知念実希人 先生が贈る新感覚メディカル・ミステリー。長編シリーズ7冊目は芸能活動を
していた少女が長い時を経ても姿を変えず、不老不死を体現する謎を“鷹央”が診断します。
(イラスト/いとうのいぢ 先生)
【 https://www.shinchosha.co.jp/book/180223/ 】
初見では歳を取らなくなる疾患「ハイランダー症候群」を窺わせる“希津奈”。彼女から
妊娠や生まれ変わりを示唆する発言があったかと思えば「キヅナ様」と崇められていたり
父“源蔵”によるオンラインサロンで金も動いており、裏があることを匂わせる導入部分。
常識に縛られて犯人の術中に嵌る“小鳥遊”を“鷹央”が何度も叱責する描写が印象的で。
昔と今の“希津奈”は同一人物なのかを突き詰めていく犯人とのギリギリのせめぎ合いが
冷や冷やさせられます。逆転劇もさることながら、アフターケアも万全で流石の診断ぶり。
今巻では統括診断部に臨床研修医として“鴻ノ池”が加わりウザ絡みの機会も悩みも増す
“小鳥遊”。“鷹央”から新車の件で残念な目を向けられるなど泣きっ面に蜂な彼ですが
「診断」では先輩らしさを見せる場面もあり成長の跡が見て取れます。次巻も楽しみです。
2021年09月09日
2021年09月08日
『僕が答える君の謎解き 明神凛音は間違えない』
紙城境介 先生が「星海社FICTIONS」から贈る本格ラブコメ×本格ミステリ。犯人を瞬時
に突き止められても証明できない少女とそれを推理する少年の物語を電子書籍で拝読です。
(イラスト/羽織イオ 先生)
【 https://www.seikaisha.co.jp/information/2021/01/26-post-bokukimi.html 】
「自明の理です」天啓と言われる無意識下の推理でどんな犯人も即座に理解する“凛音”。
「推定無罪だ」推定無罪を信条に弁護士を目指す“透矢”は証拠もなく犯人を決めつける
彼女が気に食わない。彼女の社会復帰と内申点獲得のため「彼女の推理」を推理する──。
答えがわかっても過程を示す証明ができない。ゆえに理解されることを諦める“凛音”を
僅かな手がかりから理詰めでその穴を埋めようと、彼女の思考を掴もうとする“透矢”の
指摘の応酬が新鮮で、しっかり惹き込ませてくれます。“紅ヶ峰”も良いラブコメ要素で。
間違えない“凛音”に対し、間違えてしまうこともある“透矢”。その人としての甘さを
正論で打ちのめす、彼女の姉でありスクールカウンセラーでもある“芙蓉”の容赦のなさ。
同じ責任を担うと決めた2人がそんな大人に吠え面をかかせられるのか、続きに期待です。
に突き止められても証明できない少女とそれを推理する少年の物語を電子書籍で拝読です。
(イラスト/羽織イオ 先生)
【 https://www.seikaisha.co.jp/information/2021/01/26-post-bokukimi.html 】
「自明の理です」天啓と言われる無意識下の推理でどんな犯人も即座に理解する“凛音”。
「推定無罪だ」推定無罪を信条に弁護士を目指す“透矢”は証拠もなく犯人を決めつける
彼女が気に食わない。彼女の社会復帰と内申点獲得のため「彼女の推理」を推理する──。
答えがわかっても過程を示す証明ができない。ゆえに理解されることを諦める“凛音”を
僅かな手がかりから理詰めでその穴を埋めようと、彼女の思考を掴もうとする“透矢”の
指摘の応酬が新鮮で、しっかり惹き込ませてくれます。“紅ヶ峰”も良いラブコメ要素で。
間違えない“凛音”に対し、間違えてしまうこともある“透矢”。その人としての甘さを
正論で打ちのめす、彼女の姉でありスクールカウンセラーでもある“芙蓉”の容赦のなさ。
同じ責任を担うと決めた2人がそんな大人に吠え面をかかせられるのか、続きに期待です。
2021年09月07日
『僕を成り上がらせようとする最強女師匠たちが育成方針を巡って修羅場3』
赤城大空 先生が贈るヒロイックファンタジー。第3巻は何かと注目が集まる“クロス”を
街の名物行事「喧嘩祭り」で潰そうと上位職の貴族から決闘を仕組まれる顛末を描きます。
(イラスト:タジマ粒子 先生)
【 http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094530247 】
“クロス”に惨敗した“カトレア”へ折檻することも容易い上位貴族の“ギムレット”。
彼が“ジゼル”にも嫌がらせをするものだから“クロス”が怒髪天を衝くのも当たり前。
今回は格上との戦い方を“テロメア”が教示するのでスキンシップ多めなのがまず印象的。
魔王の“ソルティ”すら“クロス”を成長させるために引っ張り出す“リオーネ”たちの
容赦のなさは言わずもがなですが、その期待に応えて成長し続ける彼の資質もまた異質で。
もちろん対策を怠っていない“ギムレット”に対しどう決闘を繰り広げるかが見ものです。
“ジゼル”にとっても負けられない戦いを経て、師匠らも含めた“クロス”への好感度が
うなぎ上りを見せる中で今回の勝利が何を意味するのか。卑怯なほど可愛い巻末の挿絵に
微笑ましさより殺伐とした展開を感じざるを得ないのが本作らしい所。次巻も楽しみです。
街の名物行事「喧嘩祭り」で潰そうと上位職の貴族から決闘を仕組まれる顛末を描きます。
(イラスト:タジマ粒子 先生)
【 http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094530247 】
“クロス”に惨敗した“カトレア”へ折檻することも容易い上位貴族の“ギムレット”。
彼が“ジゼル”にも嫌がらせをするものだから“クロス”が怒髪天を衝くのも当たり前。
今回は格上との戦い方を“テロメア”が教示するのでスキンシップ多めなのがまず印象的。
魔王の“ソルティ”すら“クロス”を成長させるために引っ張り出す“リオーネ”たちの
容赦のなさは言わずもがなですが、その期待に応えて成長し続ける彼の資質もまた異質で。
もちろん対策を怠っていない“ギムレット”に対しどう決闘を繰り広げるかが見ものです。
“ジゼル”にとっても負けられない戦いを経て、師匠らも含めた“クロス”への好感度が
うなぎ上りを見せる中で今回の勝利が何を意味するのか。卑怯なほど可愛い巻末の挿絵に
微笑ましさより殺伐とした展開を感じざるを得ないのが本作らしい所。次巻も楽しみです。
2021年09月06日
『精霊幻想記 20.彼女の聖戦』
アニメ放送が始まった、北山結莉 先生が贈る異世界転生譚。第20巻は“エリカ”に導かれ
神聖エリカ民主共和国がガルアーク王国へ侵攻する顛末を描く《聖女編》山場を迎えます。
(イラスト/Riv 先生)
【 http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/980.html 】
【 https://seireigensouki.com/ 】
“エリカ”があれほどまでに世界を嫌い、世界に聖戦を挑む理由。それがプロローグにて
明かされたことで色々と得心がいきました。ある意味では勇者である、という「呪い」が
彼女をここまで苦しめ続けて、“リオ”に可能性すら見い出していたのだ、ということに。
“リーゼロッテ”の件で派閥争い、そのしわ寄せが“リオ”にいくのを“グレゴリー”が
言葉と態度で如実に示してくる訳ですがこれが小賢しいの何の。聖戦でとばっちりを食う
展開には「ざまあみろ」と思ってしまうほど。王国にとっては国難に及ぶ一大事ですけど。
“アイシア”が記憶を失っていた理由、彼女が担っていた役目。“エリカ”と相まみえる
死闘を経て、彼女の願望を叶えるため“アイシア”が“リオ”に託した力。彼女らが言う
「竜の王」とは何か。最後の一言が告げる決別の予兆が不穏すぎて続きが気になります。
神聖エリカ民主共和国がガルアーク王国へ侵攻する顛末を描く《聖女編》山場を迎えます。
(イラスト/Riv 先生)
【 http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/980.html 】
【 https://seireigensouki.com/ 】
“エリカ”があれほどまでに世界を嫌い、世界に聖戦を挑む理由。それがプロローグにて
明かされたことで色々と得心がいきました。ある意味では勇者である、という「呪い」が
彼女をここまで苦しめ続けて、“リオ”に可能性すら見い出していたのだ、ということに。
“リーゼロッテ”の件で派閥争い、そのしわ寄せが“リオ”にいくのを“グレゴリー”が
言葉と態度で如実に示してくる訳ですがこれが小賢しいの何の。聖戦でとばっちりを食う
展開には「ざまあみろ」と思ってしまうほど。王国にとっては国難に及ぶ一大事ですけど。
“アイシア”が記憶を失っていた理由、彼女が担っていた役目。“エリカ”と相まみえる
死闘を経て、彼女の願望を叶えるため“アイシア”が“リオ”に託した力。彼女らが言う
「竜の王」とは何か。最後の一言が告げる決別の予兆が不穏すぎて続きが気になります。
2021年09月03日
『転生ごときで逃げられるとでも、兄さん?2』
紙城境介 先生が贈る異世界転生ファンタジー。約1年半の時を経て刊行される第2巻は
“ジャック”以外の優秀な人材が学院に集う「黄金の少年期:神童集結編」を綴ります。
(イラスト:木鈴カケル 先生)
【 https://mfbunkoj.jp/product/tenseigotoki/322003001226.html 】
王立精霊術学院にスカウトされた“ジャック”たちが目の当たりにする、自分と同じか
それ以上のライバルたちと切磋琢磨していく、というよりは戦いの場を生き抜くために
出来ることは搦め手でも使え、と教えられて共に成長していく展開が興味深いところで。
中でも一番目を引く天才王子“エルヴィス”の能力を見抜くために“ジャック”がとる
手段や対抗策を講じるまでの駆け引きが気に食わない、認めたくない“アゼレア”との
対立軸が、単純に戦うのとは違う人間関係を描くのに一役買えているのかなと思ったり。
とはいえ、前巻が刊行されてから1年半。「ここまでのあらすじ」も入れていただいて
何とか思い出しながら「妹」と思われる“彼女”の存在が徐々に輪郭を帯びてきた今巻。
皆の力を借りて“ジャック”は「妹」に対処することができるか、引き続き要注目です。
“ジャック”以外の優秀な人材が学院に集う「黄金の少年期:神童集結編」を綴ります。
(イラスト:木鈴カケル 先生)
【 https://mfbunkoj.jp/product/tenseigotoki/322003001226.html 】
王立精霊術学院にスカウトされた“ジャック”たちが目の当たりにする、自分と同じか
それ以上のライバルたちと切磋琢磨していく、というよりは戦いの場を生き抜くために
出来ることは搦め手でも使え、と教えられて共に成長していく展開が興味深いところで。
中でも一番目を引く天才王子“エルヴィス”の能力を見抜くために“ジャック”がとる
手段や対抗策を講じるまでの駆け引きが気に食わない、認めたくない“アゼレア”との
対立軸が、単純に戦うのとは違う人間関係を描くのに一役買えているのかなと思ったり。
とはいえ、前巻が刊行されてから1年半。「ここまでのあらすじ」も入れていただいて
何とか思い出しながら「妹」と思われる“彼女”の存在が徐々に輪郭を帯びてきた今巻。
皆の力を借りて“ジャック”は「妹」に対処することができるか、引き続き要注目です。