2022年03月31日

『スパイ教室07 《氷刃》のモニカ』

TVアニメ化決定の報に沸く、竹町 先生が贈る痛快スパイファンタジー。第7巻は突然の
凶行に及んだ“モニカ”の思惑に、暗躍する「蛇」の影に「灯」のメンバーが迫ります。
(イラスト:トマリ 先生)

https://fantasiabunko.jp/product/202001spy/322105000775.html
https://spyroom-anime.com/


家族と分かり合えない幼少期を経て「誰とも共感できないのでは」と葛藤する“モニカ”。
だからこそ初めて抱いたあの感情は彼女の胸へ棘のように刺さり、それ故に付け入る隙を
相手に与えてしまった、という種明かしをした上で「どうする?」という悩ましい導入部。

章題で“モニカ”のコードネームが入れ替わるところからも彼女の揺れる感情が窺える中、
「敵を欺くにはまず味方から」という展開を期待する読み手をも騙しにかかる彼女の覚悟。
“クラウス”との一騎打ちでも渡り合える彼女の姿は成長の兆しだったのかも知れません。

それでも“モニカ”抹殺に動き続けるCIMの不甲斐なさに憤りすら感じつつ、命を燃やす
彼女を止められないもどかしさや「灯」の置かれた苦境も残されたままで。“クラウス”
に対して涙ながらに決意を表した「彼女」がどんな物語を切り開くのか、続きも注目です。

posted by 秋野ソラ at 01:47 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2022年03月30日

『キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦13』

細音啓 先生が贈る大人気王道ファンタジー。TVアニメの続編制作を決めて贈る第13巻は
宿敵に命運を預けた“キッシング”が倒すべき“イリーティア”の力の根源に触れます。
(イラスト:猫鍋蒼 先生)

https://fantasiabunko.jp/product/201705kimitoboku/322110001235.html


「帝国」対「皇庁」、という二項対立ではすでになくなった世界で燻ぶる月と太陽の対立。
“キッシング”が示唆した“イリーティア”の星霊術にも対抗せしめると暗躍しつづける
“タリスマン”たちの狙いは功を奏するか。直接対決の結果、その先がまず気になる所で。

緊張感の高まる中、捕虜生活を強いられるはずの“アリステーゼ”が“イスカ”たちとの
共同生活を楽しんでいるやり取りが癒しになるというか、救いというか。それを踏まえて
「隣で戦ってくれる騎士」の意識を強くするあの場面が未来の可能性を予感させて好感触。

“ミスミス”が抱く不安を“璃洒”がフォローしてたり。“シスベル”をぞんざいに扱う
“ジン”とのコンビも満更じゃない感じだったり。“イリーティア”との決戦のほかにも
見どころがいっぱいの今巻から更に巻き起こりそうな混乱の兆し。次巻も目が離せません。

posted by 秋野ソラ at 01:49 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2022年03月29日

『古き掟の魔法騎士IV』

羊太郎 先生が贈る、教官騎士に導かれし王子の英雄譚。第4巻はドラグニール帝国の侵攻
に揺れるキャルバニア王国、更に“アルヴィン”に“エンデア”の悪意が襲い掛かります。
(イラスト:遠坂あさぎ 先生)

https://fantasiabunko.jp/product/202012fairyknight/322111001055.html


「魔王を倒す」という名目のもと“ウォルフ”が王国、いや“アルヴィン”へ突き付けた
理不尽な要求。突っぱねようとする“アルヴィン”の強い心を折りにくる彼の卑劣な策に
憤りを覚えつつあの口絵に繋がってしまう境遇も致し方ないとやるせなく思う所もあって。

そんな苦境に立たされる“アルヴィン”をこれまでも、そしてこれからも一人の王として
扱い続ける“シド”が魅せる、騎士としての矜持。これで心が震わないなどあるものかと。
2人だけ戦うことになるかもしれない王たる覚悟を汲んでくれる仲間たちの志もまた熱い。

“ウォルフ”が“アルヴィン”に固執する理由も踏まえ、すべては精霊降誕祭の結果へと
ゆだねられていく・・・はずが、ここでも“フローラ”の暗躍と、何よりも“エンデア”が
抱き続ける確執がついに表立って牙を剥く形に。かの王と騎士はどう向き合うか注目です。

posted by 秋野ソラ at 00:37 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2022年03月28日

『千歳くんはラムネ瓶のなか6.5』

裕夢 先生が贈るリア充側青春ラブコメ。第6.5巻は一つの結論を出した、あるいはそれを
見届けた少年少女たちが過ごすひと夏の中で心によぎる感情を描く「長編」集となります。
(イラスト:raemz 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094530605


出来ているつもりでも上手く割り切れないのが人の感情。金沢旅行を通じて“朔”を想う
気持ちは捨てるものではない、と向き直す“夕湖”の機微がもう自然に在る少女そのもの。
複雑な感情の中にある彼女を見て“悠月”や“なずな”がどう思ったか、も注目の描写で。

夢を追う手伝いを“朔”にしてもらう“明日風”が味わう共時性は2人に残された時間を
裏付けるかのようでどこか物悲しくて。同じく彼のことを大切な人と思えるようになった
“優空”が共に居る時間を噛みしめつついつまで続けられるが不安になる様子も印象的で。

恋することと、バスケの強さを求めることの狭間で揺れる“陽”もまた悩める乙女の一人。
“舞”からの指摘や、先輩方にしごかれるうちにそれを吹っ切っていく強さがまぶしくて。
円陣の掛け声がすべてを物語ります。サイドストーリーなどと侮るべからずの長編集です。

posted by 秋野ソラ at 00:19 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2022年03月25日

『エリスの聖杯4』

常磐くじら 先生が贈る貴族社会クライムサスペンス。電子書籍のみで刊行される第4巻は
“スカーレット”が母から聞いていた場所を巡る陰謀に“コニー”たちが巻き込まれます。
(イラスト:夕薙 先生)

https://ga.sbcr.jp/product/9784815610609/


世界を手に入れるために必要な「コーネリアの星冠」があるとされる場所、エルソール島。
もののついでで訪れた島で“コニー”たち一行がで早速、騒動に巻き込まれる、というか
“スカーレット”がやらかすのを見て「またこの物語に触れられるんだな」と実感します。

星冠に纏わる話や“アリエノール”の逸話が少しずつ見えてくる度に“スカーレット”に
残された言葉の意味が輪郭を帯びていく展開が面白い。そこへ、グレイル家に代々伝わる
という秘蔵本が謎を紐解く鍵となるのを“スカーレット”が見抜いていくのがまた印象的。

冒頭の決闘裁判や、“コニー”が経験したあれやこれやが、もう一つの焦点でもある島を
巡る陰謀を暴くために、無駄なく必要な要素となっているのが分かる顛末も見所なうえに
“ルチア”や“ランドルフ”の活躍も見逃せません。ここは続刊希望と言わせて頂きます。

posted by 秋野ソラ at 00:49 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2022年03月24日

『後宮妃の管理人 六 〜寵臣夫婦は企てる〜』

しきみ彰 先生が贈る後宮物語。第6巻は「醜毒の乱」に対する誠意として和宮皇国から
後宮入りしてきた姫君に関わる陰謀を探り当てた“優蘭”と“皓月”が一計を案じます。
(イラスト:Izumi 先生)

https://lbunko.kadokawa.co.jp/product/kanrinin/322108000623.html


ワガママ姫“桜綾”によって宮廷内の調和が乱される。そんな事態は避けたい“優蘭”に
“空泉”が投げかけた何気ない一言。事の重みが思いのほか枷となる彼女を最初に労わる
のが“麗月”で、その後に労わりつくすのが“皓月”という構図が面白くも微笑ましくて。

騒動の種となった“桜綾”が根本原因ではなく、彼女の置かれた立場にある点が見えると
現状打破に向けて打つ手を変えてくるあたりが“優蘭”のすごい所で。その想いに応える
べく動く“皓月”も良き夫、そして理解者として振る舞えているのが感慨深くもあります。

国の命運を揺るがす陰謀の引き金に“桜綾”がなってしまうのか。様々な経緯を踏まえた
寵臣夫婦の回避策、ぜひ仕上げを御覧じろ、という結末がお見事。何より2人、というか
“皓月”が終始見せるイチャつきぶりも注目。深まる愛がもたらす変化に期待したいです。

posted by 秋野ソラ at 01:03 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2022年03月23日

『エンド・オブ・アルカディア』

蒼井祐人 先生の「第28回電撃小説大賞・金賞」受賞作。生命再生システムにより死んでも
復活する無敵の少年少女たちが繰り広げる戦争を舞台に生まれる、邂逅と共鳴の物語です。
(イラスト:GreeN 先生)

https://dengekibunko.jp/product/arcadia/322110000040.html


クローン技術の進化によって死ぬ間際の自身を再生し、死を回避することに成功した世界。
その軍事転用でいつしか二大強国の戦争が当たり前となり、“秋人”は合衆国の小隊隊長
として連邦と最前線で戦果を上げ続けてきたが、密かにある違和感を覚え始めていて──。

“秋人”と連邦のエース“フィリア”との因縁。そして対比する日常生活の描写が印象的。
2人の戦いにどう決着をつけるか、では済まなくなる不測の事態発生を機に彼の違和感が
段々と頭をもたげていく様子、更に“フィリア”も影響されていく展開が興味を惹きます。

そもそもクローン技術の進化によって構築された「アルカディア」というシステムの目的
とは何なのか。それを知った“秋人”たちがとった行動、それに関わる人々のせめぎ合い、
手にした結果を踏まえて、どう話を続かせようとするのか。蒼井 先生の手腕に注目です。

posted by 秋野ソラ at 00:25 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2022年03月22日

『男女の友情は成立する?(いや、しないっ!!) Flag 4. でも、わたしたち親友だよね?〈下〉』

七菜なな 先生が贈る青春〈友情〉ラブコメディ。第5巻は“悠宇”との二人旅を続ける
“凛音”が、彼に仕向けられた“紅葉”の揺さぶりを前に様々なすれ違いを実感します。
(イラスト:Parum 先生)

https://dengekibunko.jp/product/danjoru/322110000048.html


事の次第を知るべく“真木島”を尋問したり、直接“凛音”へ釘を刺したりする“日葵”
ではありますが、どこか攻めきらないのは「彼女」としての地位を確立させたがゆえか。
今回“紅葉”の仕組んだ策にまんまと乗る“悠宇”を支援できるのは彼女だけでしたし。

クリエイター見習いの“天馬”と“早苗”に出会った“悠宇”が意気投合し、刺激され、
“凛音”と過ごす時間よりもクリエイターとしての自分を優先させたくなるのも当然で。
そこから彼と彼女の「親友」という関係の不自然さが次々と露呈していくのが切なくて。

プロのクリエイターとして自分の作品を売る、とはどういうことか。“天馬”の個展に
紛れ込んだ“悠宇”に鋭い指摘をした人物も気になりますが、まずは打ち込まれた楔に
よって「気付き」を得た彼、「距離」を覚えた“凛音”の進む道の行方が気になります。

posted by 秋野ソラ at 00:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2022年03月21日

『塩対応の佐藤さんが俺にだけ甘い6』

猿渡かざみ 先生が贈る青春ラブコメ。第6巻は“颯太”への好意が溢れて恥ずかしさから
塩対応を見せてしまう“こはる”に彼との交際を脅かす存在と、不測の事態が出現します。
(イラスト:Aちき 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094530575


佐藤さんと言えば塩対応。忘れかけていた記憶を呼び覚ませる冒頭のくだり。別れ話かと
食いついてきたミンスタグラム6万フォロワー超えの“姫茴”も呆れる痴話ゲンカですが
“颯太”や読み手としては振り出しに戻ってしまったのか、と焦ってしまったりする訳で。

喫茶店巡りを契機に“姫茴”が“颯太”へ好意を募らせていたり、彼とすれ違いを重ねる
“こはる”には不利な状況が続く展開。彼女失格、という気持ちに陥るほど追い込まれる
彼女を叱咤激励する役回りが彼ではなく「そっちか!」という意外性にまず驚かされます。

“颯太”を好きな想いは“姫茴”に負けない、と意気込む“こはる”が“姫茴”の持ち味
「ミンスタグラム」そして「スイッチ」というキーワードを活かしてそのままお返しする
流れから彼女の成長も窺えてスッキリ。“姫茴”の反応も実に好感触。続きも楽しみです。

posted by 秋野ソラ at 03:35 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2022年03月18日

『ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンラインXII ―フィフス・スクワッド・ジャム〈中〉―』

時雨沢恵一 先生が贈る、川原礫 先生の世界観「GGO」を元にした痛快ガンアクション作品。
第12巻は賞金首として狙われる“レン”のその後などを描いていく第5回SJ、中盤戦です。
(イラスト:黒星紅白 先生 原案・監修:川原礫 先生)

https://dengekibunko.jp/product/ggo/322109000011.html


“ビービー”今すぐ殺すウーマンと化した“フカ”にどう対応するか。全員爆死を回避し、
気をなだめさせた彼女との新必殺技で「DEAD」タグを量産していく“レン”の姿はまさに
「ピンクの悪魔」の名を欲しいままにしてました。これぞ愉快、爽快という圧倒的な展開。

プレイヤーKILL数を稼ぐ、と言えば“シャーリー”も同様で、その上で“ピトフーイ”を
執拗に狙っていく成果が出るかどうかも見逃せない展開。その彼女と離散中の“エム”が
合流すべく冷静に、力ずくで突き進む流れに巻き込まれる“アンナ”には同情しかなくて。

そして訪れる白い霧が晴れる瞬間、待望の合流タイミングで仕掛けられるスポンサー作家
ご自慢の、プライドを掛けた最高の悪意。サバイバーたちの更なる攻防が繰り広げられる
かと思いきや、あの「特殊ルール」の追加で一筋縄でいきそうにない下巻が気になります。

posted by 秋野ソラ at 00:39 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2022年03月17日

『浮遊世界のエアロノーツ2 風使いの少女と果てなき空の幻想歌』

森日向 先生が贈るロードノベル。第2巻は“泊人”と共に旅をすると決めた“アリア”が
訪れた土地での新たな出会いの数々を通して、自分のやりたいことを突き詰めていきます。
(イラスト:にもし 先生)

https://dengekibunko.jp/product/huyuusekaino/322109000017.html


“アリア”が飛空船の訓練と免許取得のため訪れたタルタ島。“泊人”と旧知の仲である
“バッカス”から指摘された彼女の「困っている人を助けたい」という願いのあいまいさ。
彼の弟子“コルト”の心の内に触れながら、その具体化を求められていくのが今巻の本筋。

神樹に教え導かれる島、ラカン島にまつわる秘密を知ったことで早速「人を助ける」とは
何なのかを問われる“アリア”。彼女がファンとして憧れる作家“ニーナ”のスランプを
脱するための手段に葛藤し、その結末から道しるべを得る様子には考えさせられるものが。

音楽の島、カンタス島で“アリア”らしい「歌うことでたくさんの人が救えるのでは」と
いう可能性を追求した結果、“泊人”の旅の目的と彼女の望みが重なっていく場面がもう
こそばゆいの何の。共に「始まりの島」へ辿り着けるか、引き続き見届けたいところです。

posted by 秋野ソラ at 00:32 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2022年03月16日

『聖剣学院の魔剣使い9』

志瑞祐 先生が贈る学園ソードファンタジー。第9巻は“リーセリア”たちの元へ帰還した
“レオニス”が〈ヴォイド〉に相対する「魔王」として世界の命運にかかわっていきます。
(イラスト:遠坂あさぎ 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/seikengakuin/322110001117.html


〈ヴォイド〉が闊歩する異世界との繋がり。〈第〇八戦術都市〉において発生する異常。
“アレクシオス”が密かに抱える計画が“レオニス”の抱いていた不可解な穴を埋める
展開に、二項対立では収まらない彼らの関係とその変化も窺えて興味深さを覚えました。

“ブラッカス”の進言した敵の本拠地があるという「エリュシオン学院」に舞台を移して
“レオニス”が早速、災難な目に遭うあたりは微笑ましく、まさに戦士の休息といった所。
ここは“シャトレス”の察しの良さにもぜひ注目して見ていただきたい場面でもあります。

油断していた訳ではないものの、後手を取る形となる“レオニス”たちが新たなる敵を
前にしてどう動くか。“シャーリ”と“リーセリア”の師弟関係にも目を見張りながら
彼が聞いたかもしれないあの声が意味深長な余韻を残す引き具合で、次巻も要注目です。

posted by 秋野ソラ at 00:36 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2022年03月15日

『ギルドの受付嬢ですが、残業は嫌なのでボスをソロ討伐しようと思います4』

香坂マト 先生が贈る、かわいい受付嬢がボスと残業を駆逐する大人気シリーズ。第4巻は
闘技大会の優勝賞品を壊した“アリナ”がバレないよう大会に出場して優勝を目指します。
(イラスト:がおう 先生)

https://dengekibunko.jp/product/uketsukejo/322109000013.html


何かとツイてない“アリナ”の姿と、トラプルプロジェクトによくある話に苦笑いしつつ、
純遺物の像にやらかしたことが事の始まりとなるだけでなく、後々のエピソードで重要な
鍵となる話の繋げ方に驚かされます。コミカルなだけじゃない本作の醍醐味でもある所で。

〈巨神の破鎚〉のスキルで向かうところ敵なしの“アリナ”がその力を使えなくなったら、
あるいはそういったスキルを超えるものが現われたらどうなるのか。そんな疑問、そして
冒頭で触れたエピソードに一つの回答を示す、色々と興味深い事の次第でもあったワケで。

仲間や友達といった存在の有難み、大切さ。今回もまた傷だらけの“ジェイド”に対して
“アリナ”が示す態度からも伝わってくる結末の中、“グレン”も命がけで掴んだ逸話が
物語の点と点をまた一つ結びつけていく構成もまたお見事。次巻が楽しみで仕方ないです。

posted by 秋野ソラ at 00:54 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2022年03月14日

『楽園ノイズ4』

杉井光 先生が贈る青春バンドストーリー。第4巻は“華園”先生がかつて所属していた
管弦楽団の応援に駆り出されたPNOメンバーが、その解散の危機を救う手立てを考えます。
(イラスト:春夏冬ゆう 先生)

https://dengekibunko.jp/product/paradise_noise/322110000037.html


自他共に音楽だけで生きていく将来像しか見えない“真琴”。“黒川”が辞めたバンドの
復活騒動に巻き込まれる彼が「音楽を続けられなくなる」という境遇や心境に触れながら
自身が「国境」を越えた先にいて、プロデューサーとしての姿を意識する気概が窺えます。

そんな中、コンサート前でメンバー不足に陥る管弦楽団を手伝うことになる“真琴”たち。
改めて音楽を続けられる幸運を噛みしめ、楽団の姿を通じて“華園”先生の影を思い返し、
自分ならどんなオーケストレーションを実現させられるか身をもって実現する熱量が凄い。

指揮者はなぜ必要か。“小森”先生から教わったその肝が“真琴”の出来ることと重なり、
いつしか手段と目的をごっちゃにするような彼だからこそ“伽耶”や“凛子”の両親の心
をも動かしたのだろうと思うとやはり罪作りな男。羨ましくも刺されないことを祈ります。

posted by 秋野ソラ at 00:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2022年03月11日

