2021年08月17日

『無自覚チートの箱入りお嬢様、青春ラブコメで全力の忖度をされる』

紺野天龍 先生が贈る新作は、不運続きで満足な青春生活を望むことができない少年と、
青春を満喫できないと世界が滅ぶという少女との出会いが繰り広げるラブコメディです。
(イラスト:塩かずのこ 先生)

https://dengekibunko.jp/product/322102000023.html


中学時代から超常的に不運なことが続き、多くを望まず分相応に生きると悟る“琥太郎”。
高校進学後のある日、彼はパンを口に咥えて走ってきた美少女と十字路で衝突してしまう。
転校生だという彼女は長い入院生活を経てありふれた「青春」に憧れているらしいが──。

“楓”や“美玖”“きらら”も巻き込んで謎部活を立ち上げてしまう“撫子”。もちろん
“琥太郎”もご多分に漏れず、なのですが唯一違うのは未来を決める鍵となる人物として
位置づけられてしまう点。タイトルにある「忖度」がそこにかかるのかと得心のいく展開。

新しい日常に一喜一憂する“撫子”の姿を微笑ましく眺めていると、突如突き付けられる
究極の選択に緊迫感が高まります。不運続きだったからこそ選べた“琥太郎”の行動には
なるほど、と驚かされました。彼らがどんな「運ゲー」を乗り越えていくのか楽しみです。

posted by 秋野ソラ at 00:53 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2021年08月16日

『女同士とかありえないでしょと言い張る女の子を、百日間で徹底的に落とす百合のお話4』

イラストレーターを 雪子 先生から 緜 先生に変更して贈る、みかみてれん 先生の大人気
ガールズラブコメディ。第4巻はバレンタインデーを巡る様々な恋模様に触れていきます。
(イラスト:緜 先生)

https://ga.sbcr.jp/product/9784815611378/
https://magazine.jp.square-enix.com/mangaup/original/arioto/


“絢”とさらに深い関係に進むか懊悩する“鞠佳”に持ち掛けられた“夏海”の恋愛相談。
ここでも騒動を自らに引き込むあたりはもう才能と言ってもいい気はします。“夏海”の
想い人がどう受け止めるか、興味深い結末を迎えるのがガルコメらしいのかもと思ったり。

“鞠佳”が恋愛相談に気をそがれている間、“悠愛”と“知沙希”の関係にもある変化が
訪れる、その過程にもぜひご注目いただきたい。そもそも“知沙希”が感情をあまり表に
出さないのが問題の発端だったりするのですけど、その補い方が素敵で実に微笑ましくて。

今巻は同人誌版でも“鞠佳”と“絢”が互いを求める描写が強くなる局面で「GA文庫」と
してもだいぶ攻めてきた内容に仕上げてきたと感じております。“絢”が流した涙の訳を、
「百日百合」として未曽有の領域となる三年生になった2人の姿を見届けたいと思います。

posted by 秋野ソラ at 00:14 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2021年08月13日

『男女の友情は成立する?(いや、しないっ!!) Flag 3. じゃあ、ずっとアタシだけ見てくれる?』

七菜なな 先生が贈る青春〈友情〉ラブコメディ。第3巻は“日葵”のスカウト話を再燃
させる“紅葉”に納得のいく反論が出来るか、“悠宇”の友情と夢の真価が問われます。
(イラスト:Parum 先生)

https://dengekibunko.jp/product/danjoru/322102000019.html


“日葵”を預かる代案として勝負を提示してきた“紅葉”の言い分はごもっともな話で。
それ以上に勝負を通じて“悠宇”のアクセサリー作りへの気概について詰問する“咲良”
の一言一言が耳に痛い。“凛音”との三角関係を見てニヨニヨしている場合じゃなくて。

“悠宇”が「ぷは」らせてくれない、と彼への恋心にうつつを抜かしている“日葵”も
同じく叱責される側で。何かと暗躍を続ける“真木島”から“紅葉”についていくことの
道理を説かれる様子は痛ましいほど。正論なだけに癪に障るのも納得というしかなくて。

“日葵”と一緒にアクセサリーショップの店を開く、というお題目に囚われすぎて本来の
夢を見誤っていた“悠宇”が首の皮一枚で掴んだ結末。“凛音”には貸し一つとも言える
状況を作った「運命共同体」の結びなおした絆、引き続き見守っていきたいところです。

posted by 秋野ソラ at 01:47 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2021年08月12日

『恋は双子で割り切れない2』

高村資本 先生が贈る初恋こじらせ系双子ラブコメ。第2巻は双子の誕生日プレゼントに
頭を悩ませる“純”が“”の友人の補習対策を手伝うことでいざこざが発生します。
(イラスト:あるみっく 先生)

https://dengekibunko.jp/product/futakire/322105000013.html


モデル仕事が多忙な“慈衣菜”に勉強を教える“純”。反りが合わなそうな彼女が見せる
意外な一面を知ることで新たな恋が芽生える・・・ということはないものの“那織”対して
色々と後ろめたい局面が多々生まれたのは事実。いずれ選べる時が来ることを願うばかり。

今回の件を“純”にお願いした“琉実”。2人が恋仲になることもないと高を括る彼女が
部活の面々に彼とラブラブだったことがバレていたくだりはこそばゆくて、微笑ましくて。
誕生日をきっかけに「彼を渡さない」という強い想いを示せたところがまさにハイライト。

“慈衣菜”が抱いていた真の狙いに気付けなかった“那織”。部長とのやり取りが面白く、
また巻末の引用・出典との見比べが楽しいと感じさせてくれる彼女の後手後手な立ち位置。
負けヒロインと部長に揶揄される局面を返上できるか、彼女の独白の行方にも要注目です。

posted by 秋野ソラ at 01:43 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2021年08月11日

『貘<バク> −獣の夢と眠り姫−』

長月東葭 先生の「第15回小学館ライトノベル大賞・優秀賞」受賞作。人工の集合夢を共有
して暮らす世界で、害をなす悪夢を制圧する部隊の活動を描くSF異能ダークバトルです。
(イラスト:東西 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094530155


「夢が今、現実を超える」鳴り物入りで登場した人工頭脳に現れた悪夢がもたらした災害。
“トウヤ”は同じ被害者で、今も眠り続ける姉に悪夢根絶を誓い、対抗組織〈獏〉で仕事
を続けている。そんなある日、姉と生き写しの魔女“メイア”が突如彼の前に現れて──。

“メイア”の「願い」に“トウヤ”たちも、物語も、読み手も翻弄されながらあの災害の
真相に迫っていく話運びに惹かれます。彼女を連れてきた“シノブ”の胡散臭さとその裏
にある我が儘や、“レンカ”が贖い続ける“トウヤ”とのやり取りなど印象深い点も注目。

悪夢と戦い続ける“トウヤ”を支える“ウルカ”や“ヨミ”も“メイア”にコテンパンに
されたものの、その後でしっかり見せ場があってバトルの演出も楽しませてもらいました。
共闘と激闘の果てに“メイア”が感じた胸の暖かさから希望を感じる良作。オススメです。

posted by 秋野ソラ at 00:28 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル