栗ノ原草介 先生が贈る婚活ラブコメ。第6巻は“縁太郎”が“カレン”と“結衣”からの
好意を受け止められない理由と、業界再編の荒波に向き合う顛末を描く最終巻となります。
(イラスト:吉田ばな 先生)
【 http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094530629 】
父親と婚活の考え方で揉めて、“縁太郎”の家になし崩し的に転がり込んできた“結衣”。
“マリア”のサポートを受けつつ、譲れない彼への不意打ちに焦りが隠せない“カレン”。
それでも選べない彼の心の頸木を解き放つために決め手となったあの一言がまず印象深い。
人生の伴侶を決めたとはいえ、「娘を一生しあわせに出来るのか」と相手の父に問われて
言い淀む“縁太郎”は不安を突かれた形で。しかも結婚相談所・連合会の解散危機という
重圧も掛かって。“誠”に相談に乗ってもらっても打つ手なし、からの逆転劇がまた熱い。
婚活って、より良い結果に向けて努力できる部分はあるものの、運命の人と出会えるかは
「縁」があるかどうか、それを掴めるかどうかが鍵なんだ。そんな想いを、自分の経験を
振り返りながら再認識させてくれたお話でもありました。無事完結をここに祝う次第です。
2022年04月29日
2022年04月28日
『クラスのぼっちギャルをお持ち帰りして清楚系美人にしてやった話3』
「漫画エンジェルネコオカ」のマンガ動画で脚本を担う 柚本悠斗 先生が自ら編む恋物語。
第3巻は“葵”のもとを離れたはずの母親が来訪し、“晃”も彼女も選ぶ道を模索します。
(イラスト:magako 先生 キャラクター原案:あさぎ屋 先生)
【 https://ga.sbcr.jp/product/9784815614416/ 】
“葵”の父親に対する肩透かしから一転、母親のクズさに対して怒り心頭に発する“晃”
には同意しかない導入部分。学園祭の準備で彼と彼女の雰囲気が更に睦まじさを増す中で
冷や水を浴びせる展開を前に、母と娘が出す結論を待つしかない彼のもどかしさたるや。
クズとはいえ、母親と一緒にいるのが娘として幸せかもしれない。そんな一縷の望みすら
打ち砕く現実に悲痛な思いを吐露する“葵”の、何と痛ましいことか。彼女を守れるのは
自分だけ、とうぬぼれていた“晃”自身との決別にも似た顛末にどこか虚しさが残ります。
タイトルにある趣意を反転させる学園祭の出し物、という演出もさることながら“泉”や
“瑛士”、バイト先の店長にも気遣われて何とか成功へ漕ぎ着けていく“葵”と“晃”の
様子が印象的。共に花火を見ながらつぶやいた彼女の願いがどこへ向かうか気になります。
第3巻は“葵”のもとを離れたはずの母親が来訪し、“晃”も彼女も選ぶ道を模索します。
(イラスト:magako 先生 キャラクター原案:あさぎ屋 先生)
【 https://ga.sbcr.jp/product/9784815614416/ 】
“葵”の父親に対する肩透かしから一転、母親のクズさに対して怒り心頭に発する“晃”
には同意しかない導入部分。学園祭の準備で彼と彼女の雰囲気が更に睦まじさを増す中で
冷や水を浴びせる展開を前に、母と娘が出す結論を待つしかない彼のもどかしさたるや。
クズとはいえ、母親と一緒にいるのが娘として幸せかもしれない。そんな一縷の望みすら
打ち砕く現実に悲痛な思いを吐露する“葵”の、何と痛ましいことか。彼女を守れるのは
自分だけ、とうぬぼれていた“晃”自身との決別にも似た顛末にどこか虚しさが残ります。
タイトルにある趣意を反転させる学園祭の出し物、という演出もさることながら“泉”や
“瑛士”、バイト先の店長にも気遣われて何とか成功へ漕ぎ着けていく“葵”と“晃”の
様子が印象的。共に花火を見ながらつぶやいた彼女の願いがどこへ向かうか気になります。
2022年04月27日
『公務員、中田忍の悪徳3』
立川浦々 先生が贈る、異世界エルフと邂逅した地方公務員の道義を描く異色作。第3巻は
“アリエル”が描く謎の紋様と2人目の異世界エルフの関連性について“忍”が探ります。
(イラスト:楝蛙 先生)
【 http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094530636 】
後に“忍”が「魔法陣事件」と呼ぶ今回の騒動。2人目の異世界エルフがいると思われる
場所を突き止めて邂逅するのもさることながら、「見殺しにする」と“義光”たちに宣言
していた思惑とはかけ離れた「正しい行い」に至る彼の迷走っぷりに今巻も驚かされます。
そんな“忍”の迷いを、言葉が通じないながらも理解したと思われる“アリエル”。その
身をもって何とかしたいと示す彼女の意思を感じて、流石の彼も絆されないワケがない。
彼女の言動を見ては自然と「かわいい」と内心こぼす所からも兆しは見て取れましたし。
“徹平”や“義光”が呆れ、“由奈”が蔑視する、“忍”の我が儘を押し通した結果には
当初からは想像もつかない救いと、未来の可能性を感じて穏やかな雰囲気に包まれそうな
結末に釘を刺すあの一文。意想外の新たな未知は希望か、危険か。次巻も目が離せません。
“アリエル”が描く謎の紋様と2人目の異世界エルフの関連性について“忍”が探ります。
(イラスト:楝蛙 先生)
【 http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094530636 】
後に“忍”が「魔法陣事件」と呼ぶ今回の騒動。2人目の異世界エルフがいると思われる
場所を突き止めて邂逅するのもさることながら、「見殺しにする」と“義光”たちに宣言
していた思惑とはかけ離れた「正しい行い」に至る彼の迷走っぷりに今巻も驚かされます。
そんな“忍”の迷いを、言葉が通じないながらも理解したと思われる“アリエル”。その
身をもって何とかしたいと示す彼女の意思を感じて、流石の彼も絆されないワケがない。
彼女の言動を見ては自然と「かわいい」と内心こぼす所からも兆しは見て取れましたし。
“徹平”や“義光”が呆れ、“由奈”が蔑視する、“忍”の我が儘を押し通した結果には
当初からは想像もつかない救いと、未来の可能性を感じて穏やかな雰囲気に包まれそうな
結末に釘を刺すあの一文。意想外の新たな未知は希望か、危険か。次巻も目が離せません。
2022年04月26日
『高3で免許を取った。可愛くない後輩と夏旅するハメになった。』
『俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎる』の 裕時悠示 先生が贈る新作は青春冒険ラブコメ。
高校最後の夏を前に車の免許を取った少年と後輩少女が夏旅に至る顛末と決意を描きます。
(イラスト:成海七海 先生)
【 https://ga.sbcr.jp/product/9784815612924/ 】
遅刻ゼロ実現を目指す風紀委員の“あやり”に目を付けられる、遅刻常習犯の“廉太郎”。
彼は敵同然の彼女に、校則違反となる「車の免許を取得していること」が知られてしまう。
家の都合以上に車での夏旅に懸ける情熱が元で至った経緯について彼は弁明に臨むが──。
“廉太郎”の事情を知りつつも、未成年者の事故発生率を懸念する“あやり”が提案した
「テスト」をクリアできるか。先生にバレたら停学の危機を回避するのに必至で浮足立つ
彼とは対称的に、彼を気遣いながらどこかはしゃいでいる様子の彼女が何ともいじらしい。
“あやり”もまた複雑な家庭環境下にあり、“廉太郎”とも浅からぬ縁があり、その上で
彼が夏旅で目指す先にも思う所ある、となれば彼女がタイトル通りの道を選ぶのも道理で。
いつか彼女の様々な想いが報われることを願わずにはいられないロードノベルに注目です。
高校最後の夏を前に車の免許を取った少年と後輩少女が夏旅に至る顛末と決意を描きます。
(イラスト:成海七海 先生)
【 https://ga.sbcr.jp/product/9784815612924/ 】
遅刻ゼロ実現を目指す風紀委員の“あやり”に目を付けられる、遅刻常習犯の“廉太郎”。
彼は敵同然の彼女に、校則違反となる「車の免許を取得していること」が知られてしまう。
家の都合以上に車での夏旅に懸ける情熱が元で至った経緯について彼は弁明に臨むが──。
“廉太郎”の事情を知りつつも、未成年者の事故発生率を懸念する“あやり”が提案した
「テスト」をクリアできるか。先生にバレたら停学の危機を回避するのに必至で浮足立つ
彼とは対称的に、彼を気遣いながらどこかはしゃいでいる様子の彼女が何ともいじらしい。
“あやり”もまた複雑な家庭環境下にあり、“廉太郎”とも浅からぬ縁があり、その上で
彼が夏旅で目指す先にも思う所ある、となれば彼女がタイトル通りの道を選ぶのも道理で。
いつか彼女の様々な想いが報われることを願わずにはいられないロードノベルに注目です。
2022年04月25日
『王様のプロポーズ2 鴇羽の悪魔』
橘公司 先生が贈る新世代最強の初恋を描くファンタジー。第2巻は超人気動画配信者が
“無色”を勝手に彼氏として紹介し、「彼女」の座を懸けて“彩禍”との勝負に挑みます。
(イラスト:つなこ 先生)
【 https://fantasiabunko.jp/product/202109propose/322012001026.html 】
“喰良”に終始ふり回されっぱなしとなる今巻。魔術師養成機関〈影の楼閣〉との交流戦
にて“彩禍”と愛の三番勝負を挑むなど、トリックスターのように不可解な言動を見せる
“喰良”の原拠が、序章と終章の章題の付け方に表れている点は仕掛けとしても見事な所。
〈影の楼閣〉の“紫苑寺”学園長と“彩禍”との根深い因縁もあって、番狂わせな展開が
続く上に「彼女」の豹変から一気に世界の危機へと変貌していく状況。流石の“黒衣”も
後塵を拝する、〈庭園〉の存続にも関わる事態に“無色”の資質が問われる緊迫感が重い。
窮地の中、“彩禍”に託された想いを胸に、世界を救うためには手段を選ばないと決めた
“無色”が手にした最悪の手段。“シルベル”が開示したあの情報。“瑠璃”が抱く心の
わだかまり。ほころびが見え始める彼らの秘密、その行方も気になる次巻が楽しみです。
“無色”を勝手に彼氏として紹介し、「彼女」の座を懸けて“彩禍”との勝負に挑みます。
(イラスト:つなこ 先生)
【 https://fantasiabunko.jp/product/202109propose/322012001026.html 】
“喰良”に終始ふり回されっぱなしとなる今巻。魔術師養成機関〈影の楼閣〉との交流戦
にて“彩禍”と愛の三番勝負を挑むなど、トリックスターのように不可解な言動を見せる
“喰良”の原拠が、序章と終章の章題の付け方に表れている点は仕掛けとしても見事な所。
〈影の楼閣〉の“紫苑寺”学園長と“彩禍”との根深い因縁もあって、番狂わせな展開が
続く上に「彼女」の豹変から一気に世界の危機へと変貌していく状況。流石の“黒衣”も
後塵を拝する、〈庭園〉の存続にも関わる事態に“無色”の資質が問われる緊迫感が重い。
窮地の中、“彩禍”に託された想いを胸に、世界を救うためには手段を選ばないと決めた
“無色”が手にした最悪の手段。“シルベル”が開示したあの情報。“瑠璃”が抱く心の
わだかまり。ほころびが見え始める彼らの秘密、その行方も気になる次巻が楽しみです。