2021年08月31日

『千歳くんはラムネ瓶のなか6』

裕夢 先生が贈るリア充側青春ラブコメ。第6巻は“朔”を好きでいる女の子たちが彼への
想いを、互いの距離感を見つめ直すべき時が顛末を“優空”の昔話を軸に描いていきます。
(イラスト:raemz 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094530223


クラス委員長を決めるときに“夕湖”が“優空”を推薦し、“朔”が2人をたしなめた日。
当時、呼び方の固い“優空”が感じていたこと、その考えに至った家族との関係。本心を
見抜き、深く踏み込んできた彼に抱いてきた嫌悪感が絆されていく彼女の機微が印象深い。

そんな“優空”だからこそ今回結論を急いだ“夕湖”そして“朔”の建前と本音の違いに
気づき、互いに傷ついたまま夏を終わらせない策を講じることができたと納得がいきます。
“夕湖”や“朔”が彼女にやられたままにしない所もより現実味のある絆を感じさせます。

“優空”だけでなく気落ちする“夕湖”や“朔”をそれぞれのやり方で励ます仲間たちも
選択の時を予感させる展開。意中の相手にとって「フツウ」か「特別」か、それとも別の
関係か。「ラムネ瓶のなか」にいる“朔”がその意味を知る時は来るのか、気になります。

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2021年08月30日

『プロペラオペラ5』

犬村小六 先生が贈る恋と空戦のファンタジー。第5巻はガメリアに対し虫の息な日之雄を、
そして“カイル”の魔手が迫る“イザヤ”を“クロト”が救えるか、直接対決を描きます。
(イラスト:雫綺一生 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094530230


飛行戦艦「ベヒモス」。圧倒的な怪物を前に衝角攻撃しか為す術もない“クロト”たちが
勝てるのか。敵陣営の“ノダック”ですら悲願する結末を、命を賭して掴みにいく彼らの
戦いぶりは本作最大の見せ場。彼が明かした本心に応える兵員の姿には敬意すら覚えます。

意気揚々と王手をかけた“カイル”。彼に借りを返す“クロト”を後方から支援し続けた
“ユーリ”の活躍には助演女優賞を送りたいほど。彼女だからこそできたあの挨拶は見事。
逃亡劇を続けた“リオ”と“速夫”の胸を熱くさせる、主従を超えた愛の結末にもご注目。

秀逸な空戦描写を下敷きにしながら、あくまで読み手を惹きつけて止まない人間ドラマを
綴り続けた本作。表紙の笑顔を見返した時にこみ上げる感情は筆舌に尽くし難い。執筆に
心血を注いだ先生が脳内で描いていたであろう映像を具現化する日が来るよう祈念します。

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2021年08月27日

『塩対応の佐藤さんが俺にだけ甘い5』

鉄山かや 先生のコミックス3巻がほぼ同時発売となる、猿渡かざみ 先生の青春ラブコメ。
第5巻は“颯太”と“こはる”が譲れない思いを胸に秘めながら動物園デートに臨みます。
(イラスト:Aちき 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094530193


“蓮”の指摘にもある通り“こはる”に対して弱さをみせた不甲斐なさを恥じる“颯太”。
対する彼女は、そんな彼の見せる照れ顔を写真に収めてみたいとデートに意気揚々な姿勢。
どちらがリードを取るかで密かなせめぎ合いを見せる二人の姿が微笑ましくて、面白くて。

そのデートを妨害しようと画策するSSFの面々、“雫”たちの尾行に付き合わされる“蓮”
と“円花”、“凛香”の気持ちを知って焚きつける“京香”。各々の狙いが交錯し、暴走
していくスラップスティックな展開が、動物園の描写も含めコミカルさに拍車を掛けます。

デートを通じて自分の焦りに気付いた“こはる”。自分の虚勢に意義を確信した“颯太”。
さりげない伏線を回収しつつ、何だかんだで絆を深めた二人の様子を見て安堵するばかり。
同情の念を禁じ得ない巻き添えを食った“円花”や、なおも強気な“凛香”にも注目です。

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2021年08月26日

『わたし以外とのラブコメは許さないんだからね(4)』

羽場楽人 先生が贈る、告白で幕が開くラブコメ戦線。第4巻は“ヨルカ”と“希墨”が
恋人同士の夏休みを満喫しようとする中、横恋慕や片想いの感情が周囲をざわつかせます。
(イラスト:イコモチ 先生)

https://dengekibunko.jp/product/watalove/322103000071.html


文化祭の目玉でもある“ミメイ”のバンド演奏。ある事情で直前に解散したそのバンドを
立て直すように依頼される“希墨”の世話焼きぶりが相変わらずで。その流れに組み込む
生徒会長“清虎”のさりげなくも油断のならない言動が今巻もう一つの話の軸を担います。

女性陣からの人気も高い“清虎”からアプローチを受ける“朝姫”。“希墨”への想いを
未だ残す彼女からすれば鬱陶しいことこの上なく。“アリア”に対し苛立ちをぶつけたり、
妥協よりも挑戦の道を選ぶあたりも実に彼女らしい。体を張ってアプローチするあたりも。

誤解を生むようなシチュエーションに遭遇した“希墨”に対し理解を示すものの、自分の
弱さを認め、葛藤し、感情を持て余す“ヨルカ”の姿からも成長の兆しが見て取れるのが
感慨深い。文化祭を通じて更なる外の世界とつながっていく彼女の未来も気になる所です。

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2021年08月25日

『俺の姪は将来、どんな相手と結婚するんだろう?』

落合祐輔 先生が贈る新作は、フリーランスの仕事で稼ぎはあるものの婚活が上手くいかず
悩む青年と、彼の家に通い詰める女子高生で姉の娘との幸せ溢れる半同居生活を描きます。
(イラスト:けんたうろす 先生)

https://ga.sbcr.jp/product/9784815611729/


“奈緒”が女手一つで育ててきた娘“絵里花”が通う高校の道すがらに弟“結示”が住む
ワンルームの家はある。映像編集の仕事で常に家にいる彼のもとに預けておけば防犯の面
でも安心、とはいうものの周囲に説明するのは面倒な話。だけど姪は乗り気なようで──。

叔父さんの世話を甲斐甲斐しくする“絵里花”を可愛らしく思ったり、ドキッとしたりと
どこか微笑ましい導入部分。そこから転じて“結示”の仕事を通じて見えてくる様々な縁、
“絵里花”が彼に懐くに至った苦い昔話によって描かれていく人間模様に驚かされます。

三親等にあたる叔父と姪の結婚は法律で許されていない、という大前提を踏まえて互いを
思う感情はどこへ向かうのか。一歩踏み出した“絵里花”にとって明と暗、エピローグを
二つに分けて予感させる引き具合は何を意味するのか。続きが妙に気になるシリーズです。

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2021年08月24日

『天才王子の赤字国家再生術10〜そうだ、売国しよう〜』

1月からのアニメ放送が控えている、鳥羽徹 先生の弱小国家運営譚。大台に乗る第10巻は
デルーニオ王国の陰謀劇を経て“フラーニャ”が兄に抱く印象が変遷する様子を描きます。
(イラスト:ファルまろ 先生)

https://ga.sbcr.jp/product/9784815610951/
https://tensaiouji-anime.com/


“シリジス”の祖国で渦巻く陰謀。同盟を利用し、ナトラを出し抜こうとする者に対して
彼がどう動くのかを見定める“ナナキ”の言動がまず印象深い。“フラーニャ”に仕える
と告げたその意味を、彼女がどう受け止めるのか。この先の情勢と共に注目すべき点です。

今回の陰謀を逆手に取った、一枚上を行く者たちが見せる振る舞いも本作ならではの展開。
動向を見極め、それでもなお一手及ばぬ“フラーニャ”を手助けするのは兄の為せる力量。
“ロウェルミナ”でも及ばない“ウェイン”の思考には相変わらず惚れ惚れするしかなく。

そんな“ウェイン”を父はどう評価しているか。奇しくも“シリジス”も同様に見ていた
ことに驚かされながら、“ニニム”も重要人物と認識されたことで風雲急を告げる局面を
迎えました。王太子として生まれた彼の願いがどんな未来を描こうとするのか見定めます。

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2021年08月23日

『友達の妹が俺にだけウザい8』

ドラマCD付き特装版が同時発売となる、三河ごーすと 先生のいちゃウザ青春ラブコメ。
第8巻は修学旅行に向かう“真白”たちや残された“彩羽”の恋の駆け引きが加速します。
(イラスト:トマリ 先生)

https://ga.sbcr.jp/product/9784815610142/


恋を進展させるために修学旅行を活用しようとするのは何も“真白”に限った話ではなく。
その内の一人でもある“舞浜”の気持ちを汲んだ“明照”の返り討ちっぷりがまず面白い。
思いがけず過去のエピソードにも触れるきっかけにもなったので怪我の功名と言えるかも。

今回、“明照”を巡る恋のレースに躍り出た“翠”。気づいてしまった彼への強い想い、
そして友人の秘密。“菫”でも受け止めきれない彼女を止める者はいない、ということで
モテっぷりを自覚した彼はどこへ向かうのか。“乙馬”の言葉を借りるなら「修羅場乙」。

“明照”が旅行中の間はスマホでメッセージを送るくらいしか絡めない“彩羽”。彼女の
愚痴を聞いてあげる“茶々良”にはご苦労さまと言いたい。そんな中、一発逆転を狙える
契機を彼女が見逃すはずもなく。後手に回り気味な“真白”を出し抜けるか、要注目です。

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2021年08月20日

『本好きの下剋上〜司書になるためには手段を選んでいられません〜第五部「女神の化身6」』

香月美夜 先生が贈る大人気ビブリア・ファンタジー。 第五部・6巻は王の養女となる
ためエーレンフェストを離れる準備に入る“ローゼマイン”とその周囲を描いていきます。
(イラスト:椎名優 先生)

https://tobooks.shop-pro.jp/?pid=158517306


“ヴィルフリート”に鋭い言葉を投げかけられても今更という印象が残ります。婚約を
解消されてからどう振舞うのか。“ジルヴェスター”が言うように責任も担うことなく
生きるにしても“ローゼマイン”が抱く夢の障壁にならないことをただ願うばかりです。

“ローゼマイン”のことを気に掛ける“フロレンツィア”との密室での一幕が印象深い。
貴族の責務と母親の立場が入り混じって吐露される言葉の一つ一つが胸を熱くさせます。
噂に扇動されるライゼガングの古老たちに一計を案じるあたりも驚かされる場面でした。

“フェルディナンド”に対する心配の種を“ローゼマイン”がようやく一つ取り除いて
くれた、と思いきや思い上がった“ディートリンデ”がまた何かしでかしそうな雰囲気。
彼女との婚約者の縁を切って彼が真に救われることを期待しつつ次巻の刊行を待ちます。

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2021年08月19日

『ミモザの告白』

八目迷 先生が贈る新作は、眉目秀麗、文武両道と非の打ち所がない美少年を幼馴染にもつ
冴えない高校生男子が、ある告白を境に日常と人間関係を変遷させていく過程を描きます。
(イラスト:くっか 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094530186


かつて自分の好きな女の子が幼馴染の“槻ノ木”に告白したことをきっかけに羨望と嫉妬
の感情が入り交じり、彼と距離を置いた“紙木”。ある日、幼馴染の思いがけない光景を
目にした彼は、彼だけでなく関係者すべてが困惑せざるを得ないある告白を受ける──。

性同一性障害に苦しんできた“槻ノ木”が、男ではなく女として生きていくことを選んだ
ことで生まれる軋轢、“西園”をはじめとする拒絶反応が見ていて心苦しく、痛々しい。
その数々を目にする“紙木”もあの「告白」を受けている訳で悩ましいことこの上なく。

“紙木”が仄かな想いを抱き始めた“星原”もまた“槻ノ木”のことが好き、という点で
見事にベクトルが異なるトライアングルを描く敏感で繊細な恋模様。表紙や口絵、そして
「ミモザ」の花と花言葉を思い返しながら「崩壊」の先を見届けてみたいと感じました。

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2021年08月18日

『やたらと察しのいい俺は、毒舌クーデレ美少女の小さなデレも見逃さずにぐいぐいいく4』

ふか田さめたろう 先生が贈るすれ違いゼロの甘々ラブコメディ。第3巻は“小雪”の許嫁
“アーサー”の来訪にも慌てることなく“直哉”が彼女との恋愛をさらに進めていきます。
(イラスト:ふーみ 先生)

https://ga.sbcr.jp/product/9784815610807/


お爺様からの後押しもあって“アーサー”の来訪が気がかりで仕方がない“小雪”に対し、
彼に同行してきた“クレア”の思惑も察して、しれっと誘導していく“直哉”の余裕ぶり。
恋愛アドバイザーとして、ヒト以外にも実績を残していく彼の能力が空恐ろしい限りです。

そんな“直哉”に振り回される“小雪”も、言わずと察してくれる彼に慣れすぎて普通の
恋愛が出来てないのでは、と今さら悩むあたり何とも可愛いもので。“クレア”に見栄を
張ったりするあたりはまだまだ強気な姿勢が崩しきれていない証かもしれませんけれども。

そんな2人のもどかしい関係とは別に、“法介”と“ハワード”が豪華客船である騒動に
巻き込まれる顛末を描いた「番外編」も面白くて。このシリーズ(?)も書き溜めておいて
いつかサイドストーリー集として纏まっても良いかと思います。続きも楽しみにしてます。

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2021年08月17日

『無自覚チートの箱入りお嬢様、青春ラブコメで全力の忖度をされる』

紺野天龍 先生が贈る新作は、不運続きで満足な青春生活を望むことができない少年と、
青春を満喫できないと世界が滅ぶという少女との出会いが繰り広げるラブコメディです。
(イラスト:塩かずのこ 先生)

https://dengekibunko.jp/product/322102000023.html


中学時代から超常的に不運なことが続き、多くを望まず分相応に生きると悟る“琥太郎”。
高校進学後のある日、彼はパンを口に咥えて走ってきた美少女と十字路で衝突してしまう。
転校生だという彼女は長い入院生活を経てありふれた「青春」に憧れているらしいが──。

“楓”や“美玖”“きらら”も巻き込んで謎部活を立ち上げてしまう“撫子”。もちろん
“琥太郎”もご多分に漏れず、なのですが唯一違うのは未来を決める鍵となる人物として
位置づけられてしまう点。タイトルにある「忖度」がそこにかかるのかと得心のいく展開。

新しい日常に一喜一憂する“撫子”の姿を微笑ましく眺めていると、突如突き付けられる
究極の選択に緊迫感が高まります。不運続きだったからこそ選べた“琥太郎”の行動には
なるほど、と驚かされました。彼らがどんな「運ゲー」を乗り越えていくのか楽しみです。

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2021年08月16日

『女同士とかありえないでしょと言い張る女の子を、百日間で徹底的に落とす百合のお話4』

イラストレーターを 雪子 先生から 緜 先生に変更して贈る、みかみてれん 先生の大人気
ガールズラブコメディ。第4巻はバレンタインデーを巡る様々な恋模様に触れていきます。
(イラスト:緜 先生)

https://ga.sbcr.jp/product/9784815611378/
https://magazine.jp.square-enix.com/mangaup/original/arioto/


“絢”とさらに深い関係に進むか懊悩する“鞠佳”に持ち掛けられた“夏海”の恋愛相談。
ここでも騒動を自らに引き込むあたりはもう才能と言ってもいい気はします。“夏海”の
想い人がどう受け止めるか、興味深い結末を迎えるのがガルコメらしいのかもと思ったり。

“鞠佳”が恋愛相談に気をそがれている間、“悠愛”と“知沙希”の関係にもある変化が
訪れる、その過程にもぜひご注目いただきたい。そもそも“知沙希”が感情をあまり表に
出さないのが問題の発端だったりするのですけど、その補い方が素敵で実に微笑ましくて。

今巻は同人誌版でも“鞠佳”と“絢”が互いを求める描写が強くなる局面で「GA文庫」と
してもだいぶ攻めてきた内容に仕上げてきたと感じております。“絢”が流した涙の訳を、
「百日百合」として未曽有の領域となる三年生になった2人の姿を見届けたいと思います。

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2021年08月13日

『男女の友情は成立する?(いや、しないっ!!) Flag 3. じゃあ、ずっとアタシだけ見てくれる?』

七菜なな 先生が贈る青春〈友情〉ラブコメディ。第3巻は“日葵”のスカウト話を再燃
させる“紅葉”に納得のいく反論が出来るか、“悠宇”の友情と夢の真価が問われます。
(イラスト:Parum 先生)

https://dengekibunko.jp/product/danjoru/322102000019.html


“日葵”を預かる代案として勝負を提示してきた“紅葉”の言い分はごもっともな話で。
それ以上に勝負を通じて“悠宇”のアクセサリー作りへの気概について詰問する“咲良”
の一言一言が耳に痛い。“凛音”との三角関係を見てニヨニヨしている場合じゃなくて。

“悠宇”が「ぷは」らせてくれない、と彼への恋心にうつつを抜かしている“日葵”も
同じく叱責される側で。何かと暗躍を続ける“真木島”から“紅葉”についていくことの
道理を説かれる様子は痛ましいほど。正論なだけに癪に障るのも納得というしかなくて。

“日葵”と一緒にアクセサリーショップの店を開く、というお題目に囚われすぎて本来の
夢を見誤っていた“悠宇”が首の皮一枚で掴んだ結末。“凛音”には貸し一つとも言える
状況を作った「運命共同体」の結びなおした絆、引き続き見守っていきたいところです。

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2021年08月12日

『恋は双子で割り切れない2』

高村資本 先生が贈る初恋こじらせ系双子ラブコメ。第2巻は双子の誕生日プレゼントに
頭を悩ませる“純”が“”の友人の補習対策を手伝うことでいざこざが発生します。
(イラスト:あるみっく 先生)

https://dengekibunko.jp/product/futakire/322105000013.html


モデル仕事が多忙な“慈衣菜”に勉強を教える“純”。反りが合わなそうな彼女が見せる
意外な一面を知ることで新たな恋が芽生える・・・ということはないものの“那織”対して
色々と後ろめたい局面が多々生まれたのは事実。いずれ選べる時が来ることを願うばかり。

今回の件を“純”にお願いした“琉実”。2人が恋仲になることもないと高を括る彼女が
部活の面々に彼とラブラブだったことがバレていたくだりはこそばゆくて、微笑ましくて。
誕生日をきっかけに「彼を渡さない」という強い想いを示せたところがまさにハイライト。

“慈衣菜”が抱いていた真の狙いに気付けなかった“那織”。部長とのやり取りが面白く、
また巻末の引用・出典との見比べが楽しいと感じさせてくれる彼女の後手後手な立ち位置。
負けヒロインと部長に揶揄される局面を返上できるか、彼女の独白の行方にも要注目です。

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2021年08月11日

『貘<バク> −獣の夢と眠り姫−』

長月東葭 先生の「第15回小学館ライトノベル大賞・優秀賞」受賞作。人工の集合夢を共有
して暮らす世界で、害をなす悪夢を制圧する部隊の活動を描くSF異能ダークバトルです。
(イラスト:東西 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094530155


「夢が今、現実を超える」鳴り物入りで登場した人工頭脳に現れた悪夢がもたらした災害。
“トウヤ”は同じ被害者で、今も眠り続ける姉に悪夢根絶を誓い、対抗組織〈獏〉で仕事
を続けている。そんなある日、姉と生き写しの魔女“メイア”が突如彼の前に現れて──。

“メイア”の「願い」に“トウヤ”たちも、物語も、読み手も翻弄されながらあの災害の
真相に迫っていく話運びに惹かれます。彼女を連れてきた“シノブ”の胡散臭さとその裏
にある我が儘や、“レンカ”が贖い続ける“トウヤ”とのやり取りなど印象深い点も注目。

悪夢と戦い続ける“トウヤ”を支える“ウルカ”や“ヨミ”も“メイア”にコテンパンに
されたものの、その後でしっかり見せ場があってバトルの演出も楽しませてもらいました。
共闘と激闘の果てに“メイア”が感じた胸の暖かさから希望を感じる良作。オススメです。

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2021年08月10日

『元カノとのじれったい偽装結婚2』

望公太 先生が贈る、じれったい二人が織りなす偽甘新婚ラブコメ。第2巻は“晴”への
想いが残る“千百合”から結婚生活に疑いを掛けられ、“理桜”が複雑な想いを抱えます。
(イラスト:ぴょん吉 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/gisoukekkon/322102001214.html


割と生々しいラッキースケベイベントを互いにこなす“晴”と“理桜”。バイト先絡みで
浮気騒動が発生した“晴”に対して的外れな行動に出たりする彼女からは相も変わらずの
未練タラタラぶりが窺える訳ですが「お宅訪問」でまさかの事態を迎えてまさに油断大敵。

直接対決に臨んだ“千百合”が、“晴”から聞いていた人生の失敗エピソードに登場する
「元カノ」の存在から色々と察してしまう点に加え“林田”に共感を抱かれる、ある意味
同盟のような関係を見て同情を禁じ得ない。幸せになってほしい、と応援したくなります。

同じく虚勢を張る“晴”の内情が垣間見える場面もあり、もう一押しが必要と感じる中で
“理桜”と対峙した“秋乃”が搦め手で仕掛けてくる2人に対する罠の予兆。彼女が望む
「家」は手に入れられるのか。微笑ましくも予断を許さない偽装夫婦の行方に注目です。

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2021年08月09日

『五人一役でも君が好き』

壱日千次 先生が贈る新作は、スポーツ特待生で進学した高校で二度と野球ができない体に
なった少年が身も心も救ってくれた校内一の才女との交際を目指して頑張るラブコメです。
(イラスト:うなさか 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/goninhitoyaku/322103001902.html


“近衛・ルイーズ・知佳”。「Noblesse oblige」を体現する組織「ノーブレス」の会長を
務める彼女は文武両道、校外でも数多くの実績をあげる美少女。厳しい条件をクリアして
その組織へ入った“大河”は、5人で1人のフリをしている彼女の秘密を知るのだが──。

「会長の五変化」に対し、『どうすれば自分のことを好きになってもらえるか』を考えて
ずる賢い手を使ってでも着実に距離を縮めていく“大河”。彼への好感度に差はあっても
彼の行動がしっかり届いているのが“知佳”の言動に見て取れて、実に良い印象の話運び。

このまま上手くいくか、と思わせて「五人一役」という設定を活かしたどんでん返しには
一杯食わされました。波乱を予感させるエピローグの顛末や、そもそも「ノーブレス」に
彼を入れると決めた理事長の真意も気になりますし、次巻の刊行が楽しみなシリーズです。

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2021年08月06日

『異世界薬局 8』

アニメ化が決定した、高山理図 先生が贈る薬局ファンタジー。第8巻は入念に送り出した
新大陸探検隊が消息を絶ち、救出に向かう“ファルマ”が想定外の敵と窮地に遭遇します。
(イラスト:keepout 先生)

https://mfbooks.jp/product/pharmacy/321908000704.html
https://isekai-yakkyoku.jp/


“ブランシュ”の適当な詠唱に端を発して“パッレ”の神術が飛躍していく顛末。後進の
育成に目を向ける“ファルマ”も彼に「あるヒント」を与えることで実績につなげていく
ところが、いずれ“ファルマ”なしでも異世界が盤石に回っていく雰囲気を窺わせます。

製薬、それ以外の分野でも“ファルマ”に頼り切らず進化していく兆しが見て取れます。
そんな中で“テオドール”が彼と同じようにオーバーワークをしている言動に注意する
顛末が「類は友を呼ぶ」という流れを感じさせて苦笑いしつつ、心嬉しさを覚えました。

ギャバン大陸への再上陸に纏わる緊迫感あふれる展開。現地少女“メレネー”の能力が
“ファルマ”を思いのほか苦しめる状況を“クララ”の予知能力がどこまで補えるか。
総力を結集して窮地を脱し、この形勢を逆転できると期待しつつ次巻の刊行を待ちます。

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2021年08月05日

『むすぶと本。 『夜長姫と耳男』のあどけない遊戯』

野村美月 先生が贈るビブリオミステリー。シリーズ5冊目は“むすぶ”が今の“夜長姫”
と出会うきっかけとなった一人の少女にまつわるエピソード他、短編を収録した一冊です。
(イラスト:竹岡美穂 先生)

https://famitsubunko.jp/product/322104000018.html


『少女パレアナ』に纏わる話では“妻科”たちが恋心に振り回される顛末を描く一方で、
『好色一代男』に纏わる話ではそもそも恋心は何ぞやで苦心する“若迫”の所作を描く。
関与する“むすぶ”がとばっちりを受けたり、頭を悩ませたりと苦労性ぶりを見せます。

『リルケの詩集』が関係する話では“悠人”の父“流人”、母“千愛”の特徴あふれる
夫婦関係に触れながら、彼自身の報われない恋模様とその内面に触れる描写が興味深い。
そこで鍵を握る一冊の本とある登場人物が今巻の軸となる逸話に繋がるのも見事な演出。

迎える『夜長姫と耳男』のエピソードでは“むすぶ”と“夜長姫”がいま共に在る理由、
“むすぶ”と“悠人”が絆を結ぶ契機となった或る少女の言動に圧倒されるばかりで。
それを経て色々な点が線となって結ばれる結末に得心がいきました。流石の一言です。

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2021年08月04日

『ただ制服を着てるだけ』

神田暁一郎 先生の「第13回GA文庫大賞・金賞」受賞作。コンビニの店長を務める青年が
JKビジネスに身を置く人気リフレ嬢と出会い、否応なしに関わっていく顛末を描きます。
(イラスト:40原 先生)

https://ga.sbcr.jp/product/9784815611774/


性交類似行為なしとされる風俗店「JKリフレ」で働く“明莉”の話を聞いた“広巳”は
いつしか彼女の常連客になるほど入れ込む。しかし、彼が女子高生の制服を着る身体へ
手を出さないことに彼女は不審を感じずにはいられない。彼の狙いは一体何なのか──。

交際相手と喧嘩して家を飛び出した“明莉”を家に匿うことになっても、金銭トラブルに
彼女が巻き込まれても、“広巳”は事あるごとに無償で対応にあたりつつ代償は求めない。
身体を許す覚悟を決めた彼女が、やり場のない怒気を示すのも得心がいく展開が続きます。

リフレ嬢として働かざるを得ない“明莉”の身の上が中心かと思えば、彼女と共に過ごす
時間に取り戻せない過去を求める“広巳”の罪の意識も物語の根幹を握っていく。それが
タイトルに内包されている点に驚くばかり。ほころびを見せる共同生活の行方に注目です。

posted by 秋野ソラ at 22:36 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル