2021年04月30日

『Unnamed Memory VI 名も無き物語に終焉を』

古宮九時 先生が贈る愛と呪いの一大叙事詩。悲哀な宿命と過去を胸に宿願成就を目論む
“ヴァルト”が真実を“ティナーシャ”らに告げ、世界の命運をかける選択を迫ります。
(イラスト:chibi 先生)

https://dengekibunko.jp/product/unnamed/321906000054.html


村が滅ぶ謎の怪事件。“オスカー”のかつての情人。“閉ざされた森の魔女”の力の発露。
“ティナーシャ”に先手先手で策を仕掛ける“ヴァルト”が彼や彼女のことに詳しい理由。
次々と明かされる真実に「Unnamed Memory」の意味を見せつけられた気がして驚くばかり。

改竄と再編成を繰返す世界。その外からもたらされた呪具。それをもたらす外部者の存在。
かつてない敵を前に一人で立ち向かおうとする“ティナーシャ”を戒める“オスカー”の
「俺を頼れ」という一言に、愛の深さと強さの本質、この世界に生きる人の心を感じます。

世界が課した役目を果たすべく、2人で挑み続ける王と五番目の魔女の物語。歴史の中に
埋もれゆく追憶の断片をこうして垣間見ることができた無上の歓喜。機会を与えてくれた
先生、そして関係者の皆様に御礼を申し上げると共に、続報を心よりお待ちしております。

posted by 秋野ソラ at 00:22 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2021年04月29日

『千歳くんはラムネ瓶のなか5』

裕夢 先生が贈るリア充側青春ラブコメ。第5巻は2・3年合同で行われる夏の勉強合宿で
今しか味わえない夏の青春を噛みしめながら、“朔”たちがそれぞれの選択を迫られます。
(イラスト:raemz 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094518993


“明日風”が“朔”と一緒に居られる時間に限りがあることを気に留めながら過ごす日々。
同じく彼のことを少なからず想う“夕湖”たちも各々の気持ちを探り合う中でアプローチ
の仕方で悩んだり焦ったりする様子が目まぐるしく描かれるのが青春ど真ん中という印象。

そんな女性陣の好意を一身に受ける“朔”は“海人”たちと一緒にバカやったりと今しか
味わえない高校2年生の夏を謳歌している一方で、いつか誰かを選ぶであろう時を予感し
今から思いを馳せる独白が垣間見えるあたり、緊張感の高まりを覚えずにはいられません。

あの春の日から“朔”を特別な存在だと認識した「彼女」からの告白。真っ白になる未来。
今のままで、このままで。でもそれは彼が持つ矜持が許さなくて。なにが正解で、どれが
不正解かは分からぬまま好きな人を選ぶため涙を流し続ける彼の気概を見届けたい所です。

posted by 秋野ソラ at 03:03 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2021年04月28日

『結婚が前提のラブコメ4』

栗ノ原草介 先生が贈る婚活ラブコメ。第4巻は“まひる”にふさわしいダメ男を紹介する
ために“結衣”たちが一計を案じる中、“縁太郎”への恋の駆け引きも加速していきます。
(イラスト:吉田ばな 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094518979


“まひる”に「ダメ男だけど、本当はダメじゃない男」を紹介することでライバルを一人
排除しようとする“結衣”たち。そんな駆け引きを知る由もない“縁太郎”には“黒峰”
の秘書“逢川”から業務提携の提案を受けて、腹の探り合いで頭を悩ませる展開が面白い。

バツイチ子持ちの“阿笠”との交際は“あかね”とのやり取りも含めて良さげに見えつつ
“まひる”はまさかのお断り。“縁太郎”との距離感を詰めていく流れに持っていくのか
と思いきや彼女の本質を振り返りながら、心変わりする様子を描く点には驚かされました。

今回、当て馬のような位置づけにいた“玉置”そして“男爵”。婚活に求められる変化が
彼らにも影響するところが見どころの一つ。結婚相談所の経営者として、その前に一人の
男性として“縁太郎”は変わるべきか否かも注目すべき要素です。次巻も目が離せません。

posted by 秋野ソラ at 00:06 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2021年04月27日

『剣と魔法の税金対策2』

SOW 先生が贈る異世界税制コメディ。蒼井ひな太 先生によるコミカライズを決めて刊行を
迎える第2巻は投資への不渡りを回避するべく“メイ”たちが埋蔵金探しに乗り出します。
(イラスト:三弥カズトモ 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094518986


金策と聞いて実行するのが「魔物たちへの恫喝」「盗品売買のブツ探し」という“メイ”。
彼女へ思わず禅譲したくなる“ブルー”の気持ちを同情と面白さ半々で眺めつつ、唐突に
現れた元宮廷魔女“ムーンバック”が示した「初代魔王の遺産」の胡散臭さ。これが凄い。

ゼイホウに則り金をせしめるばかりか、魔族御三家による魔王の座の乗っ取りに手を貸す
自己中心的な“ムーンバック”、更にその黒幕によって命を落とす“ブルー”・・・のはずが
思いがけない方法で救済措置が行われるあたり、厳粛なのにどこか優しさすら感じます。

砂漠で行き倒れていたのを助けた“イリュー”に纏わる悲しい因果も含め、全ての苦境を
覆すために“ゼオス”と再び舌戦を繰り広げる“クゥ”の強い想いが、胸に熱く響きます。
「そう思う」のは勝手にさせてもらって、心温まる結末から続く次巻に期待を寄せる次第。

posted by 秋野ソラ at 01:23 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2021年04月26日

『わたしが恋人になれるわけないじゃん、ムリムリ!(※ムリじゃなかった!?)3』

みかみてれん 先生が贈るノンストップ・ガールズラブコメ。第3巻は“れな子”と一緒に
遊ぶのを家族に邪魔された“紫陽花”が怒りのあまり当て所ない旅に出る顛末を描きます。
(イラスト:竹嶋えく 先生)

http://dash.shueisha.co.jp/bookDetail/index/978-4-08-631412-1
https://seiga.nicovideo.jp/comic/47265?track=official_trial_l2


大切な人には楽しいことだけ与えたい。必要なら自分の幸せより誰も傷つかない道を選ぶ。
人に優しく、いい子でいることを「自分のため」に、今まで貫いて生きてきた“紫陽花”。
彼女を天使と神聖視する“れな子”に対し、彼女はどうだったかが遂に判明してドキドキ。

思いがけない“れな子”と“紫陽花”の2人旅。時に言葉で、時に触れ合って人となりを
互いに理解していく過程には思わず頬が緩みます。“紗月”から渡された話題ストックも
絶妙で、途中で割り込んできた“真唯”との3人の絡みもいろいろな局面で意味深長で。

「瀬名紫陽花のお話」の並ぶ位置に友情と恋心で揺れる彼女の機微を感じ取れるのが演出
としても印象的。過激派を宣言した“花取”や秘密がバレた“紗月”も気になる所ですが
一番は焚きつけた“真唯”の一手が裏目具合。“香穂”の回に突入する次巻も大注目です。

posted by 秋野ソラ at 00:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル