2020年11月18日

『ボクは再生数、ボクは死』

石川博品 先生が贈る新作は、VR空間で出会った高級娼婦へ通うため動画配信で金を稼ぐと
決めた青年が陰謀に巻き込まれていく顛末を描くエロス&バイオレンス・ストーリーです。
(イラスト:クレタ 先生)

https://famitsubunko.jp/product/saiseisuu/322007000039.html


VR空間で娼婦に入れ込む“狩野”は、会社の先輩“斎木”にそのことを知られてしまう。
大金が必要な彼は、一緒に動画配信者となることで荒稼ぎすることを彼女から提案される。
もちろんすぐに上手くいく訳はないがある日、思いがけず撮れ高を稼ぐことになる──。

男性がVR空間でしたいことをこれでもかと詰め込んだ“狩野”の人物像。“シノ”として
人気を集め、仲間も出来て、因縁やしがらみも絡んで、いつしかバトルものを読んでいる
かのように錯覚する展開を、あの娼婦に纏わる逸話で本筋に引き戻されるのが印象深い。

娼婦のために再生数を稼ぎ、娼婦を通じて死をその肌で感じた“狩野”が最後に選んだ道。
“シノ”が“狩野”を見たらどう思うか、というまるで自分の中に別人格がいるかの如き
思考が「あり得る可能性」を押さえている気がしていろいろと考えさせられる結末でした。

posted by 秋野ソラ at 00:10 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル