2021年07月12日

『ロクでなし魔術講師と禁忌教典19』

羊太郎 先生が贈る超破天荒新世代学園アクションファンタジー。第19巻は使命を果たさん
と決意した“セリカ”を追い、過去へと飛んだ“グレン”たちが衝撃の顛末を目にします。
(イラスト:三嶋くろね 先生)

https://fantasiabunko.jp/product/201411rokudenashi/322102001237.html


“ナムルス”こと“ラ=ティリカ”から語られる、“セリカ”に課した魔王“ティトゥス”
を殺す宿願と最強の魔術師に鍛え上げるために費やした研鑽の日々。そして、厳しい現実。
“グレン”たちと過ごした幸せな日常を“セリカ”がどう感じていたかと思うと複雑です。

童話「メルガリウスの魔法使い」に裏付けられた“セリカ”に纏わる逸話の数々、そして
彼女を彼女たらしめる歴史の足跡。そこに未来への望みを感じた“グレン”が、人として
あがき続ける象徴として時に熱く語り、態度で示すその様子が格好良くて印象深いものが。

思いがけない協力を得た“システィーナ”の力も借りて“セリカ”と“グレン”が魔王と
戦う中で、“ラ=ティリカ”との契約がもたらす意味を示す場面で示した師弟の絆の深さ。
目頭が熱くなる思いがしました。フェジテへの帰還は彼らにどう影響するのか見ものです。

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2021年07月09日

『六畳間の侵略者!? 38』

健速 先生が贈る人気シリーズ。通算40冊目は突如“孝太郎”たちの前に現れた“早苗”が
語る“灰色の騎士”の存在と「灰色の曖昧な力」に、六畳間の面々が苦戦を強いられます。
(イラスト/ポコ 先生)

http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/970.html


紛らわしいので“お姉ちゃん”と呼ぶ3人目の“早苗”。“早苗ちゃん”“早苗さん”も
できるけど、と注釈を添える“お姉ちゃん”が落とす影から彼女の置かれた厳しい状況を
窺い知ることができるだけに、微笑ましい感情だけでは見ていられないやり取りが切ない。

“キリハ”の分析や“晴海”のリーダーシップに助けられつつも、“グレバナス”そして
“ラルグウィン”に先手を取られ続ける一進一退の戦況は、六畳間の面々としても過去に
類を見ないほどの押されっぷりであったかと。“灰色の騎士”の厄介さを物語っています。

「灰色の曖昧な力」も使う“灰色の騎士”に対し魔法、霊力、科学の総力を結集して挑む
“孝太郎”も善戦止まり。いよいよ挿絵付きで紹介された最悪の強敵にどう再戦に臨むか。
しれっと爆弾発言をした“孝太郎”の覚悟も含めて、その行く末を見届けていく所存です。

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2021年07月08日

『魔女と猟犬2』

カミツキレイニー 先生が贈るダークファンタジー。第2巻はキャンパスフェローを離れ
落ち延びた北の国、そして氷の城に住むという雪の魔女に“ロロ”たちが活路を求めます。
(イラスト:LAM 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094530094


残された“ブラッセリー”たちに告げられる北の国の雪王“ホーリオ”からの厳しい言葉。
「雪の魔女」討伐隊の面々に抱かれる不信感。九使徒の一人“ココルコ”の容赦ない猛攻。
“ロロ”たちが描く思惑の甘さ、置かれた劣勢の厳しさが伝わり、もどかしさが募ります。

“テレサリサ”から教わった魔術師への対処法をもってしても苦戦を強いられる“ロロ”。
彼が共闘を狙う雪の魔女との交渉の中で示した気付きが、序章「灼熱の踊り子」の逸話を
フラッシュバックさせる構成。積もり積もった感情、積年の悲願がより印象深く映ります。

それにしても交渉事の一環としてまさか「サウナでととのう」話をされるとは驚きの一言。
逃走劇のそこかしこで先代の「黒犬」との対比を演出されたり、今回の顛末で思いがけず
依存関係に組み敷かれる“ロロ”の未来はどこへやら。次なる舞台の幕開けを待ちます。

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2021年07月07日

『西野 〜学内カースト最下位にして異能世界最強の少年〜 11』

ぶんころり 先生が贈る学園異能青春ラブコメ。第11巻は金策のためにアイドルを目指す
“松浦”と巻き込まれた“志水”をプロデュースすべく“西野”が真摯に後押しします。
(イラスト:またのんき▼ 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/nishino/322012001004.html


アイドル候補生として“松浦”“志水”をコネでねじ込み、オーディションでも暗躍する
“西野”。彼が頑張るほどに、出来レースであることを知る“太郎助”が板挟みとなって
追い詰められていくのと共に“ローズ”たちも自然と対立構造になっていく構成が面白い。

ますます“西野”のことが気に入らない“鈴木”の辛辣な言葉にも釘を刺す“志水”から
満更でもない様子が見え隠れするのも注目すべき点。“アリス”からの嫌がらせに屈する
ことなく自分を貫く姿勢はカッコイイ、というか随分と武闘派になった感が否めません。

“ガブリエラ”から返答を求められても、“松浦”から見返りを示されても、“アリス”
から内緒の話を持ち掛けられても、「好きな人」への愛に誠実に向き合いたい“西野”が
悲願を達成できるのか。千載一遇、となるかも知れない修学旅行の動向が気になります。

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2021年07月06日

『転生魔王の大誤算3〜有能魔王軍の世界征服最短ルート〜』

あわむら赤光 先生が贈る、"愛する"部下を守る"理想"の魔王の爽快サクセスストーリー。
第3巻は“レヴィ山”の妹に纏わるいざこざに“ケンゴー”たちが巻き込まれていきます。
(イラスト:kakao 先生)

https://ga.sbcr.jp/product/9784815609870/


“レヴィ山”の義妹であり、四大実力者の1人“アザール”に嫁いだ“シトレンシア”。
彼女を骨の髄まで利用する、腹に一物ある彼をそれでも“ケンゴー”のためになるならと
苦しい胸の内を軽薄な言動で覆い隠す“レヴィ山”の忠臣ぶりが随所に光る展開に好感触。

“シトレンシア”が素顔を晒せない理由も、“忌み子”と揶揄された兄に似て心苦しく。
褥を共にすることで救いになるのであれば、と感じてしまう要らぬ同情を“ケンゴー”が
拒んでくれたことで、その後の覚悟を決める局面に繋がってくれるのも救いがある流れで。

四大実力者と七大魔将との雌雄を決する一戦。魔将と呼ばれるにふさわしい実力の数々を、
中でも「嫉妬」の魔将として本領を発揮する“レヴィ山”の活躍を、存分に堪能しました。
新たな名を授かった“シトレンシア”と“ケンゴー”との関係も注目しつつ次を待ちます。

posted by 秋野ソラ at 01:09 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル