川上稔 先生がWeb限定で贈るラブコメ短編集・第4弾は「尊い」編。『総統閣下の塔』
『天使の解釈違い』『黄金周環』『幸いの人』『禁書区画で待ってる』他を収録です。
(イラスト:さとやす 先生(TENKY))
【 https://bookwalker.jp/de04da0f91-2094-475e-9f7a-5d9fb86dcf87/ 】
『総統閣下の塔』では、国に建てられた通信塔の近くで聞けるレジスタンスの海賊放送を
聴いていた少年と少女が、戦後になって「ある誤解」に気付くまでの逸話がまず印象的で。
『天使の解釈違い』は夫が旅行帰りに豹変した理由を探る妻の反応になるほど感が強くて。
『黄金周環』は10年の時を経て冷めた夫婦関係にある男性がゴールデンウィークに纏わる
ネタを利用して「辛い」を「幸い」に変えるべく挑み続ける顛末にアッと言わされました。
『幸いの人』は天界へ導かれた姉と残る妹、両者に関わる謎の青年との関わりが奥深くて。
短編集を締め括る『禁書区画で待ってる』は大戦後、分断した国の東側にある大図書館で
司書を務める女性の話。西側の人となった幼馴染の彼に逢いたくてある目的のために管理
していた「禁書区画」に残された言葉、そして文章に触れる彼女から尊さが溢れてました。
2021年01月22日
2021年01月21日
『川上稔 短編集 パワーワードの尊い話が、ハッピーエンドで五本入り(1)』
川上稔 先生がWeb限定で贈るラブコメ短編集・第3弾は「尊い」編。『君が手を離さない』
『化け物のはなし』『最後に見るもの』『ひめたるもの』『空と海を結ぶもの』他を収録。
(イラスト:さとやす 先生(TENKY))
【 https://bookwalker.jp/de21852be9-3ec6-4e1a-ad19-058ed92aa26e/ 】
記憶をなくしたワケあり男女が目覚めた時に自分の、そして相手の握った手に込められた
力の強さを信じる『君が手を離さない』。ハッピーエンドな安心感が味わえる滑り出しで。
『化け物のはなし』では化け物と呼ばれた少年の「嘘を吐かない」有言実行ぶりが尊くて。
『最後に見るもの』はゴーストが見える傭兵との掛け合いに見えるノリの良さ、全裸とか
スケベな要素がちりばめられていて 川上稔 先生作品だということを強く滲ませる内容で。
『ひめたるもの』では記憶ではなく記録でつながる主従関係の謎を探る顛末が興味深くて。
短編集を締め括る『空と海を結ぶもの』は厭戦気分の中で戦争を続ける2つの国、そして
相対する男女が諍いの果てに愛を紡いでいく・・・のかと思ったらその2人がまさかのアレ。
様々なくびきを外れて娯楽を楽しむその様子にオトナの恋愛を感じられて心温まりました。
『化け物のはなし』『最後に見るもの』『ひめたるもの』『空と海を結ぶもの』他を収録。
(イラスト:さとやす 先生(TENKY))
【 https://bookwalker.jp/de21852be9-3ec6-4e1a-ad19-058ed92aa26e/ 】
記憶をなくしたワケあり男女が目覚めた時に自分の、そして相手の握った手に込められた
力の強さを信じる『君が手を離さない』。ハッピーエンドな安心感が味わえる滑り出しで。
『化け物のはなし』では化け物と呼ばれた少年の「嘘を吐かない」有言実行ぶりが尊くて。
『最後に見るもの』はゴーストが見える傭兵との掛け合いに見えるノリの良さ、全裸とか
スケベな要素がちりばめられていて 川上稔 先生作品だということを強く滲ませる内容で。
『ひめたるもの』では記憶ではなく記録でつながる主従関係の謎を探る顛末が興味深くて。
短編集を締め括る『空と海を結ぶもの』は厭戦気分の中で戦争を続ける2つの国、そして
相対する男女が諍いの果てに愛を紡いでいく・・・のかと思ったらその2人がまさかのアレ。
様々なくびきを外れて娯楽を楽しむその様子にオトナの恋愛を感じられて心温まりました。
2021年01月20日
『先輩、わたしと勝負しましょう。ときめいたら負けです! イヤし系幼女後輩VS武人系先輩』
西塔鼎 が贈る新作は学園ラブコメ。11歳ながらに飛び級で高校に進学した才媛が文芸部に
所属する強面の少年に恋をして、振り向いてもらうため手を変え品を変え勝負に臨みます。
(イラスト:さとうぽて 先生)
【 https://dengekibunko.jp/product/322008000016.html 】
まだ日本に慣れていない“クオン”が図書館で絡まれていたのを見かねて助けた“玄鉄”。
幼い彼女の外見ではなく内面に惹かれた彼は「付き合ってください」と言われ、承諾する。
その想いは幻想だと決めつける彼だが、前のめりな彼女のアプローチは衰え知らずで──。
愛読するラブコメラノベを片手に「定番イベント」を発生させ、それを積み重ねて奥手な
“玄鉄”をその気にさせようと躍起になる“クオン”言動がまさに「イヤし系」で面白い。
彼女をそそのかす友人“まりや”の狡猾さ、ツッコミに回る“蓬莱”の冷静さも見どころ。
強面ながら腕っぷしが強いワケでもない“玄鉄”がなぜあの時“クオン”を助けられたか。
鍵を握るのはやはり「あれ」ということで、彼もなかなか興味深い心情を魅せてくれます。
五番勝負の間に差し込まれるインターミッションの演出も含めて楽しく読める一冊です。
所属する強面の少年に恋をして、振り向いてもらうため手を変え品を変え勝負に臨みます。
(イラスト:さとうぽて 先生)
【 https://dengekibunko.jp/product/322008000016.html 】
まだ日本に慣れていない“クオン”が図書館で絡まれていたのを見かねて助けた“玄鉄”。
幼い彼女の外見ではなく内面に惹かれた彼は「付き合ってください」と言われ、承諾する。
その想いは幻想だと決めつける彼だが、前のめりな彼女のアプローチは衰え知らずで──。
愛読するラブコメラノベを片手に「定番イベント」を発生させ、それを積み重ねて奥手な
“玄鉄”をその気にさせようと躍起になる“クオン”言動がまさに「イヤし系」で面白い。
彼女をそそのかす友人“まりや”の狡猾さ、ツッコミに回る“蓬莱”の冷静さも見どころ。
強面ながら腕っぷしが強いワケでもない“玄鉄”がなぜあの時“クオン”を助けられたか。
鍵を握るのはやはり「あれ」ということで、彼もなかなか興味深い心情を魅せてくれます。
五番勝負の間に差し込まれるインターミッションの演出も含めて楽しく読める一冊です。
2021年01月19日
『ひきこまり吸血姫の悶々4』
小林湖底 先生が贈るコミカルファンタジー。第4巻は天照楽土で行われるパーティに招待
された“コマリ”が“カルラ”の直面する後継者争い、裏で渦巻く陰謀に巻き込まれます。
(イラスト:りいちゅ 先生)
【 http://www.sbcr.jp/products/4815608903.html 】
“カルラ”と“カリン”、2人の継承者争いに六国の将軍が助っ人として加わる「天舞祭」。
積極的にアピールしてネガティブキャンペーンを繰り返す“カリン”に対して、消極的で
和菓子屋になると言ってきかない上に勝負事も“コマリ”頼りとネガティブな“カルラ”。
“カルラ”と“コマリ”、互いに相手を強いと誤解しているのがいつバレるのか。一方で
“カリン”を大神に推す者たちの思惑が錯綜していく迷走ぶりと相まって“コマリ”らが
本当に勝てるのか。緊張感を誘う流れで、どう落としにかかるのかを想像するのが楽しい。
“カルラ”が夢をあきらめない、と決めてから見せるその力強さ。“コマリ”の唆し方も
見事でやり手の片鱗も窺えます。りいちゅ 先生の吸血描写の挿絵も良い仕事をしてます。
今回、黒幕を担ったあの人物が“コマリ”に牙を剥くと思われる次巻も見逃せない所です。
された“コマリ”が“カルラ”の直面する後継者争い、裏で渦巻く陰謀に巻き込まれます。
(イラスト:りいちゅ 先生)
【 http://www.sbcr.jp/products/4815608903.html 】
“カルラ”と“カリン”、2人の継承者争いに六国の将軍が助っ人として加わる「天舞祭」。
積極的にアピールしてネガティブキャンペーンを繰り返す“カリン”に対して、消極的で
和菓子屋になると言ってきかない上に勝負事も“コマリ”頼りとネガティブな“カルラ”。
“カルラ”と“コマリ”、互いに相手を強いと誤解しているのがいつバレるのか。一方で
“カリン”を大神に推す者たちの思惑が錯綜していく迷走ぶりと相まって“コマリ”らが
本当に勝てるのか。緊張感を誘う流れで、どう落としにかかるのかを想像するのが楽しい。
“カルラ”が夢をあきらめない、と決めてから見せるその力強さ。“コマリ”の唆し方も
見事でやり手の片鱗も窺えます。りいちゅ 先生の吸血描写の挿絵も良い仕事をしてます。
今回、黒幕を担ったあの人物が“コマリ”に牙を剥くと思われる次巻も見逃せない所です。
2021年01月18日
『絶対にデレてはいけないツンデレ』
神田夏生 先生が贈る新作は、他人への厳しい言動でクラスでも浮いた存在の少女と周りの
反応が気になり本当の自分を出せずにいる少年が出会い、機微を変化させていく物語です。
(イラスト:Aちき 先生)
【 https://dengekibunko.jp/product/322009000004.html 】
嫌がらせされた過去を置き土産に、隠れオタクとして転校先で陽キャの座を掴む“夜船”。
いじめはないにしても言葉がキツくて周囲から敬遠される“蒼月”。「嫌い」と言われた
ことはあるが、彼女の言動に優しさを感じる彼は何か事情がありそうだと勘繰るが──。
そんな“夜船”も「絶対に俺にはデレないで」と“蒼月”に告げる訳ありぶり。彼自身の
戒めに似た感情をやがて知ることとなる彼女の、それでも言いたいことがと言えない苦悩。
もどかしい彼女の機微を察して寄り添い続ける彼の意志に他者を想える優しさを感じます。
文化祭の劇を2人で乗り越え、そして吹っ切れた姿に安堵するも未だ“蒼月”に残る憂い。
邂逅した事が奇跡であり、呪いであり、唯一の例外でもあると示す縁の妙に魅せられます。
ラストのあの一文、そして挿絵にすべてが報われたような気がします。ステキなお話です。
反応が気になり本当の自分を出せずにいる少年が出会い、機微を変化させていく物語です。
(イラスト:Aちき 先生)
【 https://dengekibunko.jp/product/322009000004.html 】
嫌がらせされた過去を置き土産に、隠れオタクとして転校先で陽キャの座を掴む“夜船”。
いじめはないにしても言葉がキツくて周囲から敬遠される“蒼月”。「嫌い」と言われた
ことはあるが、彼女の言動に優しさを感じる彼は何か事情がありそうだと勘繰るが──。
そんな“夜船”も「絶対に俺にはデレないで」と“蒼月”に告げる訳ありぶり。彼自身の
戒めに似た感情をやがて知ることとなる彼女の、それでも言いたいことがと言えない苦悩。
もどかしい彼女の機微を察して寄り添い続ける彼の意志に他者を想える優しさを感じます。
文化祭の劇を2人で乗り越え、そして吹っ切れた姿に安堵するも未だ“蒼月”に残る憂い。
邂逅した事が奇跡であり、呪いであり、唯一の例外でもあると示す縁の妙に魅せられます。
ラストのあの一文、そして挿絵にすべてが報われたような気がします。ステキなお話です。