『賢勇者シコルスキ・ジーライフの大いなる探求』シリーズの 有象利路 先生が贈る新作。
空にも届く塔の頂へ挑む者たちを犠牲にする超常の力を授けられた少年の命運を描きます。
(イラスト:叶世べんち 先生)
【 https://dengekibunko.jp/product/mato/322006000037.html 】
“スカイツ”は孤児院育ちの仲間と共に塔へ挑むギルドの若き一員。ある日、リーダーが
単独で塔に昇ったと知り、仲間と共に追いかけた最中、塔の異変に巻き込まれ命を落とす。
だが彼は生きており、謎の声が囁きかけることに加えて、ある重大な異変に気が付く──。
ダークファンタジーと銘打つだけあってテーマが重い。冒頭にある「断章」の描写、又は
表紙の痛ましい姿が現実のものとなるまでの、約束された絶望への過程を描く構成が見事。
塔に昇りたくないのに登らざるを得ない状況に追い込まれる“スカイツ”の悲愴感たるや。
もう失いたくない“スカイツ”が手に入れてしまった能力を使い、“クロヤ”の手助けを
借りて彼が“イェリコ”に抗い続けた結果として「あの人」を見咎めたもう一つの違和感、
このえげつなさがまた秀逸で。彼が踏み入れた修羅の道、その果てを見てみたいものです。