『じつは義妹でした。2 〜最近できた義理の弟の距離感がやたら近いわけ〜』

白井ムク 先生が贈る兄妹いちゃラブコメ。第2巻は“晶”が人見知りの克服を目的として
学園祭にてロミオを演じる決意を“涼太”が後押しすることで深まっていく絆を描きます。
(イラスト:千種みのり 先生)

https://fantasiabunko.jp/product/202111jitsuimo/322111001057.html


距離を縮めれば問題ないよね、と攻める“晶”を責めつつも意識せざるを得ない“涼太”。
そんな彼女も外に出れば「借りてきた猫モード」になることは悩みとして気にしていて。
“ひなた”と共に演劇部の手伝いをする流れで“晶”が転機を図ろうとするのが話の軸。

練習に苦戦する“晶”を“涼太”が手伝うことで発生するイベントの数々も押さえつつ、
“光惺”と“ひなた”のちょっと込み入った兄妹関係にも触れていく構成に注目。妹の
もどかしく、後ろめたいような感情を兄としてどう見極め、受け止めるのかが印象深い。

様々な思惑とトラブルを抱えて迎える「ロミオとジュリエット」がどう大団円に繋げて
いくのかを見ていただきたい。一番の立役者は演劇部の部長だったのかも知れませんが。
“涼太”が“建”に対して立てた約束がどこまで有効なのか、引き続き見守りたい所です。

posted by 秋野ソラ at 00:57 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2022年03月10日

『幼馴染で婚約者なふたりが恋人をめざす話 3』

緋月薙 先生が贈る自覚なしバカップルの恋仲進展物語。第3巻は“悠也”と“美月”の
誕生日にあわせた家族旅行を恋人以上の関係につなげる契機にしようと2人が模索します。
(イラスト:ひげ猫 先生)

https://firecross.jp/hjbunko/product/1456


理性がヤバいと言い出す“悠也”。彼の様子から一線を超えるのもアリかと思う“美月”。
“伊槻”や“透花”の経験談が悩める2人から求められる、というか狙われるあたりは
コミカルでありつつも、年長者の覚悟がしっかりと見受けられる演出にもなっています。

その中で触れられる“大河”と“雪菜”の特殊な恋愛模様、というか依存性の強い関係が
いかにして形成されたか。更に“悠也”と“美月”も無関係ではない点に言及する辺りに
メインだけでなく脇もしっかりラブストーリーが描ける 緋月 先生らしさが見て取れます。

“悠也”も“美月”も共に人生を歩むのは確定路線としても、示す覚悟が中々に重いのが
特徴で、そこに想いの深さが窺えるのと同時に、未だ持て余し気味なのが若気の至りかも。
今は給料の三か月分というのは幻想なので大丈夫ですけど彼なら余裕そうで羨ましい限り。

posted by 秋野ソラ at 01:48 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2022年03月09日

『ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編6』

衣笠彰梧 先生が贈る新たな学園黙示録。2年生編・第6巻は“櫛田”により亀裂の入った
“鈴音”たちのクラスにも無情に迫る体育祭。“綾小路”にも想定外の展開を見届けます。
(イラスト:トモセシュンサク 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/youzitsu/322110001116.html


“波瑠加”と“王”、そして“櫛田”の連続欠席。各々が負う心の傷をどう補っていくか。
“櫛田”との直接対決は正直“鈴音”の手に余るのでは、と心配でしたが興味深い着地点。
彼女よりもまず“綾小路”を頼ろうとする人たちをたしなめる彼の姿勢も着目すべき要素。

学年を超えた競技になることも踏まえて“鈴音”がAクラスを狙うために練り上げた作戦。
そのために“綾小路”が“坂柳”の介入を絶対に防ぐと誓った根拠がなるほど納得の一言。
“須藤”の変化など、彼が決めていたというテーマが活かされているようにも感じました。

満場一致特別試験の結果が正しかったのか迷っていた“鈴音”も体育祭を通じて確信へと
変えていった一方、未だ納得していない者たちによる内紛の火種が燻ぶっているのも事実。
今回提示された新制度の扱いも気になりますし、続く彼女の苦難を見届けたいところです。

posted by 秋野ソラ at 01:17 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2022年03月08日

『精霊幻想記 21.竜の眷属』

TVアニメ第二期の制作が決定した、北山結莉 先生が贈る異世界転生譚。第21巻は超越者と
なった“リオ”と、“エリカ”打倒後に彼のことを忘れてしまった人々の顛末を描きます。
(イラスト:Riv 先生)

https://firecross.jp/hjbunko/product/1461


“アイシア”との同化、超越者の権能、竜の王と神魔戦争、七人目の賢神に託された想い。
驚愕の事実に加えて「超越者として力を使う度に世界から存在を忘れられる」という神が
定めたルールが“セリア”たちのあの戸惑う描写に繋がるまさに新展開と言える導入です。

“リオ”への好感度を整理するという側面でも興味深い設定を踏まえ、彼が介入できない
ロダニアの危機を“クリスティーナ”たちだけで抑えることができるか。状況を見極める
“レイス”の動向も見逃せないところですが、まずは期待通りの展開を見せてきて面白い。

新しい仲間“ソラ”から渡された「神が定めたルールを回避できる仮面」。その数は5つ。
失った絆を取り戻せるか。その道を模索しているのは彼だけではない、という中で流れた
「彼女」の涙。希望と衝撃が入り交じる引き具合に続刊が待ち遠しくて仕方がありません。

posted by 秋野ソラ at 00:57 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2022年03月07日

『ぼくたちのリメイク10 エンドロール』

木緒なち 先生が贈る青春リメイクストーリー。第10巻は学生とプロ、二足の草鞋を履く
“貫之”たちを見て距離感を覚える“恭也”が改めて自分の立ち位置を見定め始めます。
(イラスト:えれっと 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/bokutachi-remake/322108000967.html


4回生となった“恭也”たちに課せられた卒業制作。すでにクリエイターとして活動する
“貫之”たちが抱える仕事と比べれば自然と力の入れどころに違いが出てくるのも必然で。
“加納”先生が助言した「もっとも大切なもの」を探し求める“恭也”の葛藤が歯痒くて。

実績も残せないままアルバイトを続ける“恭也”の勤務先で発生した、未曽有のトラブル。
仕方がないでは済ませたくないこれまでの経験から土壇場で導き出した、起死回生の企画。
「チームきたやま」としてやり残したことに全力で臨む彼の活き活きとした姿が印象的で。

“九路田”が挙げた異論。“堀井”の示した指摘。そして“茉平”と交わした、あの約束。
すべてが良い方向へ進み始めた瞬間に、“恭也”が気づいた孤独の正体。エンディングを
迎えた彼は「今」、どの世界に立っているのか。続く最終章の到来が待ち遠しい限りです。

posted by 秋野ソラ at 00:33 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2022年03月04日

『異世界忠臣蔵 〜仇討ちのレディア四十七士〜』

「友人キャラは大変ですか?」の 伊達康 先生が贈る新作は刃傷沙汰で不当裁定を受けた
王国の騎士団が仇討ちに臨む顛末を、転移した現代人が見届けるファンタジー活劇です。
(イラスト:紅緒 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094611588


“喜一”が物置で見つけた魔導書「忠臣吉」によると、祖先は異世界人で本書をパクって
「忠臣蔵」が出来たとある。眉唾物と疑う彼がその本を抱えて寝落ちすると、気がつけば
異世界に。魔導書に書かれていた騎士団に拾われた彼はやがてある大事件を耳にする──。

時代劇でも有名な題目である「忠臣蔵」。TVの年末時代劇も下火となった昨今、知らない
という人にも、細部まで押さえていない方にも安心して読めるように色々と補足しながら、
そこに「伊達康」節とも言えるコミカルな要素を交えながら楽しく読ませる構成がお見事。

異能のような力を得た“喜一”が“キッチュ”として“クラノス”を始めとする騎士団の
面々に認められ、ファンタジー世界での仇討ちがどういった流れで形作られ、四十七士の
一人として巻き込まれていくのかが素直に楽しめる作品。どう続けていくか興味津々です。

posted by 秋野ソラ at 00:13 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル