玩具堂 先生が贈るちょっと甘めの学園ミステリーラブコメ。第3巻は“雨恵”と“雪音”
2人に距離を詰められつつ、助けられながら“戸村”が数々の相談事を解決していきます。
(イラスト:悠理なゆた 先生)
【 https://mfbunkoj.jp/product/yamadasan/322001000936.html 】
第四話はオンラインゲームで人探し。オフ会と称して催された「プレイヤー当てゲーム」、
その真意に会話の一部、プレイヤーの経歴、そしてあの成績表から気付くあたりはお見事。
「探偵」をする意味を山田姉妹がより意識する機微がこそばゆくてニヨニヨさせられます。
第五話は過去に文芸部から消えた原稿探し。“田草”先生が学生時代に書いたある作品を
3人の先輩が論評する、その内容からある可能性に目をつける所が何とも“雨恵”らしい。
先生を戸惑わせる発言を繰り返す“戸村”、その訳を担う姉“地穂”に注目が集まります。
第六話は自殺の恐れがあるSNSアカウントが誰かを見つける依頼。キラキラネームの依頼者
という要素があそこまで効いてくるとは、中々に興味深い展開で楽しませてもらいました。
この3人でずっと「探偵」してほしい、そう「MF文庫J」編集部には切望しておく次第です。
2020年11月09日
2020年11月06日
『エリスの聖杯3』
常磐くじら 先生が贈る貴族社会クライムサスペンス。第3巻は“スカーレット”が処刑
された10年前の陰謀を明るみにすべく“コニー”が命を懸けて「暁の鶏」と抗戦します。
(イラスト:夕薙 先生)
【 http://www.sbcr.jp/products/4815607692.html 】
【 https://ncode.syosetu.com/n1230ei/ 】
“コニー”だけでなく“ランドルフ”にも危険が及ぶ緊迫した展開を“スカーレット”
による絶妙な介入が救っていくのが熱い。彼女に対する“ハームズワース”の反応が
ブレないのも印象的でした。幕間の人物紹介で都度、心和ませてもらった感もあります。
陰謀の核心へ迫るにつれ、“コニー”と“スカーレット”の奇妙な絆の終焉を示唆する
描写が差し込まれる度にどの結末へ向かうのかを想像して、ハラハラさせられました。
その中で“ランドルフ”がちゃんと“コニー”のことを考えてくれていたのが救いで。
陰謀の布石、意外な黒幕、そして残された者たちの想い。公開処刑が再来する流れを
通じてそれらを見事に昇華してくれる読了感を味わえました。泣いて、そして笑って、
運命に導かれた2人を描く挿絵も素晴らしかった。完結を心よりお祝い申し上げます。
された10年前の陰謀を明るみにすべく“コニー”が命を懸けて「暁の鶏」と抗戦します。
(イラスト:夕薙 先生)
【 http://www.sbcr.jp/products/4815607692.html 】
【 https://ncode.syosetu.com/n1230ei/ 】
“コニー”だけでなく“ランドルフ”にも危険が及ぶ緊迫した展開を“スカーレット”
による絶妙な介入が救っていくのが熱い。彼女に対する“ハームズワース”の反応が
ブレないのも印象的でした。幕間の人物紹介で都度、心和ませてもらった感もあります。
陰謀の核心へ迫るにつれ、“コニー”と“スカーレット”の奇妙な絆の終焉を示唆する
描写が差し込まれる度にどの結末へ向かうのかを想像して、ハラハラさせられました。
その中で“ランドルフ”がちゃんと“コニー”のことを考えてくれていたのが救いで。
陰謀の布石、意外な黒幕、そして残された者たちの想い。公開処刑が再来する流れを
通じてそれらを見事に昇華してくれる読了感を味わえました。泣いて、そして笑って、
運命に導かれた2人を描く挿絵も素晴らしかった。完結を心よりお祝い申し上げます。
2020年11月05日
『世々と海くんの図書館デート 恋するきつねは、さくらのバレエシューズをはいて、絵本をめくるのです。』『世々と海くんの図書館デート(2) 夏のきつねのねがいごとは、だいすき。だいすき。だいすきです。』
野村美月 先生が「青い鳥文庫」から児童書として贈る新作。狐の子がセーラ服を着た
少女に変身して一目惚れの男の子に会いに行き、図書館で想いを伝える顛末を描きます。
(イラスト:U35 先生)
【 http://aoitori.kodansha.co.jp/book/2020/22/4.html 】
【 http://aoitori.kodansha.co.jp/book/2020/22/5.html 】
森で暮らす狐の妖怪四姉妹の末っ子“世々”は以前、助けてくれた少年“海”を捜して
村唯一の学校にある図書館で見つける。何度も通い、盗み見るたびに高鳴る胸を抑える
彼女はある日、彼から声を掛けられる。気付かれたと怯える彼女に彼はメモを渡し──。
難しい文字が読めない“世々”は絵本を読み、“海”は成績を落とさないため勉強する。
こそばゆくてもどかしい図書館での逢瀬を重ねる2人が“由鷹”や“相沢”に応援され
絆を深める様子が微笑ましい。“相沢”の存在にも 野村 先生の作品らしさを感じます。
児童書ということで話の軸を担う絵本の選定や、漢字の開き方に対しこだわりを見せる
野村 先生の姿勢にもぜひご注目のほどを。秘密を打ち明けた“海”のように“世々”も
本来の姿を明かし、彼が受け入れてくれること、幸せな未来を掴むことを願いたいです。
少女に変身して一目惚れの男の子に会いに行き、図書館で想いを伝える顛末を描きます。
(イラスト:U35 先生)
【 http://aoitori.kodansha.co.jp/book/2020/22/4.html 】
【 http://aoitori.kodansha.co.jp/book/2020/22/5.html 】
森で暮らす狐の妖怪四姉妹の末っ子“世々”は以前、助けてくれた少年“海”を捜して
村唯一の学校にある図書館で見つける。何度も通い、盗み見るたびに高鳴る胸を抑える
彼女はある日、彼から声を掛けられる。気付かれたと怯える彼女に彼はメモを渡し──。
難しい文字が読めない“世々”は絵本を読み、“海”は成績を落とさないため勉強する。
こそばゆくてもどかしい図書館での逢瀬を重ねる2人が“由鷹”や“相沢”に応援され
絆を深める様子が微笑ましい。“相沢”の存在にも 野村 先生の作品らしさを感じます。
児童書ということで話の軸を担う絵本の選定や、漢字の開き方に対しこだわりを見せる
野村 先生の姿勢にもぜひご注目のほどを。秘密を打ち明けた“海”のように“世々”も
本来の姿を明かし、彼が受け入れてくれること、幸せな未来を掴むことを願いたいです。
2020年11月04日
『魔女と猟犬』
カミツキレイニー 先生が贈る新作はダークファンタジー。小国の領主が大国による侵略に
抗うため、虐げてきた魔女たちに希望を見い出していく顛末をとある暗殺者が見届けます。
(イラスト:LAM 先生)
【 http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094518641 】
とある屋敷で魔女の疑いをかけられ私的制裁をうけた奴隷少女に纏わる証言に耳を傾ける
小国の領主“バド”。誰もが恐れる魔女を話せばわかる人種だと判断した彼は隣国で捕縛
されている「鏡の魔女」に目をつけ、配下の“ロロ”に連れてくるよう任命するが──。
隣国「レーヴェ」に隠された思惑、二転三転する魔女への疑惑、暗殺者“ロロ”の当惑。
序章として「ギリー婦人の証言」を持ってきたことが後々で効いてくる話の動かし方に
惹き込まれていきます。読了後に見返すと表紙のイラストが持つ意味に気付かされます。
魔女に活路を見い出したはずの“バド”たちを襲う陰謀と惨劇。“ロロ”が「黒犬」と
呼ばれる所以も相まって「許されざる者」たちへの怒りが募ります。猟犬として牙を剥く
決意を固めた“ロロ”は命じられた任務をどこまで完遂できるか。注目したい作品です。
抗うため、虐げてきた魔女たちに希望を見い出していく顛末をとある暗殺者が見届けます。
(イラスト:LAM 先生)
【 http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094518641 】
とある屋敷で魔女の疑いをかけられ私的制裁をうけた奴隷少女に纏わる証言に耳を傾ける
小国の領主“バド”。誰もが恐れる魔女を話せばわかる人種だと判断した彼は隣国で捕縛
されている「鏡の魔女」に目をつけ、配下の“ロロ”に連れてくるよう任命するが──。
隣国「レーヴェ」に隠された思惑、二転三転する魔女への疑惑、暗殺者“ロロ”の当惑。
序章として「ギリー婦人の証言」を持ってきたことが後々で効いてくる話の動かし方に
惹き込まれていきます。読了後に見返すと表紙のイラストが持つ意味に気付かされます。
魔女に活路を見い出したはずの“バド”たちを襲う陰謀と惨劇。“ロロ”が「黒犬」と
呼ばれる所以も相まって「許されざる者」たちへの怒りが募ります。猟犬として牙を剥く
決意を固めた“ロロ”は命じられた任務をどこまで完遂できるか。注目したい作品です。
2020年11月03日
『キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦10』
TVアニメが放送中となる、細音啓 先生の大人気王道ファンタジー。第10巻は「天帝国」と
「ネビュリス皇庁」の思惑を超えた星の命運を握る流れに“イスカ”らが巻き込まれます。
(イラスト:猫鍋蒼 先生)
【 https://fantasiabunko.jp/product/201705kimitoboku/322003001178.html 】
【 https://kimisentv.com/ 】
天帝と緊張感があるようでコントのようなやり取りを繰り広げる“燐”。“メルン”から
語られる八大使徒の動向と、百年前からの因縁をもつ存在。ここでも“シスベル”の力が
鍵を握るワケですが、そんな彼女は“イスカ”により一層ご執心なようで微笑ましい限り。
“イスカ”たちを天帝の下へ誘導する“璃洒”の、腹に一物ある言動が示す意味も窺えて
「天帝国」が一枚岩ではないことが遂に共通認識となりました。それを踏まえての大激戦。
“シスベル”の力にも対策した強敵にどう立ち向かうか。その内容でも魅せてくれました。
一方で「ネビュリス皇庁」も始祖の再来により“アリス”も大苦戦。何枚も上手の強敵を
前にまさかの機転を利かせた立ち回りで驚かせてくれました。その戦いの裏で「彼女」が
示した決意がどう物語を動かしてくるか。星で起きた最悪の日、共に追体験したい所です。
「ネビュリス皇庁」の思惑を超えた星の命運を握る流れに“イスカ”らが巻き込まれます。
(イラスト:猫鍋蒼 先生)
【 https://fantasiabunko.jp/product/201705kimitoboku/322003001178.html 】
【 https://kimisentv.com/ 】
天帝と緊張感があるようでコントのようなやり取りを繰り広げる“燐”。“メルン”から
語られる八大使徒の動向と、百年前からの因縁をもつ存在。ここでも“シスベル”の力が
鍵を握るワケですが、そんな彼女は“イスカ”により一層ご執心なようで微笑ましい限り。
“イスカ”たちを天帝の下へ誘導する“璃洒”の、腹に一物ある言動が示す意味も窺えて
「天帝国」が一枚岩ではないことが遂に共通認識となりました。それを踏まえての大激戦。
“シスベル”の力にも対策した強敵にどう立ち向かうか。その内容でも魅せてくれました。
一方で「ネビュリス皇庁」も始祖の再来により“アリス”も大苦戦。何枚も上手の強敵を
前にまさかの機転を利かせた立ち回りで驚かせてくれました。その戦いの裏で「彼女」が
示した決意がどう物語を動かしてくるか。星で起きた最悪の日、共に追体験したい所です。