2020年11月30日

『涼宮ハルヒの直観』

「驚愕」から9年半。谷川流 先生そしてラノベ業界における金字塔とも言える大人気作品。
画集・雑誌に収録の短編・中編に書き下ろし長編「鶴屋さんの挑戦」を収録した新作です。
(イラスト:いとうのいぢ 先生)

https://sneakerbunko.jp/product/haruhi/322007000029.html


「あてずっぽナンバーズ」で“古泉”が提示した謎の数字と景品に微笑ましいものを感じ、
「七不思議オーバータイム」で“ハルヒ”に対する“キョン”の心の持ち様にニヨニヨし、
「鶴屋さんの挑戦」で“鶴屋”の奔放さと“ハルヒ”の現実を変える力を思い出しました。

バリバリのミステリ談義に花を咲かせるSOS団の様子を目にして面食らう所はあるものの
約10年の時を経ても色あせることのない登場人物の魅力を感じさせる「ハルヒ」の凄さを
堪能できる幸せを噛みしめる想いです。どうか途切れることの無いよう、願うばかりです。

そして「涼宮ハルヒ」シリーズをアニメ化して一躍有名にした「京都アニメーション」の
功績と、あの痛ましい事件に触れる巻末に添えられた文章に悔しさと寂しさが募ります。
リアルタイムで堪能したあの楽しいひと時を忘れることなく大切にしていこうと思います。

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2020年11月27日

『天才王子の赤字国家再生術8 〜そうだ、売国しよう〜』

鳥羽徹 先生が贈る弱小国家運営譚。第8巻は選聖会議に再度招聘される“ウェイン”が
西側諸国と東の帝国との均衡をどう取り繕うか、罠をかいくぐる政治手腕が問われます。
(イラスト:ファルまろ 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4815608880.html


“カルドメリア”から十重二十重に張り巡らされた“ウェイン”の腕を試すための謀略。
選聖会議という盤上で、あるいは盤外で見せる2人の高度な応酬にただ驚嘆するばかり。
巻き込まれた小悪党の皆さまにはご愁傷様、と言うしかありません。実に運がなかった。

兄を助けたい、と不測の事態に憂いが募る“フラーニャ”の様子は実に年相応な振舞い。
けれどそれを容赦なく諫める“シリジス”に今回は助けられたと言えます。自嘲しつつ
彼も新たな道を突き進む決意が固まったようでナトラ王国にまた不安要素が増えた模様。

更に言えばナトラ王国で悲願を夢見るフラム人勢力の存在や、それが一枚岩ではない点。
踊りに躍った会議の顛末を目の当たりにして、“ウェイン”になお一目置く人々の思惑。
そして聖王“シルヴェリオ”の業が囁かせたあの一言。問題山積で次も目が離せません。

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2020年11月26日

『やたらと察しのいい俺は、毒舌クーデレ美少女の小さなデレも見逃さずにぐいぐいいく2』

ふか田さめたろう 先生が贈るすれ違いゼロの甘々ラブコメディ。第2巻は“直哉”からの
想いを“小雪”が保留にする間、彼と彼女を取り巻く環境が思いがけず変化していきます。
(イラスト:ふーみ 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4815607753.html


“小雪”とプールデートするチャンスをものにした“直哉”が見せた洞察力は相変わらず
超能力並みで空恐ろしい。そんな2人がプールで楽しんだり、一方的に焦ったりする姿は
“桐彦”でなくてもお墨付きのラブコメっぷりで実に羨ましくて、またけしからん限りで。

そんな“小雪”が、意外な伏兵“夕菜”の登場にヤキモキする様子も可愛らしい訳ですが、
ライバルが抱える悩みに対して積極的に関わっていく場面に彼女の成長を著しく感じる
ことができて、まるで親のような心温まるものがありました。いろいろと頑張ってます。

「猛毒の白雪姫」と呼ばれるきっかけとなった“小雪”の昔話。それが意外な角度から
投げかけられてもしっかりと過去と向き合い、前向きな結果を出せたのもまた良かった。
見守る“直哉”の男気ある対応にご褒美もあり、それが今後どう作用するが見ものです。

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2020年11月25日

『ちっちゃくてかわいい先輩が大好きなので一日三回照れさせたい2』

五十嵐雄策 先生が贈るラブコメディ。第2巻は文化祭に放送部としてニャンメイドカフェ
をやることになった“花梨”が“龍之介”の言動に対して更に照れまくる局面を迎えます。
(イラスト:はねこと 先生)

https://dengekibunko.jp/product/kawatere/322007000097.html


喜ばせたいのに照れさせていた。“花梨”の反応に戸惑う“龍之介”が彼女の助言もあり、
再び自身の原点に立ち戻って次々とアウトを重ねていくのが強い。負けない、と意気込む
彼女が照れる姿は何度見ても可愛い。さりげなくデートしていたり彼も中々抜け目がない。

アフレコ練習が上手くいかず悩む“舞原”が、意外な手段で解決の糸口を掴むのも面白い。
そんな彼女が抱える秘密と悩みに対し、真摯に向き合う“龍之介”が相変わらず人たらし。
その一面は“真衣”にも及んでおり、“花梨”に知られてないことが救いでもあるワケで。

文化祭にて実に良い雰囲気を見せる“花梨”が目にした、“龍之介”の因縁に関わる一幕。
そして「先輩にお願いしたいこと」を曲解した彼女が彼の存在感を認める流れにニヨニヨ。
彼も新たな感情の発露を覚えたことで更なる攻勢が期待できる展開に。次巻も楽しみです。

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2020年11月24日

『となりの彼女と夜ふかしごはん 〜腹ペコJDとお疲れサラリーマンの半同棲生活〜』

『塩対応の佐藤さんが俺にだけ甘い』で人気の 猿渡かざみ 先生が「電撃文庫」へ参戦。
苦境に立たされる男性会社員と女子大生が深夜の食卓に楽しみを求めるラブコメディです。
(イラストレーター:クロがねや 先生)

https://dengekibunko.jp/product/322004000046.html


スーパーに勤務する“筆塚”は異動先で実績を出せず人事の課長から左遷を仄めかされる。
お先真っ暗な彼がアパートに夜遅く帰ると隣室の“朝日”が鍵を無くして困っている様子。
ひとまず部屋に上げて夜食を振舞い、愚痴なんか聞いてもらって親交が深まっていく──。

体に悪いけど夜ふかしの時に食べる料理の何と旨いことか。“朝日”が毎度優勝する姿に
その想いが強くなります。彼女との交流を通じて仕事先の悩みを解決するきっかけを掴み、
“筆塚”が理不尽な会社生活に徹底抗戦する展開も「お仕事ラノベ」要素としても熱い点。

“朝日”が鍵を無くした理由が意外な形で物語の鍵を握るところや“筆塚”の同僚たちが
彼をどう評価し、その頑張りを見届けているのかが分かる描写も、演出として実にお見事。
彼女が向き合う悩みにもぜひ注目していただきたい。読みやすさも抜群のお薦め作品です。

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2020年11月23日

『百合に挟まれてる女って、罪ですか?』

ガルコメで名を馳せている みかみてれん 先生が鳴り物入りで「電撃文庫」作家デビュー。
組の抗争を担う少女2人に巻き込まれる一般女性の振り回され、揺れ動く機微を描きます。
(イラスト:べにしゃけ 先生)

https://dengekibunko.jp/product/322007000091.html


神枝組と久利山組。女組長が束ねる両組織が抗争の果てに選んだのはハニートラップ勝負。
前者は男を虜にする手練手管に長けた娘“楓”が務め、因縁の幼馴染“火凜”と対決する。
対象は一般女性の“茉優”。面識も、女を篭絡する技術もない“楓”は唖然とするが──。

「トクベツな人になりたい」と夢見た“茉優”の理想と現実の乖離に悩む日々に胸を痛め、
彼女のバイト先へ潜った“楓”の言動と葛藤に癒され、“火凜”の絡む姿にニヨニヨして。
更に2人に決断を迫られ、どちらも好きだと応える隙だらけの“茉優”にヤキモキします。

そもそもなぜ“茉優”が対象として選ばれたのかもちゃんと理由付けがされていますし、
“楓”や“火凜”がこの勝負に挑むだけの裏付けもありますし、コミカルなだけではない
面白さが詰まっています。この罪をどう清算するのか、3人の行く末が見てみたい所です。

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2020年11月20日

『続・魔法科高校の劣等生 メイジアン・カンパニー』

佐島勤 先生が贈る魔法科高校を卒業した“達也”たちのその後を描く新シリーズ第1巻。
魔法資質を持つ者すべての人権保護に乗り出す“達也”に対し敵も味方も視線を集めます。
(イラスト:石田可奈 先生)

https://dengekibunko.jp/product/mahouka/322003000189.html


魔法因子を持つだけで一般人とほぼ変わらない人も魔法師同様に様々な制限が課せられる。
彼らの人権を守るため、実行組織として“達也”が設立した「メイジアン・カンパニー」。
戦略級魔法を扱う彼の思想は本音か建前か、世界を股に掛けた腹の探り合いが始まる──。

似て非なる結社「FEHR」から送り込まれた“遼介”のちょっと抜けた感じの言動が、彼を
糸引く“レナ”の真意を掴ませないための隠れ蓑なのでは、と感じさせるほどヘッポコ。
“光宣”と“水波”がよろしくやっている中、“リーナ”が新たな緩衝材になるのを期待。

同じく“真由美”のように人を送り込んで探りを入れる者もいれば、今回現れた賊の様に
実力行使に訴え出る者もいる。その辺のあしらいは“達也”や新たな力を示した“深雪”
からも「らしさ」が窺えて興味津々な展開。思惑が絡み合い次巻でどう動くか要注目です。

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2020年11月19日

『バケモノたちが嘯く頃に 〜バケモノ姫の家庭教師〜』

竜騎士07 先生が「LINEノベル」にて書き下ろした新作を「電撃文庫」から刊行した作品。
人の臓腑を食む少女の家庭教師となった男性が、村で起こる連続失踪事件の謎に迫ります。
(イラスト:はましま薫夫 先生)

https://dengekibunko.jp/product/maougakuin/322006000026.html


終戦後もなお名家として御首村に在り続ける御首家。その令嬢はいま、幽閉されている。
本来美貌なはずの彼女は死臭にまみれ、ハラワタを喰らいバケモノと呼ばれる忌避の対象。
そんな“茉莉花”の家庭教師として現れた“磊一”はおくびもせず親近感すら覚えて──。

“磊一”に「バケモノ」と「ケダモノ」の違いを諭される“茉莉花”が年相応の少女性を
発露していく様子が可愛らしい。惨虐な描写の数々が繰り広げられる反動かも知れません。
更に惨劇の担い手は別にいる、という「バケモノ」にまつわる謎解きの展開もまた面白い。

あとがきを読んで、ある母集団から外れた特異な存在と自認する者の象徴として描かれる
「バケモノ」という存在が印象深く心に残りました。戦後間もない日本という舞台装置も
上手く嵌っていたように感じます。“茉莉花”の挑戦、それが実る時がくるのを祈ります。

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2020年11月18日

『ボクは再生数、ボクは死』

石川博品 先生が贈る新作は、VR空間で出会った高級娼婦へ通うため動画配信で金を稼ぐと
決めた青年が陰謀に巻き込まれていく顛末を描くエロス&バイオレンス・ストーリーです。
(イラスト:クレタ 先生)

https://famitsubunko.jp/product/saiseisuu/322007000039.html


VR空間で娼婦に入れ込む“狩野”は、会社の先輩“斎木”にそのことを知られてしまう。
大金が必要な彼は、一緒に動画配信者となることで荒稼ぎすることを彼女から提案される。
もちろんすぐに上手くいく訳はないがある日、思いがけず撮れ高を稼ぐことになる──。

男性がVR空間でしたいことをこれでもかと詰め込んだ“狩野”の人物像。“シノ”として
人気を集め、仲間も出来て、因縁やしがらみも絡んで、いつしかバトルものを読んでいる
かのように錯覚する展開を、あの娼婦に纏わる逸話で本筋に引き戻されるのが印象深い。

娼婦のために再生数を稼ぎ、娼婦を通じて死をその肌で感じた“狩野”が最後に選んだ道。
“シノ”が“狩野”を見たらどう思うか、というまるで自分の中に別人格がいるかの如き
思考が「あり得る可能性」を押さえている気がしていろいろと考えさせられる結末でした。

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2020年11月17日

『君が、仲間を殺した数 −魔塔に挑む者たちの咎−』

『賢勇者シコルスキ・ジーライフの大いなる探求』シリーズの 有象利路 先生が贈る新作。
空にも届く塔の頂へ挑む者たちを犠牲にする超常の力を授けられた少年の命運を描きます。
(イラスト:叶世べんち 先生)

https://dengekibunko.jp/product/mato/322006000037.html


“スカイツ”は孤児院育ちの仲間と共に塔へ挑むギルドの若き一員。ある日、リーダーが
単独で塔に昇ったと知り、仲間と共に追いかけた最中、塔の異変に巻き込まれ命を落とす。
だが彼は生きており、謎の声が囁きかけることに加えて、ある重大な異変に気が付く──。

ダークファンタジーと銘打つだけあってテーマが重い。冒頭にある「断章」の描写、又は
表紙の痛ましい姿が現実のものとなるまでの、約束された絶望への過程を描く構成が見事。
塔に昇りたくないのに登らざるを得ない状況に追い込まれる“スカイツ”の悲愴感たるや。

もう失いたくない“スカイツ”が手に入れてしまった能力を使い、“クロヤ”の手助けを
借りて彼が“イェリコ”に抗い続けた結果として「あの人」を見咎めたもう一つの違和感、
このえげつなさがまた秀逸で。彼が踏み入れた修羅の道、その果てを見てみたいものです。

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2020年11月16日

『六畳間の侵略者!? 36』

健速 先生が贈る人気シリーズ。通算38冊目は“ラルグウィン”が灰色の騎士に助けられ
魔法の力を認識する一方で、“真希”がレインボゥハートの一員となる課題に臨みます。
(イラスト/ポコ 先生)

http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/931.html


フォルサリアで発生する連続行方不明事件。その調査を任された“真希”が意外な過去へ
触れると同時に、“孝太郎”たちにも因縁のある敵と遭遇するなど人の歴史を意識させる
内容でありました。そんな中、“静香”がここぞと彼を煽っていくスタイルが面白かった。

今回、“真希”をレインボゥハートに推薦した一人である“ゆりか”が目の当たりにした
吉事をそう捉えない、“孝太郎”との関係に自信がもてない証左としての言動が印象的で。
そこをどう励ますか、という場面にも六畳間のメンバーらしさが窺えて微笑ましいもので。

“ゆりか”が望まぬ形でみんなからの信頼を集めていく裏側で、“ラルグウィン”が宿敵
である青騎士に勝てる希望を抱くなど、緊張感が高まる展開。灰色の騎士が胸に含む思惑
とは如何に、という瞬間で登場した「あの人物」がどんな鍵を握るのか次巻も楽しみです。

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2020年11月13日

『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか16』

大森藤ノ 先生が贈る、一端の冒険者である少年と矮小なる女神が織り成す眷族の物語。
第16巻は“シル”からのデートのお誘いに“ベル”と周囲の女性陣が騒然となります。
(イラスト:ヤスダスズヒト 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4815607562.html


「私、ベルさんのことが好き」一途な心を直接“リュー”に、へに恋文で届ける“シル”。
感情がせめぎ合う“リュー”、応援に回る酒場の面々、騒ぎ立てる“ヘスティア”たちと
ラブコメ全開な流れを予感させる導線がまず楽しい。“シル”の覚悟、その真意を除けば。

思いがけないサポートを受け“シル”をエスコートする“ベル”の格好良さを堪能しつつ。
2人を護衛する《フレイヤ・ファミリア》の面々によぎる感情は何だったのかを探りつつ。
ラブコメっぽい雰囲気が深刻な様相を呈していく度、読み進める手に嫌な汗が浮かびます。

“ベル”の胸を占めるのは誰か。改めて想いを伝える“シル”に、彼は誠実に答えました。
女神を妄信する人々もいれば、徹底的に抗う者もいる。喜劇が招いた決定的な悲劇を前に
ついに「彼女」が本気を見せました。「怖いもの見たさ」が募る次巻から目が離せません。

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2020年11月12日

『オーバーライト2 ――クリスマス・ウォーズの炎』

池田明季哉 先生が贈る、創作に青春を懸ける者たちの青春譚。第2巻は“ヨシ”の前に
現れた歌姫に、そしてグラフィティを否定する音楽家の登場にブリストルが揺れ動きます。
(イラスト:みれあ 先生)

https://dengekibunko.jp/product/overwrite/322004000054.html


“ヨシ”に戻ってほしい“ネリナ”。自分勝手な彼女が気に入らない“ブーディシア”。
2人の板挟みにあう彼は“ガブリエル”からも厳しい現実を突き付けて悩みは尽きない。
そこへ「リバース・グラフィティ」で悪意を晒す“Z”も探す必要があり苦労も青天井。

再びグラフィティに対する風当たりが強くなる中で“ヨシ”が“ブーディシア”に対し
出来ることがあるか。ブリストルに来た意味を含めて彼が自問自答するのが実に誠実で。
しかし“ネリナ”がやって着た意味をようやく理解したあたりは余裕の無さが窺えます。

期待と不安が入り混じるクリスマスを前に、ギタリストとしての運命を担った“ヨシ”。
彼の振舞いが色々な相手の、様々な感情を上書きしてきたのが分かると感慨深いものが。
“ネリナ”の強かさに驚嘆しつつ、彼が彼女と離れてどんな結論を出すか興味津々です。

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2020年11月11日

『ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編3』

衣笠彰梧 先生が贈る新たな学園黙示録。2年生編・第3巻は無人島のサバイバル試験にて
全学年が入り乱れ得点を競う中、“綾小路”を退学へ追い込む者たちが牙を剥き始めます。
(イラスト:トモセシュンサク 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/youzitsu/322006000798.html


持参するアイテムの取捨、指定エリアへの道程、クリアする課題の選定。集団行動せずに
単独で試験に臨む“綾小路”に同道を願い出る“七瀬”。彼女の思惑はどこにあるのか、
彼を狙うホワイトルーム生なのか、探り探りの緊迫した展開で読む手にも熱が入ります。

“七瀬”以外にも、かねてから“綾小路”に目を向けていた人々の所作一つ一つに裏が
あるのではと疑うのに疲れる最中で、“高円寺”のブレない言動にはある意味安堵します。
試験中にもかかわらず“恵”のご機嫌取りをする“綾小路”には余裕すら感じられます。

“七瀬”の狙いが明らかとなった刹那、まず「彼女」たちの振舞いには驚かされました。
これも“月城”の計らいによるものか、それを見極めきれないまま意味深な挿絵と共に
次巻へと引かれて身悶えします。“綾小路”は切り抜けると信じて、その時を待ちます。

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2020年11月10日

『今はまだ「幼馴染の妹」ですけど。3 3年分の「ありがとう」だよ、先輩』

かぜぱな 先生のマンガ連載も始まった、涼暮皐 先生による(考えが)甘いラブコメディ。
第3巻は“小織”という存在、彼女の願い、“伊織”に降りかかる最悪の呪いに迫ります。
(イラスト:あやみ 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/osaimo/322005000759.html
https://comic-walker.com/contents/detail/KDCW_FS00201831010000_68/


冒頭で“小織”から語られる真相の数々。それだけで驚きの連続にもかかわらず結末では
それを超える彼女の隠された想いがあらわとなります。星の涙に慈悲がある訳がないのは
重々承知していたつもりですが、すみません、読み手としても考えが甘かったようです。

“灯火”や“まなつ”の願いも否定し、その差し伸べる手をも振り払って己の身ひとつで
星の涙に抗ってきた“伊織”。今回は“小織”の夢をどう否定するのか、注意深く見届け
させてもらいました。彼が彼女を救えない、と言った意味が重くのしかかるかのようです。

流石に苛立つ感情をも冷ましてしまう“伊織”には同情を禁じ得ません・・・と言った所で
思いがけない方向から、彼の行動指針を揺るがす事の真相に触れてくる容赦ない引き具合。
翻弄される“伊織”はどこへ向かえばいいのか。救われる日が来ることを願うばかりです。

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2020年11月09日

『探偵くんと鋭い山田さん2 俺を挟んで両隣の双子姉妹が勝手に推理してくる』

玩具堂 先生が贈るちょっと甘めの学園ミステリーラブコメ。第3巻は“雨恵”と“雪音”
2人に距離を詰められつつ、助けられながら“戸村”が数々の相談事を解決していきます。
(イラスト:悠理なゆた 先生)

https://mfbunkoj.jp/product/yamadasan/322001000936.html


第四話はオンラインゲームで人探し。オフ会と称して催された「プレイヤー当てゲーム」、
その真意に会話の一部、プレイヤーの経歴、そしてあの成績表から気付くあたりはお見事。
「探偵」をする意味を山田姉妹がより意識する機微がこそばゆくてニヨニヨさせられます。

第五話は過去に文芸部から消えた原稿探し。“田草”先生が学生時代に書いたある作品を
3人の先輩が論評する、その内容からある可能性に目をつける所が何とも“雨恵”らしい。
先生を戸惑わせる発言を繰り返す“戸村”、その訳を担う姉“地穂”に注目が集まります。

第六話は自殺の恐れがあるSNSアカウントが誰かを見つける依頼。キラキラネームの依頼者
という要素があそこまで効いてくるとは、中々に興味深い展開で楽しませてもらいました。
この3人でずっと「探偵」してほしい、そう「MF文庫J」編集部には切望しておく次第です。

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2020年11月06日

『エリスの聖杯3』

常磐くじら 先生が贈る貴族社会クライムサスペンス。第3巻は“スカーレット”が処刑
された10年前の陰謀を明るみにすべく“コニー”が命を懸けて「暁の鶏」と抗戦します。
(イラスト:夕薙 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4815607692.html
https://ncode.syosetu.com/n1230ei/


“コニー”だけでなく“ランドルフ”にも危険が及ぶ緊迫した展開を“スカーレット”
による絶妙な介入が救っていくのが熱い。彼女に対する“ハームズワース”の反応が
ブレないのも印象的でした。幕間の人物紹介で都度、心和ませてもらった感もあります。

陰謀の核心へ迫るにつれ、“コニー”と“スカーレット”の奇妙な絆の終焉を示唆する
描写が差し込まれる度にどの結末へ向かうのかを想像して、ハラハラさせられました。
その中で“ランドルフ”がちゃんと“コニー”のことを考えてくれていたのが救いで。

陰謀の布石、意外な黒幕、そして残された者たちの想い。公開処刑が再来する流れを
通じてそれらを見事に昇華してくれる読了感を味わえました。泣いて、そして笑って、
運命に導かれた2人を描く挿絵も素晴らしかった。完結を心よりお祝い申し上げます。

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2020年11月05日

『世々と海くんの図書館デート 恋するきつねは、さくらのバレエシューズをはいて、絵本をめくるのです。』『世々と海くんの図書館デート(2) 夏のきつねのねがいごとは、だいすき。だいすき。だいすきです。』

野村美月 先生が「青い鳥文庫」から児童書として贈る新作。狐の子がセーラ服を着た
少女に変身して一目惚れの男の子に会いに行き、図書館で想いを伝える顛末を描きます。
(イラスト:U35 先生)

http://aoitori.kodansha.co.jp/book/2020/22/4.html
http://aoitori.kodansha.co.jp/book/2020/22/5.html


森で暮らす狐の妖怪四姉妹の末っ子“世々”は以前、助けてくれた少年“海”を捜して
村唯一の学校にある図書館で見つける。何度も通い、盗み見るたびに高鳴る胸を抑える
彼女はある日、彼から声を掛けられる。気付かれたと怯える彼女に彼はメモを渡し──。

難しい文字が読めない“世々”は絵本を読み、“海”は成績を落とさないため勉強する。
こそばゆくてもどかしい図書館での逢瀬を重ねる2人が“由鷹”や“相沢”に応援され
絆を深める様子が微笑ましい。“相沢”の存在にも 野村 先生の作品らしさを感じます。

児童書ということで話の軸を担う絵本の選定や、漢字の開き方に対しこだわりを見せる
野村 先生の姿勢にもぜひご注目のほどを。秘密を打ち明けた“海”のように“世々”も
本来の姿を明かし、彼が受け入れてくれること、幸せな未来を掴むことを願いたいです。

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2020年11月04日

『魔女と猟犬』

カミツキレイニー 先生が贈る新作はダークファンタジー。小国の領主が大国による侵略に
抗うため、虐げてきた魔女たちに希望を見い出していく顛末をとある暗殺者が見届けます。
(イラスト:LAM 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094518641


とある屋敷で魔女の疑いをかけられ私的制裁をうけた奴隷少女に纏わる証言に耳を傾ける
小国の領主“バド”。誰もが恐れる魔女を話せばわかる人種だと判断した彼は隣国で捕縛
されている「鏡の魔女」に目をつけ、配下の“ロロ”に連れてくるよう任命するが──。

隣国「レーヴェ」に隠された思惑、二転三転する魔女への疑惑、暗殺者“ロロ”の当惑。
序章として「ギリー婦人の証言」を持ってきたことが後々で効いてくる話の動かし方に
惹き込まれていきます。読了後に見返すと表紙のイラストが持つ意味に気付かされます。

魔女に活路を見い出したはずの“バド”たちを襲う陰謀と惨劇。“ロロ”が「黒犬」と
呼ばれる所以も相まって「許されざる者」たちへの怒りが募ります。猟犬として牙を剥く
決意を固めた“ロロ”は命じられた任務をどこまで完遂できるか。注目したい作品です。

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2020年11月03日

『キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦10』

TVアニメが放送中となる、細音啓 先生の大人気王道ファンタジー。第10巻は「天帝国」と
「ネビュリス皇庁」の思惑を超えた星の命運を握る流れに“イスカ”らが巻き込まれます。
(イラスト:猫鍋蒼 先生)

https://fantasiabunko.jp/product/201705kimitoboku/322003001178.html
https://kimisentv.com/


天帝と緊張感があるようでコントのようなやり取りを繰り広げる“燐”。“メルン”から
語られる八大使徒の動向と、百年前からの因縁をもつ存在。ここでも“シスベル”の力が
鍵を握るワケですが、そんな彼女は“イスカ”により一層ご執心なようで微笑ましい限り。

“イスカ”たちを天帝の下へ誘導する“璃洒”の、腹に一物ある言動が示す意味も窺えて
「天帝国」が一枚岩ではないことが遂に共通認識となりました。それを踏まえての大激戦。
“シスベル”の力にも対策した強敵にどう立ち向かうか。その内容でも魅せてくれました。

一方で「ネビュリス皇庁」も始祖の再来により“アリス”も大苦戦。何枚も上手の強敵を
前にまさかの機転を利かせた立ち回りで驚かせてくれました。その戦いの裏で「彼女」が
示した決意がどう物語を動かしてくるか。星で起きた最悪の日、共に追体験したい所です。

posted by 秋野ソラ at 01:04 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル