2021年03月24日

『天才王子の赤字国家再生術9〜そうだ、売国しよう〜』

アニメ化決定の報に沸く、鳥羽徹 先生が贈る弱小国家運営譚。第9巻は4つの都市国家で
構成されるウルベス連合で巻き起こる覇権を巡る陰謀に“ウェイン”が大胆に介入します。
(イラスト:ファルまろ 先生)

https://ga.sbcr.jp/product/9784815609429/
https://tensaiouji-anime.com/


東都を治める“アガタ”に招かれた“ウェイン”に告げられる4都市間のパワーバランス。
そこに統一を図る“アガタ”の意志が上乗せされ、裏があると探りを入れる王子が次々に
明らかにしていく初期段階の人間関係だけでも興味深いのに上乗せしてくるのがまた凄い。

ここに冒頭“ウェイン”から“フラーニャ”に対して語られた、フラム人の建国に纏わる
エピソードが重なってくる演出。さらに“ウェイン”が“ニニム”に対して、フラム人に
ついてどういう感情を抱いているのかが垣間見えてくる、その内容がまた印象に残ります。

“アガタ”が抱く本当の狙いを汲んでウルベス連合に潜む復讐の刃をも丸く収める手腕に
相変わらず驚かされるものの、どこか仄暗い未来を予感させる言い回しが気になります。
“フラーニャ”を担ぐ“シリジス”の夢が花開くか等、先々予想しながら次巻を待ちます。

posted by 秋野ソラ at 00:14 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2021年03月23日

『友達の妹が俺にだけウザい7』

三河ごーすと 先生が贈るいちゃウザ青春ラブコメが満を持してアニメ化を決めドラマCD
付き特装版と同時刊行を迎える第7巻は“彩羽”と“真白”の母親らが場をかき乱します。
(イラスト:トマリ 先生)

https://ga.sbcr.jp/product/9784815607838/
https://ga.sbcr.jp/sp/imouza/


“彩羽”の母である“乙羽”、“真白”の母である“海月”。両者からもウザ絡みされる
“明照”の姿は幸せ者の象徴なのではと思いつつ、「5階同盟」躍進へ繋がる次の一手を
担う“菫”が修学旅行の担当になるという悩ましい状況が重なるのは同情を禁じ得ません。

兼業という選択肢が“菫”の限界を超えさせてしまう事態を目にした“明照”に迫られる
「5階同盟」方針転換の道。“乙羽”から、“真琴”から誘導されるその道が正しいかを
考えに考え抜く彼の真摯な姿には感心するばかり。応える“菫”の覚悟もなかなかのもの。

“明照”に対するアプローチもあからさまになる“彩羽”と“真白”にも転機となる親の
関わり方がエピローグにも表れていて、実に興味深い展開を迎えました。リードを許す形
となる“真白”が修学旅行で巻き返すことができるか、次巻の動向も注目したい所です。

posted by 秋野ソラ at 00:57 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2021年03月22日

『俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎる 16』

裕時悠示 先生が贈る甘修羅らぶ×らぶコメディ。第16巻は“真涼”不在が続き「自演乙」
メンバーの絆も揺らぐ中、“カオル”の本心に触れる“鋭太”が大事な決心に迫られます。
(イラスト:るろお 先生)

https://ga.sbcr.jp/product/9784815607555/


“カオル”と“カオリ”の関係がようやく見えたところで感じるのは、この設定を見事に
練り込んで“鋭太”と向き合わせ続けさせたものだ、という点。捻じれた強い想いに対し
“鋭太”がしっかり応えた場面は彼を彼たらしめる一面をまざまざと見せつけてくれます。

そんな“カオル”の仕向けた策に乗る形で囚われの身となった“真涼”の真意を知るべく
“鋭太”が選んだ道。それが奇しくも原点回帰とも言えるもので感慨深く、それを受けて
再び結束を強める“千和”たちもまた彼を好きでいる理由を思い出したようで何よりです。

取り戻した真の姿に嬉びを覚え、親友の苦しみに涙し、共犯者の父親が示す横暴さに怒り、
再会を何よりも楽しみにしていた“真涼”から冷淡に向けて“鋭太”へ告げられる真実。
彼がよみがえらせた存在は悪魔か、それとも──。完結に向けて目が離せない展開です。

posted by 秋野ソラ at 00:13 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2021年03月19日

『ソードアート・オンライン プログレッシブ7』

アインクラッドを第一層から攻略する過程を描く、川原礫 先生によるもう一つの「SAO」。
第7巻は“キリト”たちが第7層でいわくつきのカジノにまつわる陰謀に巻き込まれます。
(イラスト:abec 先生)

https://dengekibunko.jp/product/sao/322011000002.html


ベータテスター時代、カジノで素寒貧にされた苦い経験を持つ“キリト”。先行する攻略
ギルドたちも同じ末路を迎えているかと思えば大勝ちしている、という違和感が指す意味。
キャラクターという立場を超えた存在、その介入の可能性を匂わせる顛末が気になる話で。

カジノを仕切る要人の一人“ニルーニル”から告げられるカジノでのイカサマ疑惑。その
解決を依頼された“アルゴ”を手伝う“キリト”たちのやり取りが軽妙で見ていて楽しい。
“アスナ”が苦手なものに対するあの反応と彼への指摘は微笑ましく、愛すら感じます。

カジノの話だけで終わってしまうのかな、と思えば“キズメル”に関するクエストもまだ
続いていることを見せてくれてひと安心。こちらも先々、気になる要素を残しています。
謎もクエストも未解決なままで続いてしまうのは厳しい所ですが、次巻の刊行を待ちます。

posted by 秋野ソラ at 01:08 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2021年03月18日

『僕の軍師は、スカートが短すぎる2〜サラリーマンとJK、ひとつ屋根の下』

七条剛 先生が贈る、女子高生“軍師”とお人好し社会人が織り成す同居生活ラブコメディ。
「&SIX」事務所に出向する“史樹”が彼女たちを巡る大人たちの卑劣な陰謀に直面します。
(イラスト:パルプピロシ 先生)

https://ga.sbcr.jp/product/9784815609276/


“穂春”が抜けて戦略に迷いが生じる「&SIX」メンバー。疎ましい彼女に反する活動方針
を次々に打ち出す事務所の“倉賀野”たち。きな臭い雰囲気を知っても手を出さない彼女
に何かしら想いを感じ取り、信頼される大人として務める“史樹”が好印象すぎて眩しい。

「&SIX」メンバーも個性派揃いで、中でも“レン”は一躍有名になるべく焦りを滲ませて
“倉賀野”が仕掛ける「契約書」の罠に嵌まるワケですが、ここでも動かない“穂春”に
代わり“史樹”が獅子奮迅の働きを見せてフラグを立てまくる辺りは彼女の埒外の展開か。

いわゆる「枕営業」すら見据えた“倉賀野”の悪意をどう退けるのか。「労働基準法」に
関する啓蒙にも繋がる驚きの秘策で罠に嵌め返す結末は爽快の一言。定時上がりを目指す
“史樹”にとっても利のある流れに冷や水を浴びせるあの問題にどう臨むのか、注目です。

posted by 秋野ソラ at 00:45 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル