強くてニューゲームな学園ラブコメ。第2巻は“詩”からの好意を
感じつつ“夏希”が“陽花里”への想いを貫けるか、周囲の関係も交えて描いていきます。
(イラスト:吟 先生)

https://firecross.jp/hjbunko/product/1502


“美織”が“夏希”に対して“詩”を「キープしとく」と評するあたりは性格が出ている
というか、納得できるというか。その“美織”が仕掛けたダブルデートで彼がループした
からこそ気付けた彼女の悩みが、本音を明かせなかった彼自身と重なるのが実に印象深い。

一度は引き下がって、“夏希”が“美織”に対して格好をつける所を目にして、夏祭りで
願い事を変えたりして、それでもなお彼に気持ちを示した“詩”には適わない。脱帽です。
そんな彼が敗北した姿をたまたま見かけた「彼女」の独白が気になって仕方がありません。

清々しいほど潔い“竜也”の強いんだか弱いんだか謎な振舞いを微笑ましく思う暇もなく
“怜太”が示した意外にも強い意思。“陽花里”や“七瀬”も意味ありげな言動も含めて
“夏希”が選ぶのは友情か、恋愛か、共存か。未曽有の夏で彼が辿る道程に興味津々です。

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2022年06月06日

『僕たち、私たちは、『本気の勉強』がしたい。』

「15歳でも俺の嫁!」の 庵田定夏 先生が贈る新作は、真面目に分相応に生きる少年が
学年首席の少女と関わり、真剣に勉強と向き合う顛末を描く新世代受験ストーリーです。
(イラスト:ニリツ 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/honben/322202001159.html


夢を追い、道を誤る父をもつ“正太”は凡人として恙なく生きる日々を送る真面目な少年。
ある夜、彼は教室で勉強する“灯”と遭遇し「本気でやろうと思えば東大に合格できる」
と豪語される。訝しむ彼は彼女の理論を否定するべく夜の教室で共に勉強を始めるが──。

頭が良いとはどういうことか。本気の勉強とは何か。試験の本質をコミュニケーションの
ツール、ミステリー小説のように例えながら展開する“灯”の持論に、成人したからこそ
得心のいく点が幾つも感じられました。端々に子供っぽさを残す言動も印象に残る要素で。

もう一人、夜に出会う“美空”の背負う過去が兎角「脱落者」に厳しい日本の縮図を示す
かのようで心苦しく思いつつ、彼女もまた東大を目指す動機を得る顛末に幾らか救われる
気がしました。決して甘くはない道のりを行く3人に思わず声援を送りたくなる作品です。

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2022年06月03日

『呪剣の姫のオーバーキル 〜とっくにライフは零なのに〜4』

川岸欧魚 先生が贈る痛快スプラッターファンタジー。第4巻は“メッソル”の〈縁砕き〉
に〈屍喰らい〉で対抗する“シェイ”を“テア”が極限まで支援し、決着の時を迎えます。
(イラスト:so品 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094530674


“シェイ”、というより〈屍喰らい〉に終始こだわる“メッソル”が目をつける“テア”。
魔法鍛冶師としての成長著しい彼が、彼女とはまた違った方向性で人並外れていく様子が
どこかあぶなかっしいくて。その彼を気遣う“ホフマン”の辿る結末が不憫でなりません。

“エレミア”が示す持ち前の明るさにも助けられ、決戦を前にした小休止で“シェイ”と
“テア”が見せた何気ないやり取りから未来を予感させる絆が感じられたのは印象深くて。
それ故に“メッソル”との戦いの凄まじさから、勝ち筋が読めない緊迫感に圧倒されます。

戦いだけでなく、様々なエゴが渦巻く中、徹頭徹尾“シェイ”のパートナーで在り続けた
“テア”が共に、命を懸けて掴み取った結末がもたらしたものは、あのレリーフが如実に
物語ってくれていると信じます。2人の未来に幸あれ、ということで完結を祝う次第です。

posted by 秋野ソラ at 01:45 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル