2022年05月31日

『ラブコメ・イン・ザ・ダーク』

「宮本サクラが可愛いだけの小説。」の 鈴木大輔 先生が贈る新作は、夢を自由に見る力
を得た少年とそれを看過できない現実の守護者たる少女との邂逅が織り成すラブコメです。
(イラスト:tatsuki 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/lovedaku/322201000774.html


現実で鬱屈とした感情を募らせる“ジロー”。夢の中ならムカつく奴らも絶対服従させて
自由自在、と謳歌する彼が夢と現実の逆転を望んだ瞬間、その夢に突如現れたペスト医者。
何度も彼の夢を破壊しにくるそれはある案を彼に示す。「恋人が欲しくはないか」と──。

ボランティアでヒーロー、と“ユミリ”を評し“ジロー”が語る冒頭のモノローグだけで
彼の人間性、2人の特異な関係、物語の目指す所まで示して物語に惹き込ませるのは流石。
世界の危機で病そのもの、と彼女に断言された彼が振り回される様子はラブコメそのもの。

その上で、“ジロー”の病を寛解すべく“ユミリ”が提示した治療方法にまつわる顛末が
イチャイチャさせるだけで終わらせない興味深い話の転がし方をしてくるからまた面白い。
ひねくれ者の彼が一つの答えに辿り着いた、と思えばあの引き具合。続きが超楽しみです。

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2022年05月30日

『君は僕の後悔3』

しめさば 先生が贈る、後悔を抱えた少年少女による恋と対話の物語。第3巻は文化祭で
バンドを組むことになる“結弦”が“李咲”と“壮亮”のすれ違う感情に触れていきます。
(イラスト:しぐれうい 先生)

http://dash.shueisha.co.jp/bookDetail/index/978-4-08-631470-1


「バンドやらねぇ?」という“壮亮”の一言で夏休みにドラムの練習に没頭する“結弦”。
その間、海水浴へ行って“藍衣”や“薫”が繰り広げる恋の駆け引きに巻き込まれるなど
“結弦”も羨ましい限り・・・と見守るだけではいられないシリアスな話に転じるのが見所。

“壮亮”が今回のバンド活動に託す一縷の望み。憧れだった先輩“李咲”を、憧れていた
ころに戻すというのはどういうことか。彼の要望を聞き入れない彼女のしがらみとは何か。
第三者としてどう関わるのが正しいか。自分なりに考え抜く“結弦”の気概が印象深くて。

言葉で伝えることをやめてはいけない。意味がないと言われても。生意気だと言われても。
“壮亮”が“李咲”のために用意した「言葉」の力を信じる“結弦”たちの想いの行方を
ぜひ見届けてあげてほしい物語かと。巡る季節、新たな決断を迫られる彼らに要注目です。

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2022年05月27日

『聖女に嘘は通じない』

「薬屋のひとりごと」の 日向夏 先生が「アリアンローズ」に初登場。洞察力と記憶力に
秀でた神官見習いが、聖女にまつわる殺人事件の謎に迫るファンタジー&ミステリーです。
(イラスト:しんいし智歩 先生)

https://arianrose.jp/novel/?published_id=3814


十年に一度、特殊なギフトを持つ者から選ばれる国の代表2人「神子」。その候補に推挙
された“クロエ”だが寝耳に水な話で。聖騎士“エラルド”が彼女に話を持ち掛けた訳は
彼女が賭博で荒稼ぎするべく習得した力で神子候補の殺害犯を捜してほしいらしく──。

ギフト無しの“クロエ”が、ギフトを持つ神子候補たちと気風よく渡り合う姿は豪胆で。
「豪運の聖女」たる彼女でも及ばない局面を、「豪商の息子」でもある“エラルド”が
フォローしていく様子が強かで。含みある謎の数々がファンタジーらしさ満載で面白い。

“クロエ”を神子に使われたギフトから守る魔導具の有限性。神子派と聖女派の確執。
殺された“チーロ”の人物像。散在する点がひらめきと共に繋がる瞬間、幕を引かれる
事件の結末も実にファンタジーで新鮮な味わい。終章の落としどころも見事であります。

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2022年05月26日

『偏愛執事の悪魔ルポ』

数々のレーベルで作品を上梓し続けている 綾里けいし 先生が「講談社タイガ」に初登場。
天使候補のお嬢様に心酔する執事が悪魔としての立場で揺れるラブコメ×ミステリーです。
(イラスト:バツムラアイコ 先生)

http://taiga.kodansha.co.jp/author/k-ayasato.html#link9784065280119


“琴音”は天使となることを定められた神に選ばれし存在。“夜助”はその彼女に仕える
執事であり、彼女を至高と崇める者でありながら、天使とは敵対関係にある悪魔でもある。
二律背反の感情を抱く彼は、犯罪被災体質を持つ彼女と共に日々事件に巻き込まれて──。

次々に起こる事件から“琴音”を守るべく“夜助”が名推理と共に解決する、のではなく
事件を利用して彼女を悪堕ちさせる妄想、「悪魔的解決法」にうつつを抜かしている間に
彼女が事件を無かったことにする「天使的解決法」で話を丸く収めてしまう展開が面白い。

慈悲の心を試され続ける“琴音”が直面する閉鎖環境での殺人、彼女の体質に纏わる昔話、
迫られる選択。“夜助”は執事として、そして悪魔として緊迫する局面をどう見届けるか。
コメディ要素に引っ張られつつ、エピローグが示す2人の絆の由来が良い余韻を残します。

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2022年05月25日

『豚のレバーは加熱しろ(6回目)』

TVアニメ化が決定した、逆井卓馬 先生が贈る豚転生ファンタジー。第6巻はイェスマを
解放する「最初の首輪」を巡る連続殺人の犯人を追うべく“ジェス”が名探偵に扮します。
(イラスト:遠坂あさぎ 先生)

https://dengekibunko.jp/product/butaliver/322112000023.html


イェスマの解放を主張する“ノット”。その手立てを失った王家、“シュラヴィス”たち。
同盟破棄の危機を前に、全ての首輪を破壊する「最初の首輪」は切り札となるか。童謡に
隠された謎を元に探し出そうとする“豚”たちの様子はいよいよミステリーっぽい展開に。

“豚”仕込みの名探偵ネタを披露する“ジェス”の可愛らしさとは裏腹に大量かつ連続で
人が殺されていく状況は深刻なものに。ここへさらにイェスマ解放の是非を問う者たちの
思惑が絡んできて、犯人の動機を探り直す必要に駆られるところも謎解き要素いっぱいで。

たった一つの真実に辿り着いた結果として、やはり“ヴィース”が抱いたであろう心痛に
思いを馳せてしまいます。王朝、そして解放軍の行方がどうなるか気になるところ以上に
“豚”が度々、耳にしていた幻聴の意味に気づくことができるか、次巻も目が離せません。

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2022年05月24日

『続・魔法科高校の劣等生 メイジアン・カンパニー(4)』

佐島勤 先生が贈る魔法科高校を卒業した“達也”たちのその後を描く新シリーズ第4巻。
「FAIR」に対抗すべく“達也”が「FEHR」の代表“レナ”との提携に動く顛末を描きます。
(イラスト:石田可奈 先生)

https://dengekibunko.jp/product/mahouka/322112000011.html


「USNA」へ派遣された“真由美”と“レナ”の会見が、かの国で蠢く派閥間の駆け引きを
顕在化させる事態になるとは。“達也”の影響力の強さを目の当たりにするかのようです。
それにしても“遼介”の命知らずな働きぶりは“レナ”の忠犬が如きで今巻も相変わらず。

シャスタ山で「FAIR」に発見された2種類の石板、その1つと「USNA」にて謎の伝染病の
関係について調査に乗り出す“達也”に同行する“深雪”がちゃっかりハネムーン気分を
満喫するあたりは微笑ましく。けれど敵意を示す「FAIR」に容赦ないのは実に空恐ろしく。

「FAIR」のリーダー“ディーン”の持つ悪意を看過することなく、今回登場した“ルカ”
の複雑な事情を忖度することなく、シャスタ山へと突き進む“達也”。“光宣”の見解も
気にしながらある目的地を目指す彼らが何を目にすることになるのか、次巻も楽しみです。

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2022年05月23日

『ひきこまり吸血姫の悶々8』

小林湖底 先生が贈るコミカルファンタジー。第8巻は「常世」に飛ばされた“コマリ”が
“ヴィル”にやたら気のある少女との出会いを契機として、新たな事実に触れていきます。
(イラスト:りいちゅ 先生)

https://ga.sbcr.jp/product/9784815616427/


「常世」の“コレット”に昔いた幼馴染も“ヴィルヘイズ”。違うと分かっていながらも
一縷の望みに賭ける彼女のアプローチに“コマリ”も気が気ではない姿を晒すのが面白い。
“ヴィル”も満更ではない様子のこのやり取りが後々に響いてくるところが興味深い展開。

そんな中で【パンドラポイズン】が示した一週間後には“コマリ”が死ぬ、という未来視。
その要因が、冒頭で“スピカ”が熱弁していたにもかかわらず、どうにも的を得ない話が
関係してくるのも、もはや【孤紅の恤】だけで対応できない敵の存在にも驚かされる構成。

今回、傭兵団としてチームを組んだ「コマリ倶楽部」の面々をもってしても回避できない
決定的な瞬間に直面した“ヴィル”が動揺するのも無理はなく、その上で混乱の極みとも
言える置いてけぼりな結末に彼女たちは対応することはできるのか。続きが気になります。

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2022年05月20日

『お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件6』

2023年にTVアニメ放送を迎える、佐伯さん 先生が贈る甘く焦れったい恋の物語。第6巻は
帰省した“周”が過去のしがらみを吹っ切り、“真昼”と共に在る道を意識していきます。
(イラスト:はねこと 先生)

https://ga.sbcr.jp/product/9784815612009/
https://otonarino-tenshisama.jp/


“修斗”や“志保子”にからかわれながらも、しっかり開き直って“真昼”いちゃつける
“周”の胆力。それでいて一線は超えない真摯に紳士な応対。感慨深いったらないですね。
まだ彼女をドキドキさせる機会が多いものの、いつ逆転してもおかしくない距離感が絶妙。

“周”といるのが当たり前、といった“真昼”の幸せいっぱいな様子を見守るのが楽しい。
その雰囲気に水を差す一通の封筒が、彼女の表情に暗い影を落とすのは見ていて心苦しい。
切るにも切れない親子というしがらみを彼女は本当の意味で昇華できるのか気掛かりです。

夏祭りでの一幕も“周”と“真昼”のいちゃつきぶりに思わずニヨニヨしっぱなしですが、
その合間に語られる“樹”と“千歳”の円満な絆にも思わぬ障害が立ちはだかってそうで、
ここまで来てまだ一筋縄ではいかないのかと思うと同情を禁じ得ない。続刊も要注視です。

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2022年05月19日

『美少女エルフ(大嘘)が救う! 弱小領地 2 〜金融だけだと思った? 酒と女で作物無双〜』

長田信織 先生が贈る、爽快経済無双ファンタジー。第2巻はエルフフェアー商会の更なる
発展を目指し“アイシア”がドワーフの邑にある砂糖でひと儲けしようと手を伸ばします。
(イラスト:にゅむ 先生)

https://dengekibunko.jp/product/jakusyouryoti/322112000008.html


冒頭から“ディエナ”に対する仕打ちが容赦ない“アイシア”。その彼女の介入を良しと
しないドワーフの邑、現族長の“エドゥリカ”の頑なで強気な態度をどう崩すか。言葉は
相変わらず悪い所があるものの、しっかり相手の状況を考慮している点は褒めるべきかと。

頼みの綱となるはずの砂糖も問題あり、と見るや高品質なものを、効率よく、更に安全に
作るためにはどうすればいいかを模索する“アイシア”の考え方には感心しました。かの
ニュートンに関する逸話の数々をふんだんに盛り込んで話を進めていく構成が今巻も絶妙。

“エドゥリカ”が頑張り続ける訳。そこに寄り添った“アイシア”や“ダリオス”以上に
“ディエナ”が残した功績が“アイシア”に対する仕返しへと繋がっていく展開も面白い。
影の薄かった“エルエス”の動向も気にしつつ、次にどう話を転がすのか注目したいです。

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2022年05月18日

『天使は炭酸しか飲まない2』

丸深まろやか 先生が贈る青春物語。第2巻は「久世高三大美女」の一人“御影”に恋する
“志田”を後押しする“伊緒”が、その彼女からもある依頼と相談に乗る顛末を描きます。
(イラスト:Nagu 先生)

https://dengekibunko.jp/product/tenshihatansan/322112000016.html


“志田”が“御影”に惚れたきっかけとなる話からも、彼女が他人を思い遣れる魅力的な
少女であることは窺えます。ここで彼女からの依頼がバッティングしても“伊緒”が恋を
実らせることではなく、恋に決着をつけさせようとする方針に忠実な姿勢がまず印象的で。

誰の告白も受け入れない“御影”が好きな人とは誰なのか。“伊緒”が目を向けた所から
見えてくる、彼女が身につけてしまった処世術とも言える、寂しくて苦しい生き様を否定
してあげられるか。彼が放つ熱い言葉の数々が彼女へ届く度に胸が熱くなるのを覚えます。

惚れ癖が直った“湊”の抱く新たな悩みに喜ぶ“詩帆”が茶々を入れる様子も微笑ましく。
“御影”の件で“伊緒”がトラブルに巻き込まれそうなのを気遣う“日浦”も意味深長で。
そこに“志田”へ“御影”が返答した際の思惑も加わって眩しいほどに青春真っ盛りです。

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2022年05月17日

『わたし、二番目の彼女でいいから。3』

西条陽 先生が描く少年少女の不健全な恋愛模様。第3巻は“桐島”を共有する、という
問題先送り、かつ時限爆弾を抱えた“早坂”と“橘”の関係が更に泥沼へ嵌っていきます。
(イラスト:Re岳 先生)

https://dengekibunko.jp/product/nibanmenokanojo/322110000052.html


「抜け駆け禁止」と言ったものの“桐島”といちゃいちゃする“早坂”を見て嫉妬の念を
隠せない“橘”の矛盾した心。そこに諦めない“柳”のしたたかなアプローチも影響して
三角関係ヒロインとして自分を落とし込んでしまう彼女の壊れっぷりが泥沼すぎてつらい。

一方の“早坂”も“桐島”に依存し続けるのは良くないと言いながら“酒井”に不合格を
もらうほど彼からの卒業には程遠い矛盾を胸に抱え続ける。クリスマスで最後にしようと
切り出したはずが、彼に究極の選択を求めるあたり崖っぷち極まる感じでこれまたつらい。

バイト先や恋愛ノートの件が“桐島”に思いがけない繋がりを見せる中、ラブホテルでも、
幸せの白い粉をキメても、“早坂”や“橘”への独占欲を抱いても「選ぶ」という行為に
至らなかった彼と抜け駆けした結果のペナルティは発動するのか、次巻も目が離せません。

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2022年05月16日

『サキュバスとニート(2) 〜くえないふたり〜』

有象利路 先生が贈るギャグコメディ。第2巻は“和友”の部屋にある召喚陣から新たに
美少女な妖怪が現われ、“イン子”と共に騒がしい日々を過ごしていく様子を描きます。
(イラスト:猫屋敷ぷしお 先生)

https://dengekibunko.jp/product/succubustoneet/322111000154.html


“乃艶”が言う「飛縁魔」とは何か。もしご存じなければ追々わかるので、ぜひ調べずに
そのまま読み進めて、あるがままの彼女を受け止めてほしいと思います。彼女が“茉依”
の抱く夢にもつながっていく話の構成もお見事。今巻の副題も含みの持たせ方が絶妙です。

“和友”が好きすぎるあまり奇行に及んでしまう“茉依”もさることながら“琥太郎”が
その上をいくアレを見せつけてくるのが興味深い。気づいた“久遠那”の悩みもお察しで。
そんな日常を口絵、挿絵で演出する 猫屋敷 先生の作品愛が良い相乗効果を生んでいます。

兎角、世知辛い昨今だからこそギャグラノベで笑いを届けようとする 有象 先生の気概は
称賛に値すると思います。そのギャグを下地にした上で、読ませる物語としての完成度も
しっかりと用意されていて今巻も文句なしにオススメ。続刊されることを強く期待します。

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2022年05月13日

『小説 異世界居酒屋「げん」』

蝉川夏哉 先生の異世界グルメファンタジー『異世界居酒屋「のぶ」』公式スピンアウト作。
閉業を決めた店主の店が異世界につながったことで営業再開に至る顛末を小説で描きます。
(イラスト:碓井ツカサ 先生)

https://tkj.jp/book/?cd=TD028594


父“草平”が一人で営む、自身の思い出も溢れる居酒屋を閉めると“ひなた”は耳にする。
長年患っている腰痛が原因か。はたまた再開発の影響で客足が遠のいたか。とにかく急ぎ
店に戻ってみると、異国情緒のある客に料理を振る舞っている父の元気な姿があって──。

料理を介した異世界人との交流やいざこざ、神の御使いとの縁、異世界人の雇い入れなど
「のぶ」でもあった異世界に出入口が繋がってからの重要な要素を覗かせつつ「げん」の
お家事情を踏まえるとどうなるか、というスピンアウトらしい一面でも魅せてくれます。

“草平”なのに店の名前が「げん」、という理由。店を譲ってほしい、という“正太郎”
が抱える料理人としての悩みを“草平”が受け止める一幕。異世界を通じて現世界の人々
の考えるしあわせのかたちを印象深く見届けながら、続きに思いを馳せたいと思います。

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2022年05月12日

『100日後に死ぬ悪役令嬢は毎日がとても楽しい。』

ゆいレギナ 先生の「小説家になろう」投稿作が書籍化。許嫁の王太子殿下に浮気をされ
婚約破棄も目前の公爵令嬢が、神様に死の予告を受けてから送る意欲的な日々を描きます。
(イラスト:いちかわはる 先生)

https://ga.sbcr.jp/product/9784815614508/
https://ncode.syosetu.com/n8024hd/


「あなたは百日後に死にます」と神々しい青年から告げられる“ルル−シェ”。ほかにも
お家断絶、婚約者も悲惨な末路を辿ると聞き、彼女は回避不能の何とも惨めな人生の末路
を前に、最高に美しい死を遂げるために、自身に出来ることをやり遂げると決意する──。

どこか人間味あふれる“神様”の思惑とは裏腹に、彼しか理解できない“ルル−シェ”が
取り組む施策の数々を“サザンジール”たちが悪役令嬢のような振舞いとしか受け止める
ことのできないもどかしさ。そして切なさたるや。こんな良いお嬢さん、中々いませんよ。

“ルル−シェ”の奇行を受け止める渦中の人“レミーエ”がどう感じていたのか、などの
視点を交えて少しずつ未来が変遷していく兆しが見えてきた残り40日弱。“ザフィルド”
も呆れるほど独りよがりな“ルル−シェ”が思い描く人生の終着点を見届けたいものです。

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2022年05月11日

『処刑少女の生きる道(バージンロード)7 ―ロスト―』

TVアニメが放映開始を迎えた、佐藤真登 先生が贈るファンタジー作品。第7巻は世界中で
追われる身となった“メノウ”が“アカリ”を取り戻す手がかりを求めて北へ向かいます。
(イラスト:ニリツ 先生)

https://ga.sbcr.jp/product/9784815613990/
https://virgin-road.com/


“メノウ”と“アビィ”の旅に“マヤ”が加わることで賑やかになる様子は、“モモ”と
“アカリ”の時とは違うにしても、緊張の糸を解してくれるかのようでどこかありがたい。
そんな“マヤ”が思うところあって問題行動に出てしまうのが話の軸になるのが興味深い。

“メノウ”が退けた“教官”が語る、処刑人という立場の変化。“ハクア”や“マヤ”の
フラッシュバックする過去。立ちはだかる“ミシェル”の狙いと圧倒的な力。いやな予感
しかしない状況を“メノウ”が食い止められるか、緊張感の続く展開に焦りすら覚えます。

“メノウ”が“マヤ”を必要としていないわけじゃない。迷い続ける“マヤ”を諭すかの
ように告げた“サハラ”のあの一言が今巻では深く印象に残ります。“アビィ”の思惑が
未だ疑わしい点と、エピローグで見たやり取りの行方が気になります。次巻も要注目です。

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2022年05月10日

『負けヒロインが多すぎる! 3』

雨森たきび 先生が贈る負け確ラブコメ。第3巻は学園祭を迎えるにつれて先輩たちとの
別れが迫ってしまうを考えずにはいられない“小鞠”の心に“温水”が触れていきます。
(イラスト:いみぎむる 先生)

https://www.shogakukan.co.jp/books/09453064


“玉木”と“月之木”そして“小鞠”の3人で過ごした日々をどれだけ大切にしていたか。
それは次期部長として学園祭の準備を任された彼女の根を詰める姿からも見て取れる話で。
けれど頑張りすぎたが故に、彼女が思い描いた形で本番に至れなかったのは実に切なくて。

“小鞠”が部長としての初仕事、人前で話すのが苦手ゆえに悩ましい部長会での自己紹介。
練習に付き合う“温水”が、“玉木”たちから託された想いも踏まえてどう振る舞うのか。
彼女の怒りが、ただ単に彼の「やらかし」に対してだけではないのがまたもどかしい所で。

“小鞠”にとって文芸部という場がいかに大切か、を知る“温水”だからこそ掛けられる
言葉の数々に救われます。告白したことを後悔したくない、と“月之木”たちも驚かせる
ほどに成長した彼女の笑顔、その意味を彼が理解できるかは神のみぞ知る、ということで。

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2022年05月09日

『好きで好きで大好きなので、いっしょに好きを伝えたい』

「魔王学園の反逆者」の 久慈マサムネ 先生が贈る新作は、人見知りな美少女留学生を
受け入れることになった少年が、彼女の「オタ活」を後押しする顛末を描くラブコメです。

(イラスト:Aちき 先生)

https://sneakerbunko.jp/product/sukisukidaisuki/322112001137.html


フィンランドからの留学生“エイヤ”は絶世の美少女ながら人付き合いが悪く、周囲から
「氷のエルフ」と評される。そんな彼女が唯一、気を許せるのはホームステイ先の同級生
“桜雅”だけ。オタク文化に憧れ、留学するほどの彼女に彼が味方してくれたからで──。

好きなものをただ好きでいたいのに、身近にいる人たちがその「好き」を認めてくれない。
違った環境下にありながら、“エイヤ”も“桜雅”もオタクが故に苦汁を味わった者同士。
互いに、急速に心を寄せ合う様子が何とも微笑ましい。彼女のほうが重そうな過去ですが。

好きなものを好きと受け入れてくれる人々を探したい。“宇佐見”たちとの関わり方から
学んだ処世術を実践する一つの方法として選んだ「VTuberになる」という道。表紙の絵が
ようやく結びついたところで、いよいよ「雑談」枠も絡んでくる続きが気になるお話です。

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2022年05月06日

『この恋が壊れるまで夏が終わらない』

杉井光 先生が「新潮文庫nex」から初めて贈る新作は、読書好きな先輩に恋をした少年が
殺されてしまった彼女を救うために8月31日を巡り巡る、タイムリープ青春ミステリです。
(イラスト:syo5 先生)

https://www.shinchobunko-nex.jp/books/180237.html


きっかり12時間前に時を巻き戻す能力を持つ“啓太”は、その限られた力に虚しさを覚え
なるべく使わないように、と心に決めて生きてきた。その彼が恋する先輩“純香”の死を
目にして力を使わずにはいられない。何度も彼女を死なせることになるとは知らずに──。

美術部の先輩“道永”が“純香”を「ろくでもない」と評価した理由。何度繰り返しても
“純香”が8月31日に違った形で死に至る原因。怪しい点を探りつつ、人の心の闇に触れ、
「先輩を救えないのでは」と“啓太”が諦めかけるほど迷走し続ける展開が実につらい。

《巻き戻し》におけるある例外と、本作のタイトルが交錯することで辿り着く夏の終わり
に残る喪失感はどこか切なくて。けれど8月31日の連なりから学んだこと、気付いた点を
“啓太”が活かして次の恋に繋げることを願って止まない。そんな余韻を残す物語です。

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2022年05月05日

『イレギュラー・ハウンド いずれ×××になるだろう』

「ひげを剃る。そして女子高生を拾う。」の しめさば 先生が贈る新作は、他人の痛みを
感じる異能に悩む少年が、拾われた警察関係組織で生きる意味を模索する顛末を描きます。
(イラスト:はくり 先生)

https://sneakerbunko.jp/product/irregularhound/322112000106.html


希死念慮に囚われ電車に飛び込む寸前の“桃矢”を助けた少女“ハチ”は彼と同じような
特殊能力者「イレギュラー」であると告げる。力を悪用する者たちと対抗するための組織
に所属する彼女の仕事を手伝うことで彼は自分の有用性を見い出す可能性を感じるが──。

なし崩し的に始まった捜査の対象となる“優美”は“桃矢”のクラスメイトで失踪中の身。
“ハチ”が彼女を保護できない理由、彼女もまた生きる意味を見失うほどの闇の中にいる
ことを知るうちに、生きてほしいと、自身も生きたいと思えるようになる姿に惹かれます。

“桃矢”と出会った時に“優美”が言ったあの一言と、プロローグにある独白が紐づいた
瞬間に感じた驚きは中々のもの。彼に対して“亜樹”と“ハチ”が感じた想いの違いとか、
“犬養”の信用ならない様子など、気になる要素も残っていて続きが気になる作品です。

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2022年05月04日

『ひげを剃る。そして女子高生を拾う。 Another side story 後藤愛依梨 上』

しめさば 先生が贈るサラリーマンと女子高生の日常ラブコメディ。本編完結のその後を
描く外伝は、“沙優”が家へ戻った後の“吉田”と“後藤”が互いの感情と向き合います。
(イラスト:ぶーた 先生)

https://sneakerbunko.jp/product/higewosoru/322105000117.html


“吉田”が自分のことを好きなのは分かっているはずなのに、踏み込ませない“後藤”の
心理を深堀りするほどに「こんなに面倒くさい人だったのか」と、彼に同情を禁じ得ない
悩ましく、もどかしい感情が募ります。“神田”の辛辣な言葉も得心がいくというもので。

赤裸々に本心を語る“神田”にせっつかれる形で臨んだ2人旅でも、恋愛に向いていない
“後藤”の本質的な部分が決定的な一歩を踏み出す邪魔をする所をみて「これは終わった」
と思うのも無理はなく。“吉田”との関係を拗らせた“三島”すら引くのも当然の流れで。

“後藤”のことが好きだ、とあれ程までに主張している“吉田”を信じていないかの様な
「たられば話」に彼女が持ち込んでしまうのも“沙優”という存在、影響力の大きさ故か。
“沙優”と再会を果たす“吉田”がどんな「答え」を出すのか、下巻から目が離せません。

posted by 秋野ソラ at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル