榊一郎 先生が贈る新作は、新人賞を受賞したある少年を主人公として、よく似た人物や
創作論の数々、ライトノベルの夢と希望と現実と絶望を織り交ぜた業界神話を綴ります。
(イラスト:潮一葉 先生)
【 https://kc.kodansha.co.jp/product?item=0000346766 】
ここは東京都文京区音羽、講談社。最寄りの護国寺駅に到着した“拓哉”は原稿を渡しに
直通の零番出口から足を踏み入れると、そこは森。しかもドラゴンと相対する謎の局面に
慌てる彼を上を飛び越え黒いゴスロリ服を着た少女が現れたと思えば銃をぶっ放して──。
のっけから奇想天外、摩訶不思議なノリに圧倒されるや否や、Twitterでもよく見かける
関係者のお名前がずらずら出てきて思わず笑みがこぼれる展開が続き、仕舞いにはあの
「美少女文庫」さんや何かと話題の“さかきいちろう”まで巻き込むのだから興味深い。
“拓哉”をどうしても後輩にしたい新人編集者“凜子”や、彼を溺愛するミステリ作家
“天音”との掛け合いも楽しみつつ、業界ネタや創作あるあるなども披露するあたりは
単なるノリでゴリ押しするだけの作品じゃない熱量が感じられます。続刊希望ですかね。