2022年03月28日

『千歳くんはラムネ瓶のなか6.5』

裕夢 先生が贈るリア充側青春ラブコメ。第6.5巻は一つの結論を出した、あるいはそれを
見届けた少年少女たちが過ごすひと夏の中で心によぎる感情を描く「長編」集となります。
(イラスト:raemz 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094530605


出来ているつもりでも上手く割り切れないのが人の感情。金沢旅行を通じて“朔”を想う
気持ちは捨てるものではない、と向き直す“夕湖”の機微がもう自然に在る少女そのもの。
複雑な感情の中にある彼女を見て“悠月”や“なずな”がどう思ったか、も注目の描写で。

夢を追う手伝いを“朔”にしてもらう“明日風”が味わう共時性は2人に残された時間を
裏付けるかのようでどこか物悲しくて。同じく彼のことを大切な人と思えるようになった
“優空”が共に居る時間を噛みしめつついつまで続けられるが不安になる様子も印象的で。

恋することと、バスケの強さを求めることの狭間で揺れる“陽”もまた悩める乙女の一人。
“舞”からの指摘や、先輩方にしごかれるうちにそれを吹っ切っていく強さがまぶしくて。
円陣の掛け声がすべてを物語ります。サイドストーリーなどと侮るべからずの長編集です。

posted by 秋野ソラ at 00:19 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル