2021年04月30日

『Unnamed Memory VI 名も無き物語に終焉を』

古宮九時 先生が贈る愛と呪いの一大叙事詩。悲哀な宿命と過去を胸に宿願成就を目論む
“ヴァルト”が真実を“ティナーシャ”らに告げ、世界の命運をかける選択を迫ります。
(イラスト:chibi 先生)

https://dengekibunko.jp/product/unnamed/321906000054.html


村が滅ぶ謎の怪事件。“オスカー”のかつての情人。“閉ざされた森の魔女”の力の発露。
“ティナーシャ”に先手先手で策を仕掛ける“ヴァルト”が彼や彼女のことに詳しい理由。
次々と明かされる真実に「Unnamed Memory」の意味を見せつけられた気がして驚くばかり。

改竄と再編成を繰返す世界。その外からもたらされた呪具。それをもたらす外部者の存在。
かつてない敵を前に一人で立ち向かおうとする“ティナーシャ”を戒める“オスカー”の
「俺を頼れ」という一言に、愛の深さと強さの本質、この世界に生きる人の心を感じます。

世界が課した役目を果たすべく、2人で挑み続ける王と五番目の魔女の物語。歴史の中に
埋もれゆく追憶の断片をこうして垣間見ることができた無上の歓喜。機会を与えてくれた
先生、そして関係者の皆様に御礼を申し上げると共に、続報を心よりお待ちしております。

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2021年04月29日

『千歳くんはラムネ瓶のなか5』

裕夢 先生が贈るリア充側青春ラブコメ。第5巻は2・3年合同で行われる夏の勉強合宿で
今しか味わえない夏の青春を噛みしめながら、“朔”たちがそれぞれの選択を迫られます。
(イラスト:raemz 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094518993


“明日風”が“朔”と一緒に居られる時間に限りがあることを気に留めながら過ごす日々。
同じく彼のことを少なからず想う“夕湖”たちも各々の気持ちを探り合う中でアプローチ
の仕方で悩んだり焦ったりする様子が目まぐるしく描かれるのが青春ど真ん中という印象。

そんな女性陣の好意を一身に受ける“朔”は“海人”たちと一緒にバカやったりと今しか
味わえない高校2年生の夏を謳歌している一方で、いつか誰かを選ぶであろう時を予感し
今から思いを馳せる独白が垣間見えるあたり、緊張感の高まりを覚えずにはいられません。

あの春の日から“朔”を特別な存在だと認識した「彼女」からの告白。真っ白になる未来。
今のままで、このままで。でもそれは彼が持つ矜持が許さなくて。なにが正解で、どれが
不正解かは分からぬまま好きな人を選ぶため涙を流し続ける彼の気概を見届けたい所です。

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2021年04月28日

『結婚が前提のラブコメ4』

栗ノ原草介 先生が贈る婚活ラブコメ。第4巻は“まひる”にふさわしいダメ男を紹介する
ために“結衣”たちが一計を案じる中、“縁太郎”への恋の駆け引きも加速していきます。
(イラスト:吉田ばな 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094518979


“まひる”に「ダメ男だけど、本当はダメじゃない男」を紹介することでライバルを一人
排除しようとする“結衣”たち。そんな駆け引きを知る由もない“縁太郎”には“黒峰”
の秘書“逢川”から業務提携の提案を受けて、腹の探り合いで頭を悩ませる展開が面白い。

バツイチ子持ちの“阿笠”との交際は“あかね”とのやり取りも含めて良さげに見えつつ
“まひる”はまさかのお断り。“縁太郎”との距離感を詰めていく流れに持っていくのか
と思いきや彼女の本質を振り返りながら、心変わりする様子を描く点には驚かされました。

今回、当て馬のような位置づけにいた“玉置”そして“男爵”。婚活に求められる変化が
彼らにも影響するところが見どころの一つ。結婚相談所の経営者として、その前に一人の
男性として“縁太郎”は変わるべきか否かも注目すべき要素です。次巻も目が離せません。

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2021年04月27日

『剣と魔法の税金対策2』

SOW 先生が贈る異世界税制コメディ。蒼井ひな太 先生によるコミカライズを決めて刊行を
迎える第2巻は投資への不渡りを回避するべく“メイ”たちが埋蔵金探しに乗り出します。
(イラスト:三弥カズトモ 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094518986


金策と聞いて実行するのが「魔物たちへの恫喝」「盗品売買のブツ探し」という“メイ”。
彼女へ思わず禅譲したくなる“ブルー”の気持ちを同情と面白さ半々で眺めつつ、唐突に
現れた元宮廷魔女“ムーンバック”が示した「初代魔王の遺産」の胡散臭さ。これが凄い。

ゼイホウに則り金をせしめるばかりか、魔族御三家による魔王の座の乗っ取りに手を貸す
自己中心的な“ムーンバック”、更にその黒幕によって命を落とす“ブルー”・・・のはずが
思いがけない方法で救済措置が行われるあたり、厳粛なのにどこか優しさすら感じます。

砂漠で行き倒れていたのを助けた“イリュー”に纏わる悲しい因果も含め、全ての苦境を
覆すために“ゼオス”と再び舌戦を繰り広げる“クゥ”の強い想いが、胸に熱く響きます。
「そう思う」のは勝手にさせてもらって、心温まる結末から続く次巻に期待を寄せる次第。

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2021年04月26日

『わたしが恋人になれるわけないじゃん、ムリムリ!(※ムリじゃなかった!?)3』

みかみてれん 先生が贈るノンストップ・ガールズラブコメ。第3巻は“れな子”と一緒に
遊ぶのを家族に邪魔された“紫陽花”が怒りのあまり当て所ない旅に出る顛末を描きます。
(イラスト:竹嶋えく 先生)

http://dash.shueisha.co.jp/bookDetail/index/978-4-08-631412-1
https://seiga.nicovideo.jp/comic/47265?track=official_trial_l2


大切な人には楽しいことだけ与えたい。必要なら自分の幸せより誰も傷つかない道を選ぶ。
人に優しく、いい子でいることを「自分のため」に、今まで貫いて生きてきた“紫陽花”。
彼女を天使と神聖視する“れな子”に対し、彼女はどうだったかが遂に判明してドキドキ。

思いがけない“れな子”と“紫陽花”の2人旅。時に言葉で、時に触れ合って人となりを
互いに理解していく過程には思わず頬が緩みます。“紗月”から渡された話題ストックも
絶妙で、途中で割り込んできた“真唯”との3人の絡みもいろいろな局面で意味深長で。

「瀬名紫陽花のお話」の並ぶ位置に友情と恋心で揺れる彼女の機微を感じ取れるのが演出
としても印象的。過激派を宣言した“花取”や秘密がバレた“紗月”も気になる所ですが
一番は焚きつけた“真唯”の一手が裏目具合。“香穂”の回に突入する次巻も大注目です。

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2021年04月23日

『本好きの下剋上〜司書になるためには手段を選んでいられません〜第五部「女神の化身5」』

香月美夜 先生が贈る大人気ビブリア・ファンタジー。 第五部・5巻は“フェルディナンド”
の連座回避、待遇改善を求め“ローゼマイン”がグルトリスハイトを望む王族と交渉します。
(イラスト:椎名優 先生)

https://tobooks.shop-pro.jp/?pid=155895642


“ヴィルフリート”を叱責する声が上がるのも無理はない彼の振舞いに同情することはなく。
今巻の件でエーレンフェストを離れることになる“ローゼマイン”によって立場が一変する
ことになる彼を“ジルヴェスター”はどう見守っていくか、その点には同情を禁じ得ません。

このところの“ローゼマイン”は価値観の違う者との対立が目立つと感じる中、保護者でも
あった“フェルディナンド”のため“ジギスヴァルト”と対峙し、過去に培ってきた経験を
十二分に活かし、これでもかと説き伏せていくやり取りは圧巻で、胸がすく思いがしました。

“ディートリンデ”の危なっかしい言動、下心ある“イヌマエル”のような存在。まだまだ
“ローゼマイン”の悩みの種は尽きない中、彼女を気遣う“ヒルデブラント”が内に秘める
決意がどう影響するか、引き延ばした1年で各々の思惑がどう交錯するか、次巻も注目です。

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2021年04月22日

『世々と海くんの図書館デート(3) ハロウィンのきつねは、いたずらな魔王様といっしょにいたいのです。』

野村美月 先生が贈る胸キュンラブストーリー。第3巻はどこか上の空な“海”を心配する
“世々”が、逆にみんなに心配をかけさせてしまうような身の危険に晒されたりします。
(イラスト/U35 先生)

http://aoitori.kodansha.co.jp/book/2021/4/2.html


『たいへん たいへん イギリス昔話』では「すぽん!」という表現が暗喩する事態につい
ミスをする“灯里”には致し方ない、と思いつつ真実を知らずに助けに入る“海”がもう
格好良いのなんの。そんな彼が吐露する弱音に寄り添う“世々”が健気でこれまた可愛い。

『いっしょに いたいな いつまでも』において、“海”に正体が露呈することへの恐れと
彼のお嫁さんになりたいという願いが交錯する“世々”。姉たちが彼を試そうとする中で
見せた覚悟完了の言動には参りましたの一言。姉たちがわずかにほだされるのも納得です。

『ハッピー ハロウィン!』の仮装コンテストで“まひる”姉妹に纏わる難しい心模様を
描きつつ、“海”と“世々”が互いにいつもと違う装いに胸を高鳴らせる様子はニヨニヨ
することうけあい。しかもあの積極的なアプローチには読み手も照れくさくなるほどです。

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2021年04月21日

『やたらと察しのいい俺は、毒舌クーデレ美少女の小さなデレも見逃さずにぐいぐいいく3』

ふか田さめたろう 先生が贈るすれ違いゼロの甘々ラブコメディ。第3巻は“小雪”からの
不意打ちに戸惑いつつも“直哉”が家族ぐるみの旅行を彼女と恋仲となる場と見定めます。
(イラスト:ふーみ 先生)

https://ga.sbcr.jp/product/9784815609672/


悩んでも撤退の選択肢は無い、ということで「仕切り直し」を選ぶのが“直哉”らしい。
それが自分の望む未来であると共に、不覚であった“小雪”を気遣ってというのがまた。
そんな配慮を知る由もなく、彼の心を弄ぼうとする彼女のちぐはぐさがカワイイもので。

“直哉”の父にして彼の上位互換である“法介”が見せる読心技術が異能力に達していて
面白い。目と目で通じ合う、会話しない親子ってもはや新人類の域ではないかと。事件へ
首を突っ込む“法介”に巻き込まれる“小雪”の父“ハワード”との名コンビぶりも見物。

想定外のハプニングもあって一世一代の告白劇がぐだぐだになってしまう所はいかにもな
展開ではありましたが“小雪”もちゃんと気持ちを伝えることができて万事解決・・・かと
思いきや、ここからどう話をつなげていくのか。ふか田 先生の手腕に期待しております。

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2021年04月20日

『春夏秋冬代行者 春の舞 下』

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の 暁佳奈 先生が「電撃文庫」から贈る新作は
季節の巡りを代行する現人神「四季の代行者」たちに纏わる物語、その下巻となります。
(イラスト:スオウ 先生)

https://dengekibunko.jp/product/syunkasyuutou/322012000370.html


先代の春の代行者でもある母の不遇な人生を見届け、数奇な運命を背負い続ける“雛菊”。
“雛菊”に救われ、拠り所でもある彼女を一人捜し続け、絶望を味わい続ける“さくら”。
「花葉雛菊」として表舞台に立つまでのあらましとなる昔話が後々まで胸に響いてきます。

現人神により季節が巡るこの世界に反旗を翻す賊集団「華歳」、その頭領“観鈴”の周到
かつ非情な暴力に、代行者と護衛官が団結して立ち向かう顛末の一つ一つが情感にあふれ
時には目頭を熱くさせられる場面もありました。狂気を育んだ“観鈴”の過去も印象深い。

「ごめんね」と謝る“雛菊”を「おかえり」と迎える“狼星”の一途さに全てが報われる
気がして。更に“凍蝶”への頑なな心を解していく“さくら”の所作に救われる気がして。
惹き込まれるこの美しい物語を、ぜひ映像で見てみたい。そう思えるオススメの作品です。

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2021年04月19日

『春夏秋冬代行者 春の舞 上』

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の 暁佳奈 先生が「電撃文庫」から贈る新作は
季節の遷移を代行する現人神「四季の代行者」たちに纏わる物語、その上巻となります。
(イラスト:スオウ 先生)

https://dengekibunko.jp/product/syunkasyuutou/322009000013.html


春の代行者が誘拐され「大和」から春が消えて10年。春を知らず育った少女“なずな”は
雪山で見慣れぬ女性と出会う。亡き母を偲び雪解けを願う彼女のため女性が歌と舞を披露
した途端、桜吹雪が舞う春が顕現する。彼女こそ春の代行者“雛菊”ではあるのだが──。

賊に攫われ、利用され続けても耐え忍び、戦機を待つ“雛菊”を更に苦しめる悲愴な結末。
彼女の護衛官“雛菊”、彼女に想いを寄せていた“狼星”、彼の護衛官“凍蝶”、各々が
助けられなかった悔恨に囚われ、生きながらえた10年の描写が重なり痛ましさが募ります。

今また夏の代行者“瑠璃”の隠れ家を襲い、秋の代行者“撫子”をかどわかす賊によって
変わってしまった“雛菊”が、変わらずに“狼星”を想い、決起する姿に胸を打たれます。
未だ逢えない“雛菊”と“狼星”の運命は傍若無人な賊に打ち勝てるか。下巻に続きます。

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2021年04月16日

『君が、仲間を殺した数II ‐魔塔に挑む者たちの痕‐』

有象利路 先生が贈るダークファンタジー。第2巻は単身で塔に挑み続ける“スカイツ”に
拒まれ、残された“シア”が悩み、苦しみながら決断した一点に突き進む顛末を描きます。
(イラスト:叶世べんち 先生)

https://dengekibunko.jp/product/322012000009.html


“スカイツ”とのつながり。俯瞰する者“ファロス”との因縁。1巻とは異なり“シア”
に視点を移して進んでいく「その後」の物語。そのまま引き籠るのが彼女のためなのか、
両者の想いを知る“クロヤ”の厳しい問いに思い遣りすら感じて格好良いことこの上ない。

理外の力で強くなった“スカイツ”に追いつくため、“クロヤ”に鍛えられつつ再び挑む
塔の中で助けた“パロマ”がどう絡んでくるか。その時、周囲を覆っていた白い霧の謎は。
商人“ミンジュ”の気付き、渡したアイテムがそれを埋めていく話運びにはお見事の一言。

“シア”と決別した弱さを追及する“クロヤ”が“スカイツ”と繰り広げる死闘。それを
見届ける彼女が想いを告げ、“スカイツ”がその気持ちに、自身の弱さにどう向き合うか。
塔に翻弄されたとしても前を向いて生きていく者たちの生き様、見届けるに足る作品です。

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2021年04月15日

『幼なじみが絶対に負けないラブコメ7』

遂にTVアニメが放映開始を迎えた、二丸修一 先生が贈る大人気ヒロインレース。第7巻は
“朱音”が恋愛トラブルに巻き込まれていると聞いた「群青同盟」が解決に乗り出します。
(イラスト:しぐれうい 先生)

https://dengekibunko.jp/product/osamake/322012000014.html
https://osamake.com/


他人に興味関心の薄い“朱音”が“末晴”に妹としか見てもらえないことに、恋愛に対し
思い悩む中、風評のあまり良くない“間島”からの告白を保留した油断から始まるネット
関係の騒動。彼女が間違いに気付き、他者との関係を見直していく過程が興味深いところ。

“朱音”の問題解決に臨む“末晴”が“真理愛”に対しても恋愛意識を強めていることに
非難の言葉を投げかけてしまう“蒼依”。その裏に姉たちのヒロインレースが共倒れする
仄かな期待を乗せてしまう後ろめたさに葛藤を続ける様子が痛ましくて、いじらしくて。

あからさまな容疑者に対するフェイクの仕掛け方も面白く、その顛末が“末晴”に対して
あの決断を下す契機にもなるというのが印象的。“碧”が抱く想いの行方も気になります。
彼に対し“白草”や“黒羽”、“真理愛”がアレで対抗するという予告も目が離せません。

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2021年04月14日

『ユア・フォルマ 電索官エチカと機械仕掛けの相棒』

菊石まれほ 先生の「第27回電撃大賞・大賞」受賞作。頭に仕込む縫い糸を模した情報端末
に記録される情報を探索し電子犯罪の解決に臨む少女とヒト型ロボットの活躍を描きます。
(イラスト:野崎つばた 先生)

https://dengekibunko.jp/product/yourforma/322011000154.html


“エチカ”は脳の縫い糸、ユア・フォルマに残された「機憶」を辿る電索能力に長けるが
相棒の脳に負荷を掛けて何度も病院送りにする問題児。ヒト型のロボット「アミクス」を
新たなパートナーとした彼女はそのトラウマに耐えつつ謎のウイルス感染源を探るが──。

電索官ながら相棒の存在を軽視し、憎まれ役を買って出るような言動を見せる“エチカ”。
そんな彼女の思惑を知りながら、訳知り顔で思考を先回りする小憎たらしい“ハロルド”。
互いの因縁が交錯し、反発しながら認め合う過程がバディものの真骨頂を発揮しています。

“エチカ”の親が関わったプロジェクト。ユア・フォルマが作られた本来の目的。友情と
裏切り。姉とのある思い出がフラッシュバックする、彼女自身の想像を超えた事件の真相。
“ハロルド”が見つけられない「答え」を彼女と突き止められる日が来るのを期待します。

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2021年04月13日

『インフルエンス・インシデント Case:01 男の娘配信者・神村まゆの場合』

駿馬京 先生の「第27回電撃小説大賞・銀賞」受賞作。女装動画配信で人気を博す少年が
ストーカー被害に遭う事件へ能力も性格も非凡な大学教授とその助手が解決に臨みます。
(イラスト:竹花ノート 先生)

https://dengekibunko.jp/product/influence/322011000153.html


メディア社会のコミュニティ形成などを専門に、若くして大学教授の任に就く“玲華”。
彼女のゼミに所属し助手を務める“ひまり”は注目の動画投稿者が更新停止中なことを
心配していると「僕を助けてくれませんか?」と中性的な男の子が突然訪ねてきて──。

ふとしたことでネット上で注目を集める存在になる。それによって人生の明暗を分けた
人々の機微を描く、社会派小説のような側面を持つ内容に考えさせられる点もしばしば。
高校生の“真雪”に熱が入ってポンコツに見える“ひまり”が話の鍵を握るのも注目で。

“真雪”が身の危険を覚える契機となる簡易ブログ型SNS「RootSpeak」。その使い方に
問題を投げかける一方で、その運営自体に謎を仕込む大掛かりな物語は読めば気を惹く
ことうけあい。新感覚ミステリーの流れ、良い形で続いてくれることを切に期待します。

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2021年04月12日

『ギルドの受付嬢ですが、残業は嫌なのでボスをソロ討伐しようと思います』

香坂マト 先生の「第27回電撃小説大賞・金賞」受賞作。安定した生活を夢見て受付嬢と
なった女の子が定時帰りを脅かす要因を力でねじ伏せていく、痛快異世界コメディです。
(イラスト:がおう 先生)

https://dengekibunko.jp/product/uketsukejo/322011000156.html


積み上がる書類の山、押し付けられた集計業務。理想とは程遠い、目の前に広がる現実を
作り出す冒険者たちの無能ぶり、いや、立ちはだかるフロアボスへの怒りが頂点に達した
受付嬢“アリナ”は一級冒険者の証と力を手に今日も一人、ダンジョンへ潜り込むが──。

あとがきにもあるように「残業も何もかもを、物理で殴り倒す」しかも女の子が、という
爽快感がまず凄い。それが軽妙に描かれる読みやすさもあって圧倒的に面白い。あくまで
自分の理想ために、過去に抱いた感情も含めて力を振るう“アリナ”に好感が持てます。

迂闊な所もある“アリナ”が「処刑人」であるとバレる場面もしばしば。“ジェイド”も
そうですが、正体を知ってどう動くか、彼女がどう反応するか、そのあたりの駆け引きが
見ていて楽しいですし、見所の一つでもあるかと思います。今回イチ押しの受賞作です。

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2021年04月09日

『私のシスター・ラビリンス』

みかみてれん 先生と Tam-U 先生がタッグを組んで「電撃G'sマガジン」誌上にて行われた
読者参加型企画のガールズラブコメディ。「カクヨム」連載分の物語も収録されています。
(イラスト:Tam-U 先生 企画:電撃G'sマガジン編集部)

https://www.kadokawa.co.jp/product/322011000739/
https://kakuyomu.jp/works/1177354054895228983


淑女を育てる中高一貫の女子高に転入した“涼香”が講堂へ入りまず目にする6人の少女。
新年度から導入された2年生1人に2人の1年生をグループとして組ませ生活を共にする
ことで成長を促す制度を通じて、最終的に彼女はただ1人の「妹」を選ぶことになる──。

かけがえのない祖母との別れを経験し、新天地で新たな幸せを見つけようとする“涼香”。
“真悠”をはじめとする個性派揃いの妹候補、立場を同じくする“帆南”や“明日葉”の
言動、考え方と対比させながら“涼香”の機微を浮き出たせていく構成が面白いところで。

“涼香”の妹として誰を組ませるか、妹たちは彼女に対しどんな感情を抱いたかを読者が
選んだ記録として後を追っていくのも興味深い。どの選択にも対応できるよう備え続けた
てれん 先生に、イラストで物語を演出し続けた Tam-U 先生に「お疲れさま」の一言です。

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2021年04月08日

『田中〜年齢イコール彼女いない歴の魔法使い〜 12』

ぶんころり 先生が贈る王道異世界ファンタジー。第12巻は「不死王を出せ」の一点張りで
逆鱗に触れれば町を滅ぼす勢いの“龍王”に対し“田中”が“精霊王”に助けを求めます。
(イラスト:МだSたろう 先生)

https://gcnovels.jp/book/b1165.html


傲岸不遜な言動を見せ、まさに理不尽の塊とも言える“龍王”の話の通じなさに怒りすら
覚える局面を“田中”の処世術で何とか丸く収めようとする話が軸となる「王なる存在」。
“精霊王”を担ぎ上げてもまだ暴挙に及ぶ“龍王”を抑えきれたのも彼の人徳が為せる所。

そんな“田中”の存在感に目が離せなくなってきた“精霊王”の見た目メスガキっぷりが
МだSたろう 先生のイラストも相まって、読み手としても釘付けにならざるを得ません。
彼の「処理」に対して助言するのもアレですが、それを活用しようとする彼も中々のもの。

“田中”の囲い込みに余念がないかの皇帝も彼から目が離せない中、「大聖国の主」では
「彼女」の野望にいささかの狂いもなし、という面が見えて謎の安心感を覚えます。裏で
“ソフィア”が見せる活躍にも注目しつつ、受難続きの彼がどう動くか今後も楽しみです。

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2021年04月07日

『公女殿下の家庭教師8 再臨の流星と東都決着』

七野りく 先生が贈る魔法革命ファンタジー。第8巻は行方不明の“アレン”の情報を求め
“リディヤ”が暴走する中で叛乱軍が最後の反撃に臨む王国動乱編、決着の時を迎えます。
(イラスト:cura 先生)

https://fantasiabunko.jp/product/201812koujodenka/322006000823.html


“オルグレン”のもとへ“アレン”の消息を尋ねに行ったのは全くもって悪手と言うしか。
約束された「悪堕ち」ではあるにしても“リディヤ”に対してここまで心痛を味わわせる
必要があったのか、と運命の悪戯に苦言を呈したくなる所。“アリス”の言葉も厳しめで。

“アレン”不在の中、自暴自棄の“リディヤ”に諫言は届くのか。“リィネ”が泣き言を
あらわにするのも分かります。対して“ティナ”が気丈に振舞う姿には賞嘆するばかり。
世界の命運をかけた大喧嘩、“リディヤ”の心の脆さここに極まれり、という流れです。

“アトラ”を救い、“アトラ”に救われた“アレン”が満を持しての登場を迎えてからは
物語が纏まる感じがして感慨深いものが。これで“リディヤ”も報われたことと思います。
平穏な時間を取り戻したか、と思いきや別の思惑も動き出したようで続きが気になります。

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2021年04月06日

『魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい? 12』

手島史詞 先生が贈る、不愛想魔王と箱入りエルフによるラブコメファンタジー。第12巻は
“ネフィ”の誕生日を祝う“ザガン”が“ネフテロス”に迫る命運の日に頭を悩ませます。
(イラスト/COMTA 先生)

http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/954.html
https://hobbyjapan.co.jp/comic/series/madoai/


“ザガン”も“ネフィ”も誕生日を祝ったことがない、という切ない境遇に同情を覚える
ところから互いの誕生日をまず知るところから始まり、どう祝えばいいのか頭を悩ませる
姿は微笑ましく映ります。にも関わらず恋愛相談を受けたりする彼は滑稽とも言えます。

そんな心温まる雰囲気とは裏腹に、“ネフテロス”へホムンクルスとしての余命を告げる
“ザガン”から人として成長し続けている内面の更なる変化が窺えるのが感慨深いです。
命運を受け入れようとする彼女に対しどう踏みとどまらせるか考えを巡らせる所も含めて。

“シャスティル”と“リリス”が相談し合う内容から、恋だけでもなく、愛だけでもなく、
“ネフテロス”を救う感情の芽生えに光明が見えた・・・かと思えば埒外に重い怒涛の展開。
「やってくれたな“ビフロンス”!」だけでは済まない様相に、続きから目が離せません。

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2021年04月05日

『精霊幻想記 19.風の太刀』

アニメ化への準備が進む、北山結莉 先生が贈る異世界転生譚。第19巻は“リオ”不在の
ガルアーク城を強襲する「天上の獅子団」の暴挙に、後を託された者たちが奮闘します。
(イラスト/Riv 先生)

http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/953.html
https://hobbyjapan.co.jp/comic/series/seireigensouki/
http://seireigensouki.com/


“リオ”の居留守を狙う“ヴェン”たちを「卑怯者」と啖呵を切る“シャルロット”たち。
彼に団長を殺されたから「やられたらやり返す」と己の正当性を主張する“ヴェン”たち。
価値観と力の違いに理不尽にも圧倒されていく彼女たちを応援したくなる展開が続きます。

騒乱に見舞われる王城に颯爽と現れる“ゴウキ”らが「天上の獅子団」の暴挙を一蹴する
やり取りには胸がすく思いでしたし、何よりも格好良かった。“リオ”に守られるだけの
存在じゃない、と強がる“セリア”たちの共闘も見事で見どころ満載。惚れ惚れします。

黒幕として暗躍を続ける“レイス”に対して図らずも一矢報いた形になる話の流れの裏側、
“エリカ”が自らの聖戦を始めるため民衆を巻き込んでいく不穏な空気漂う水面下の動き。
“リーゼロッテ”を救い帰還を果たした“リオ”がこの難局に臨んでいく次巻も注目です。

posted by 秋野ソラ at 00:04 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル