2020年12月31日

『青春ブタ野郎はナイチンゲールの夢を見ない』

鴨志田一 先生が贈る青春ストーリー。シリーズ第11冊目はミニスカサンタ姿の“透子”が
思春期症候群をプレゼントした相手の一人、中学の級友“赤城”に纏わる逸話に触れます。
(イラスト:溝口ケージ 先生)

https://dengekibunko.jp/product/aobuta/321907000725.html


大学生となって変わらず“麻衣”との恋人生活を謳歌している“咲太”の姿を見ていると
思春期症候群も過去の話か、なんてことにはならないと“赤城”が行動で示してくれます。
SNSで流行する「#夢見る」のタグが関わる都市伝説も表層でしかない、というのも驚きで。

中学が同じだった。“咲太”とあの時間を共に過ごした。それだけで級友たちの生き方に
影を落としていたことが、ナース姿で人助けに明け暮れる“赤城”の秘めた胸の内からも
痛感させられます。見極める彼の気概を見守る“麻衣”の分かってくれている感もすごい。

「もう一つの可能性の世界」、基盤となる思春期症候群。その影響力を乗り越えてきた
“咲太”と“麻衣”の日常がひどく愛おしいと余韻を噛みしめる・・・間もなく“赤城”を
介して伝えられたメッセージの不穏さに気が抜けません。次巻の刊行を座して待ちます。

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2020年12月30日

『プロペラオペラ3』

犬村小六 先生が贈る恋と空戦のファンタジー。第3巻は「ガメリア合衆国」の圧倒的な
国力の差を目にしてもなお“クロト”は“イザヤ”と「日之雄」を守る戦いに臨みます。
(イラスト:雫綺一生 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094518733


無からカネを生む魔法を元に艦隊で空を埋め尽くし、大統領の座を目前とする“カイル”。
未だ残る空虚さを埋めるべく“イザヤ”を求める彼に対し彼女の裸に劣情する“クロト”。
「……表紙の彼女は何者?」という疑問も2人の機微を示す証左に昇華させる展開が秀逸。

容赦なく日之雄へ物量作戦を展開する合衆国へ対抗するには“クロト”の存在が不可欠と
認めた“鹿狩瀬”の存在に嬉しさを覚えつつ、合衆国の油断を誘い、隙を突くために命を
賭して「迅一号作戦」に臨む軍人たちの振舞い。その熱さ、そして切なさに胸が震えます。

“イザヤ”が抱いた「直感」。それは“速夫”が覚悟を決めた「あの時」から蓄積された
運命の片鱗であったのかも知れません。ソロモン海空戦で彼女の名声が世に知れ渡る一方、
“クロト”が“カイル”に勝つための切り札に迫る窮地の行方。続きが待ち遠しいです。

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2020年12月29日

『ソードアート・オンライン25 ユナイタル・リングIV』

川原礫 先生が贈る大人気シリーズ。第25巻は《ユナイタル・リング》で窮地に立ち向かう
“キリト”たちを描きつつ、《アンダーワールド》で驚きの邂逅を果たす顛末に触れます。
(イラスト:abec 先生)

https://dengekibunko.jp/product/sao/322008000007.html


《忌まわしき者の絞輪》を楯に大集団を仕向けてくる「仮想研究会」の“ムタシーナ”。
憎たらしい上に、二重三重の策を弄する相手でも“キリト”なら何とかしてくれるという
安心感が凄い。“ユイ”の着眼点、“アルゴ”の情報、“アスナ”の力など見所も満載で。

それでも「仮想研究会」にまだ及ばない何かがある、というもどかしさが尾を引くものの
町の発展にこぎ着けたこと、《極光の指し示す地》を目指す算段が整ったことが救いです。
《アンダーワールド》に視点を切り替えると、こちらは宇宙を目指す展開に驚かされます。

“エオライン”から語られる「星王」に纏わるエピソードの数々に興味を覚えつつ、次々
見えてくる二百年後の世界、“キリト”と共にその変遷がもつ可能性へ想いを馳せる次第。
思い出と現実が交錯するその時、物語がどう動き、繋がっていくのかを見守りたい所です。

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2020年12月28日

『スパイ教室04 《夢語》のティア』

竹町 先生が贈る痛快スパイファンタジー。第4巻は要人たちが集う会議が行われる合衆国
にスパイチーム「蛇」の一員“紫蟻”が現れると聞き「灯」の面々が総出で乗り込みます。
(イラスト:トマリ 先生)

https://fantasiabunko.jp/product/202001spy/322003001190.html


“リリィ”たちの血気盛んな姿とは裏腹に、その様子を見て自信を失いかける“ティア”。
更には冒頭に意味深長な場面が差し込まれたりして、戦いが始まる前から不安要素が満載。
“ローランド”の予言に対し“クラウス”がやり込めるのも焼け石に水のような気がして。

合衆国へ潜入してから「灯」メンバーが個々人の成長した姿、絶妙なコンビネーションを
魅せてピンチを切り抜けては追い詰められていく状況を見てもなお司令塔として無力感に
苛まれる“ティア”。そして満を持しての登場となる“紫蟻”。絶望感と緊張が走ります。

ミータリオの地に張り巡らされた、まるで蜘蛛の巣の如き“紫蟻”の罠。同じくかの地で
広がり続けてきた噂が現実の世に像を結んだ瞬間、“紫蟻”が陥落していくまでの展開は
ファーストシーズンの締め括りとしてまさに極上。次節にも期待が高まるというものです。

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2020年12月25日

『Babel III 鳥籠より出ずる妖姫』

古宮九時 先生がWebサイトに公開していた珠玉の異世界ロードファンタジー。Web版加筆後
「電撃の新文芸」で再書籍化した第3巻は言語障害の対処法に“雫”が命懸けで挑みます。
(イラスト:森沢晴行 先生)

https://dengekibunko.jp/product/babel/322008000015.html


“キスク”へ攫われようとも、その王妹“オルティア”の理不尽な扱いに晒されてもなお
個人の尊厳を貫く“雫”。単身で抗い続ける彼女が王妹に粘り勝ち、良き理解者として
並び立つその様子には、険しい過程と家庭を経ているだけに、胸を熱くさせられました。

“雫”を口煩く思う“オルティア”が民草に示す容赦の無い言動。それもまた仕組まれた
ものだと分かった時の驚き、迂遠な陰謀もさることながらそれに毅然と立ち向かう王妹の
決意や過去と向き合い人の上に立つ者として大きく成長を見せた姿は称賛するしかなく。

流行り病としての言語障害を前に全力で対応にあたる姿勢を褒める一方で、場の雰囲気に
流されやすい“雫”の悪癖を諭すのはやはりあの男しかいない、という話運びもお見事で。
油断した彼女が悶絶する様子に思わず苦笑しつつ、最終巻でどう話を結ぶのか楽しみです。

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2020年12月24日

『メイデーア転生物語 4 扉の向こうの魔法使い(中)』

友麻碧 先生が贈る本格ファンタジー作品。 第4巻は“アイリ”の失踪で動揺が広がる中、
試験で首席を狙う“マキア”の活躍と彼女との距離感に悩む“トール”の葛藤を描きます。
(イラスト:雨壱絵穹 先生)

https://lbunko.kadokawa.co.jp/product/maydare/322006000556.html


ライバルたちと切磋琢磨しながら目覚ましい成長を遂げていく“マキア”。その輝かしい
彼女の姿を見届け続ける“トール”。もう昔のままでいられない2人が互いをどう思うか、
見つめ直し、気持ちをぶつけ、すれ違い、そして更に絆を深めていく様子が実に感慨深い。

そんな平穏な時が流れる学園島を急襲する帝国から来た謎の三人組。生徒に動揺が走る中、
“マキア”に秘めたる覚悟を示した“レピス”がその気概を貫いた姿勢は印象深いものが
あります。その上で仲間としての強い結びつきを魅せてくれたのは展開としても実に熱い。

“アイリ”にも救世主として気持ちを入れ替える姿勢が見えたり、“トール”が想定外の
力とその代償をあらわにしたり、学園島側もやられっぱなしでは済まさないとする含みを
示してくれた4巻がまさかの「中巻」だったことに驚きつつ、下巻の刊行を待つ次第です。

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2020年12月23日

『豚のレバーは加熱しろ(3回目)』

逆井卓馬 先生が贈る異世界召喚ファンタジー。第3巻は“闇躍の術師”打倒、解放軍と
王朝の融和を実現すべく、豚となった主人公と“ジェス”たちが本格的に動き出します。
(イラスト:遠坂あさぎ 先生)

https://dengekibunko.jp/product/butaliver/322006000038.html


冒頭から“ロッシ”の正体が判明したことに感情の整理がつかない“ノット”にまず同情。
面倒ごとを忌避する彼が元の姿に戻る手順の面倒臭さ、その結果としての挿絵指定にまた
唖然としつつ、“セレス”と“ジェス”も災難でしたね、と思わずにはいられない流れに。

“闇躍の術師”を殺す手段、それが思いがけずフイになったとしても秘策を重ねに重ねて
望んだ男の生き様がコミカルさを反転させて実に格好良い。シリアスな展開に影を落とし
ながら着実に実を結ばせた彼に想いを託された主人公も考えさせられるものがあったかと。

変わりゆく世界、豚の姿でありながらその中心で在り続けた主人公へ“ジェス”は想いを
はっきりと示しました。それは主人公にとって絆なのか、頸木なのか。“メステリア”が
言っていた「ここぞというとき」を見極めたその先に何があるのか、興味津々の展開です。

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2020年12月22日

『ヒロインレースはもうやめませんか? 〜告白禁止条約〜』

旭蓑雄 先生が贈る新作は、ヒロインレース物のラブコメ漫画で炎上騒動を起こした若き
漫画家に担当編集が彼女を作ることを求めてきたことから始まる恋愛バトルを描きます。
(イラスト:Ixy 先生)

https://dengekibunko.jp/product/heroinerace/322006000034.html


高校三年生の“薬師”が次に狙う「一強ヒロインもの」の連載を勝ち取るため彼女作りに
乗り出すも、漫研メンバーとの繋がりしかない彼には土台無理な話で。そんな彼の決意に
同業の“茶菓上”や後輩アシスタントの“都喜村”は気が気でない想いを抱えていて──。

ということで互いの想いに気付いてしまった“茶菓上”と“都喜村”が「告白禁止条約」
を結んで“薬師”から告白してもらうための状況を作るため、手練手管を繰り出す様子が
微笑ましい。そこへ待ったをかける担当編集“巡川”も加わっての駆け引きがまた面白い。

ちょっとした創作論や、漫画に対する認識齟齬と立ち向かう姿を見せる“薬師”に男気を
感じながら、「告白禁止条約」を結ぶ女性陣の気持ちにいつ気付くのかとあきれるばかり。
ヒロインレースを諦めた男と諦めない女たちの攻防戦、どう魅せるのかお手並み拝見です。

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2020年12月21日

『友達の妹が俺にだけウザい6』

三河ごーすと 先生が贈るいちゃウザ青春ラブコメ。小冊子付き特装版が同時発売となる
第6巻は“彩羽”のウザかわいさを世にプロデュースするため“明照”が乗り出します。
(イラスト:トマリ 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4815607814.html


女性陣をコピーした言動を見せる“彩羽”に戸惑い、ウザさの魅力を再認識する“明照”。
その真意を掴みきれぬまま、ミスコンで素を出さない彼女を圧倒すれば全て丸く収まると
考えに至る彼もなかなかに独特な感性で。しかし報われない彼女には同情を禁じ得ません。

ミスコン対決への備えも万全で臨む“明照”、それをウザさを見せずに迎え撃つ“彩羽”。
両者の姿勢を見据えるのが“真白”だけでなく、“茶々良”も居たことが特筆すべき要素。
奇しくも“明照”が狙っていた「ウザかわいさを知る人物」を作り出せて安堵するばかり。

恋をするのは何のためか、誰のためか。“音井”のアドバイスが色々と胸に響いてきます。
ついにワガママをぶつける勇気を身につけた“彩羽”の気持ちは、その正解はどれなのか。
盛り上がる雰囲気をぶち壊すかのような社長の至らなさが招く事態の行方と共に注目です。

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2020年12月18日

『ライアー・ライアー6 嘘つき転校生は正義の味方に疑われています。』

久追遥希 先生が贈る学園頭脳ゲーム&ラブコメ。第6巻はトップランカーとして周囲を
欺き続ける“緋呂斗”を断罪する、と公言する「正義の組織」が執拗に敵対してきます。
(イラスト:konomi 先生(きのこのみ))

https://mfbunkoj.jp/product/liar-liar/322007000688.html


学園島の高校生全員が参加する夏期イベント「SFIA」もイカサマのサポートで乗り切る
つもりの“緋呂斗”に対して「不正してますよね」と断言する“摩理”の登場、そして
公認組織「ヘキサグラム」を率いる“佐伯”が定める「正義の執行」に緊張が走ります。

“佐伯”が“緋呂斗”を断罪しようとするやり方がどうも怪しい、というのは“緋呂斗”
だけでなく「英明学園」をも陥れようと陰謀を巡らせているのが明々白々となってから。
暗躍する者たちをいなしながら戦いを進める“緋呂斗”と共に欲求不満が募ってきます。

「正義の味方」然とした隠れ蓑を“佐伯”がはぎ取り、裏切り者たちが悲しみを背負う
あの瞬間、ようやく一矢報いる展開を迎えてスカッとする思いがしました。最終決戦を
迎えるにあたり、むかっ腹を“佐伯”でどう解消するか。“緋呂斗”の活躍に期待です。

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2020年12月17日

『桃瀬さん家の百鬼目録2』

日日日 先生、ゆずはらとしゆき 先生共著で綴る現代の御伽噺。夷狄が絡む事件に弟と
共に臨む“みろく”がその集団、そして「夷狄の姫」に狙われる理由に触れていきます。
(イラスト:吠L 先生)

https://dengekibunko.jp/product/fakelore/322004000041.html


「猿蟹合戦」の件では「女子中高生連続とろける征服バブル通り魔事件」なる猥談的な
ノリで進むかと思えば、夷狄に憑かれた顕現者のえげつなさに思わず慄いてしまうほど。
夷狄と顕現者、そして「夷狄の姫」と登場人物との縁と、話の繋がりも見えてくる展開。

「かぐや姫」の件では「夷狄の姫」にみんな唆され意のままに話が進んでいってしまう
緊迫した流れを“みろく”と“小太郎”の守護者が絶妙なタイミングで食い止めにいく
小気味良い構成で魅せてくれます。色々と設定も明らかになって得心がいく点も面白い。

“みろく”に出し抜かれる結果となった小太郎ガールズに同情したり、“姜”の意外な
一面に驚かされたり、「終章」も一癖ある纏め方で、本作らしさを感じさせてくれます。
「創作ノート」そして「あとがき」の内容も実に興味深く見届けさせていただきました。

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2020年12月16日

『桃瀬さん家の百鬼目録』

日日日 先生、ゆずはらとしゆき 先生、SOW 先生、森崎亮人 先生共著で綴る現代の御伽噺。
物語の英雄として顕現したはずの無力・無能・無職な女性が悪鬼妖怪と対峙していきます。
(イラスト:吠L 先生)

https://dengekibunko.jp/product/fakelore/322004000040.html


「夷狄」、世界を脅かす悪いものたち。幼少の折から怪異を視て、感じることのできる
“みろく”は自身が「桃太郎」と自覚し顕在者となった・・・はずがその力は弟“小太郎”に
発露し若くして夢破れる。今や大学も休学し赤貧の身となった彼女は風前の灯火だが──。

「一寸法師」の件では“師匠”にしごかれて他の権限者と迷惑な夷狄の存在を目にして、
「ものぐさ太郎」の件では顕在者とは選ばれし者という誤解を実体験を通じて崩されて、
「浦島太郎」の件では心霊現象の類と本物の夷狄との違いを否が応でも見せつけられて。

“小太郎”と小太郎ガールズが見せる明るさと、“みろく”がにじませる暗さとの対比。
そこに意味があるのでは、と匂わせる描写に彼女の存在意義が見い出せることに期待し、
あとがき代わりの「創作ノート」に驚きながら、続く次巻の刊行を待ちたいと思います。

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2020年12月15日

『公女殿下の家庭教師7 先導の聖女と北方決戦』

七野りく 先生が贈る魔法革命ファンタジー。死地に残り行方知れずの“アレン”を捜す
間もなく迫る帝国軍に、残された者たちが王国でそれぞれの想いを胸に行動を起こします。
(イラスト:cura 先生)

https://fantasiabunko.jp/product/201812koujodenka/322006000822.html
https://fantasiabunko.jp/special/201812koujodenka/


“ティナ”たちが“アレン”の教えを活かし、健気に自分たちの役割を全うしていく中、
“剣姫”ならぬ“炎姫”として敵味方に畏怖される自暴自棄っぷりを見せる“リディヤ”。
見ていて居たたまれない彼女、手がかりの掴めない彼、読み手としても焦りが募ります。

そして不在だからこそ分かる、これまでに残してきた“アレン”の功績。そして生き様。
更に、彼すら知らないかも知れない古から残る大切な絆が人々の心を突き動かしていく
展開に胸が熱くなる思いで。「情けは人のためならず」とはまさにこれと言わんばかり。

渦中の人である“アレン”は、と言うと“リディヤ”に上手く申し開きできるか不安な
出来事に直面していたり、埒外の強敵と対峙することになったりと色々お忙しいご様子。
いよいよ「王国動乱編」の締め括りに向けて準備は整ったようで次巻刊行が楽しみです。

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2020年12月14日

『〆切前には百合が捗る』

平坂読 先生が「GA文庫」にて上梓する新作は日常系ガールズラブコメ。ずぼらな美人作家
とその世話役を務める家出少女、2人の目を通じて普通に生きることの難しさを描きます。
(イラスト:U35 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4815608088.html


レズビアンだと自覚し、高校2年を迎えてクラスメイトにカミングアウトした“愛結”は
友人に偏見や忌避の目に晒され、親にも理解されず、怒りに身をまかせて単身で上京する。
出版社に勤める従姉妹の“京”に助けられ、ある作家の世話係兼監視役を依頼されて──。

「ガガガ文庫」から刊行された『妹さえいればいい。』シリーズの世界観を受け継ぎつつ
新たな登場人物“優佳理”の自由奔放ぶりと、彼女に振り回される“愛結”という構図で
突如はじまった2人の縁が段々と深まっていく様子がコミカルに描かれていて実に楽しい。

そんな中、“優佳理”がどんな意志を持って作家で在り続けているのか、暗い影を落とす
機微が垣間見えたその瞬間、ガルコメとして大きく舵を切った展開に続きが気になること
うけあい。“優佳理”が“愛結”との関係をどう整理するのかを含め注目したい作品です。

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2020年12月11日

『友人キャラは大変ですか?10』

伊達康 先生が贈る最強助演ラブコメ。第10巻は能力を封じられた“龍牙”の代役として
ハーレムラブコメ主人公の立ち位置に置かれた“一郎”が“阿義斗”との決戦に臨みます。
(イラスト:紅緒 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094518702


相対する「悪魔憑き」が誰も彼もコメディ要素に溢れている点に不満を募らせる“一郎”。
倒すほどに力を増す“阿義斗”が奈落城すら奪う埒外の展開に加えて、四神ヒロインズと
奈落の三姫がとっくの昔に“一郎”と仲睦まじいことになっていたこともバレてさあ大変。

“龍牙”に主人公役を押し付けていた、と懺悔する“一郎”。一歩間違えれば一触即発な
展開を「最高の友人キャラ」と認めた彼女の一言が、全てを繋ぎ止めてくれた気がします。
それでも残る苦境を打破する鍵が「窃吻」とは、これまた史上最高の当て字かと思います。

“阿義斗”が“一郎”との対決にこだわる本当の理由を見抜き、友人キャラとして行動を
貫く“バエル”の助演ぶりも光る最終決戦でありました。最後まで自分のことを一般人と
言い切る“一郎”と、できれば“龍牙”に幸あれ、ということで無事完結を祝う次第です。

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2020年12月10日

『むすぶと本。 『嵐が丘』を継ぐ者』

野村美月 先生が贈るビブリオミステリー。シリーズ3冊目は“むすぶ”が本にまつわる
騒動に関わっては“夜長姫”に怨嗟の声を浴びる様子を描きつつ2人の奇縁に迫ります。
(イラスト:竹岡美穂 先生)

https://famitsubunko.jp/product/musubutohon/322008000125.html


「小僧の神様」に纏わる逸話は書店を運営する上で忌避できない大事な問題を扱っており
“悠人”の存在に救われる思いがしました。老いも若きも、男も女も、本好きの心を掴む
“むすぶ”に気が気でない“夜長姫”と、中々報われない“妻科”には同情するばかりで。

「『嵐が丘』を継ぐ者」では“悠人”から妹“蛍”が本に罹患しているのでは、と相談を
持ち掛けられた“むすぶ”が鍵を握る本の声を聞こうとして、まさか言葉が通じないとは。
そこから想いを汲み取り、“蛍”の悩みと真摯に向き合いながら答えを導く展開がお見事。

“蛍”の心に芽生えた感情を察して早々に“むすぶ”へ苦言を呈する“悠人”の本気度は
いかほどか。それを察しきる間もなく『夜長姫と耳男』、“むすぶ”と“夜長姫”を結ぶ
縁は一筋縄ではなさそうな雰囲気を匂わせる引きが気になるので続きをお願いいたします。

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2020年12月09日

『殺したガールと他殺志願者』

森林梢 先生の「第16回MF文庫Jライトノベル新人賞・優秀賞」受賞作。最愛の人から命を
奪われたい少年が最愛の人を殺したい少女と出会い、共に願いを成就する道を模索します。
(イラスト:はくり 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/killme_girl/322008000666.html


廃屋の屋上で死神を自称する女性に声を掛けられる“水面”。君の望みを叶えてあげると
紹介されたのが“みぎり”。殺してあげる代わりに私にとって最愛の人になってほしいと
告げた彼女は、彼を自分好みに仕上げるべく早々に様々な場所へ連れまわしていくが──。

歪んだ願い。捻じれた感情。でこぼこな2人が共に抱える心の傷を持ち寄り、寄り添い、
やがて恋人らしい関係へと絆を深めていく。けれども2人の先に待つのは“水面”の死。
では「その先は?」となった時に互いの気持ちがどう揺れ動くのか。この描写が絶妙で。

“水面”や“みぎり”だけでなく周囲の人物や自称死神の女性に至るまで独特の感性を
持つ方々で占められていることもあり、世界観に没入しやすい雰囲気作りも実に好感触。
きな臭い展開をくぐり抜けた先に2人が選んだ道は微笑ましさすら覚えます。お薦めです。

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2020年12月08日

『パワー・アントワネット』

「第12回GA文庫大賞・銀賞」を受賞した 西山暁之亮 先生が受賞作の刊行前にTwitterで
バズったWeb小説を書籍化。フランス革命を逆転させる王妃の力をキレッキレに描きます。
(イラスト:伊藤未生 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4815608231.html


時は革命の奔流が渦巻くフランス。革命軍に押され、民衆の罵声を浴び、断頭台へと一人
送られる“マリー・アントワネット”。ギロチンの刃が落ちる刹那、彼女の筋肉が増大し
刃を止め、断頭台を爆散させる。まさに彼女が筋肉(フランス)となった瞬間である──。

Twitterで発生した流れは途中から拝見しておりました。史実をもとにこれでもかと話を
勢いだけで押し通す本作の魅力が書籍化されたことで、より洗練されたようにも感じます。
筋肉ばっかり言ってるかも知れませんが、ちゃんと運命に抗う筋道も立てられております。

“マリー”の志に賛同して次第に集まっていく仲間たちが、真なるフランスのための障壁
となる悪を討つ活劇をお楽しみいただくと共に、その歴史をどこまでも中立でありたいと
願い、見届けてきた“サンソン”の気概にもぜひご注目のほどを。お薦めできる一冊です。

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2020年12月07日

『精霊幻想記 18.大地の獣』

ついにTVアニメ化が決定した、北山結莉 先生が贈る異世界転生譚。第18巻は“エリカ”に
攫われた“リーゼロッテ”の奪還に臨む“リオ”が聖女と対峙し、その真意に迫ります。
(イラスト/Riv 先生)

http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/935.html
https://hobbyjapan.co.jp/comic/series/seireigensouki/
http://seireigensouki.com/


神聖エリカ民主共和国。攫われた“リーゼロッテ”が探りを入れようと接触を図る宰相
“アンドレイ”。彼とのやり取りから一筋の光明が見えたかのような流れすら利用する
“エリカ”が抱える闇の深さに唖然としますし、翻弄される民草に同情を禁じ得ません。

問い質した“リオ”が“エリカ”の回答に驚く様子も納得ですし、彼を力でねじ伏せに
かかるあの姿は悪役そのもの。こういう憎たらしい悪役を見事に描けるのが先生らしさ
かもしれないと、ここまで本作を読んで感じる今日この頃です。展開が実にもどかしい。

“エリカ”が見せるその力に「勇者」の謎が見え隠れし、“レイス”はその姿を冷静に
分析する中、それでも諦めることはない“リオ”の力強さに応援したい感情が募ります。
国を挙げ、世界を巻き込んでの復讐劇にどう立ち向かうか早く続きが読みたいものです。

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2020年12月04日

『おいしいベランダ。 あの家に行くまでの9ヶ月』

竹岡葉月 先生が贈る大好評・園芸ライフラブストーリー。第9巻は遠距離恋愛を始めた
“まもり”と“葉二”の間に発生するトラブルの連続に迫る結婚への危機感が募ります。
(イラスト:おかざきおか 先生)

https://lbunko.kadokawa.co.jp/product/oishiiberanda/322005000606.html


後輩“福武”の自炊問題を解決する“まもり”の言動から、すっかり“葉二”に毒されて
いる雰囲気がひしひしと伝わります。その一方で、文字や写真だけでは伝わらない感情と
そのすれ違いにヤキモキする遠距離恋愛の難しさも滲ませて思わずハラハラさせられます。

結婚を前に顔合わせを行う2人がひと悶着を見せる中、“ユウキ”が一大決心を披露する
その気概には「頑張れ」と応援したくなります。結婚式って、男性が決めることは本当に
少なくて、それ故に“まもり”が“葉二”の反応に気を揉む姿も得心がいくというもので。

そこへ“葉二”の油断からくるあの一面で、破局してもおかしくない展開を迎えた2人が
園芸を通じて、おいしいごはんを通じて、しっかり深いところで根付いているんだな、と
見せつけてくれたのが実に素敵で、心から安堵しました。物語を締め括る次巻を待ちます。

posted by 秋野ソラ at 00:22 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル