2021年02月08日

『継母の連れ子が元カノだった6 あのとき言えなかった六つのこと』

紙城境介 先生が贈る同棲ラブコメ。第6巻は“水斗”が“結女”に対して「壁」を感じる
意識を強める中、そんな彼の気も知らない彼女はその距離感を詰め切れず葛藤を続けます。
(イラスト:たかやKi 先生)

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自分と彼女とは「違う」と目に見えない自傷行為を続ける“水斗”の言動に対して思わず
「ここまでネガティブでしたっけ?」と振り返ってしまうほど。あんなに一緒だったのに
どんどん“結女”との心の距離を話していく描写が何とも痛々しくて、いたたまれなくて。

“水斗”の葛藤も知らず、文化祭で大正ロマン喫茶の準備に一喜一憂する“結女”の姿が
可愛らしくもあり、もどかしくもあり。“鈴里”が「かすがいとなって」と言った意味を
文化祭というイベントをどう捉えるか、そこで気づくあたりが彼女らしいとも言える訳で。

そんな2人のすれ違う顛末を「あのとき言えなかった六つのこと」に込める演出はお見事。
更に言うと“水斗”自身も忘れていた思い違い、というか思い上がりを“いさな”が正す、
それが本作の真髄かも知れません。繋ぎ止めた手の温もりを大切にしてほしいものです。

posted by 秋野ソラ at 00:06 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル