2021年04月20日

『春夏秋冬代行者 春の舞 下』

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の 暁佳奈 先生が「電撃文庫」から贈る新作は
季節の巡りを代行する現人神「四季の代行者」たちに纏わる物語、その下巻となります。
(イラスト:スオウ 先生)

https://dengekibunko.jp/product/syunkasyuutou/322012000370.html


先代の春の代行者でもある母の不遇な人生を見届け、数奇な運命を背負い続ける“雛菊”。
“雛菊”に救われ、拠り所でもある彼女を一人捜し続け、絶望を味わい続ける“さくら”。
「花葉雛菊」として表舞台に立つまでのあらましとなる昔話が後々まで胸に響いてきます。

現人神により季節が巡るこの世界に反旗を翻す賊集団「華歳」、その頭領“観鈴”の周到
かつ非情な暴力に、代行者と護衛官が団結して立ち向かう顛末の一つ一つが情感にあふれ
時には目頭を熱くさせられる場面もありました。狂気を育んだ“観鈴”の過去も印象深い。

「ごめんね」と謝る“雛菊”を「おかえり」と迎える“狼星”の一途さに全てが報われる
気がして。更に“凍蝶”への頑なな心を解していく“さくら”の所作に救われる気がして。
惹き込まれるこの美しい物語を、ぜひ映像で見てみたい。そう思えるオススメの作品です。

posted by 秋野ソラ at 00:18 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル