香坂マト 先生の「第27回電撃小説大賞・金賞」受賞作。安定した生活を夢見て受付嬢と
なった女の子が定時帰りを脅かす要因を力でねじ伏せていく、痛快異世界コメディです。
(イラスト:がおう 先生)
【 https://dengekibunko.jp/product/uketsukejo/322011000156.html 】
積み上がる書類の山、押し付けられた集計業務。理想とは程遠い、目の前に広がる現実を
作り出す冒険者たちの無能ぶり、いや、立ちはだかるフロアボスへの怒りが頂点に達した
受付嬢“アリナ”は一級冒険者の証と力を手に今日も一人、ダンジョンへ潜り込むが──。
あとがきにもあるように「残業も何もかもを、物理で殴り倒す」しかも女の子が、という
爽快感がまず凄い。それが軽妙に描かれる読みやすさもあって圧倒的に面白い。あくまで
自分の理想ために、過去に抱いた感情も含めて力を振るう“アリナ”に好感が持てます。
迂闊な所もある“アリナ”が「処刑人」であるとバレる場面もしばしば。“ジェイド”も
そうですが、正体を知ってどう動くか、彼女がどう反応するか、そのあたりの駆け引きが
見ていて楽しいですし、見所の一つでもあるかと思います。今回イチ押しの受賞作です。