2021年04月09日

『私のシスター・ラビリンス』

みかみてれん 先生と Tam-U 先生がタッグを組んで「電撃G'sマガジン」誌上にて行われた
読者参加型企画のガールズラブコメディ。「カクヨム」連載分の物語も収録されています。
(イラスト:Tam-U 先生 企画:電撃G'sマガジン編集部)

https://www.kadokawa.co.jp/product/322011000739/
https://kakuyomu.jp/works/1177354054895228983


淑女を育てる中高一貫の女子高に転入した“涼香”が講堂へ入りまず目にする6人の少女。
新年度から導入された2年生1人に2人の1年生をグループとして組ませ生活を共にする
ことで成長を促す制度を通じて、最終的に彼女はただ1人の「妹」を選ぶことになる──。

かけがえのない祖母との別れを経験し、新天地で新たな幸せを見つけようとする“涼香”。
“真悠”をはじめとする個性派揃いの妹候補、立場を同じくする“帆南”や“明日葉”の
言動、考え方と対比させながら“涼香”の機微を浮き出たせていく構成が面白いところで。

“涼香”の妹として誰を組ませるか、妹たちは彼女に対しどんな感情を抱いたかを読者が
選んだ記録として後を追っていくのも興味深い。どの選択にも対応できるよう備え続けた
てれん 先生に、イラストで物語を演出し続けた Tam-U 先生に「お疲れさま」の一言です。

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2021年04月08日

『田中〜年齢イコール彼女いない歴の魔法使い〜 12』

ぶんころり 先生が贈る王道異世界ファンタジー。第12巻は「不死王を出せ」の一点張りで
逆鱗に触れれば町を滅ぼす勢いの“龍王”に対し“田中”が“精霊王”に助けを求めます。
(イラスト:МだSたろう 先生)

https://gcnovels.jp/book/b1165.html


傲岸不遜な言動を見せ、まさに理不尽の塊とも言える“龍王”の話の通じなさに怒りすら
覚える局面を“田中”の処世術で何とか丸く収めようとする話が軸となる「王なる存在」。
“精霊王”を担ぎ上げてもまだ暴挙に及ぶ“龍王”を抑えきれたのも彼の人徳が為せる所。

そんな“田中”の存在感に目が離せなくなってきた“精霊王”の見た目メスガキっぷりが
МだSたろう 先生のイラストも相まって、読み手としても釘付けにならざるを得ません。
彼の「処理」に対して助言するのもアレですが、それを活用しようとする彼も中々のもの。

“田中”の囲い込みに余念がないかの皇帝も彼から目が離せない中、「大聖国の主」では
「彼女」の野望にいささかの狂いもなし、という面が見えて謎の安心感を覚えます。裏で
“ソフィア”が見せる活躍にも注目しつつ、受難続きの彼がどう動くか今後も楽しみです。

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2021年04月07日

『公女殿下の家庭教師8 再臨の流星と東都決着』

七野りく 先生が贈る魔法革命ファンタジー。第8巻は行方不明の“アレン”の情報を求め
“リディヤ”が暴走する中で叛乱軍が最後の反撃に臨む王国動乱編、決着の時を迎えます。
(イラスト:cura 先生)

https://fantasiabunko.jp/product/201812koujodenka/322006000823.html


“オルグレン”のもとへ“アレン”の消息を尋ねに行ったのは全くもって悪手と言うしか。
約束された「悪堕ち」ではあるにしても“リディヤ”に対してここまで心痛を味わわせる
必要があったのか、と運命の悪戯に苦言を呈したくなる所。“アリス”の言葉も厳しめで。

“アレン”不在の中、自暴自棄の“リディヤ”に諫言は届くのか。“リィネ”が泣き言を
あらわにするのも分かります。対して“ティナ”が気丈に振舞う姿には賞嘆するばかり。
世界の命運をかけた大喧嘩、“リディヤ”の心の脆さここに極まれり、という流れです。

“アトラ”を救い、“アトラ”に救われた“アレン”が満を持しての登場を迎えてからは
物語が纏まる感じがして感慨深いものが。これで“リディヤ”も報われたことと思います。
平穏な時間を取り戻したか、と思いきや別の思惑も動き出したようで続きが気になります。

posted by 秋野ソラ at 01:21 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2021年04月06日

『魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい? 12』

手島史詞 先生が贈る、不愛想魔王と箱入りエルフによるラブコメファンタジー。第12巻は
“ネフィ”の誕生日を祝う“ザガン”が“ネフテロス”に迫る命運の日に頭を悩ませます。
(イラスト/COMTA 先生)

http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/954.html
https://hobbyjapan.co.jp/comic/series/madoai/


“ザガン”も“ネフィ”も誕生日を祝ったことがない、という切ない境遇に同情を覚える
ところから互いの誕生日をまず知るところから始まり、どう祝えばいいのか頭を悩ませる
姿は微笑ましく映ります。にも関わらず恋愛相談を受けたりする彼は滑稽とも言えます。

そんな心温まる雰囲気とは裏腹に、“ネフテロス”へホムンクルスとしての余命を告げる
“ザガン”から人として成長し続けている内面の更なる変化が窺えるのが感慨深いです。
命運を受け入れようとする彼女に対しどう踏みとどまらせるか考えを巡らせる所も含めて。

“シャスティル”と“リリス”が相談し合う内容から、恋だけでもなく、愛だけでもなく、
“ネフテロス”を救う感情の芽生えに光明が見えた・・・かと思えば埒外に重い怒涛の展開。
「やってくれたな“ビフロンス”!」だけでは済まない様相に、続きから目が離せません。

posted by 秋野ソラ at 01:31 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2021年04月05日

『精霊幻想記 19.風の太刀』

アニメ化への準備が進む、北山結莉 先生が贈る異世界転生譚。第19巻は“リオ”不在の
ガルアーク城を強襲する「天上の獅子団」の暴挙に、後を託された者たちが奮闘します。
(イラスト/Riv 先生)

http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/953.html
https://hobbyjapan.co.jp/comic/series/seireigensouki/
http://seireigensouki.com/


“リオ”の居留守を狙う“ヴェン”たちを「卑怯者」と啖呵を切る“シャルロット”たち。
彼に団長を殺されたから「やられたらやり返す」と己の正当性を主張する“ヴェン”たち。
価値観と力の違いに理不尽にも圧倒されていく彼女たちを応援したくなる展開が続きます。

騒乱に見舞われる王城に颯爽と現れる“ゴウキ”らが「天上の獅子団」の暴挙を一蹴する
やり取りには胸がすく思いでしたし、何よりも格好良かった。“リオ”に守られるだけの
存在じゃない、と強がる“セリア”たちの共闘も見事で見どころ満載。惚れ惚れします。

黒幕として暗躍を続ける“レイス”に対して図らずも一矢報いた形になる話の流れの裏側、
“エリカ”が自らの聖戦を始めるため民衆を巻き込んでいく不穏な空気漂う水面下の動き。
“リーゼロッテ”を救い帰還を果たした“リオ”がこの難局に臨んでいく次巻も注目です。

posted by 秋野ソラ at 00:04 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル