森林梢 先生の「第16回MF文庫Jライトノベル新人賞・優秀賞」受賞作。最愛の人から命を
奪われたい少年が最愛の人を殺したい少女と出会い、共に願いを成就する道を模索します。
(イラスト:はくり 先生)
【 https://mfbunkoj.jp/product/killme_girl/322008000666.html 】
廃屋の屋上で死神を自称する女性に声を掛けられる“水面”。君の望みを叶えてあげると
紹介されたのが“みぎり”。殺してあげる代わりに私にとって最愛の人になってほしいと
告げた彼女は、彼を自分好みに仕上げるべく早々に様々な場所へ連れまわしていくが──。
歪んだ願い。捻じれた感情。でこぼこな2人が共に抱える心の傷を持ち寄り、寄り添い、
やがて恋人らしい関係へと絆を深めていく。けれども2人の先に待つのは“水面”の死。
では「その先は?」となった時に互いの気持ちがどう揺れ動くのか。この描写が絶妙で。
“水面”や“みぎり”だけでなく周囲の人物や自称死神の女性に至るまで独特の感性を
持つ方々で占められていることもあり、世界観に没入しやすい雰囲気作りも実に好感触。
きな臭い展開をくぐり抜けた先に2人が選んだ道は微笑ましさすら覚えます。お薦めです。