2021年08月19日

『ミモザの告白』

八目迷 先生が贈る新作は、眉目秀麗、文武両道と非の打ち所がない美少年を幼馴染にもつ
冴えない高校生男子が、ある告白を境に日常と人間関係を変遷させていく過程を描きます。
(イラスト:くっか 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094530186


かつて自分の好きな女の子が幼馴染の“槻ノ木”に告白したことをきっかけに羨望と嫉妬
の感情が入り交じり、彼と距離を置いた“紙木”。ある日、幼馴染の思いがけない光景を
目にした彼は、彼だけでなく関係者すべてが困惑せざるを得ないある告白を受ける──。

性同一性障害に苦しんできた“槻ノ木”が、男ではなく女として生きていくことを選んだ
ことで生まれる軋轢、“西園”をはじめとする拒絶反応が見ていて心苦しく、痛々しい。
その数々を目にする“紙木”もあの「告白」を受けている訳で悩ましいことこの上なく。

“紙木”が仄かな想いを抱き始めた“星原”もまた“槻ノ木”のことが好き、という点で
見事にベクトルが異なるトライアングルを描く敏感で繊細な恋模様。表紙や口絵、そして
「ミモザ」の花と花言葉を思い返しながら「崩壊」の先を見届けてみたいと感じました。

posted by 秋野ソラ at 00:31 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル