2022年03月17日

『浮遊世界のエアロノーツ2 風使いの少女と果てなき空の幻想歌』

森日向 先生が贈るロードノベル。第2巻は“泊人”と共に旅をすると決めた“アリア”が
訪れた土地での新たな出会いの数々を通して、自分のやりたいことを突き詰めていきます。
(イラスト:にもし 先生)

https://dengekibunko.jp/product/huyuusekaino/322109000017.html


“アリア”が飛空船の訓練と免許取得のため訪れたタルタ島。“泊人”と旧知の仲である
“バッカス”から指摘された彼女の「困っている人を助けたい」という願いのあいまいさ。
彼の弟子“コルト”の心の内に触れながら、その具体化を求められていくのが今巻の本筋。

神樹に教え導かれる島、ラカン島にまつわる秘密を知ったことで早速「人を助ける」とは
何なのかを問われる“アリア”。彼女がファンとして憧れる作家“ニーナ”のスランプを
脱するための手段に葛藤し、その結末から道しるべを得る様子には考えさせられるものが。

音楽の島、カンタス島で“アリア”らしい「歌うことでたくさんの人が救えるのでは」と
いう可能性を追求した結果、“泊人”の旅の目的と彼女の望みが重なっていく場面がもう
こそばゆいの何の。共に「始まりの島」へ辿り着けるか、引き続き見届けたいところです。

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2022年03月16日

『聖剣学院の魔剣使い9』

志瑞祐 先生が贈る学園ソードファンタジー。第9巻は“リーセリア”たちの元へ帰還した
“レオニス”が〈ヴォイド〉に相対する「魔王」として世界の命運にかかわっていきます。
(イラスト:遠坂あさぎ 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/seikengakuin/322110001117.html


〈ヴォイド〉が闊歩する異世界との繋がり。〈第〇八戦術都市〉において発生する異常。
“アレクシオス”が密かに抱える計画が“レオニス”の抱いていた不可解な穴を埋める
展開に、二項対立では収まらない彼らの関係とその変化も窺えて興味深さを覚えました。

“ブラッカス”の進言した敵の本拠地があるという「エリュシオン学院」に舞台を移して
“レオニス”が早速、災難な目に遭うあたりは微笑ましく、まさに戦士の休息といった所。
ここは“シャトレス”の察しの良さにもぜひ注目して見ていただきたい場面でもあります。

油断していた訳ではないものの、後手を取る形となる“レオニス”たちが新たなる敵を
前にしてどう動くか。“シャーリ”と“リーセリア”の師弟関係にも目を見張りながら
彼が聞いたかもしれないあの声が意味深長な余韻を残す引き具合で、次巻も要注目です。

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2022年03月15日

『ギルドの受付嬢ですが、残業は嫌なのでボスをソロ討伐しようと思います4』

香坂マト 先生が贈る、かわいい受付嬢がボスと残業を駆逐する大人気シリーズ。第4巻は
闘技大会の優勝賞品を壊した“アリナ”がバレないよう大会に出場して優勝を目指します。
(イラスト:がおう 先生)

https://dengekibunko.jp/product/uketsukejo/322109000013.html


何かとツイてない“アリナ”の姿と、トラプルプロジェクトによくある話に苦笑いしつつ、
純遺物の像にやらかしたことが事の始まりとなるだけでなく、後々のエピソードで重要な
鍵となる話の繋げ方に驚かされます。コミカルなだけじゃない本作の醍醐味でもある所で。

〈巨神の破鎚〉のスキルで向かうところ敵なしの“アリナ”がその力を使えなくなったら、
あるいはそういったスキルを超えるものが現われたらどうなるのか。そんな疑問、そして
冒頭で触れたエピソードに一つの回答を示す、色々と興味深い事の次第でもあったワケで。

仲間や友達といった存在の有難み、大切さ。今回もまた傷だらけの“ジェイド”に対して
“アリナ”が示す態度からも伝わってくる結末の中、“グレン”も命がけで掴んだ逸話が
物語の点と点をまた一つ結びつけていく構成もまたお見事。次巻が楽しみで仕方ないです。

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2022年03月14日

『楽園ノイズ4』

杉井光 先生が贈る青春バンドストーリー。第4巻は“華園”先生がかつて所属していた
管弦楽団の応援に駆り出されたPNOメンバーが、その解散の危機を救う手立てを考えます。
(イラスト:春夏冬ゆう 先生)

https://dengekibunko.jp/product/paradise_noise/322110000037.html


自他共に音楽だけで生きていく将来像しか見えない“真琴”。“黒川”が辞めたバンドの
復活騒動に巻き込まれる彼が「音楽を続けられなくなる」という境遇や心境に触れながら
自身が「国境」を越えた先にいて、プロデューサーとしての姿を意識する気概が窺えます。

そんな中、コンサート前でメンバー不足に陥る管弦楽団を手伝うことになる“真琴”たち。
改めて音楽を続けられる幸運を噛みしめ、楽団の姿を通じて“華園”先生の影を思い返し、
自分ならどんなオーケストレーションを実現させられるか身をもって実現する熱量が凄い。

指揮者はなぜ必要か。“小森”先生から教わったその肝が“真琴”の出来ることと重なり、
いつしか手段と目的をごっちゃにするような彼だからこそ“伽耶”や“凛子”の両親の心
をも動かしたのだろうと思うとやはり罪作りな男。羨ましくも刺されないことを祈ります。

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2022年03月11日

『じつは義妹でした。2 〜最近できた義理の弟の距離感がやたら近いわけ〜』

白井ムク 先生が贈る兄妹いちゃラブコメ。第2巻は“晶”が人見知りの克服を目的として
学園祭にてロミオを演じる決意を“涼太”が後押しすることで深まっていく絆を描きます。
(イラスト:千種みのり 先生)

https://fantasiabunko.jp/product/202111jitsuimo/322111001057.html


距離を縮めれば問題ないよね、と攻める“晶”を責めつつも意識せざるを得ない“涼太”。
そんな彼女も外に出れば「借りてきた猫モード」になることは悩みとして気にしていて。
“ひなた”と共に演劇部の手伝いをする流れで“晶”が転機を図ろうとするのが話の軸。

練習に苦戦する“晶”を“涼太”が手伝うことで発生するイベントの数々も押さえつつ、
“光惺”と“ひなた”のちょっと込み入った兄妹関係にも触れていく構成に注目。妹の
もどかしく、後ろめたいような感情を兄としてどう見極め、受け止めるのかが印象深い。

様々な思惑とトラブルを抱えて迎える「ロミオとジュリエット」がどう大団円に繋げて
いくのかを見ていただきたい。一番の立役者は演劇部の部長だったのかも知れませんが。
“涼太”が“建”に対して立てた約束がどこまで有効なのか、引き続き見守りたい所です。

posted by 秋野ソラ at 00:57 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル