2021年07月30日

『きみは本当に僕の天使なのか』

しめさば 先生が贈る新作は、夢を追うアイドルを信じていたのに引退という形で裏切られ
絶望の淵に立つ青年が、最後と決めた「推し」の夢と覚悟に巻き込まれる顛末を描きます。
(イラスト:緜 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094530162


完全無欠のアイドル“麗”を最後の「推し」と決めた“優羽”が臨んだ握手会。柔らかい
彼女の手の余韻に浸るその夜、知らない女性が訪ねてきたかと思えばまさかの“麗”本人。
更に「彼氏になって」という彼女から事情を聴き、業界の闇を知ることとなった彼は──。

ユニットを組んでいた“杏樹”と二人で武道館ライブをする。その夢をぶち壊した奴らを
排除し、夢を取り戻そうとする“麗”の力強さ。振り回されても、意外すぎる素顔を目に
してもなお“優羽”が彼女の覚悟をどう見極めるのか、緊張感のある話運びに惹かれます。

マネージャーやゴシップ記者も巻き込み、いざ「不祥事」を盾に突き進む“麗”だけでは
辿り着けない今回の結末。彼女が目指す夢の行方、“優羽”との関係、彼が女性恐怖症と
なった過去との因果関係など気になる点が満載。エピローグの続きが見たくなる作品です。

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2021年07月29日

『君は僕の後悔』

しめさば 先生が贈る新作は、中学時代に付き合っていた恋人と行き違いから別れた少年が
高校生になって偶然再会し、改めて好意を向けられることに苦悩する恋と対話の物語です。
(イラスト:しぐれうい 先生)

http://dash.shueisha.co.jp/bookDetail/index/978-4-08-631427-5


読書好きの“結弦”は、で幽霊部員の薫と一緒に読書部で本を読む時間を過ごすのが日課。
ある日、時季外れの転校生が過去に悔恨の念を残す“藍衣”であることを知り、再会する。
変わらず笑顔で「仲良くしてね」と言う彼女に、気後れする彼はどう接していくのか──。

“薫”から見ても明らかな“藍衣”が見せる“結弦”への好感度の高さ。その裏側にある
自由奔放に生きてきた彼女を嫌味なく受け入れてくれる彼への絶対的な信頼感のあらわれ。
彼女への想い、そして後悔が残る彼のうじうじする姿を見て怒気を示す“薫”が印象深い。

“結弦”が“藍衣”に対して抱いていた後ろめたい感情はそもそも何を起点としていたか。
そこに気が付かされてからの距離感の変化が時を戻し、新たな一歩を刻む流れが面映ゆい。
“薫”が提唱する宇宙の考え方も気になって各々の未来が知りたくなる光のラブコメです。

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2021年07月28日

『公女殿下の家庭教師9 英雄の休息日』

七野りく 先生が贈る魔法革命ファンタジー。第9巻は無事に帰還を果たした“アレン”を
巡る周囲の反応と、そんなことはお構いなしに自分の意志を貫き通す彼の信条を描きます。
(イラスト:cura 先生)

https://fantasiabunko.jp/product/201812koujodenka/322102001235.html


“アレン”たちの消息も伝わり、嬉し涙を流す者や、ここぞとばかりに甘える者もある中、
父親から告げられた想いが胸を打ちます。それに対し“ティナ”、そして“リディヤ”が
訴え出た場面には目頭が熱くなって。特に剣姫が自身の弱さを認めた強さが印象深いです。

強制的に休みを取らされている状況下でも情報連携、状況把握に余念がない“アレン”が
気付いた、一人で貧乏くじを引こうとする“ギル”の独断専行。彼を止めるためならばと
族長会議も放って全身全霊をもって事にあたる彼だからこそ英雄視される所以と言えます。

戦があれば論功行賞はつきもの。“アレン”の多大なる功績に対し大英雄の呼称「流星」
の名乗りを許すことに異議ある者たちを“レティシア”が力を示す形でねじ伏せる展開も
熱いものがあります。“リリー”の言動も注目の今巻から続いてどう動くか、要注目です。

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2021年07月27日

『義妹生活3』

天ア滉平 さん、中島由貴 さんの声で贈るアニメ・マンガ動画の企画・原作・脚本を担う
三河ごーすと 先生によるノベライズ。第3巻は“悠太”の義妹に対する機微に触れます。
(イラスト:Hiten 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/gimaiseikatsu/322103001903.html


“悠太”のバイト先へ闖入するような形となった“沙季”。彼女の能力を高く評価しつつ
精神的な脆さをも指摘する“読売”の鑑識眼が鋭い。狙いも図り切れず、先輩と意味深な
掛け合いをする義妹の言動に戸惑いを見せる彼の様子が何とも微笑ましく、もどかしくて。

そこへきて、“悠太”も含めて“奈良坂”からプールの誘いがあったことを隠す“沙季”。
彼女の思惑から余裕の無さを感じ取った彼の介入度合いが、いま思えば兆しだったのかと
思う部分もあり。だからこそ、あの時に「あの感情」が浮かび上がったのかと思うワケで。

“亜季子”の指摘も満更ではなかった“悠太”の心情の変化を知ってか知らずか、改めて
2人は兄弟なのだと言い聞かせるかのごとく“沙季”が取った、自身との決別とも見える
決断の証。発露した感情を抑えたまま共に兄弟としてこの先、生活できるのか見ものです。

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2021年07月26日

『声優ラジオのウラオモテ #05 夕陽とやすみは大人になれない?』

二月公 先生が贈る青春声優エンタメ。第5巻は新作アニメに抜擢された後輩声優の優秀な
演技、そして将来への不安に動揺が隠せない“夕陽”と“やすみ”の葛藤ぶりに触れます。
(イラスト:さばみぞれ 先生)

https://dengekibunko.jp/product/sayyouradio/322103000069.html


“乙女”と“秋空”の一件もあり、声優一本で生きていけるか悩みを明かす“やすみ”。
そんな彼女に業界の、そして人生の先輩たちが示す助言の数々から理想も現実もしっかり
見据えさせる所が窺えて、親身になって彼女のことを考えてくれる優しさを感じさせます。

対する“夕陽”は、猛烈に慕ってくれる後輩“由衣”が自分たちの演技を模倣しつつ更に
上手く演じてくる点が悩みの種で。そこへきてバッティングした仕事が問題だらけの現場。
後輩も含め、声優として演じることの意味を問いかける業界の厳しさを見せつけられます。

専業か兼業か、それとも廃業か。自分たちのことで手一杯の“やすみ”と“夕陽”が道に
迷う“由衣”を見て手を差し伸べるべきか否か。分水嶺と言える局面で2人が出した結論
からは人として、声優として成長を見ることができて一安心。さて次はどうなることやら。

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