2021年04月23日

『本好きの下剋上〜司書になるためには手段を選んでいられません〜第五部「女神の化身5」』

香月美夜 先生が贈る大人気ビブリア・ファンタジー。 第五部・5巻は“フェルディナンド”
の連座回避、待遇改善を求め“ローゼマイン”がグルトリスハイトを望む王族と交渉します。
(イラスト:椎名優 先生)

https://tobooks.shop-pro.jp/?pid=155895642


“ヴィルフリート”を叱責する声が上がるのも無理はない彼の振舞いに同情することはなく。
今巻の件でエーレンフェストを離れることになる“ローゼマイン”によって立場が一変する
ことになる彼を“ジルヴェスター”はどう見守っていくか、その点には同情を禁じ得ません。

このところの“ローゼマイン”は価値観の違う者との対立が目立つと感じる中、保護者でも
あった“フェルディナンド”のため“ジギスヴァルト”と対峙し、過去に培ってきた経験を
十二分に活かし、これでもかと説き伏せていくやり取りは圧巻で、胸がすく思いがしました。

“ディートリンデ”の危なっかしい言動、下心ある“イヌマエル”のような存在。まだまだ
“ローゼマイン”の悩みの種は尽きない中、彼女を気遣う“ヒルデブラント”が内に秘める
決意がどう影響するか、引き延ばした1年で各々の思惑がどう交錯するか、次巻も注目です。

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2021年04月22日

『世々と海くんの図書館デート(3) ハロウィンのきつねは、いたずらな魔王様といっしょにいたいのです。』

野村美月 先生が贈る胸キュンラブストーリー。第3巻はどこか上の空な“海”を心配する
“世々”が、逆にみんなに心配をかけさせてしまうような身の危険に晒されたりします。
(イラスト/U35 先生)

http://aoitori.kodansha.co.jp/book/2021/4/2.html


『たいへん たいへん イギリス昔話』では「すぽん!」という表現が暗喩する事態につい
ミスをする“灯里”には致し方ない、と思いつつ真実を知らずに助けに入る“海”がもう
格好良いのなんの。そんな彼が吐露する弱音に寄り添う“世々”が健気でこれまた可愛い。

『いっしょに いたいな いつまでも』において、“海”に正体が露呈することへの恐れと
彼のお嫁さんになりたいという願いが交錯する“世々”。姉たちが彼を試そうとする中で
見せた覚悟完了の言動には参りましたの一言。姉たちがわずかにほだされるのも納得です。

『ハッピー ハロウィン!』の仮装コンテストで“まひる”姉妹に纏わる難しい心模様を
描きつつ、“海”と“世々”が互いにいつもと違う装いに胸を高鳴らせる様子はニヨニヨ
することうけあい。しかもあの積極的なアプローチには読み手も照れくさくなるほどです。

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2021年04月21日

『やたらと察しのいい俺は、毒舌クーデレ美少女の小さなデレも見逃さずにぐいぐいいく3』

ふか田さめたろう 先生が贈るすれ違いゼロの甘々ラブコメディ。第3巻は“小雪”からの
不意打ちに戸惑いつつも“直哉”が家族ぐるみの旅行を彼女と恋仲となる場と見定めます。
(イラスト:ふーみ 先生)

https://ga.sbcr.jp/product/9784815609672/


悩んでも撤退の選択肢は無い、ということで「仕切り直し」を選ぶのが“直哉”らしい。
それが自分の望む未来であると共に、不覚であった“小雪”を気遣ってというのがまた。
そんな配慮を知る由もなく、彼の心を弄ぼうとする彼女のちぐはぐさがカワイイもので。

“直哉”の父にして彼の上位互換である“法介”が見せる読心技術が異能力に達していて
面白い。目と目で通じ合う、会話しない親子ってもはや新人類の域ではないかと。事件へ
首を突っ込む“法介”に巻き込まれる“小雪”の父“ハワード”との名コンビぶりも見物。

想定外のハプニングもあって一世一代の告白劇がぐだぐだになってしまう所はいかにもな
展開ではありましたが“小雪”もちゃんと気持ちを伝えることができて万事解決・・・かと
思いきや、ここからどう話をつなげていくのか。ふか田 先生の手腕に期待しております。

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2021年04月20日

『春夏秋冬代行者 春の舞 下』

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の 暁佳奈 先生が「電撃文庫」から贈る新作は
季節の巡りを代行する現人神「四季の代行者」たちに纏わる物語、その下巻となります。
(イラスト:スオウ 先生)

https://dengekibunko.jp/product/syunkasyuutou/322012000370.html


先代の春の代行者でもある母の不遇な人生を見届け、数奇な運命を背負い続ける“雛菊”。
“雛菊”に救われ、拠り所でもある彼女を一人捜し続け、絶望を味わい続ける“さくら”。
「花葉雛菊」として表舞台に立つまでのあらましとなる昔話が後々まで胸に響いてきます。

現人神により季節が巡るこの世界に反旗を翻す賊集団「華歳」、その頭領“観鈴”の周到
かつ非情な暴力に、代行者と護衛官が団結して立ち向かう顛末の一つ一つが情感にあふれ
時には目頭を熱くさせられる場面もありました。狂気を育んだ“観鈴”の過去も印象深い。

「ごめんね」と謝る“雛菊”を「おかえり」と迎える“狼星”の一途さに全てが報われる
気がして。更に“凍蝶”への頑なな心を解していく“さくら”の所作に救われる気がして。
惹き込まれるこの美しい物語を、ぜひ映像で見てみたい。そう思えるオススメの作品です。

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2021年04月19日

『春夏秋冬代行者 春の舞 上』

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の 暁佳奈 先生が「電撃文庫」から贈る新作は
季節の遷移を代行する現人神「四季の代行者」たちに纏わる物語、その上巻となります。
(イラスト:スオウ 先生)

https://dengekibunko.jp/product/syunkasyuutou/322009000013.html


春の代行者が誘拐され「大和」から春が消えて10年。春を知らず育った少女“なずな”は
雪山で見慣れぬ女性と出会う。亡き母を偲び雪解けを願う彼女のため女性が歌と舞を披露
した途端、桜吹雪が舞う春が顕現する。彼女こそ春の代行者“雛菊”ではあるのだが──。

賊に攫われ、利用され続けても耐え忍び、戦機を待つ“雛菊”を更に苦しめる悲愴な結末。
彼女の護衛官“雛菊”、彼女に想いを寄せていた“狼星”、彼の護衛官“凍蝶”、各々が
助けられなかった悔恨に囚われ、生きながらえた10年の描写が重なり痛ましさが募ります。

今また夏の代行者“瑠璃”の隠れ家を襲い、秋の代行者“撫子”をかどわかす賊によって
変わってしまった“雛菊”が、変わらずに“狼星”を想い、決起する姿に胸を打たれます。
未だ逢えない“雛菊”と“狼星”の運命は傍若無人な賊に打ち勝てるか。下巻に続きます。

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