2022年03月24日

『後宮妃の管理人 六 〜寵臣夫婦は企てる〜』

しきみ彰 先生が贈る後宮物語。第6巻は「醜毒の乱」に対する誠意として和宮皇国から
後宮入りしてきた姫君に関わる陰謀を探り当てた“優蘭”と“皓月”が一計を案じます。
(イラスト:Izumi 先生)

https://lbunko.kadokawa.co.jp/product/kanrinin/322108000623.html


ワガママ姫“桜綾”によって宮廷内の調和が乱される。そんな事態は避けたい“優蘭”に
“空泉”が投げかけた何気ない一言。事の重みが思いのほか枷となる彼女を最初に労わる
のが“麗月”で、その後に労わりつくすのが“皓月”という構図が面白くも微笑ましくて。

騒動の種となった“桜綾”が根本原因ではなく、彼女の置かれた立場にある点が見えると
現状打破に向けて打つ手を変えてくるあたりが“優蘭”のすごい所で。その想いに応える
べく動く“皓月”も良き夫、そして理解者として振る舞えているのが感慨深くもあります。

国の命運を揺るがす陰謀の引き金に“桜綾”がなってしまうのか。様々な経緯を踏まえた
寵臣夫婦の回避策、ぜひ仕上げを御覧じろ、という結末がお見事。何より2人、というか
“皓月”が終始見せるイチャつきぶりも注目。深まる愛がもたらす変化に期待したいです。

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2022年03月23日

『エンド・オブ・アルカディア』

蒼井祐人 先生の「第28回電撃小説大賞・金賞」受賞作。生命再生システムにより死んでも
復活する無敵の少年少女たちが繰り広げる戦争を舞台に生まれる、邂逅と共鳴の物語です。
(イラスト:GreeN 先生)

https://dengekibunko.jp/product/arcadia/322110000040.html


クローン技術の進化によって死ぬ間際の自身を再生し、死を回避することに成功した世界。
その軍事転用でいつしか二大強国の戦争が当たり前となり、“秋人”は合衆国の小隊隊長
として連邦と最前線で戦果を上げ続けてきたが、密かにある違和感を覚え始めていて──。

“秋人”と連邦のエース“フィリア”との因縁。そして対比する日常生活の描写が印象的。
2人の戦いにどう決着をつけるか、では済まなくなる不測の事態発生を機に彼の違和感が
段々と頭をもたげていく様子、更に“フィリア”も影響されていく展開が興味を惹きます。

そもそもクローン技術の進化によって構築された「アルカディア」というシステムの目的
とは何なのか。それを知った“秋人”たちがとった行動、それに関わる人々のせめぎ合い、
手にした結果を踏まえて、どう話を続かせようとするのか。蒼井 先生の手腕に注目です。

posted by 秋野ソラ at 00:25 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2022年03月22日

『男女の友情は成立する?(いや、しないっ!!) Flag 4. でも、わたしたち親友だよね?〈下〉』

七菜なな 先生が贈る青春〈友情〉ラブコメディ。第5巻は“悠宇”との二人旅を続ける
“凛音”が、彼に仕向けられた“紅葉”の揺さぶりを前に様々なすれ違いを実感します。
(イラスト:Parum 先生)

https://dengekibunko.jp/product/danjoru/322110000048.html


事の次第を知るべく“真木島”を尋問したり、直接“凛音”へ釘を刺したりする“日葵”
ではありますが、どこか攻めきらないのは「彼女」としての地位を確立させたがゆえか。
今回“紅葉”の仕組んだ策にまんまと乗る“悠宇”を支援できるのは彼女だけでしたし。

クリエイター見習いの“天馬”と“早苗”に出会った“悠宇”が意気投合し、刺激され、
“凛音”と過ごす時間よりもクリエイターとしての自分を優先させたくなるのも当然で。
そこから彼と彼女の「親友」という関係の不自然さが次々と露呈していくのが切なくて。

プロのクリエイターとして自分の作品を売る、とはどういうことか。“天馬”の個展に
紛れ込んだ“悠宇”に鋭い指摘をした人物も気になりますが、まずは打ち込まれた楔に
よって「気付き」を得た彼、「距離」を覚えた“凛音”の進む道の行方が気になります。

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2022年03月21日

『塩対応の佐藤さんが俺にだけ甘い6』

猿渡かざみ 先生が贈る青春ラブコメ。第6巻は“颯太”への好意が溢れて恥ずかしさから
塩対応を見せてしまう“こはる”に彼との交際を脅かす存在と、不測の事態が出現します。
(イラスト:Aちき 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094530575


佐藤さんと言えば塩対応。忘れかけていた記憶を呼び覚ませる冒頭のくだり。別れ話かと
食いついてきたミンスタグラム6万フォロワー超えの“姫茴”も呆れる痴話ゲンカですが
“颯太”や読み手としては振り出しに戻ってしまったのか、と焦ってしまったりする訳で。

喫茶店巡りを契機に“姫茴”が“颯太”へ好意を募らせていたり、彼とすれ違いを重ねる
“こはる”には不利な状況が続く展開。彼女失格、という気持ちに陥るほど追い込まれる
彼女を叱咤激励する役回りが彼ではなく「そっちか!」という意外性にまず驚かされます。

“颯太”を好きな想いは“姫茴”に負けない、と意気込む“こはる”が“姫茴”の持ち味
「ミンスタグラム」そして「スイッチ」というキーワードを活かしてそのままお返しする
流れから彼女の成長も窺えてスッキリ。“姫茴”の反応も実に好感触。続きも楽しみです。

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2022年03月18日

『ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンラインXII ―フィフス・スクワッド・ジャム〈中〉―』

時雨沢恵一 先生が贈る、川原礫 先生の世界観「GGO」を元にした痛快ガンアクション作品。
第12巻は賞金首として狙われる“レン”のその後などを描いていく第5回SJ、中盤戦です。
(イラスト:黒星紅白 先生 原案・監修:川原礫 先生)

https://dengekibunko.jp/product/ggo/322109000011.html


“ビービー”今すぐ殺すウーマンと化した“フカ”にどう対応するか。全員爆死を回避し、
気をなだめさせた彼女との新必殺技で「DEAD」タグを量産していく“レン”の姿はまさに
「ピンクの悪魔」の名を欲しいままにしてました。これぞ愉快、爽快という圧倒的な展開。

プレイヤーKILL数を稼ぐ、と言えば“シャーリー”も同様で、その上で“ピトフーイ”を
執拗に狙っていく成果が出るかどうかも見逃せない展開。その彼女と離散中の“エム”が
合流すべく冷静に、力ずくで突き進む流れに巻き込まれる“アンナ”には同情しかなくて。

そして訪れる白い霧が晴れる瞬間、待望の合流タイミングで仕掛けられるスポンサー作家
ご自慢の、プライドを掛けた最高の悪意。サバイバーたちの更なる攻防が繰り広げられる
かと思いきや、あの「特殊ルール」の追加で一筋縄でいきそうにない下巻が気になります。

posted by 秋野ソラ at 00:39 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル