2021年12月31日

『義妹生活4』

企画・原作・脚本を担当するアニメ・マンガ動画を 三河ごーすと 先生が自らノベライズ。
第4巻は兄妹でいることを決めたはずの“悠太”と“沙季”の錯綜する胸中を深堀します。
(イラスト:Hiten 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/gimaiseikatsu/322108000971.html
https://www.youtube.com/channel/UCOQyW7GmCyTKwjCJEaTBWRw


「それは恋愛感情などではない、としたら?」と思いがけない所から指摘される“沙季”。
義兄に抱く感情を紐解く過程で自分の本質を見つめ直すことになる彼女が、答えには辿り
着かないにしても視野を広げる糸口を掴んだのは塞翁が馬か。“読売”先輩は大変ですね。

「女性に期待しないで育ったでしょう?」と思わぬ縁で同族嫌悪の誹りを受ける“悠太”。
“沙季”と出会って掛けられたあの一言を聞いて彼は本当に安堵しただけなのか。翻って
彼女は同じ気持ちでいたのか、両親はどうだったのか、と自分を見つめ直せたのは好機か。

義理とは言え兄妹の関係である“悠太”と“沙季”が、募る想いと罪悪感から少し距離を
置こうとして違う異性と接する機会を増やした結果、2人の心を占有する感情は何なのか。
感じた熱に、そして幸福感に掻き立てられて我を貫こうとする両者の行方が気になります。

posted by 秋野ソラ at 00:58 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2021年12月30日

『機械音痴な幼馴染が我が家でリモート授業を受けているのは、ここだけの秘密。』

秋月月日 先生が贈る新作は、幼馴染の少年に恋をする機械音痴の少女が通学する高校で
導入されるオンライン授業を機に彼との距離を縮めようと模索する在宅ラブコメディです。
(イラスト:雪島もも 先生)

https://fantasiabunko.jp/product/202112remote/322108001000.html


“枝折”と“重音”は小中高が一緒で、昔は遅くなるまで一緒に遊んだ幼馴染。いつしか
抱いた彼女の恋心も何故か距離を置くようになった彼にうまく伝えられず持て余すばかり。
オンライン授業が始まるにあたってノートPCの扱いが苦手な彼女は彼を頼りたいけど──。

表紙にもある通り、眼を隠すところから感じる“枝折”の気弱さ。その彼女が“重音”に
見せる健気な行動、ちょっとした油断、それに人知れず気付いた“唯奈”の好アシストも
あって彼に印象付けをしていく展開は、見ていてつい応援したくなるのが人情というもの。

“重音”が“枝折”の想いに気づかない「思い込み」の部分は分かるけど分かりたくない、
複雑な感情が渦巻きます。メカクレ大好きな 秋月 先生にまんまとしてやられた感じです。
彼に素晴らしい助言をくれた“佐々木”先生にも要注目。清々しい読了感の残る作品です。

posted by 秋野ソラ at 00:12 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2021年12月29日

『美少女とぶらり旅』

青季ふゆ 先生の「小説家になろう」投稿作が書籍化。閉塞を感じる日常から解放されたい
と旅に出た少年が希死念慮に囚われる級友の少女と遭遇する所から始まる旅ラブコメです。
(イラスト:いちかわはる 先生)

https://fantasiabunko.jp/product/202112burari/322107001150.html
https://ncode.syosetu.com/n0166hc/


進学校に通う“高橋”は動画投稿で稼げる実力もあり将来もその道を、と希望するも両親
から猛反対をくらう。学校でのストレスも重なり「旅に出よう!」と発起して家出を敢行。
出立の田端駅で“七瀬”が投身しようする場を目にした彼は、彼女に同行を提案する──。

行きたいところはあるか、と問えば「天国とか?」と答えるほど厭世的な“七瀬”を連れ
目的地もないまま旅を続ける“高橋”。彼が次第に彼女の心を解いていく内に見えてくる
凄惨な生い立ちは、踏み入る彼に対し最後の壁として立ちはだかるのも無理はない内容で。

それでも生きることに絶望感を拭えない“七瀬”の心を救うのが、旅の途中で出会う人々
との縁であったり、何より真剣に彼女と向き合った“高橋”の熱い想いだったりする所に
心温まる何かを感じます。2人の人生の寄り道が有益になることを願いつつ続刊希望です。

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2021年12月28日

『出会ってひと突きで絶頂除霊!9』

赤城大空 先生が贈るアツくて淫らな退魔活劇。第9巻は最後のパーツが敵に奪われる予言
を受けて先取を目指す“晴久”に付けられる強力な護衛が、周囲に大きな波紋を呼びます。
(イラスト:魔太郎 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094530469


テロリストの目的が「サキュバス王の復活」による「性の理想郷の建設」という予想外の
未来を目指しているのに対し、“ミホト”の見解がまだ食い違っているのがもどかしい所。
快楽堕ちした“アーネスト”から言質を取った「絶頂司法取引」という言葉が衝撃的です。

パーツ奪取作戦に護衛として現れた“朝風”が“楓”たちの心をざわつかせる、その隙を
突くかのように発生した怪異がまた強烈。認識阻害を受けてもなお彼女たちが“晴久”と
“晴久”と一線超えていないのが不思議なくらい。よく乗り切ったな、と褒めたいほどに。

淫魔化した“アンドロマリウス”、その上をゆく敵を前にしても善戦する“晴久”たちの
活躍が目覚ましい。「正エネルギー」ならぬ「性エネルギー」が物語の鍵を握る言い様の
ない展開がどこへ向かうのか。更なる陰謀をほのめかすエピローグの内容も気になります。

posted by 秋野ソラ at 00:26 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2021年12月27日

『ルーン帝国中興記 〜平民の商人が皇帝になり、皇帝は将軍に、将軍は商人に入れ替わりて天下を回す〜』

「我が驍勇にふるえよ天地」シリーズを完結させた あわむら赤光 先生の新作。斜陽の国
で燻ぶる商人、皇帝、将軍が適材適所の立場に入れ替わり、世を変えていく様を描きます。
(イラスト:Noy 先生)

https://ga.sbcr.jp/product/9784815609474/


長引く戦争で疲弊するルーン帝国。商会の長として現皇帝の失政に思う所ある“セイ”は
皇帝“ユーリ”と将軍“グレン”が同席する酒宴に偶然居合わせる。無礼講をいいことに
自分ならマシな世にできる、と豪語する“セイ”に“ユーリ”はある策を打ち明ける──。

副題にある通り、肩代わりすることで各々が抱える問題を理解し、当事者が選べなかった
独自のやり方で解決に導いていく勧善懲悪な展開は読んでいて実に爽快。“セイ”の話を
軸にしながら“ユーリ”や“グレン”の領域も絡ませてくる構成なのがまた興味深い所で。

“セイ”に“ミレニア”、“ユーリ”に“エファ”、“グレン”に“ステラ”と本来なら
深く関わることのないヒロインたちが、彼らの入れ替わりを通じて抱く想いも気になる点
ではあるものの、定められた1年という期限がどう左右するか。続きが楽しみな作品です。

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2021年12月24日

『クラスのぼっちギャルをお持ち帰りして清楚系美人にしてやった話2』

「漫画エンジェルネコオカ」のマンガ動画で脚本を担う 柚本悠斗 先生が自ら編む恋物語。
第2巻は夏休みの間に“葵”の祖母の家を探す“晃”たちが思い思いの選択を迫られます。
(イラスト:magako 先生 キャラクター原案:あさぎ屋)

https://ga.sbcr.jp/product/9784815612849/
https://youtu.be/YqL5ahrKNTI


限られた時間の中で焦る“晃”の心をさりげなくケアする“瑛士”や“泉”の思いやりに
まず感心させられます。事態が好転しない中、“葵”が疎遠になっていた父親と再会して
「面倒を見る」と言われた際に“晃”が抱いた感情は彼の親に抱く印象だけなのかが焦点。

ここでもまた“晃”に対する“瑛士”の助言がまさに正鵠を射る、と言える内容で。彼の
自分勝手な気持ちを知ってもなお、あの雨の日からずっと彼に助けられてきた今を大切に
したいと想いを表に出した“葵”の機微も見届けておきたいところ。実にひたむきですね。

シリアスな局面の合間に、“葵”が夏休みの思い出を作っていくミッション達成の過程が
微笑ましくて、こそばゆくて。彼女が覚悟を決めた意味を“晃”は本当に理解しているか、
残された時間の中で待ち受ける問題がそれを示してくれると信じながら、続きを待ちます。

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2021年12月23日

『私のほうが先に好きだったので。』

「電撃文庫」「メディアワークス文庫」にてこれまで作品を上梓する 佐野しなの 先生が
「GA文庫」に初登場。間違いだらけの三角関係で拗れる恋心に惑う男女の青春を描きます。
(イラスト:あるみっく 先生)

https://ga.sbcr.jp/product/9784815611576/


高校で報道部に所属する“安芸”。彼と小中高が一緒で、幼馴染で、恋人だった“小麦”。
友達同士のほうが楽しかった、と円満に別れたはずの彼だが彼女に未練がない訳じゃない。
そんな彼女がある日、真剣な顔で彼に「紹介したい女の子がいるんだけど」と言うが──。

“小麦”の気の置けない友達で、男子からのラブレターも珍しくない人気者の“桜子”が
受け取った脅迫状に綴られた「私のほうが先に好きだったのに。」という文言。読者から
すれば犯人は“小麦”なのか、と疑いの目を向けたくなりますが話はそう単純ではなくて。

脅迫状をきっかけに、“安芸”へグイグイ迫っていく“桜子”。“小麦”への想いを絶ち
“桜子”の想いに真摯に向き合おうとする“安芸”。そんな2人を“小麦”はどう見るか。
エピローグに掛けて波乱の幕開けを予感させる展開に続きが気になること間違いなしです。

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2021年12月22日

『キミの青春、私のキスはいらないの?2』

うさぎやすぽん 先生が贈る青春ラブコメディ。第2巻は迫る文化祭を前に“日野”との
関係を変えるきっかけとして彼女の好きな音楽に触れていく“黒木”の機微を描きます。
(イラスト:あまな 先生)

https://dengekibunko.jp/product/322108000027.html


「誰かの人生を変えるようなバンドを作る」と嘯く“阿部”に誘われ一員となる“黒木”。
「人はそう上手く変わんない」とこぼす“日野”の諦念に驚きつつ受け入れるのもまた彼。
「キスが何かを変えるかもしれない」そう呟く彼が変化を追求していく過程が印象的です。

“黒木”が頼まれた詩の英訳を行うにあたってメンバーが音楽を始めた契機、“日野”や
“阿部”との関わりを聞いて回る場面で“ブルース”が語ったブルーハーツに夢中になる
までのくだり、同じくブルーハーツと共に若き日々を過ごした身としては共感を覚えます。

歌が人生を変えることがなくても、“阿部”の歌は絶対に誰かの人生を変えられるはず。
そう信じる“黒木”が歌詞にロックをのせて、“阿部”のトラブルも乗り越えて届く歌。
その想いに応える熱い「キス」が彼の青春にも必要となる顛末。見届ける価値アリかと。

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2021年12月21日

『やたらと察しのいい俺は、毒舌クーデレ美少女の小さなデレも見逃さずにぐいぐいいく5』

ふか田さめたろう 先生が贈るすれ違いゼロの甘々ラブコメディ。第5巻は“小雪”の許嫁
を決めた祖父とのやり取りなどから、“直哉”が思い描く未来への確度を高めていきます。
(イラスト:ふーみ 先生)

https://ga.sbcr.jp/product/9784815612399/


早々に“小雪”の祖父を陥落させる“直哉”の実力は言わずもがな。そこに、かの祖父が
なぜ“小雪”の許嫁にこだわったのか、という理由づけも付け加えてくるあたりがすごい。
父“法介”の判定もくぐり抜け、親公認のお泊りイベントをこなす2人が何とも羨ましい。

そんな“小雪”たちにあてられたか、“朔夜”が持てあます感情をどう整理していくのか
を描く顛末がまた興味深い。本筋の脇で培われていく恋心に触れていく構成も物語全体に
彩りを添えていく上で好感触。一途に突き進んでいく彼女を思わず応援したくなります。

サプライズプレゼントを彼氏に選んでもらうあたり、“小雪”もだいぶ毒されていますが
そんな彼女の想いを更に超えてくる“直哉”の「ドッキリ」には脱帽と言うしかないです。
約束された未来を掴む2人に幸あれ、ということで番外編となる6巻も期待したい所です。

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2021年12月20日

『りゅうおうのおしごと!15.5 〜髪を切った理由〜【電子限定配信版】』

白鳥士郎 先生が贈る熱血将棋コメディ。慣れ親しんだ関西を、そして師匠のもとを離れて
東京でタイトル獲得に挑戦する“あい”の心境の変化を、電子書籍限定の短編で描きます。
(イラスト:しらび 先生)

https://ga.sbcr.jp/product/9784815614690/


思いがけないトラブルに遭い、不甲斐ない将棋を指し、“八一”と開く差に心折れそうに
なる“あい”がいるのは東京。身を寄せる「ひな鶴」新館で母親から受ける苦言に対して
癇癪を起してしまったり、と自身の弱さを痛感されられる“あい”の姿が見ていてつらい。

好きなことで生きていくことの難しさ、その道に邁進する娘を尊ぶ母から教わる“あい”。
“八一”への想いに後を引かず、好きな将棋のために前を向いて進むと決めた彼女の覚悟。
葛藤を乗り越えた姿が表紙に表れていると分かると、その感慨深さもひとしおと言えます。

今回、短編だけを切り出して電子書籍のみで発売する、と決めた本作。マンガではすでに
実施されている販売戦略がライトノベル業界でも受け入れられるのか。更に実績を重ねて
一冊の本に纏められるような未来が訪れるのか。今後を左右する試金石としても注目です。

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2021年12月17日

『愛じゃないならこれは何』

斜線堂有紀 先生が贈る新作は恋愛小説集。ジャンプ×ノベル「JUMP j BOOKS」公式note
に掲載の4小編に、書き下ろし作『ささやかだけど、役に立つけど』を収録しております。
(装画:ナナカワ 先生)

https://books.shueisha.co.jp/items/contents.html?isbn=978-4-08-790068-2


一番熱心なファンの恋路に楔を打つアイドル、両片思いかと思えば勘違いなデザイナー、
「三人で結婚しろ」案件な男女3人、一目惚れした後輩に向けた趣味を貫き通す先輩、と
安易に「自分本位だから」「相手本位だから」と区別できない恋愛模様が描かれています。

印象深いのは『ミニカーだって一生推してろ』でSNSを介して邪念にまみれていく“瑠璃”、
『きみの長靴でいいです』であの振舞いをしながらもビジネスな関係を貫き通す“妻川”、
『愛について語るときに我々の騙ること』であと一歩を踏み入らせない“鳴花”たち3人。

そんな3人の関係を深堀する“園生”の独白を綴った『ささやかだけど、役に立つけど』
では交わらない感情のベクトルが生じた背景や、彼の抱いてしまった欲を端的に問い質す
あの一言へと繋がる逸話の追憶に驚かされます。サッと読めるページ数なのもお薦めです。

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2021年12月16日

『僕らのセカイはフィクションで』

夏海公司 先生が贈る新作は、学園内外のトラブルを解決しながらWeb作家として活動する
少年が、現実世界でなぜか自作のヒロインと遭遇し彼女が陥る窮地を救う顛末を描きます。
(イラスト:Enji 先生)

https://dengekibunko.jp/product/322106001048.html


学園事件解決人“文士”は解決した事件をネタに小説を書く。投稿作は人気を博すものの
ネタ切れで筆を止めている彼の前に突如現れたのが“いろは”。自作のヒロインと思しき
少女が自作の敵に襲われている場面を目にした彼だが驚きつつもやることはただ一つ──。

「作者として設定を知っているから」と“文士”が“いろは”を颯爽と救う手際の良さで
その先も夢想していくのか、と思いきや彼の人知を超えた事件、更に人物が現れることで
思いがけない方向へ舵を切っていく話の流れに「なるほどそう来たか」と思うことしきり。

“文士”のことを何かと気に掛けるイラストレーターの存在が鍵となって広がるセカイ、
その思惑を超えた「敵」を前に彼は、そして“いろは”は何を思うのか。エピローグも
面白そうな余韻を残していて続きがあってしかるべき内容です。オススメしておきます。

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2021年12月15日

『好きな子にフラれたが、後輩女子から「先輩、私じゃダメですか……?」と言われた件』

「クラスのぼっちギャルをお持ち帰りして清楚系美人にしてやった話」に続く 柚本悠斗
先生の新作は、好きな人がいる先輩に横恋慕する後輩女子が恋を叶える略奪純愛劇です。
(イラスト:にゅむ 先生)

https://ga.sbcr.jp/product/9784815609627/


自分が監督、そしてカメラマンとしてドラマを作る夢を抱く“鳴海”が求める理想の女優。
演劇部の舞台で熱演する“楓”先輩に理想の姿を、そして恋心を重ねた彼は知る由もない。
彼の隣で、彼と夢を共にする“彩乃”が、彼に淡い想いを抱き続けていたことなんて──。

恋愛経験ゼロの“鳴海”が“彩乃”との恋人ごっこを経てそのイロハを伝授してもらう、
という口実で彼女がちょっとイイ思いをしたり、腹黒い一面を覗かせたりする所が可愛い。
そして「初恋を叶える1パーセントの人」を目指し諦めない姿に空恐ろしさすら感じます。

“楓”が役を演じる上での致命的欠陥。先生から教えられたそれを克服すべく“鳴海”が
あの手この手を尽くす中、彼自身が決定的な鍵となることに気づくまでの後手に回った感。
覚悟を決めた“彩乃”に彼女はこのままリードを許すのか。恋心の行方が気になります。

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2021年12月14日

『男女の友情は成立する?(いや、しないっ!!) Flag 4. でも、わたしたち親友だよね?〈上〉』

七菜なな 先生が贈る青春〈友情〉ラブコメディ。第4巻は“日葵”を引き留めた“悠宇”
を見て“凛音”も「親友」として彼との距離感を詰めるべく残る夏休みを有効に使います。
(イラスト:Parum 先生)

https://dengekibunko.jp/product/danjoru/322106001049.html


お祭りに花火、そしてビーチ遊び。“日葵”と“悠宇”の仲がステップアップした様子が
見られて一安心・・・と思いきや“慎司”が思いついた作戦に“紅葉”と“咲良”が乗っかり、
“凛音”が彼と一緒にいられる時間を作ってしまうあたりから何とも油断ならない展開に。

物理的に“日葵”から離された“悠宇”と時間を共にする機会を得た“凛音”が長期戦を
覚悟して「今は親友でもいいから」と言いながらアプローチを図る様子が強かで興味深い。
その上で彼女が目にしている彼の姿は本当に今を見据えているか見届ける必要がありそう。

面白い力関係を見せる“紅葉”と“凛音”ですが最終的には“紅葉”が一枚上手のようで。
“日葵”のことをまだ諦めていない“紅葉”が一度やられただけでやり返さない訳がない。
“悠宇”の鼻をへし折ろうとする強敵を前に、彼は太刀打ちできるのか続きが見ものです。

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2021年12月13日

『ノーゲーム・ノーライフ11 ゲーマー兄妹たちはカップルにならなきゃ出られないそうです』

榎宮祐 先生が贈る大人気異世界ファンタジー。3年半以上の時を経て刊行される第11巻は
妖精種によって押し込められた空間で“空”と“白”が互いの関係と未来に向き合います。
(イラスト:榎宮祐 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/ngnl/321809000110.html


まずは 榎宮 先生の復帰を心よりお祝い申し上げます。先生の Twitter アカウントを拝見
していただけに感慨もひとしお。長い時を経ても色褪せないキャラクターの魅力、そして
物語そのものの面白さには驚嘆するしかありません。・・・そして圧倒的なページ数の多さも。

“フェオニクラム”によって仕組まれた恋愛ドキュメンタリーという名の動画配信と共に
精神操作や悪堕ちなどエロノベ手前のネタに翻弄される“空”たちが事の経緯を思い出す
まで、そして“白”が安易な言葉で語れない兄との関係を自認するまでの流れが印象的で。

『  』に敗北はない、と自負する2人の間違いと、間違っていない部分を認めてあげた
“ステフ”の振舞いも見逃せません。ある意味“フェオニクラム”の一人勝ちが際立つ中、
ゲーマーとして勝ち逃げなんて許さない“空”たちが世界をどう揺るがすか、見ものです。

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2021年12月10日

『海鳥東月の『でたらめ』な事情』

両生類かえる 先生の「第17回MF文庫Jライトノベル新人賞・最優秀賞」受賞作。他人に
嘘をつけない少女が“でたらめちゃん”の奇天烈な都合に巻き込まれる顛末を描きます。
(イラスト:甘城なつき 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/detarame/322107001130.html


友人の“芳乃”から鉛筆泥棒の犯人を捕まえたいので協力してくれ、と頼まれた“東月”。
快く了承した彼女は帰宅後、自分が犯した「あるミス」をひとり、ほくそ笑みつつ省みる。
そんな彼女の嘘を断罪すると言い、猫耳パーカーを着た謎の少女が包丁を手に現れて──。

“でたらめちゃん”の振舞いもさることながら、まず“東月”が相当な異常者すぎて驚く。
鉛筆が盗まれた犯人をあっさりと明かされた“芳乃”も変な方向に大物だな、と思う所で
謎すぎる少女から語られた、嘘を現実にする〈嘘憑き〉の話に絡んでくるから更に驚きで。

話が進んでいくにつれ“東月”が何度も呆気にとられるのと同じく「えんぴつ事件」から
はるか遠くに事態が動いていることに「えっ」と思わずにいられないスピード感。彼女が
嘘をつけない、という点がどこまで効いてくるか。物語としての展望が気になる作品です。

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2021年12月09日

『時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん3』

燦々SUN 先生が贈る大人気ロシアンJKとの青春ラブコメディ。第3巻は討論会での顛末を
経て結束を強める“アリサ”と“政近”に対して“有希”が更なる攻めの一手を打ちます。
(イラスト:ももこ 先生)

https://sneakerbunko.jp/product/roshidere/322106001160.html
https://comic-walker.com/contents/detail/KDCW_CW01202130010000_68/
https://ncode.syosetu.com/n2778gf/


“谷山”が陥った状況を見て、看過できないと“政近”に救済措置を講じてもらうあたり
“アリサ”の優しさ、というか甘さが窺えます。対称的に強かな彼とは良いコンビとする
印象づけにも繋がっているのではないかと。そんな穴を“有希”が見逃さないワケですが。

“政近”が女性陣からラッキースケベな目に遭ったり、熱で休んだ日に“アリサ”に看病
してもらったり、と羨ましい様子から一変して“有希”が“アリサ”を己のフィールドに
持ち込んでマウントを取りに来る展開が中々えげつない。彼の的確なフォローが光ります。

選挙戦の大事な局面でロシアと日本の文化の違いを活かし、「ロシア語を理解している」
という強力な札をさりげなくバレないように切ってくる“政近”の作戦が印象に残ります。
“アリサ”と距離を縮めていく彼に“有希”がどこまで強キャラ感を出せるか見ものです。

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2021年12月08日

『ひげを剃る。そして女子高生を拾う。 Another side story 三島柚葉』

しめさば 先生が贈るサラリーマンと女子高生の日常ラブコメディ。本編完結のその後を
描く外伝は、“三島”が“吉田”に寄せる思慕の起点と辿り着く終着点に触れていきます。
(イラスト:ぶーた 先生)

https://sneakerbunko.jp/product/higewosoru/322105000116.html


“沙優”がいなくなった穴を仕事で埋めるかのような“吉田”の近寄りがたい雰囲気も
何のそので強引に映画へ誘う“三島”。鑑賞後、彼女を突き動かす心の熱量が爆発する
一連のやり取りは気まずいながらもやっと辿り着いた転換点で感慨深いことこの上なく。

“吉田”にとっては寝耳に水な“三島”の気持ちをどう受け止めるのか。鈍感ながらも
“あさみ”や“橋本”、“神田”たちに助けられつつ「彼女にとって彼ができること」を
実行に移す場面であの映画が自分を、そして互いを見つめ直す因子となる顛末が印象的。

“三島”の恋は物語のように区切りよく終わることなく、しこりとなって心に残り続ける
ことになるとは思います。幾度も流した彼女の涙は見ていて痛ましく、切なくなるばかり
ではなく、次なる物語へと繋がっていくことを切望して止まない。そんなSSでありました。

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2021年12月07日

『不死王の息子 1』

「薬屋のひとりごと」の 日向夏 先生が贈る新作は、人間と人外が共存する日本で不死者
の王とその息子に関わることになる少女の数奇な運命を描くカニバリズム・コメディです。
(イラスト:大地幹 先生)

https://herobunko.com/books/hero101/13366/


“由紀子”の通う小学校でも耳にする連続行方不明事件。塾通いで遅くなったある日の夜、
彼女はその犯人である人外、食人鬼と遭遇して致命傷を負う。最近転入してきた不死王の
息子“不死男”が駆けつけることに気づくも、時すでに遅し・・・となるはずだったが──。

非常事態とはいえ“不死男”の父の肉を食べたことで人の道を外れてしまう“由紀子”が
直面する現実を淡々と受け入れていく様子が面白い。彼のことは受け入れないのも含めて。
己の肉に矜持のある“山田父”を容赦なく捌く“山田母”なども滑稽さに拍車を掛けます。

不死身になれるという不死者の血肉。温和な山田一族、そして“由紀子”も例外なく標的
として危険に晒される中、一族には何やら複雑な事情があることが見え隠れする所に注目。
大人たちの都合にも巻き込まれる彼女はどんな道を歩んでいくのか、続く展開を待ちます。

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2021年12月06日

『灰原くんの強くて青春ニューゲーム 1』

雨宮和希 先生の「HJ小説大賞2020前期」受賞作。暗い高校生活に悔いを残して社会人に
なる青年がタイムリープを機に高校生をやり直す、強くてニューゲーム学園ラブコメです。
(イラスト:吟 先生)

https://firecross.jp/hjbunko/product/1417


陰キャだった中学時代を反省して、高校デビューで心機一転を図るも失敗した“夏希”は
灰色のまま三年間を終える。大学生になり、就職も決まった彼が今も後悔する灰色の青春。
やり直したい、と居酒屋で煙草をくゆらせる彼はふと気が付くとあの頃に戻っていて──。

自己改造計画が功を奏して幼馴染の“美織”も驚くほど変貌を遂げ、陽キャなメンバーに
仲間入りする“夏希”。「またオレ何かやっちゃいました?」と言わんばかりに完璧超人
の印象を周囲に与える彼が、前回はフラれた“星宮”との交際を目標に頑張る姿が印象的。

灰色の青春を送ったが故に知る由もなかった「虹色の青春」における悩みに直面したとき、
“夏希”はどう対応するかが実に良い見せ場。彼の青春の行方だけでなく“美織”の行動
に裏はないのか、そもそもなぜやり直せたのか、など気になる点も多く続きが楽しみです。

posted by 秋野ソラ at 00:06 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル