2022年05月06日

『この恋が壊れるまで夏が終わらない』

杉井光 先生が「新潮文庫nex」から初めて贈る新作は、読書好きな先輩に恋をした少年が
殺されてしまった彼女を救うために8月31日を巡り巡る、タイムリープ青春ミステリです。
(イラスト:syo5 先生)

https://www.shinchobunko-nex.jp/books/180237.html


きっかり12時間前に時を巻き戻す能力を持つ“啓太”は、その限られた力に虚しさを覚え
なるべく使わないように、と心に決めて生きてきた。その彼が恋する先輩“純香”の死を
目にして力を使わずにはいられない。何度も彼女を死なせることになるとは知らずに──。

美術部の先輩“道永”が“純香”を「ろくでもない」と評価した理由。何度繰り返しても
“純香”が8月31日に違った形で死に至る原因。怪しい点を探りつつ、人の心の闇に触れ、
「先輩を救えないのでは」と“啓太”が諦めかけるほど迷走し続ける展開が実につらい。

《巻き戻し》におけるある例外と、本作のタイトルが交錯することで辿り着く夏の終わり
に残る喪失感はどこか切なくて。けれど8月31日の連なりから学んだこと、気付いた点を
“啓太”が活かして次の恋に繋げることを願って止まない。そんな余韻を残す物語です。

posted by 秋野ソラ at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル