2021年06月02日

『パパ活JKの弱みを握ったので、犬の散歩をお願いしてみた。』

持崎湯葉 先生が贈る新作は、経済的援助をしてくれる男性とお付き合いする女子高生に
出会った男性会社員が犬の散歩をきっかけに親密になっていく顛末を描くラブコメです。
(イラスト:れい亜 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094530032


外車の男性から見送られた見覚えのある制服姿の女の子。手には彼から受け取った何か。
隣家の“乃亜”から「何でもしますから」と“了”は目撃した件の口止めを求められる。
貞操の危機を感じる所で彼に「犬の散歩、よろしく」と言われた彼女は困惑するが──。

同年代の男子が子供っぽく見えてしまい、大人の男に異性を感じる“乃亜”のお年頃な
様子が、加齢臭を嗅いで恍惚とするほど「匂いフェチ」な所に昇華するのは正直驚きで。
そんな行為が身を案じてくれる“了”への好意につながる話運びは彼女らしくて面白い。

やがて恋敵になる“日菜子”とも友達感覚で付き合える“乃亜”ですが、「パパ活」を
していたツケが回ってくる時が必ず来ます。窮地に立つ彼女を“了”は単なるお隣さん
で済ませられるのか。彼女の心にも向き合う彼の振舞いにも注目いただきたい作品です。

posted by 秋野ソラ at 00:04 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2021年06月01日

『キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦11』

細音啓 先生が贈る大人気王道ファンタジー。第11巻は“シスベル”の能力を使い再現する
この星の過去から、帝国と皇庁が決別へと至る「世界最悪の日」に纏わる逸話を描きます。
(イラスト:猫鍋蒼 先生

https://fantasiabunko.jp/product/201705kimitoboku/322012001027.html


帝国最深部にある採掘場を出稼ぎの場に選んだ“クロスウェル”。彼が身を寄せた親戚の
双子姉妹“エヴ”と“アリス”。採掘される新エネルギーが体質改善に役立つと期待する
“ユンメルンゲン”。彼らの想いが交じりあうが故に「決別」の物語だと痛切に感じます。

“エヴ”や“アリス”、“クロスウェル”も帝国のために労働に勤しんでいただけなのに。
“ユンメルンゲン”が姿を変容するほど影響を受けたのもあの場に居合わせただけなのに。
全ては星霊の力に未来を歪められた被害者たる各人が対立構造の礎となった所が切なくて。

“ユンメルンゲン”ですら掴みきれなかった帝国と皇庁、共通の敵とも言える存在を前に
人と魔女は手を取りあえるか、それともいがみ合い続けるのか。姉弟水入らずの話し合い、
そして黒づくめの魔女が放つ破滅の言葉の行方を見届けるべく、次巻の刊行を待ちます。

posted by 秋野ソラ at 00:05 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル