2020年12月03日

『放課後の嘘つきたち』

『ジャナ研の憂鬱な事件簿』の 酒井田寛太郎 先生が「ハヤカワ文庫JA」で上梓する新作。
部活同士の問題を解決する男女を通じて日常に潜む謎と嘘を描く青春ミステリ連作集です。
(イラスト:佐原ミズ 先生)

https://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000014681/shurui_3/page1/order/


部活動に力を入れる英印高校にスポーツ特待生として入学した“修”はワケあって休部中。
時間を持て余す彼を見て幼馴染の“麻琴”は忙しい「部活連絡会」の手伝いをお願いする。
早速、演劇部員に掛けられたカンニング疑惑に対して皮肉屋の部長が怪しいと睨むが──。

様々な部活動が行われる放課後を舞台に繰り広げられる推理劇と明かされる学校生活の闇。
仏頂面の“修”に“御堂”も加わりトラブルが続く局面を“麻琴”が抑え役に回る構図に
微笑ましさを感じつつ、3人にも少しずつ暗部を窺わせる描写があり緊張感を募らせます。

“修”がボクシングを続ける理由。“御堂”がある雑誌を集め続ける理由。共に衝撃的な、
彼らにとって致命的な秘密が明らかになった上で“麻琴”にも日常を守るための「嘘」が
あると知ってからの、まるで共犯者のような振舞いが印象深い。良き青春ミステリでした。

posted by 秋野ソラ at 00:09 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル