2021年08月11日

『貘<バク> −獣の夢と眠り姫−』

長月東葭 先生の「第15回小学館ライトノベル大賞・優秀賞」受賞作。人工の集合夢を共有
して暮らす世界で、害をなす悪夢を制圧する部隊の活動を描くSF異能ダークバトルです。
(イラスト:東西 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094530155


「夢が今、現実を超える」鳴り物入りで登場した人工頭脳に現れた悪夢がもたらした災害。
“トウヤ”は同じ被害者で、今も眠り続ける姉に悪夢根絶を誓い、対抗組織〈獏〉で仕事
を続けている。そんなある日、姉と生き写しの魔女“メイア”が突如彼の前に現れて──。

“メイア”の「願い」に“トウヤ”たちも、物語も、読み手も翻弄されながらあの災害の
真相に迫っていく話運びに惹かれます。彼女を連れてきた“シノブ”の胡散臭さとその裏
にある我が儘や、“レンカ”が贖い続ける“トウヤ”とのやり取りなど印象深い点も注目。

悪夢と戦い続ける“トウヤ”を支える“ウルカ”や“ヨミ”も“メイア”にコテンパンに
されたものの、その後でしっかり見せ場があってバトルの演出も楽しませてもらいました。
共闘と激闘の果てに“メイア”が感じた胸の暖かさから希望を感じる良作。オススメです。

posted by 秋野ソラ at 00:28 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル