2020年11月30日

『涼宮ハルヒの直観』

「驚愕」から9年半。谷川流 先生そしてラノベ業界における金字塔とも言える大人気作品。
画集・雑誌に収録の短編・中編に書き下ろし長編「鶴屋さんの挑戦」を収録した新作です。
(イラスト:いとうのいぢ 先生)

https://sneakerbunko.jp/product/haruhi/322007000029.html


「あてずっぽナンバーズ」で“古泉”が提示した謎の数字と景品に微笑ましいものを感じ、
「七不思議オーバータイム」で“ハルヒ”に対する“キョン”の心の持ち様にニヨニヨし、
「鶴屋さんの挑戦」で“鶴屋”の奔放さと“ハルヒ”の現実を変える力を思い出しました。

バリバリのミステリ談義に花を咲かせるSOS団の様子を目にして面食らう所はあるものの
約10年の時を経ても色あせることのない登場人物の魅力を感じさせる「ハルヒ」の凄さを
堪能できる幸せを噛みしめる想いです。どうか途切れることの無いよう、願うばかりです。

そして「涼宮ハルヒ」シリーズをアニメ化して一躍有名にした「京都アニメーション」の
功績と、あの痛ましい事件に触れる巻末に添えられた文章に悔しさと寂しさが募ります。
リアルタイムで堪能したあの楽しいひと時を忘れることなく大切にしていこうと思います。

posted by 秋野ソラ at 00:08 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2020年11月27日

『天才王子の赤字国家再生術8 〜そうだ、売国しよう〜』

鳥羽徹 先生が贈る弱小国家運営譚。第8巻は選聖会議に再度招聘される“ウェイン”が
西側諸国と東の帝国との均衡をどう取り繕うか、罠をかいくぐる政治手腕が問われます。
(イラスト:ファルまろ 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4815608880.html


“カルドメリア”から十重二十重に張り巡らされた“ウェイン”の腕を試すための謀略。
選聖会議という盤上で、あるいは盤外で見せる2人の高度な応酬にただ驚嘆するばかり。
巻き込まれた小悪党の皆さまにはご愁傷様、と言うしかありません。実に運がなかった。

兄を助けたい、と不測の事態に憂いが募る“フラーニャ”の様子は実に年相応な振舞い。
けれどそれを容赦なく諫める“シリジス”に今回は助けられたと言えます。自嘲しつつ
彼も新たな道を突き進む決意が固まったようでナトラ王国にまた不安要素が増えた模様。

更に言えばナトラ王国で悲願を夢見るフラム人勢力の存在や、それが一枚岩ではない点。
踊りに躍った会議の顛末を目の当たりにして、“ウェイン”になお一目置く人々の思惑。
そして聖王“シルヴェリオ”の業が囁かせたあの一言。問題山積で次も目が離せません。

posted by 秋野ソラ at 00:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2020年11月26日

『やたらと察しのいい俺は、毒舌クーデレ美少女の小さなデレも見逃さずにぐいぐいいく2』

ふか田さめたろう 先生が贈るすれ違いゼロの甘々ラブコメディ。第2巻は“直哉”からの
想いを“小雪”が保留にする間、彼と彼女を取り巻く環境が思いがけず変化していきます。
(イラスト:ふーみ 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4815607753.html


“小雪”とプールデートするチャンスをものにした“直哉”が見せた洞察力は相変わらず
超能力並みで空恐ろしい。そんな2人がプールで楽しんだり、一方的に焦ったりする姿は
“桐彦”でなくてもお墨付きのラブコメっぷりで実に羨ましくて、またけしからん限りで。

そんな“小雪”が、意外な伏兵“夕菜”の登場にヤキモキする様子も可愛らしい訳ですが、
ライバルが抱える悩みに対して積極的に関わっていく場面に彼女の成長を著しく感じる
ことができて、まるで親のような心温まるものがありました。いろいろと頑張ってます。

「猛毒の白雪姫」と呼ばれるきっかけとなった“小雪”の昔話。それが意外な角度から
投げかけられてもしっかりと過去と向き合い、前向きな結果を出せたのもまた良かった。
見守る“直哉”の男気ある対応にご褒美もあり、それが今後どう作用するが見ものです。

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2020年11月25日

『ちっちゃくてかわいい先輩が大好きなので一日三回照れさせたい2』

五十嵐雄策 先生が贈るラブコメディ。第2巻は文化祭に放送部としてニャンメイドカフェ
をやることになった“花梨”が“龍之介”の言動に対して更に照れまくる局面を迎えます。
(イラスト:はねこと 先生)

https://dengekibunko.jp/product/kawatere/322007000097.html


喜ばせたいのに照れさせていた。“花梨”の反応に戸惑う“龍之介”が彼女の助言もあり、
再び自身の原点に立ち戻って次々とアウトを重ねていくのが強い。負けない、と意気込む
彼女が照れる姿は何度見ても可愛い。さりげなくデートしていたり彼も中々抜け目がない。

アフレコ練習が上手くいかず悩む“舞原”が、意外な手段で解決の糸口を掴むのも面白い。
そんな彼女が抱える秘密と悩みに対し、真摯に向き合う“龍之介”が相変わらず人たらし。
その一面は“真衣”にも及んでおり、“花梨”に知られてないことが救いでもあるワケで。

文化祭にて実に良い雰囲気を見せる“花梨”が目にした、“龍之介”の因縁に関わる一幕。
そして「先輩にお願いしたいこと」を曲解した彼女が彼の存在感を認める流れにニヨニヨ。
彼も新たな感情の発露を覚えたことで更なる攻勢が期待できる展開に。次巻も楽しみです。

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2020年11月24日

『となりの彼女と夜ふかしごはん 〜腹ペコJDとお疲れサラリーマンの半同棲生活〜』

『塩対応の佐藤さんが俺にだけ甘い』で人気の 猿渡かざみ 先生が「電撃文庫」へ参戦。
苦境に立たされる男性会社員と女子大生が深夜の食卓に楽しみを求めるラブコメディです。
(イラストレーター:クロがねや 先生)

https://dengekibunko.jp/product/322004000046.html


スーパーに勤務する“筆塚”は異動先で実績を出せず人事の課長から左遷を仄めかされる。
お先真っ暗な彼がアパートに夜遅く帰ると隣室の“朝日”が鍵を無くして困っている様子。
ひとまず部屋に上げて夜食を振舞い、愚痴なんか聞いてもらって親交が深まっていく──。

体に悪いけど夜ふかしの時に食べる料理の何と旨いことか。“朝日”が毎度優勝する姿に
その想いが強くなります。彼女との交流を通じて仕事先の悩みを解決するきっかけを掴み、
“筆塚”が理不尽な会社生活に徹底抗戦する展開も「お仕事ラノベ」要素としても熱い点。

“朝日”が鍵を無くした理由が意外な形で物語の鍵を握るところや“筆塚”の同僚たちが
彼をどう評価し、その頑張りを見届けているのかが分かる描写も、演出として実にお見事。
彼女が向き合う悩みにもぜひ注目していただきたい。読みやすさも抜群のお薦め作品です。

posted by 秋野ソラ at 00:04 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル