2021年01月29日

『悪役令嬢になったウチのお嬢様がヤクザ令嬢だった件。2』

翅田大介 先生が贈る、破滅フラグを打ち破る痛快活劇ファンタジー。第2巻はもう一人の
転生者“ユリアナ”の妄執により仕掛けられた謀略の数々に“キリハ”が徹底抗戦します。
(イラスト:珠梨やすゆき 先生)

https://dengekibunko.jp/product/322009000009.html


業腹な“キリハ”の暗殺を謀る“ユリアナ”。鉄砲玉にされる少年少女の境遇にご立腹な
“キリハ”が闇ギルドに乗り込み元締めとギャンブルで「ざわ……ざわ……」と駆け引き
に興じるあの気風の良さ、そして余裕ぶり。読んでいて味わえるあの爽快感に惹かれます。

人間のクズと評されてもその傲岸不遜ぶりを崩さない“ユリアナ”が反乱軍をけしかけ、
魔族をけしかけても、その身一つで切り抜けていく“キリハ”がもう格好良いのなんの。
立場を超えて次々とオトコを魅了していく、まさに罪作りな女性だなと言うしかなくて。

約束されたシナリオすら崩されたあげく、ゲームオーバーを突きつけられた“ユリアナ”。
“キリハ”が結んだ縁を象徴する「彼女」たちのあの決め台詞も胸がすく思いでいっぱい。
胃薬漬けの“ジェラルド”には悪いですが、ファンディスクの展開も見てみたいものです。

posted by 秋野ソラ at 00:26 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2021年01月28日

『彼女は僕の「顔」を知らない。』

古宮九時 先生が贈る新作は青春ライトミステリ。放火事件の生存者である少年少女たちが
高校生となり、再会し、改めてその真相を探る内に互いの隠してきた感情と向き合います。
(イラスト:shimano 先生)

https://mwbunko.com/product/321812000049.html


他人のマイナス感情に同期する異常体質を負った10年前の夏、火事に巻き込まれた“良”。
同じくその炎の中にいた“静葉”を忘れずにいた彼は、転校してきた彼女と再び巡り合う。
人付き合いは苦手だが直す気はない、という彼女は彼のことに気付かない。何故なら──。

失貌症、人の顔が認知できなくなっていた“静葉”があの火事の犯人を捜しているという
ことを知り、身体的制約に苦しめられつつも限られた情報を頼りに「黒服の男」の正体に
目星をつけて事件を解決に結びつけていく・・・なんて流れを軸にしていかないのが古宮流。

冒頭で“良”が言及した「贖罪」とは何か。彼が“静葉”をどう「特別」と捉えていたか。
“静葉”と彼女の兄とのメールの送受信にも彼の本質を探る鍵があり、その演出もお見事。
「怒ってます?」と聞いたあの言葉と反応に救済と未来を感じました。お薦めの一作です。

posted by 秋野ソラ at 00:19 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2021年01月27日

『育ちざかりの教え子がやけにエモい3』

鈴木大輔 先生が贈るエモ×尊みラブコメ。第3巻は“達也”と“明日香”に一つの節目が
訪れようとする一方、エキストラに参加した“ひなた”が人生を左右する決断を下します。
(イラスト:DSマイル 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094518856


夏休み。中学二年生の今しかないこの特別な日々をどう過ごすか。そんな中で“彩夏”が
手にした夢へのチャンス、それすらも“達也”と対等になるための礎とする“ひなた”に
自我の強さ、容赦の無さをなお見せつけられます。“彩夏”たちも胸中複雑ではないかと。

残酷な現実に晒されていることを知る由もない“彩夏”のことを酷評する女優“ひかり”。
彼女もまた“ひなた”のケンカ腰に、あるいは追い落とされる鳥のように巻き込まれると
知りながら振舞うその姿勢、そして“晋太郎”の抜け目のなさに業界の厳しさを感じます。

大人たちに“ひなた”が威勢を誇示しているとは露知らず、逃げ癖を克服しようとする
“明日香”の気持ちに応えようとする“達也”。“ひなた”の変化に気付いてしまった
“陽一”に慰めの言葉をかけつつ、“達也”たちがどんな難局を迎えるのかを見届けます。

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2021年01月26日

『董白伝 〜魔王令嬢から始める三国志〜3』

伊崎喬助 先生が贈る打擲幼女の覇道ファンタジー。第3巻は長安に遷都した“董白”が
経済復興、治安維持に影響する騒動の数々を解決するうちに予想外の真実を突き止めます。
(イラスト:カンザリン 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094518870


“馬騰”の使者がようやく到着したかと思えば賊に奪われ、それを突き止めればこれまた
偏屈な強敵“甘寧”が強敵として現れ、更にはペテンにかけてくる“張魯”ともつながる。
泣きっ面に蜂どころか熊にも襲われるかの如き窮地を迎える“董白”には同情するばかり。

そこへ“董白”の悪癖が「普段の自分ではない言動」を生み出す契機になるという面倒な
事実も明らかになるからさあ大変。その被害者たる“劉協”はある意味幸せ者かもですが。
一度は封じたその悪癖が苦境の打破へと結びついたのは怪我の功名と言うべきでしょうか。

“趙雲”の意外な活躍ぶりに目を見張りつつ、今回“董白”を支える形となった謀反人の
軍師“荀攸”にまつわる真実。“馬超”に「とどめを刺す価値すらない」と豪語する強敵、
新たな状況に身を移された“董白”の運命や如何に。次巻もますます期待が高まります。

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2021年01月25日

『弱キャラ友崎くんLv.9』

屋久ユウキ 先生が贈る人生のバイブル的青春小説。第9巻は“菊池”との距離感を見直す
“友崎”が彼女の機微、自分のキャラクター性、そして“日南”の本質に気付きを得ます。
(イラスト:フライ 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094518788
http://tomozaki-koushiki.com/


“友崎”は“菊池”とは違って外の世界に活動の場を、交流を広げられる。運命の旧校章
に受け継がれた想いの重さも相まって2人が抱える「矛盾」を突き詰めていく姿勢が真摯。
だから前提を覆すあの言葉を、付き合うことの意味を引き出せたのだと思うと感慨深くて。

“菊池”は“友崎”が“日南”と過ごした特別な時間のことを知り、彼が無意識のうちに
“日南”を「特別」だと捉えていたその理由を紐解いていく。その過程を通じて小説家と
しての自分を認識し、相手にも感じさせるその言動には畏怖すら覚えるものがありました。

“日南”は“友崎”の人生攻略になぜ協力したのか。“友崎”や“菊池”が独自の視点で
そのブラックボックスをこじ開けた時に残る“友崎”との共通点、そして寂寥と虚無感。
彼女のモノクロな世界を色づけることができるか、彼の攻略ぶりに注目したいと思います。

posted by 秋野ソラ at 00:18 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル