2022年04月22日

『本好きの下剋上〜司書になるためには手段を選んでいられません〜第五部「女神の化身8」』

香月美夜 先生が贈る大人気ビブリア・ファンタジー。 第五部・8巻は“ローゼマイン”
による“フェルディナンド”救出作戦、本物のディッターで勝利を掴む顛末を描きます。
(イラスト:椎名優 先生)

https://tobooks.shop-pro.jp/?pid=163830849


“フェルディナンド”からの遺言めいた言葉に怒りを覚え、電光石火の勢いで、間一髪の
局面に“ローゼマイン”が間に合うまで、読んでいて気持ちが昂るのを抑えきれない展開。
復活早々にふてぶてしい彼を見た彼女が、喜怒哀楽の感情を巡らせるのがもう感慨深くて。

魔王が如く指揮を執る“フェルディナンド”も勇ましいものですが、やはり本質は研究者。
計画を台無しにした“ローゼマイン”を唆して「遊び場」を拵えようとする強かさは見事。
再会した“レティーツィア”に“ローゼマイン”が下した判断にも彼女の真情が窺えます。

それにしても“ゲオルギーネ”がしぶとい。事に至るまでの生い立ち、家の事情があるに
せよ、しでかしたことに対する同情の余地はなく。彼女が仕掛ける「最後の戦い」に対し
“ローゼマイン”と“フェルディナンド”がどう手を打つか。続きを待つしかありません。

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2022年04月21日

『占い師オリハシの嘘』

なみあと 先生が贈る新作は、カリスマ占い師でありながら失踪する癖もある姉を持つ妹が
普通の女子大生でありながら持ち前の推理力で占いを代行する顛末を描くミステリーです。
(イラスト:美和野らぐ 先生)

http://taiga.kodansha.co.jp/author/namiato.html#link9784065276556


「奏ちゃん、しばらく代役をよろしくね」と言葉を残した姉の“紗枝”はすでに音信不通。
妹の“奏”は神秘の力などないが様々な情報を分析し、依頼を代行すべく今日も奔走する。
評判の占い師“オリハシ”としてより良い未来を、迷える依頼者へと授けるためにも──。

“奏”なりの占いの仕方を、まずはお手並み拝見とばかりに「魔女と結婚運」にまつわる
依頼を通じて魅せつつ、続く短編からは別々の依頼が絡み合ってあるオカルトめいた謎に
迫っていくことになる連作としての構成の妙でも惹き込ませてくれます。実に面白い展開。

“奏”とバディっぽい関係にありながら適切な距離を置かざるを得ない“修二”には同情
を覚えずにはいられない。その上で、“紗枝”が失踪する「本当の理由」を知って驚いて
もらいたい物語かと。単巻で終わらせるのはもったいないので是非シリーズ化を希望です。

posted by 秋野ソラ at 00:46 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2022年04月20日

『ちっちゃくてかわいい先輩が大好きなので一日三回照れさせたい4』

五十嵐雄策 先生が贈るラブコメディ。第4巻は先輩を喜ばせたいという“龍之介”の
深意を、「照れハラ」で照れさせる彼を意識する“花梨”と共に掘り下げていきます。
(イラスト:はねこと 先生)

https://dengekibunko.jp/product/kawatere/322109001012.html


“龍之介”は“花梨”のことが好きかもしれない、という推測が彼女をギクシャクさせて。
けれど「照れハラ」が続く彼の言動にそれを否定されたかのようで、わだかまりを覚えて。
もどかしい展開が続く2人をせっつきたくなる“真衣”の気持ちも分かるような気がして。

“花恋”からアプローチを受けても、“星菜”から前のめりな質問攻めにあっても気付く
ことなく“花梨”一筋な“龍之介”。彼が先輩からの強い想いを受け止める度に生まれる
違和感を「ヒットを打たれたような感覚」と表して持て余すところが「らしい」気がして。

体調不良に陥る“龍之介”と“花梨”が互いに弱さを、わずかに本音を晒してしまう展開。
そこから発生する決定的な変化を、これまた「声」で認識するところが実に見事な演出で。
彼の姉“桐子”からはすでに公認の仲とされる2人が自認する関係へと至るか、注目です。

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2022年04月19日

『推しの認知欲しいの?←あげない』

『中二病でも恋がしたい!』の 虎虎 先生が「電撃文庫」に初登場。覆面系音楽ユニット
でボーカルを務める少女が、恋する少年と想いをすれ違いまくらせるガチ恋ラブコメです。
(イラスト:こうましろ 先生)

https://dengekibunko.jp/product/322112000015.html


アイドルに本気になってどうする、と思っていた“春永”が出会う運命のような音楽動画。
覆面系アーティスト「たぶん、きっと、月の下」のボーカル“derella”に恋する彼を見る
幼馴染“手毬”の心境は複雑。彼の推しの正体で、彼が好きでもある彼女からしたら──。

初の配信ライブが近づくにつれ、推しに対する気持ちが昂る“春永”。言い出せなくても
“derella”ではなく自分を好きになってくれたらと気概を持ち続ける“手毬”が対称的。
そんな彼が「推しに逢ってどうしたいか」を彼なりに突き詰めていく様子がまず印象深い。

配信日は奇しくも“手毬”の誕生日。彼女にも、“春永”にとっても一番大事な日なのに。
今まで2人で一緒に過ごしてきた日なのに。泣きそうになる日を気丈に終えていく彼女が
涙を零すまでの顛末がいじらしく、応援したくなることうけあい。続刊を願うばかりです。

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2022年04月18日

『りゅうおうのおしごと!16 画集付き特装版』

白鳥士郎 先生が贈る熱血将棋コメディ。豪華な画集付き特装版が同時発売となる第16巻は
“歩夢”の公開プロポーズの行方を“釈迦堂”の過去と棋界の暗部に触れながら描きます。
(イラスト:しらび 先生)

https://ga.sbcr.jp/product/9784815615031/


“釈迦堂”が研究する将棋、古い将棋界から課せられた枷、僅かな至福と残る不甲斐なさ。
過ぎた全盛期にわだかまりを残す彼女を“八一”が、そして“あい”が別々の手口を使い
その誤解を解く展開が熱い。一方で、彼女が歩んできた将棋界の闇の深さには驚くばかり。

白鳥 先生の面影を重ねるかのようにサイン本を量産する“八一”の姿から本を売る難しさ
を痛感せざるを得ず。師匠からのエールに応えるべくプロ棋士を目指す“あい”とは別に
線型不明の棋譜を残して師を誘う“天衣”。まだ予断を許さない状況から目が離せません。

画集では、魅力あるキャラクターを文章と共に絵で具現化して表現できるライトノベルの
強み、そして本作における しらび 先生の功績をこれでもかと見せつけられるかのようで。
同人誌のイラストも収録されているのも有難い。まさにお値段以上、至高の一品でしょう。

posted by 秋野ソラ at 00:33 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル