健速 先生が贈る人気シリーズ。「BOOK☆WALKER」(電子書籍)のみで贈る中編小説では
高校生最後の夏を過ごす“孝太郎”たちが忙しい中、夏祭りで羽を伸ばす顛末を描きます。
(イラスト:ポコ 先生)
【 https://firecross.jp/hjbunko/product/1475 】
夏祭り、と言えば浴衣。女性陣の浴衣選び、そのセンスから窺える彼女たちの「らしさ」
を“孝太郎”がどう評価するか。このやり取りがまず面白い。“ティナ”から揚げ足を
取られそうになる所を“クラン”の着付けを手伝うことで回避していまうのが印象的で。
金魚すくいや射的、出店の買い食いと夏祭りを満喫する中で“ナナ”が何かと可愛らしい
と言われて、これまた可愛らしく怒る様子が何とも微笑ましい。“ティナ”と射的勝負に
臨む“孝太郎”が互いに喧嘩しながら世話を焼く、という独特の信頼関係が興味深い話で。
“ゆりか”も気付く、“ナナ”と“孝太郎”にある距離感の変化。思わず“ルース”らが
騒ぎ出すその「きっかけ」は読んで確認いただくとして、天才肌であるがゆえに不器用に
生きてきた彼女に対して冷静に、的確に対処できる彼を改めてすごいと感じる一幕でした。