2022年01月31日

『勇者刑に処す 懲罰勇者9004隊刑務記録II』

ロケット商会 先生が贈るアクションファンタジー。第2巻は“テオリッタ”の護衛任務、
敵地潜入、拠点防衛と任務を遂行する“ザイロ”たちが「勇者」である意味を問います。
(イラスト:めふぃすと 先生)

https://dengekibunko.jp/product/yushakei/322108000043.html
https://kakuyomu.jp/works/1177354054935149052


“ザイロ”に名前呼びを許した“キヴィア”。勇者たる彼との婚約を望む“フレンシィ”。
意味深長な両者の対立や、“テオリッタ”の相変わらずな天真爛漫ぶりを見るとついつい
微笑ましくなる所ですが、女神を狙う「共生派」の悪意には緊迫感を覚えずにいられない。

迫りくる危機を前に“ツァーヴ”のセンスが、“ジェイス”に随伴する竜の暴力的な力が、
“ライノー”の精密射撃が、要所で的確に魅せてくれる演出が熱い。“キヴィア”だけで
なく“フレンシィ”も腕に覚えあり、と“ザイロ”を度々支援する場面には驚かされます。

ヨーフ市を守る総力戦、その結果も踏まえて“ザイロ”たちの存在も聞こえがいい流れが
形成されたところで「あること」に気づいてしまった人物の顛末。目にした真相と決断が
もたらした選択肢と、垣間見る勇者の秘密が物語にどう作用するか。続きに要注目です。

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2022年01月28日

『女同士とかありえないでしょと言い張る女の子を、百日間で徹底的に落とす百合のお話5』

みかみてれん 先生が贈る大人気ガールズコメディ。元となる同人誌の枠を超え書き下ろし
となる第5巻は進級した“鞠佳”が新たな人間関係に思いを巡らせ頭を悩ませていきます。
(イラスト:緜 先生)

https://ga.sbcr.jp/product/9784815611385/


冒頭、“鞠佳”の浮気疑惑から始まって波乱の幕開けか、と思えば“絢”との絆の深さを
見せつけられ、すでに「ありえない」ことがありえない状態になっている2人。その絆に
ヒビを入れかねない級友“柚姫”の登場と、彼女の告げた「パン」が初耳で驚かされます。

新年度を迎えたことでもう一つ変わる環境が“アスタロッテ”の入学。賑わう中、彼女が
知らせる“可憐”のお悩みを解決すべく彼女の店で臨時バイトを務める“鞠佳”の決意は
称賛に価します。そんな“鞠佳”を翻弄するバーの面々が個性強くて、これがまた面白い。

その中の一人、“シオリ”に見せる“絢”の普段らしからぬ姿に“鞠佳”が嫉妬する様子
からラストの決意へ繋がる顛末を経て2人の仲がさらに深化したように見せるのが印象的。
未解決に見える“悠愛”たちも声を荒げる“柚姫”との問題はどうなるのか気になります。

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2022年01月27日

『天才王子の赤字国家再生術11〜そうだ、売国しよう〜』

TVアニメが放映を迎えた、鳥羽徹 先生が贈る弱小国家運営譚。第11巻は帝位争奪戦に
“ロウェルミナ”が王手を掛ける局面で、かつての学友たちが起死回生の道を模索します。
(イラスト:ファルまろ 先生)

https://ga.sbcr.jp/product/9784815614591/
https://tensaiouji-anime.com/


昔の友で今は陣営を分かつ“グレン”や“ストラング”へ早々に最後通牒を突きつける
“ロウェルミナ”の思惑通りに進まないのが本作らしい。その駆け引きに巻き込まれる
“ウェイン”が彼女の狙い通りに動くはずもなく。帝位争奪戦の混迷ぶりがまた面白い。

“グレン”や“ストラング”、“ロウェルミナ”が互いに互いを尊敬し、切磋琢磨した
学生時代を振り返りつつ、5人の中で誰が一番優れているのかを試したくなる悪戯心を
描く場面が興味深い。それを見る“リアーヌ”が呆気にとられるのも分かるというもの。

強き皇帝を決める最終決戦に至るまでの道程、その結果は見て確かめていただくとして、
その裏で“ウェイン”を疎ましく思う者たちがいよいよ目立ってきたのが気になる上に
“ニニム”も今回の件を踏まえて思う所ある様子なのが意外で、続きも目が離せません。

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2022年01月26日

『ひきこまり吸血姫の悶々7』

小林湖底 先生が贈るコミカルファンタジー。第7巻は丞相の横行が目立つ「夭仙郷」で
姫“リンズ”が彼と結婚させられそうになる窮地を救うべく“コマリ”が立ち上がります。
(イラスト:りいちゅ 先生)

https://ga.sbcr.jp/product/9784815613785/


素知らぬふりで“リンズ”を平気で幽閉する丞相“シーカイ”の悪役ぶりが目につく今巻。
“リンズ”の身に迫る危険を知り、動悸が激しくなる“コマリ”が感情を持て余すのには
ワケがあって。それを知る由もない彼女がかの国へ乗り込む姿は明らかに無茶で、無謀で。

“リンズ”を取り合う形で“シーカイ”と戦争に臨む“コマリ”が彼をどう打破するのか、
という駆け引きが突如、流れを変えていく中で姫と丞相の言動、その見方が一変していく
話運びに驚かされます。起因となる「夭仙郷」の秘密には切なさを覚えずにいられません。

孤紅の恤を発動すればそれで終わり、ではすまない敵を前に奮戦する“コマリ”。何より
“リンズ”を助けたい、という感情が前面に表れている彼女を見ているとスカッとします。
“ヴィル”も油断のならない局面を迎えるラストに、続きが気になって仕方がありません。

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2022年01月25日

『魔女学園最強のボクが、実は男だと思うまい』

『才女のお世話』などの人気作を上梓し続ける 坂石遊作 先生が「電撃文庫」に初登場。
国を守る騎士団と魔女たちの諍いに巻き込まれていく少年騎士の数奇な運命を描きます。
(イラスト:トモゼロ 先生)

https://dengekibunko.jp/product/322109000019.html


魂を使い身体能力を高められるのは男性だけ。一方で、魔法を行使できるのは女性のみ。
男性は騎士として、女性は魔女として治安を守る国で意識する互いの溝は深まるばかり。
事態を苦慮する団長で兄の“カイ”から下された密命に“ユート”は従うしかなく──。

女装しても違和感のない“ユート”が男子禁制の魔女学園へ潜入して遭遇する魔女候補
の女の子たち、避けられないトラブルとそれを解決する顛末の数々が読んでいて面白い。
特に相部屋となる“メイファ”の彼に対する印象の変化が微笑ましくて思わずニヨニヨ。

“ユート”が編入されたときに学園長から問いかけられたあの一言。それが騎士と魔女
という対立の構図を超えた、世界の運命を左右する秘密に繋がっていく展開が興味深い。
今回、話の軸となった“メイファ”以外もどう掘り下げていくのか。次巻も楽しみです。

posted by 秋野ソラ at 01:04 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル