2020年12月24日

『メイデーア転生物語 4 扉の向こうの魔法使い(中)』

友麻碧 先生が贈る本格ファンタジー作品。 第4巻は“アイリ”の失踪で動揺が広がる中、
試験で首席を狙う“マキア”の活躍と彼女との距離感に悩む“トール”の葛藤を描きます。
(イラスト:雨壱絵穹 先生)

https://lbunko.kadokawa.co.jp/product/maydare/322006000556.html


ライバルたちと切磋琢磨しながら目覚ましい成長を遂げていく“マキア”。その輝かしい
彼女の姿を見届け続ける“トール”。もう昔のままでいられない2人が互いをどう思うか、
見つめ直し、気持ちをぶつけ、すれ違い、そして更に絆を深めていく様子が実に感慨深い。

そんな平穏な時が流れる学園島を急襲する帝国から来た謎の三人組。生徒に動揺が走る中、
“マキア”に秘めたる覚悟を示した“レピス”がその気概を貫いた姿勢は印象深いものが
あります。その上で仲間としての強い結びつきを魅せてくれたのは展開としても実に熱い。

“アイリ”にも救世主として気持ちを入れ替える姿勢が見えたり、“トール”が想定外の
力とその代償をあらわにしたり、学園島側もやられっぱなしでは済まさないとする含みを
示してくれた4巻がまさかの「中巻」だったことに驚きつつ、下巻の刊行を待つ次第です。

posted by 秋野ソラ at 00:29 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2020年12月23日

『豚のレバーは加熱しろ(3回目)』

逆井卓馬 先生が贈る異世界召喚ファンタジー。第3巻は“闇躍の術師”打倒、解放軍と
王朝の融和を実現すべく、豚となった主人公と“ジェス”たちが本格的に動き出します。
(イラスト:遠坂あさぎ 先生)

https://dengekibunko.jp/product/butaliver/322006000038.html


冒頭から“ロッシ”の正体が判明したことに感情の整理がつかない“ノット”にまず同情。
面倒ごとを忌避する彼が元の姿に戻る手順の面倒臭さ、その結果としての挿絵指定にまた
唖然としつつ、“セレス”と“ジェス”も災難でしたね、と思わずにはいられない流れに。

“闇躍の術師”を殺す手段、それが思いがけずフイになったとしても秘策を重ねに重ねて
望んだ男の生き様がコミカルさを反転させて実に格好良い。シリアスな展開に影を落とし
ながら着実に実を結ばせた彼に想いを託された主人公も考えさせられるものがあったかと。

変わりゆく世界、豚の姿でありながらその中心で在り続けた主人公へ“ジェス”は想いを
はっきりと示しました。それは主人公にとって絆なのか、頸木なのか。“メステリア”が
言っていた「ここぞというとき」を見極めたその先に何があるのか、興味津々の展開です。

posted by 秋野ソラ at 00:45 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2020年12月22日

『ヒロインレースはもうやめませんか? 〜告白禁止条約〜』

旭蓑雄 先生が贈る新作は、ヒロインレース物のラブコメ漫画で炎上騒動を起こした若き
漫画家に担当編集が彼女を作ることを求めてきたことから始まる恋愛バトルを描きます。
(イラスト:Ixy 先生)

https://dengekibunko.jp/product/heroinerace/322006000034.html


高校三年生の“薬師”が次に狙う「一強ヒロインもの」の連載を勝ち取るため彼女作りに
乗り出すも、漫研メンバーとの繋がりしかない彼には土台無理な話で。そんな彼の決意に
同業の“茶菓上”や後輩アシスタントの“都喜村”は気が気でない想いを抱えていて──。

ということで互いの想いに気付いてしまった“茶菓上”と“都喜村”が「告白禁止条約」
を結んで“薬師”から告白してもらうための状況を作るため、手練手管を繰り出す様子が
微笑ましい。そこへ待ったをかける担当編集“巡川”も加わっての駆け引きがまた面白い。

ちょっとした創作論や、漫画に対する認識齟齬と立ち向かう姿を見せる“薬師”に男気を
感じながら、「告白禁止条約」を結ぶ女性陣の気持ちにいつ気付くのかとあきれるばかり。
ヒロインレースを諦めた男と諦めない女たちの攻防戦、どう魅せるのかお手並み拝見です。

posted by 秋野ソラ at 00:04 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2020年12月21日

『友達の妹が俺にだけウザい6』

三河ごーすと 先生が贈るいちゃウザ青春ラブコメ。小冊子付き特装版が同時発売となる
第6巻は“彩羽”のウザかわいさを世にプロデュースするため“明照”が乗り出します。
(イラスト:トマリ 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4815607814.html


女性陣をコピーした言動を見せる“彩羽”に戸惑い、ウザさの魅力を再認識する“明照”。
その真意を掴みきれぬまま、ミスコンで素を出さない彼女を圧倒すれば全て丸く収まると
考えに至る彼もなかなかに独特な感性で。しかし報われない彼女には同情を禁じ得ません。

ミスコン対決への備えも万全で臨む“明照”、それをウザさを見せずに迎え撃つ“彩羽”。
両者の姿勢を見据えるのが“真白”だけでなく、“茶々良”も居たことが特筆すべき要素。
奇しくも“明照”が狙っていた「ウザかわいさを知る人物」を作り出せて安堵するばかり。

恋をするのは何のためか、誰のためか。“音井”のアドバイスが色々と胸に響いてきます。
ついにワガママをぶつける勇気を身につけた“彩羽”の気持ちは、その正解はどれなのか。
盛り上がる雰囲気をぶち壊すかのような社長の至らなさが招く事態の行方と共に注目です。

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2020年12月18日

『ライアー・ライアー6 嘘つき転校生は正義の味方に疑われています。』

久追遥希 先生が贈る学園頭脳ゲーム&ラブコメ。第6巻はトップランカーとして周囲を
欺き続ける“緋呂斗”を断罪する、と公言する「正義の組織」が執拗に敵対してきます。
(イラスト:konomi 先生(きのこのみ))

https://mfbunkoj.jp/product/liar-liar/322007000688.html


学園島の高校生全員が参加する夏期イベント「SFIA」もイカサマのサポートで乗り切る
つもりの“緋呂斗”に対して「不正してますよね」と断言する“摩理”の登場、そして
公認組織「ヘキサグラム」を率いる“佐伯”が定める「正義の執行」に緊張が走ります。

“佐伯”が“緋呂斗”を断罪しようとするやり方がどうも怪しい、というのは“緋呂斗”
だけでなく「英明学園」をも陥れようと陰謀を巡らせているのが明々白々となってから。
暗躍する者たちをいなしながら戦いを進める“緋呂斗”と共に欲求不満が募ってきます。

「正義の味方」然とした隠れ蓑を“佐伯”がはぎ取り、裏切り者たちが悲しみを背負う
あの瞬間、ようやく一矢報いる展開を迎えてスカッとする思いがしました。最終決戦を
迎えるにあたり、むかっ腹を“佐伯”でどう解消するか。“緋呂斗”の活躍に期待です。

posted by 秋野ソラ at 00:23 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル