竜騎士07 先生が「LINEノベル」にて書き下ろした新作を「電撃文庫」から刊行した作品。
人の臓腑を食む少女の家庭教師となった男性が、村で起こる連続失踪事件の謎に迫ります。
(イラスト:はましま薫夫 先生)
【 https://dengekibunko.jp/product/maougakuin/322006000026.html 】
終戦後もなお名家として御首村に在り続ける御首家。その令嬢はいま、幽閉されている。
本来美貌なはずの彼女は死臭にまみれ、ハラワタを喰らいバケモノと呼ばれる忌避の対象。
そんな“茉莉花”の家庭教師として現れた“磊一”はおくびもせず親近感すら覚えて──。
“磊一”に「バケモノ」と「ケダモノ」の違いを諭される“茉莉花”が年相応の少女性を
発露していく様子が可愛らしい。惨虐な描写の数々が繰り広げられる反動かも知れません。
更に惨劇の担い手は別にいる、という「バケモノ」にまつわる謎解きの展開もまた面白い。
あとがきを読んで、ある母集団から外れた特異な存在と自認する者の象徴として描かれる
「バケモノ」という存在が印象深く心に残りました。戦後間もない日本という舞台装置も
上手く嵌っていたように感じます。“茉莉花”の挑戦、それが実る時がくるのを祈ります。