折口良乃 先生が贈るモン娘診察奮闘記。大台に乗る第10巻は凶刃に倒れた“グレン”が
思いがけない患者と症例に巡り合い、命懸けの診察に挑む顛末を描く最終巻となります。
(イラスト:Zトン 先生)
【 http://dash.shueisha.co.jp/bookDetail/index/978-4-08-631460-2 】
妖精さん、こと“コティングレー”に現状を説明された上に、件のデュラハンから刺した
理由を説明される、という“グレン”にとっては戸惑うしかない話の入り方。冥府の女王
“エレ”が彼を嫌悪する理由が、死してなお医療行為に勤しむ姿からも窺えるのが面白い。
突然の凶報に動揺が隠せない“サーフェ”たちも、“クトゥリフ”の下した診断結果など
から“グレン”の死を覆す可能性を掴もうと思い思いに決意し、動き出す姿が実に力強い。
特に“サーフェ”が抱いた激情が、ラストのあの挿絵でしっかり報われたのが微笑ましい。
“グレン”のひたむきさがもたらした今回の結末、因果応報という言葉が頭をよぎります。
より一層の精進を重ねるはずの彼が“エレ”と結んだ約束を果たしてくれると信じてます。
モン娘への愛が詰まった本作がここまで受容され無事完結を迎えたことを喜ぶばかりです。