2021年09月16日

『魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい? 13』

手島史詞 先生が贈る、不愛想魔王と箱入りエルフによるラブコメファンタジー。第13巻は
<アザゼル>化してしまった“ネフテロス”を救うため“ザガン”が総力戦で対処します。
(イラスト/COMTA 先生)

http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/981.html


負け戦、劣勢というキーワードで暗めの導入を、敵地に居ながら「愛で力」に打ち震える
“ゴメリ”のいつも通りなノリで楽観的な雰囲気へと昇華させていくのが本作らしい所。
“シアカーン”の軍勢も様々な繋がり、絆が何とかしてくれると信じられる、というもの。

“ネフテロス”を救う手立てはある、そう信じて突き進む者たちの中でも一際強い気概を
見せる“ネフィ”が迷わず手に取った力。今後、物語の鍵を握りそうな“フォル”の件も
含めて「魔王」周りの勢力図が書き換わった所は次巻以降も要注視な展開かと思います。

“ビフロンス”が「最高に楽しいゲーム」と評価した駆け引きを、“ネフィ”の誕生日を
祝うために制した“ザガン”。彼女の悔し涙が嬉し涙に変わるエピローグ、そしてついに
彼が欲しいものを得た瞬間は感慨深い、というか「愛で力」も爆発。次巻も楽しみです。

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2021年09月15日

『異世界迷宮の最深部を目指そう 16』

割内タリサ 先生が贈る異世界迷宮ファンタジー。 第16巻は“ラグネ”に殺され、肉体も
囚われた“渦波”を助け出せると信じる“ノスフィー”らがフーズヤーズ城に突入します。
(イラスト/鵜飼沙樹 先生)

https://over-lap.co.jp/Form/Product/ProductDetail.aspx?&pid=9784865549799


“ラグネ”が“渦波”を裏切ってでも目指す「一番」。背景に根差す母との関係が彼女の
矛盾だらけの生き様に現れていたのかと思うと物悲しい。求めた光が母に、“渦波”に、
そして“ノスフィー”に変移していく機微も彼女の想いを象徴していて印象に残ります。

“ノスフィー”が「お父様」と認めた“渦波”が死ぬはずがない、と千年前の希望である
本当の魔法で生き返らせるため何が何でも前に進み、その詠唱に必要な言葉を紡いでいく
姿が痛ましくて、いじらしくて。彼に「一緒に生きてくれ」と言われた時のあの顔は必見。

“渦波”は“ラグネ”と「親和」によって深層心理で繋がり、彼女の矛盾を理解した上で
一身に受けることにより、ようやく妹“陽滝”と対等に向き合う存在に登り詰めました。
異世界を巻き込み開かれる家族会議でどんな結論が導き出されるか、注目したい所です。

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2021年09月14日

『神は遊戯に飢えている。3』

細音啓 先生が贈る、人類VS神々の至高のファンタジー頭脳戦。第3巻は“ネル”を救う
“賭け神(ブックメーカー)”との戦いに勝利宣言する“フェイ”の真意に言及します。
(イラスト:智瀬といろ 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/kami_to_game/322104000808.html


“賭け神”との勝負前に眺めていた“フェイ”のメモ書き。そこに「神々の遊び」を達成
しようとする彼の油断なさ、あらゆる可能性を考慮して動く姿勢が窺えて感嘆するばかり。
それを踏まえて「勝ち確」を実現するイカサマ破りの動向は安心して見ていられました。

そんな運命の鍵を握る勝負とは別に、“フェイ”を巡る女性陣の駆け引きが実にコミカル。
何かと抜け駆けしようとする“パール”、ズルは見逃さないと用心する“レオレーシェ”、
後発だけに見せ場を狙いにいく“ネル”、三者三様のアプローチは引き続き注視したい所。

“ネル”の問題を解決したかと思えば突如去来する世界規模の緊急案件。敗北条件のない
迷宮脱出ゲームへ挑むにあたって「いまたくさんミスしよう」と指針を示す“フェイ”の
言葉が世知辛い社会を生きる私の胸に響きます。そして「彼女」の乱入も目が離せません。

posted by 秋野ソラ at 01:18 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2021年09月13日

『忘れさせてよ、後輩くん。』

あまさきみりと 先生が贈る新作は、片思いしている先輩の女の子が兄に片思いをしている
という停滞した時間が兄の死、再会と選択によって動き始める忘れられない夏を描きます。
(イラスト:へちま 先生)

https://sneakerbunko.jp/product/kohaikun/322101000027.html


出会えたら【止まっている片思い】が動き出す、という幸運のイルカに縋りたいほど想い
を燻ぶらせる“夏梅”。その相手“春瑠”の帰省にあわせて再会したが気持ちは晴れない。
彼女が彼の姿に亡くなった兄、好きだった片思いの面影を追っているのが分かるから──。

好きな人の彼氏になれないなら一番の後輩でいたい、兄の代わりでいようとする“夏梅”。
そんな彼がオカルトじみた話で“春瑠”を失うかもしれないと聞き一歩踏み出せるか否か。
兄のお下がりであるスクーターが様々な背景を象徴するかのような展開が印象に残ります。

“夏梅”の気持ちを知っていてもなお「マネージャー」として彼を叱咤激励する“冬莉”
の振舞いが実に健気。彼女の恋が報われないのは互いの名に含まれる季節の距離感からか。
「秋」にあたる人物がいないのも、「彼女」がつぶやく最後の一言も気になる物語です。

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2021年09月10日

『リアデイルの大地にて7』

2022年1月からのアニメ放映が控えている、Ceez 先生が贈る大人気エルフファンタジー。
第7巻は闘技祭を村の皆と楽しむために“ケーナ”が世界中を駆け巡る顛末を描きます。
(イラスト:てんまそ 先生)

https://famitsubunko.jp/product/322104000016.html
https://leadale.net/


いわゆる「プロジェクター」になるものが欲しいね、ということで守護者の塔を渡り歩く
ところが“ケーナ”らしい。“オプス”とのやり取りを経てすっかり毒された、というか
システムへの順応が高まったと言って良いかもしれません。そういう描写もありましたし。

道中、“サハラシェード”と会うことができて“ケーナ”の新たな昔話や“カン・ウー”
との縁も描写されたことで更なる世界の広がりも予感させています。“オプス”はダメな
人にとってはとことん相性が悪いようで。だからこそ特殊なコンビだと印象づけてきます。

闘技祭では“オプス”だけ出しゃばるのかと思いきや“ケーナ”も意外な所で巻き込まれ、
しかも“マイマイ”に「暴君」と言われるほどえげつない振舞いを見せる場面もポイント。
そんな娘からある依頼を受ける“ケーナ”がどんな冒険に駆り出されるのか、楽しみです。

posted by 秋野ソラ at 00:07 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル