2021年12月10日

『海鳥東月の『でたらめ』な事情』

両生類かえる 先生の「第17回MF文庫Jライトノベル新人賞・最優秀賞」受賞作。他人に
嘘をつけない少女が“でたらめちゃん”の奇天烈な都合に巻き込まれる顛末を描きます。
(イラスト:甘城なつき 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/detarame/322107001130.html


友人の“芳乃”から鉛筆泥棒の犯人を捕まえたいので協力してくれ、と頼まれた“東月”。
快く了承した彼女は帰宅後、自分が犯した「あるミス」をひとり、ほくそ笑みつつ省みる。
そんな彼女の嘘を断罪すると言い、猫耳パーカーを着た謎の少女が包丁を手に現れて──。

“でたらめちゃん”の振舞いもさることながら、まず“東月”が相当な異常者すぎて驚く。
鉛筆が盗まれた犯人をあっさりと明かされた“芳乃”も変な方向に大物だな、と思う所で
謎すぎる少女から語られた、嘘を現実にする〈嘘憑き〉の話に絡んでくるから更に驚きで。

話が進んでいくにつれ“東月”が何度も呆気にとられるのと同じく「えんぴつ事件」から
はるか遠くに事態が動いていることに「えっ」と思わずにいられないスピード感。彼女が
嘘をつけない、という点がどこまで効いてくるか。物語としての展望が気になる作品です。

posted by 秋野ソラ at 08:22 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル