2021年03月17日

『ちっちゃくてかわいい先輩が大好きなので一日三回照れさせたい3』

五十嵐雄策 先生が贈るラブコメディ。第3巻はからかい上手な“花梨”の妹が“龍之介”
へ接近する姿にあたふたなどする内に彼女の感情が決定的な方向へ整理されていきます。
(イラスト:はねこと 先生)

https://dengekibunko.jp/product/kawatere/322012000011.html


「天然グイグイ」「照れハラ」などと“龍之介”の言動を評価する新語が生まれていく中、
勉強を教えに来た彼を試そうとする“花恋”の「ミイラ取りがミイラになる」感がスゴい。
似て非なる者であることも、そこに別の魅力もあることを認める潔さがまさに彼の真骨頂。

“花梨”至上主義と言っても過言ではないほど“龍之介”が彼女への言葉のアプローチを
強める合間に幕間などで女性陣の乙女心をざわつかせていく罪作り度の高まり具合も見所。
そんな愛を向けられる彼女が、意外にも自身の感情を持て余している様子に驚かされます。

互いに関係を一歩でも進めるべく「夏休みをいっしょに過ごしたい」と提案する一大決心。
みんなで海水浴。さらに2人で夏祭り。キュンキュンする場面の連続から、気持ちを高揚
させる“花梨”の姿を見て、「もう一押しだ“龍之介”」と応援しながら次巻を待ちます。

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2021年03月16日

『お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件4』

佐伯さん 先生が贈る甘く焦れったい恋の物語。第4巻は“真昼”の「大切な人」発言で
ざわつく周囲を他所に、彼女にふさわしい男になるべく頑張る“周”の葛藤を描きます。
(イラスト:はねこと 先生)

https://ga.sbcr.jp/product/9784815608279/


“周”に対する信頼の証としてスキンシップすること、そしてされることを望む“真昼”。
言葉で、態度でその想いを受け止める彼が煩悩を抱き、自己嫌悪する姿に同情しながらも
羨ましさは募るばかり。とはいえ、恋への臆病さに改善の兆しが垣間見えて興味深い展開。

勉強に、そして運動に、とストイックに自己研鑽を重ねる“周”の姿勢がすでに格好良い。
彼の魅力に他の子が気づかないかと危惧する彼女に対し、彼女の素の様子をいつか誰かに
知られるのではと危惧して独占欲をむき出しにする顛末は「ここまで来たか」と感慨無量。

そして迎える体育祭、あの種目に“周”と“真昼”が出るとなれば、発生するイベントは
あれしかない、と期待通りの内容で、そして期待に応える一途な覚悟を魅せてくれました。
これで終わりか・・・と思えばまだまだ超えるべきハードルはあるようで、続きが楽しみです。

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2021年03月15日

『俺の妹がこんなに可愛いわけがない(16) 黒猫if 下』

伏見つかさ 先生が贈る大人気シリーズ。「黒猫ifルート」を締め括る第16巻は、ついに
恋仲となった“京介”たちが“桐乃”の抱く感情とどう向き合うか、その顛末を綴ります。
(イラスト:かんざきひろ 先生)

https://dengekibunko.jp/product/oreimo/322006000006.html


「運命の記述(デスティニー・レコ−ド)」と称して“京介”とやりたいことを羅列する
“黒猫”の言動にブレない芯が残っているのを感じつつ、彼には見せない日常の姿もまた
彼女らしさが窺えて、もう可愛いのなんの。五更家との関係も良好で、順風満帆な雰囲気。

「理想郷計画(アルカディア・プラン)」に基づき夏休みを恋人と、仲間と共に謳歌する
2人の関係をこれまた突然、一時帰国してきた“桐乃”が揺るがす一大事。占いの演出が
「あの願い」に紐づいていく、というのがまた印象深い。“京介”が焦るのも無理はなく。

自己完結して突っ走っていく“黒猫”を止める術もまた「黒猫if」らしい落とし所で見事。
“黒猫”たち2人だけでなく「ゲーム研究会」の面々や血の因果を感じさせるその後にも
触れられているエピローグから未来を予想してみるのも一興かと。素敵なifルートでした。

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2021年03月12日

『リアデイルの大地にて6』

アニメ化が決定した、Ceez 先生が贈る大人気エルフファンタジー。第6巻は再会した魔人
“オプス”から“ケーナ”はこのリアデイルという世界に纏わる最重要事項を耳にします。
(イラスト:てんまそ 先生)

https://famitsubunko.jp/product/322011000055.html
https://comic-walker.com/contents/detail/KDCW_AM19201033010000_68/
https://ncode.syosetu.com/n1247p/


何かと鼻につく言動を見せる“オプス”に対して、何より口より先に手が出る“ケーナ”。
コミュニケーション・エラーが続く両者を取り持つ“サイレン”の気遣いに救われる面も
多々あって、彼女がいなかったらこのリアデイル、何度破滅に追い込まれたか知れません。

改めて“ケーナ”に二百年の空白がこの世界の秘密。“オプス”から明らかにされる謎の
真相に彼女でなくても、そりゃあ驚きの連続で。プロローグの一幕が「そういうことか」
と存在感を高める瞬間でもありました。“キー”もある種の共犯な感が強い所も得心です。

ヘルシュペルにまつわる一連の騒動で不穏な展開を迎えるかと思いきやちょっとイイ話に
流れが昇華してくれて安堵しました。互角な存在たる“オプス”が“ケーナ”の進む道に
どう影響を与えるか興味津々な中、村に娯楽を与えるための顛末に注目したいところです。

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2021年03月11日

『むすぶと本。 七冊の『神曲』が断罪する七人のダンテ』

野村美月 先生が贈るビブリオミステリー。シリーズ4冊目は図書館登校を続ける中学生の
少女が同じ境遇の少年と出会い、ネット掲示板に流れる不穏な噂に関わる顛末を描きます。
(イラスト:竹岡美穂 先生)

https://famitsubunko.jp/product/322011000327.html


図書館で裏サイトの書込みを見て不穏な会話をする生徒たちの言葉に心を痛める“清良”。
唯一の安息地を奪われる恐怖に怯える彼女だが、声をかけてくれた“むすぶ”に救われる。
何年生かも分からない謎多き彼は七冊の『神曲』のためにここに来た、と言うのだが──。

『神曲』に記された7つの罪に纏わる事件が学校内で次々に起きるのを目の当たりにする
たびに“むすぶ”が本質を突く言葉を紡ぎ、“清良”は心の成長につなげていく心温まる
流れかと思えば、書込みを続ける“ダンテ”の正体が判明して一気にガラッと変わります。

フラッシュバックするプロローグの文章。本に罹患した人を救うため“むすぶ”が届ける
本の声。あるがままを見て、知ること。罪に向き合う、向き合わせるための応酬の数々が
印象深い結末に繋がりました。次は“夜長姫”も出番多めだといいですね、と思いながら。

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