2021年09月30日

『僕が答える君の謎解き 2 その肩を抱く覚悟』

紙城境介 先生が贈る本格ラブコメ×本格ミステリ。第2巻は“凛音”も参加する臨海学校
において嵌められた罠、クラスメイト全員の嘘が推理を阻む謎に“透矢”たちが挑みます。
(イラスト/羽織イオ 先生)

https://www.seikaisha.co.jp/information/2021/08/25-post-kimitoki-2.html


相変わらず歯牙にもかけない、と言わんばかりの態度を示す“凛音”を見返してやろうと
勉学に勤しむ“紅ヶ峰”に降りかかるカンニング疑惑。疑わしきは罰する、という先生に
“透矢”が無実を証明する過程でクラスに仕掛けられた構造と宿敵たる存在に出会う今巻。

“芙蓉”によって作られたと言える“和花暮”との対峙。改心させるか、同類と認めるか。
“凛音”を庇いきれなかった“透矢”が「君の謎ときに、僕が答える」そう決めた覚悟を
思い出して35人の嘘に明らかにする流れは福因、というよりはどこか禍根を残した印象で。

そんなわだかまりは、“透矢”に対する好意を示した“紅ヶ峰”を見て持てあます感情を
自覚しただけでなく、向き合い始めた“凛音”の合法的な姿を確認することで拭えました。
正論だけが全てではないと、互いが互いを正しいと信じて進む二人の行く末に要注目です。

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2021年09月29日

『ひきこまり吸血姫の悶々6』

小林湖底 先生が贈るコミカルファンタジー。第6巻は“コマリ”たちの部隊に所属したい
という物好きな新人を迎える中、彼女が知らないある計画が進行していく顛末を描きます。
(イラスト:りいちゅ 先生)

https://ga.sbcr.jp/product/9784815612030/


ならず者たちが集まる特殊班、“ヴィル”からその班長を任された“エステル”が相手に
されず頭を悩ませるのは頭でっかちの優等生だからか・・・と心苦しい展開を見守っていたら
「武力こそ正義」で片が付くあたり類は友を呼ぶ、の典型か。今後の活躍に注目したい所。

“エステル”の提案により“コマリ”へのある計画を実行する場として選ばれた核領域の
温泉街にある宿。茶番劇を通してイチャイチャする女の子たちを見ていると前巻の話とは
打って変わって微笑ましい限り。そんな中でも、ある陰謀が“コマリ”たちを襲うワケで。

“エステル”の妹“モニク”が患う、命にかかわる謎多き病。その彼女だけが見える影が
“コマリ”に対して示しているという怒気。それらが絡み合って“コマリ”が抱く母との
思い出と「常世」との関係を結びつけてきました。更なる世界観の広がりに期待する次第。

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2021年09月28日

『俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎる17』

裕時悠示 先生が贈る甘修羅らぶ×らぶコメディ。第17巻は恋愛アンチの悪魔として現れた
“真涼”が問い質す「“鋭太”のハーレム」に対し「自演乙」メンバーが答えを出します。
(イラスト:るろお 先生)

https://ga.sbcr.jp/product/9784815610746/


幼なじみ、前世の恋人、婚約者。“千和”や“姫香”そして“愛衣”が過去の“鋭太”に
恋しているのではないか、今の彼を見ていないのではないか、という“真涼”の疑念など
見事に跳ね返してくれる彼女たちにあっぱれ。覚悟を決めた3人には今さらな愚問でした。

“鋭太”としても「誰か1人を選ばない」という意味を、より具体的な未来予想図として
示してきたのは驚きました。「推薦入試で遅刻した」という理由、“カオル”からの質問
すら覚悟を決めるために使ってきたのも印象深い。“カオル”の件も一段落して何よりで。

新たな門出を前に強気に出た“真涼”も結局“鋭太”を前に「もにょもにょ」するあたり
共犯者であることを改めて印象づけてきました。ネットミームを交えた「呪い」に関する
演出もお見事・・・という流れで最終巻じゃないのが面白い。「最後の旅」にも要注目です。

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2021年09月27日

『りゅうおうのおしごと!15 小冊子付き特装版』

白鳥士郎 先生が贈る熱血将棋コメディ。小冊子付き特装版が同時刊行となる第15巻は
“銀子”も“あい”もいない“八一”に対し“供御飯”の抱く野心が鎌首をもたげます。
(イラスト:しらび 先生)

https://ga.sbcr.jp/product/9784815610937/


棋士として、将棋ライターとして“八一”を見続けてきた“供御飯”の並々ならぬ想い。
彼の棋書を出版することを口実に仕掛ける彼女の手数からその本気度が窺える一方、彼と
恋人との愛を、そして師弟の絆を現実として目前に突き付けられ、報われないのが切ない。

必勝を狙う“供御飯”との戦いに相対する“あい”も心折れかけてもなお前に進む日々。
女流棋士だからこその厳しい世界を知ってもなお、師匠と肩を並べるため新たな出会いを
力に変えて見せてくれた涙あふれる笑顔に救われます。その傍らにある恋模様の行方にも。

“八一”から贈られた「物語」をしっかりと受け止めた“銀子”の姿も見られて一安心。
そんな彼女の可愛らしい一面が覗ける小冊子の短編、イラストの数々はまさに必見の一言。
感想戦でも思いがけない発言が飛び出して、各々の「物語」の行方にも期待が膨らみます。

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2021年09月24日

『狼と香辛料XXIII Spring LogVI』

支倉凍砂 先生が贈る元行商人“ロレンス”と賢狼“ホロ”の旅物語。第6巻は雑誌掲載の
短編2つ、公式サイトに掲載の短編、そして書き下ろしの短編を収録した一冊となります。
(イラスト:文倉十 先生)

https://dengekibunko.jp/product/spice-and-wolf/322105000014.html


「狼と実りの夏」で村に出た悪魔を見た瞬間の“コル”と“ミューリ”の絆を再認しつつ、
便りが無いのは良い便りと“ロレンス”が“エルサ”の相談にのる「狼と宝石の海」では
“ホロ”と同じく「居場所」を失いたくない人物を後押しする過程とその反応が印象的で。

そんな“ロレンス”が“ホロ”のために格好いい所を見せようとする姿を見てある不安を
抱く顛末を描く「狼とかつての猟犬のため息」。関税の利害と大蛇の伝説に隠された謎を
利用して彼女に思い出の種を残そうとする彼の手腕。それもまた道を掴んだ証たるもので。

蜂蜜酒のような2人の甘い関係にあてられた“エルサ”や“ターニャ”にも思う所ありと
触れつつ、その2人もまた残された時間を意識せざるを得ない一時の別れに思いを馳せる
「狼と夜明けの色」。“ホロ”の注文に応え続ける“ロレンス”が抱く気苦労にエールを。

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2021年09月23日

『楽園ノイズ3』

杉井光 先生が贈る青春バンドストーリー。第3巻は「PNO」の新メンバー候補“伽耶”を
加入させるかどうか悩む過程で“真琴”が自分の音楽と「PNO」の音楽を見つめ直します。
(イラスト:春夏冬ゆう 先生)

https://dengekibunko.jp/product/paradise_noise/322011000007.html


“玉村”の思いつきで“真琴”らに紹介された“伽耶”。ベースも上手く即戦力な彼女が
加入した「PNO」という未来を、彼女の可能性を見極める彼が結論づけたあの一言は流石。
彼女に涙を流させた罪作りな彼に下される天罰が少しでも軽くなることを祈っておきます。

自分抜きでクリスマスライブを、とわがままを通した“真琴”がソロ活動の中で出会った
プロレベルなのに謎多き動画の音源。辿り着いた“拓斗”との出会いが共に「音楽バカ」
であることを印象づけ、“拓斗”の止まっていた物語と紐づける結末へと誘う展開が絶妙。

“伽耶”も憧れていた「musa男」の活動を、「Misa男」として見届けてきた“華園”先生。
彼女が待誕節を通して貫ききれなかった嘘、残された祈りと願い。彼がこなしたハードな
デートスケジュールの果てに現実へと繋ぎとめられた「あの手」に光明を見い出しました。

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2021年09月22日

『インフルエンス・インシデント Case:02 元子役配信者・春日夜鶴の場合』

駿馬京 先生が贈るインターネットに起因する事件へインフルエンサーが挑むミステリー。
第2巻は実際の炎上を運ぶと悪意ある噂を流される人気の配信者に纏わる事件を扱います。
(イラスト:竹花ノート 先生)

https://dengekibunko.jp/product/influence/322106000005.html


「RootDSpeak」に追加された『音声通話機能』を使いインフルエンサーのスクープ記事を
匿名で発信し続けるアカウントが広める「春日夜鶴は炎上を運ぶ」という噂。当の本人は
ボヤ騒ぎがあるのは認めるものの迷惑しているので“玲華”へ相談しに来たのが事の発端。

とは言え“玲華”は不在で、しかもなおざりな拒否反応を示す、とあれば“まゆ”たちが
動かざるを得ず。本件を通じて“まゆ”が、少ないながらも「友達」という関係について
考えて一つの答えに辿り着く過程、その意味合いはインフルエンサーならではで興味深い。

“まゆ”の成長につながり、“夜鶴”がスターダムへの上り口に足を掛けたこの炎上騒動、
そもそも“夜鶴”に“玲華”の話を持ち掛けたきっかけは・・・ということで止まっていた
あの話が動き出す、というかいよいよ“ひまり”も巻き込まれていく引きが気になります。

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2021年09月21日

『僕の愛したジークフリーデ 第2部 失われし王女の物語』

松山剛 先生が贈る、乱世に生きる少女たちの物語。第2巻は“ジークフリーデ”の両腕を
奪ってもなお続く女王“ロザリンデ”の凶行、その真相に魔術師“オットー”が迫ります。
(イラスト:ファルまろ 先生)

https://dengekibunko.jp/product/322106000007.html


“ロザリンデ”に腕を失われてもなお「陛下を愛している」と告げる“ジークフリーデ”。
呆れるほど強い想いに理解が追い付かない“オットー”が彼女の「眼」によって共有した
「夢」が温かくて、哀しくて。だからこそ祭りの二の舞を食い止めんとする姿が勇ましい。

“ファーレンベルガー”が示した極意。“オットー”の師が「大魔術典」に残した過ちと
託した希望。“ジークフリーデ”の眼帯に込められた迂遠なる願い。「鮮血の謝肉祭」の
真相を語る「彼女」が“ジークフリーデ”に訂正した事実。後半は驚嘆するばかりの展開。

章の間に挿入される記憶の断片もまた印象的で。だからこそ“ジークフリーデ”の慟哭が
胸を打ちましたし、終章から感じられる絆に救いを感じずにはいられません。あと今巻で
筋を通した“イザベラ”が見せる可愛らしい一面もご注目。間違いなくお薦めの一作です。

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2021年09月20日

『わたし、二番目の彼女でいいから。』

西条陽 先生が贈る新作は、一番好きな人との望みの薄い想いを抱えつつ二番目に好きな人
と交際する少年少女の、どんどん抜けられない関係に陥る危険で不健全な恋愛を描きます。
(イラスト:Re岳 先生)

https://dengekibunko.jp/product/322009000012.html


真面目で清純と評判の“早坂”。無口で無表情、超美人の“橘”。高嶺の花として名高い
二人だが“早坂”には好きな人が、“橘”には彼氏がいる。“桐島”は“橘”に報われぬ
恋をしながら二番目に好きな“早坂”と交際中。彼女もまた彼が二番目に好きだから──。

一番に好きな人とできない「わるいこと」をしたがる“早坂”に対してブレーキ役を担う
“桐島”も満更ではなくなっていく不純異性交遊な雰囲気にはそそられるものがあります。
彼が所属するミステリー研究会へ“橘”が急に入会することで崩れていくバランスが見所。

「何で彼氏がいるのに“桐島”にちょっかい出すの?」「でも二番目の彼女だし・・・」と
矛盾した感情から情緒不安定になっていく“早坂”を後目に“橘”が語る真意とあの宣言
によって四角関係が一気に変化する構成と読ませ方はお見事。続きが気になる注目作です。

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2021年09月17日

『ぼんくら陰陽師の鬼嫁 七』

秋田みやび 先生が贈る、退魔お仕事嫁物語。第7巻は廃遊園地の件が片付いてもなお続く
“芹”の不調をもたらす呪詛、その原因を探るべく“皇臥”たちが動く顛末を描きます。
(イラスト:しのとうこ 先生)

https://lbunko.kadokawa.co.jp/product/bonkuraonmyouji/322101000345.html


母“史緒佳”が“皇臥”に雷を落とした理由は、彼に同情を誘いつつも得心がいく内容で。
彼女から語られる呪詛に纏わる北御門の悲しい過去、彼の面子に関わる話を聞いてもなお
嫁として寄り添える“芹”の気丈ぶりに救われます。それゆえに呪詛の謎も深まるワケで。

“皇臥”の影武者としての役割も担う式神“如月”を呼び出しても手詰まりが続く調査の
行方を左右するのはやはり“貴緒”。そう易々と手は貸さない彼が弟に「アレ」を求める
あたりは実にあくどい、というかよく分かっているのが窺えてつい苦笑いせざるを得ない。

“皇臥”たちに心配をかけることが悪いこと、と今更ながらに気付いた“芹”の言動から
契約の枠を超えた家族の絆が見て取れて感慨深い。今回の顛末が二人の出会いに結びつく
設定の妙は先生のTRPGリプレイを読んだ時に似たものを感じました。続きも気になります。

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2021年09月16日

『魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい? 13』

手島史詞 先生が贈る、不愛想魔王と箱入りエルフによるラブコメファンタジー。第13巻は
<アザゼル>化してしまった“ネフテロス”を救うため“ザガン”が総力戦で対処します。
(イラスト/COMTA 先生)

http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/981.html


負け戦、劣勢というキーワードで暗めの導入を、敵地に居ながら「愛で力」に打ち震える
“ゴメリ”のいつも通りなノリで楽観的な雰囲気へと昇華させていくのが本作らしい所。
“シアカーン”の軍勢も様々な繋がり、絆が何とかしてくれると信じられる、というもの。

“ネフテロス”を救う手立てはある、そう信じて突き進む者たちの中でも一際強い気概を
見せる“ネフィ”が迷わず手に取った力。今後、物語の鍵を握りそうな“フォル”の件も
含めて「魔王」周りの勢力図が書き換わった所は次巻以降も要注視な展開かと思います。

“ビフロンス”が「最高に楽しいゲーム」と評価した駆け引きを、“ネフィ”の誕生日を
祝うために制した“ザガン”。彼女の悔し涙が嬉し涙に変わるエピローグ、そしてついに
彼が欲しいものを得た瞬間は感慨深い、というか「愛で力」も爆発。次巻も楽しみです。

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2021年09月15日

『異世界迷宮の最深部を目指そう 16』

割内タリサ 先生が贈る異世界迷宮ファンタジー。 第16巻は“ラグネ”に殺され、肉体も
囚われた“渦波”を助け出せると信じる“ノスフィー”らがフーズヤーズ城に突入します。
(イラスト/鵜飼沙樹 先生)

https://over-lap.co.jp/Form/Product/ProductDetail.aspx?&pid=9784865549799


“ラグネ”が“渦波”を裏切ってでも目指す「一番」。背景に根差す母との関係が彼女の
矛盾だらけの生き様に現れていたのかと思うと物悲しい。求めた光が母に、“渦波”に、
そして“ノスフィー”に変移していく機微も彼女の想いを象徴していて印象に残ります。

“ノスフィー”が「お父様」と認めた“渦波”が死ぬはずがない、と千年前の希望である
本当の魔法で生き返らせるため何が何でも前に進み、その詠唱に必要な言葉を紡いでいく
姿が痛ましくて、いじらしくて。彼に「一緒に生きてくれ」と言われた時のあの顔は必見。

“渦波”は“ラグネ”と「親和」によって深層心理で繋がり、彼女の矛盾を理解した上で
一身に受けることにより、ようやく妹“陽滝”と対等に向き合う存在に登り詰めました。
異世界を巻き込み開かれる家族会議でどんな結論が導き出されるか、注目したい所です。

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2021年09月14日

『神は遊戯に飢えている。3』

細音啓 先生が贈る、人類VS神々の至高のファンタジー頭脳戦。第3巻は“ネル”を救う
“賭け神(ブックメーカー)”との戦いに勝利宣言する“フェイ”の真意に言及します。
(イラスト:智瀬といろ 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/kami_to_game/322104000808.html


“賭け神”との勝負前に眺めていた“フェイ”のメモ書き。そこに「神々の遊び」を達成
しようとする彼の油断なさ、あらゆる可能性を考慮して動く姿勢が窺えて感嘆するばかり。
それを踏まえて「勝ち確」を実現するイカサマ破りの動向は安心して見ていられました。

そんな運命の鍵を握る勝負とは別に、“フェイ”を巡る女性陣の駆け引きが実にコミカル。
何かと抜け駆けしようとする“パール”、ズルは見逃さないと用心する“レオレーシェ”、
後発だけに見せ場を狙いにいく“ネル”、三者三様のアプローチは引き続き注視したい所。

“ネル”の問題を解決したかと思えば突如去来する世界規模の緊急案件。敗北条件のない
迷宮脱出ゲームへ挑むにあたって「いまたくさんミスしよう」と指針を示す“フェイ”の
言葉が世知辛い社会を生きる私の胸に響きます。そして「彼女」の乱入も目が離せません。

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2021年09月13日

『忘れさせてよ、後輩くん。』

あまさきみりと 先生が贈る新作は、片思いしている先輩の女の子が兄に片思いをしている
という停滞した時間が兄の死、再会と選択によって動き始める忘れられない夏を描きます。
(イラスト:へちま 先生)

https://sneakerbunko.jp/product/kohaikun/322101000027.html


出会えたら【止まっている片思い】が動き出す、という幸運のイルカに縋りたいほど想い
を燻ぶらせる“夏梅”。その相手“春瑠”の帰省にあわせて再会したが気持ちは晴れない。
彼女が彼の姿に亡くなった兄、好きだった片思いの面影を追っているのが分かるから──。

好きな人の彼氏になれないなら一番の後輩でいたい、兄の代わりでいようとする“夏梅”。
そんな彼がオカルトじみた話で“春瑠”を失うかもしれないと聞き一歩踏み出せるか否か。
兄のお下がりであるスクーターが様々な背景を象徴するかのような展開が印象に残ります。

“夏梅”の気持ちを知っていてもなお「マネージャー」として彼を叱咤激励する“冬莉”
の振舞いが実に健気。彼女の恋が報われないのは互いの名に含まれる季節の距離感からか。
「秋」にあたる人物がいないのも、「彼女」がつぶやく最後の一言も気になる物語です。

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2021年09月10日

『リアデイルの大地にて7』

2022年1月からのアニメ放映が控えている、Ceez 先生が贈る大人気エルフファンタジー。
第7巻は闘技祭を村の皆と楽しむために“ケーナ”が世界中を駆け巡る顛末を描きます。
(イラスト:てんまそ 先生)

https://famitsubunko.jp/product/322104000016.html
https://leadale.net/


いわゆる「プロジェクター」になるものが欲しいね、ということで守護者の塔を渡り歩く
ところが“ケーナ”らしい。“オプス”とのやり取りを経てすっかり毒された、というか
システムへの順応が高まったと言って良いかもしれません。そういう描写もありましたし。

道中、“サハラシェード”と会うことができて“ケーナ”の新たな昔話や“カン・ウー”
との縁も描写されたことで更なる世界の広がりも予感させています。“オプス”はダメな
人にとってはとことん相性が悪いようで。だからこそ特殊なコンビだと印象づけてきます。

闘技祭では“オプス”だけ出しゃばるのかと思いきや“ケーナ”も意外な所で巻き込まれ、
しかも“マイマイ”に「暴君」と言われるほどえげつない振舞いを見せる場面もポイント。
そんな娘からある依頼を受ける“ケーナ”がどんな冒険に駆り出されるのか、楽しみです。

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2021年09月09日

『久遠の檻―天久鷹央の事件カルテ―』

知念実希人 先生が贈る新感覚メディカル・ミステリー。長編シリーズ7冊目は芸能活動を
していた少女が長い時を経ても姿を変えず、不老不死を体現する謎を“鷹央”が診断します。
(イラスト/いとうのいぢ 先生)

https://www.shinchosha.co.jp/book/180223/


初見では歳を取らなくなる疾患「ハイランダー症候群」を窺わせる“希津奈”。彼女から
妊娠や生まれ変わりを示唆する発言があったかと思えば「キヅナ様」と崇められていたり
父“源蔵”によるオンラインサロンで金も動いており、裏があることを匂わせる導入部分。

常識に縛られて犯人の術中に嵌る“小鳥遊”を“鷹央”が何度も叱責する描写が印象的で。
昔と今の“希津奈”は同一人物なのかを突き詰めていく犯人とのギリギリのせめぎ合いが
冷や冷やさせられます。逆転劇もさることながら、アフターケアも万全で流石の診断ぶり。

今巻では統括診断部に臨床研修医として“鴻ノ池”が加わりウザ絡みの機会も悩みも増す
“小鳥遊”。“鷹央”から新車の件で残念な目を向けられるなど泣きっ面に蜂な彼ですが
「診断」では先輩らしさを見せる場面もあり成長の跡が見て取れます。次巻も楽しみです。

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2021年09月08日

『僕が答える君の謎解き 明神凛音は間違えない』

紙城境介 先生が「星海社FICTIONS」から贈る本格ラブコメ×本格ミステリ。犯人を瞬時
に突き止められても証明できない少女とそれを推理する少年の物語を電子書籍で拝読です。
(イラスト/羽織イオ 先生)

https://www.seikaisha.co.jp/information/2021/01/26-post-bokukimi.html


「自明の理です」天啓と言われる無意識下の推理でどんな犯人も即座に理解する“凛音”。
「推定無罪だ」推定無罪を信条に弁護士を目指す“透矢”は証拠もなく犯人を決めつける
彼女が気に食わない。彼女の社会復帰と内申点獲得のため「彼女の推理」を推理する──。

答えがわかっても過程を示す証明ができない。ゆえに理解されることを諦める“凛音”を
僅かな手がかりから理詰めでその穴を埋めようと、彼女の思考を掴もうとする“透矢”の
指摘の応酬が新鮮で、しっかり惹き込ませてくれます。“紅ヶ峰”も良いラブコメ要素で。

間違えない“凛音”に対し、間違えてしまうこともある“透矢”。その人としての甘さを
正論で打ちのめす、彼女の姉でありスクールカウンセラーでもある“芙蓉”の容赦のなさ。
同じ責任を担うと決めた2人がそんな大人に吠え面をかかせられるのか、続きに期待です。

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2021年09月07日

『僕を成り上がらせようとする最強女師匠たちが育成方針を巡って修羅場3』

赤城大空 先生が贈るヒロイックファンタジー。第3巻は何かと注目が集まる“クロス”を
街の名物行事「喧嘩祭り」で潰そうと上位職の貴族から決闘を仕組まれる顛末を描きます。
(イラスト:タジマ粒子 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094530247


“クロス”に惨敗した“カトレア”へ折檻することも容易い上位貴族の“ギムレット”。
彼が“ジゼル”にも嫌がらせをするものだから“クロス”が怒髪天を衝くのも当たり前。
今回は格上との戦い方を“テロメア”が教示するのでスキンシップ多めなのがまず印象的。

魔王の“ソルティ”すら“クロス”を成長させるために引っ張り出す“リオーネ”たちの
容赦のなさは言わずもがなですが、その期待に応えて成長し続ける彼の資質もまた異質で。
もちろん対策を怠っていない“ギムレット”に対しどう決闘を繰り広げるかが見ものです。

“ジゼル”にとっても負けられない戦いを経て、師匠らも含めた“クロス”への好感度が
うなぎ上りを見せる中で今回の勝利が何を意味するのか。卑怯なほど可愛い巻末の挿絵に
微笑ましさより殺伐とした展開を感じざるを得ないのが本作らしい所。次巻も楽しみです。

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2021年09月06日

『精霊幻想記 20.彼女の聖戦』

アニメ放送が始まった、北山結莉 先生が贈る異世界転生譚。第20巻は“エリカ”に導かれ
神聖エリカ民主共和国がガルアーク王国へ侵攻する顛末を描く《聖女編》山場を迎えます。
(イラスト/Riv 先生)

http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/980.html
https://seireigensouki.com/


“エリカ”があれほどまでに世界を嫌い、世界に聖戦を挑む理由。それがプロローグにて
明かされたことで色々と得心がいきました。ある意味では勇者である、という「呪い」が
彼女をここまで苦しめ続けて、“リオ”に可能性すら見い出していたのだ、ということに。

“リーゼロッテ”の件で派閥争い、そのしわ寄せが“リオ”にいくのを“グレゴリー”が
言葉と態度で如実に示してくる訳ですがこれが小賢しいの何の。聖戦でとばっちりを食う
展開には「ざまあみろ」と思ってしまうほど。王国にとっては国難に及ぶ一大事ですけど。

“アイシア”が記憶を失っていた理由、彼女が担っていた役目。“エリカ”と相まみえる
死闘を経て、彼女の願望を叶えるため“アイシア”が“リオ”に託した力。彼女らが言う
「竜の王」とは何か。最後の一言が告げる決別の予兆が不穏すぎて続きが気になります。

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2021年09月03日

『転生ごときで逃げられるとでも、兄さん?2』

紙城境介 先生が贈る異世界転生ファンタジー。約1年半の時を経て刊行される第2巻は
“ジャック”以外の優秀な人材が学院に集う「黄金の少年期:神童集結編」を綴ります。
(イラスト:木鈴カケル 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/tenseigotoki/322003001226.html


王立精霊術学院にスカウトされた“ジャック”たちが目の当たりにする、自分と同じか
それ以上のライバルたちと切磋琢磨していく、というよりは戦いの場を生き抜くために
出来ることは搦め手でも使え、と教えられて共に成長していく展開が興味深いところで。

中でも一番目を引く天才王子“エルヴィス”の能力を見抜くために“ジャック”がとる
手段や対抗策を講じるまでの駆け引きが気に食わない、認めたくない“アゼレア”との
対立軸が、単純に戦うのとは違う人間関係を描くのに一役買えているのかなと思ったり。

とはいえ、前巻が刊行されてから1年半。「ここまでのあらすじ」も入れていただいて
何とか思い出しながら「妹」と思われる“彼女”の存在が徐々に輪郭を帯びてきた今巻。
皆の力を借りて“ジャック”は「妹」に対処することができるか、引き続き要注目です。

posted by 秋野ソラ at 00:06 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル